さて、今回はあのアンケートの結果を反映します。
ついでに、こいつ一曲では寂しいでしょうし、もう一曲オマケも付属させてもらいました。
それでは、本編をどうぞ。
ふと、目が覚めて体を起こした。
ここはアビドス高校の空き教室の一室。
現在、私たち便利屋68は様々な都合でここで寝泊まりしている。
あまり気は進まないものの、私たちはここの襲撃に失敗してほぼ寝返ったような状態な上に、事務所も安全とは言い難い状態ではあったため文句は言えない。
……でもまぁ、これでよかったのかもしれない。
未だにあの大人は信用できないけれど、少なくとも契約を反故にせずにいる。
今後どうなるかの先行きは分からないが……アルも無事にここにいることだし、何とでもなるだろう。
話は逸れるが、何故か私はこんな真夜中に目を覚ましていた。
何故かは分からないが……無性に夜風に当たりたい気分だ。
寝ている皆を起こさないように自分の寝袋からそっと抜け出し、私は廊下の方へと足を運んだ。
暗い廊下を歩いていると、どこからかひやりとした空気が流れてくるのを感じる。
出処を探ってみると、それは目的地までのルートである階段……。
だが、その空気は向かう予定だった下ではなく上……
つまり、屋上の方から風が来ているのだ。
一応携帯していた「デモンズロア」を引き抜き、階段を上っていく。
『……those dear………gentle people……』
途切れ途切れだが、音が……いや、歌が聞こえてくる。
『……Who live in……town……』
英語…だろうか?
どこか明るい調子の音楽も聞こえてくる。
『……Because those……hearts and……people……』
階段の頂上が見え、ドアのすぐ近くまで来たことで音がよりはっきりと聞こえてきた。
『……Will never let you down……』
開きっぱなしであった屋上のドアの陰に隠れ、外の様子を確認する。
すると……
『They read the good Book from Fri'till Monday~♪』
『That how the weekend goes~♪』
『That's how it goes!!』
…そこにいたのは一人の大人。
見慣れない形状の瓶を片手に、どこか古めかしさを感じるラジオ機器のようなものから曲を流してくつろいでいるセイジ先生だった。
『I've got a dream house I'll build there one day~♪』
『With picket fence and ramblin'rose~♪』
……それにしても、この曲は何だろうか?
レトロな英語の曲……多分、故郷に素敵な家を建てる、的な歌詞なのはなんとなく理解できた。
『I feel so wellcome each time that I return~♪』
『That my happy heart keeps laughin'like a clown~♪』
…うん、なんとなく今度のも理解できた。
おそらく、故郷がいつでも歓迎してくれることに心から笑っている、という意味のはずだ。
『I love those dear hearts and gentle people~♪』
『Who live and love in my home town~♪』
……故郷の優しい人たちを愛している、故郷とそこに住む人たちを愛している。
とてもいい歌詞の曲だ。
ちょっと古い印象はあるけど、間違いなく良曲といっていい作品だ。
「なかなか悪くない曲だろう?隠れてないで出てきたらどうだ?」
「………ッ⁉」
…気づかれた?
どうやら曲に聞き入り過ぎて、ちょっと気を抜きすぎたらしい。
私はデモンズロアをホルスターに戻し、両手を上げながら扉の陰から出る。
「……鬼方か。散歩でもしていたのか?」
「ま、そんなとこ。ちょっと目が覚めちゃってね。」
「そうか。……何か飲むか?」
「いい。隣だけ借りるね。」
そう返しながら、私は先生の隣に腰掛ける。
砂漠の冷たい夜風が軽く吹き、少々肌寒さを感じさせる。
「先生、さっきの曲って……」
「『Dear Hearts and Gentle People』。俺がここに来る前にいた場所でよく流されていた曲の一つだ。」
「……そっか。」
私のその問いかけに、先生はあっさりと返してきた。
「その、ここに来る前にいた場所って故郷だったの?」
「……まぁ、ある意味そうだな。あそこは俺にとっての第二……いや第三かもしれんが、とにかく故郷の一つだった。」
「そうなんだ。……じゃあ、その故郷の人達を愛していたの?」
「ふむ……愛する、か。」
私のその問いかけに、先生は何か言葉を詰まらせるような様子であった。
「……それはわからん。」
「分からないの?どうして?」
「お前たちの言う愛するというのに該当するやつは皆逝ってしまったのもあるが……何よりも、俺には愛というのが分からない。」
「……ッ、ごめんなさい。」
「気にするな。もう過ぎたことだ。」
それだけを言い、彼は手元の飲料……恐らく、コーラだと思われるものを一気に飲み干した。
「……鬼方、お前は音楽が好きか?」
「……まぁ、そうだね。先生の聴いてるのとは違うジャンルだけど、よく聴いてるよ。」
「そうか……。」
先生は突然腕につけてるなんかの機械を操作したあと、どこからかおもむろに一枚の写真を取り出してそれを眺めていた。
覗き込んでみると、6人の人と……人とよく似た形をしている怪物たちが映り込んでいた。
「……先生?これって……」
「俺がかつてつるんでいた連中との写真だ。確か……ちょうどあいつらが死ぬ前日ぐらいの時のだったか?」
「んで、この真ん中にいるサングラスをかけたバカ……俺たちのリーダーだったやつが大の音楽好きでな。過去の曲だけじゃなく、そこら辺の連中が適当に作った曲まで録音して保管していたんだ。」
「……もしかして先生、その保管してた録音を全部持ってるの?」
「というか、コイツらの形見をほとんど押しつけられたからな。ったく、余計なもんを大量に残して逝きやがって……」
そう言いつつ、彼はまた機械を操作し始めた。
「ま、ちょうど良い。大して聞かないやつもあったし、俺用のはダビング済みだったからな。」
そう言い切ると同時に、どこからともなく小型コンテナのように見える箱があらわれた。
「……!?先生、これって……」
「こいつは俺たちが作ったコンテナ型のメモリーでな。中にアイツが保管していた曲が全部入っている。」
そう言いつつ、先生は私にそのコンテナ型のメモリーを渡してきた。
「……良いの?」
「どうせ俺が持っていても持ち腐れるだけだからな。アイツもお前のような奴がこれを使ってくれるんなら泣いて喜ぶだろうさ。」
面食いの女好きだったからな、と最後にそれだけを言い残して校舎の中へと消えていった。
……よくよく見てみると、コンテナにはニキシー管で簡易的な表示盤のようなものがついている。
側面にスピーカーらしき物もあるため、これ単体で曲を流せるらしい。
取り敢えず……一番の曲をセットしてみる。
ニキシー管の左端の数字が『001』と表示され、そのタイトルがすぐ横に表示された。
曲名は……「Maybe」
静かなギターの演奏が流れ始め、どこか物悲しい雰囲気となる。
『Maybe~♪』
『You'll think of me~♪ when you are all alon~♪』
一人屋上で夜風に当たりつつ、本当にあるのかもわからない希望にすがろうとする悲しいこの曲を聴き続けるのであった。
いかがでしたか?
トラック1の曲はやっぱり、なんか特別に感じる物がいいかなぁとも思いますね。
ところで、最近人間では物足りなくなってデスクローの首まで狩り始めました。
あいつら、黒色火薬でヘッショすると良い感じに色んなパーツが吹っ飛ぶんですよね。
皆さんも間合いを測りながら試してみてください。
尚、それで死んでも責任は負いません。
それでは、また次の話をお楽しみに。
追記:楽曲コード貼ろうと思ったら何故かこれのコードが見当たらないんですが……
あれぇ……?ボブ•クロスビーバージョンisドコ…?