アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんにちは。
最近ある方がマイクラを始めたが為にその配信視聴で執筆を相当遅延させた間抜けでございます。
今後あるかはわかりませんが……参加型とか初め出したらもっと遅れるかもしれませんが、なんとかしてはみます()
それでは、本編をどうぞ

追記:なんか仕事終わりに確認したら変な誤字があったので急遽修正しました。


四十六話:メモロビ⑧ 砂狼シロコ

ある日の朝のことだった。

 

「……ん、やっぱり誰かが見てる」

 

いつものように私はロードバイクにまたがり、学校に向かおうとしていた。

 

そんな中、どこからともなく視線を感じていた。

 

敵意がある視線ではないようだが……とにかく気味が悪い。

 

ここ最近ずっとこの調子であるために、さすがのシロコも少々困り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、俺に相談しに来たと」

 

「ん、そう。先生なら何か分かるかと思って」

 

現在ここはアビドス高校セイジ先生の部屋。

 

登校して荷物を置いた後、私は皆への挨拶もそこそこに先生の元を訪れていた。

 

理由はもちろん、ここ最近私をつきまとうように見ている何者かへの対応だった。

 

「ふむ……とりあえず聞くが、その視線に敵意はなかったんだな?」

 

「ん。敵意もなかったし、視線を感じたところを見て回ってみたりもしたけど何の成果もなかった。」

 

「不可視のストーカー……か。いや、まさかな……」

 

先生は何かを考えるように顎に手をおいていた。

 

何か心当たりがあるのだろうか?

 

「……もう一つ聞きたい。ここ最近、虫の羽音のような音とか何かが飛び立ったような大きな羽音を聞いたか?」

 

「ん……?いや、特に聞いた覚えは……」

 

そこでふと、私はあることを思い出した。

 

そういえば昨日夜に寝る時、一瞬だが虫の羽音のようなものが聞こえたかもしれない。

 

「……いや、あったね。チチチチって感じの音が小さく聞こえたような気がする。」

 

「あぁ……やっぱりそういうことか……。」

 

セイジ先生は何かに納得したようにうなづき始めた。

 

「しかしまぁ、なぜあいつらは砂狼を……?いやまぁ、聞けば手っ取り早いな」

 

そんな事を言いつつ、セイジ先生は腕の機械を操作して幾つかの手提げ袋をどこからともなく取り出していた。

 

「先生?その袋は何?」

 

「奴らに近い内に接触しようとは思っていたからな。そのために先んじて用意していたが……まぁちょうど良い機会だ。」

 

そういいながら先生は袋の中から何かを取り出す。

 

取り出したのは三つのそこそこの大きさのボウルとレモン。

 

加えて、スーパーで昨日特売で売ってた天然水に白砂糖が入った袋だった。

 

「砂狼、どうせあいつらは何回かお前と接触しようとするだろう。ならせめて、あいつらが変な事をしてこないように奴らの好物を知っておけ」

 

「え、先生じゃ止められないの?」

 

「止められないことはないだろうが……最悪、この辺で血が流れることになるだろうな」

 

「ん……さすがにそれはマズイ。わかった、作り方を教えて」

 

唐突に先生はなんかすごく物騒な事を言っていた。

 

血が流れることになる……ということは、今私をストーカーしてる人……人?が死んじゃうということだ。

 

先生は躊躇なくやってしまいそうだが、それだけは駄目だ。

 

今ここで先生が殺人で捕まっちゃったら、アビドスの復興にも良くない影響が出てしまうかもしれない。

 

それ以前に、あまり殺しはして欲しくない。

 

何やら機械を操作して追加で色々な器具を出している先生を見つつ、私はそれだけは避けながらこの状況をどうにかしたいと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生に教えてもらったのは、まぁ簡単に言えば炭酸抜きのレモネードみたいなものだった。

 

レモン丸々一つの搾り汁を砂糖水に溶かしただけの、いわゆるレモン水というものだろうか?

 

比率もかなり細かいところまで教えてもらい、完成した三つのボウル入りのそれを冷蔵庫に入れて下校時間まで待つことになった。

 

その間も視線はずっとついて回っており、どこか興奮しているかのような感じがしていた。

 

 

 

そして、その日の夕方……

 

 

 

「ん、もうみんな帰ったよ」

 

「わかった。屋上まで冷蔵庫に入れていたアレを持ってきてくれ」

 

先生に言われて家庭科室の冷蔵庫にしまっていたボウルを取り出し、それをお盆に乗せて慎重に屋上まで運んだ。

 

屋上にたどり着くと、そこには何時もとは違う服装の先生がいた。

 

「先生……?その服は何?」

 

「昔使っていた仕事の服だ。あいつらはこっちの姿のほうが喜ぶからな」

 

先生のその格好はいつものスーツ姿や便利屋の時の戦闘服とはまた違った印象の服だった。

 

中に着ているのは前に着ていた戦闘服と同じものだが、それ以外はかなり違っている。

 

まず、その戦闘服の上に着ているコート。

 

確かダスターコートと呼ばれるものだっただろうか…?

 

色の褪せたモスグリーン色のようなボロボロのコートで、所々に切り裂かれた跡や銃痕らしき物もある。

 

左胸には多分狼……なのだろうか?

 

おそらくは狼なのだろう生物を象っているらしいマークが、二本の鎖の上に描かれているかのような構図で付いている。

 

ほかにもガンベルトに加え、右腰にはいつも先生が腰に隠し持っている古そうなリボルバー拳銃がホルスターに入れて付けられている。

 

見た感じの印象は……流浪の傭兵、だろうか?

 

先生自身の雰囲気も相まって余計そう感じられた。

 

「……さて、役者も供え物も揃った。そろそろ出てきたらどうだ、お前ら?」

 

突然、セイジ先生は何処かに向かってそんな言葉を投げかけていた。

 

だが、その場所には誰もいない。

 

ここは開けた学校の屋上。

 

見える範囲に人はいないし、ましてやこんな高さまで急に登ってくる人は居ないはずだ。

 

つまり、今ここの何処かにそのストーカーは潜んでいるのだろうか?

 

私がそう推測していた時だった。

 

 

 

 

 

―――ギィチチチチチチチッ……バサッバサッバサッ!!!!

 

 

 

 

 

どこからともなく、その三体は現れた。

 

一見すると巨大な蛾のように見える……が、それにしては少し違和感がある。

 

確かに全体的に見たら蛾ではあるのだが、二足歩行していたりとどことなく人間のような機能を持っている部位が存在しているらしい。

 

「せ、先生……?この子たちって…?

 

「こいつらはモスマン。蛾が元になったとかなんとか言われちゃいるが、その実特に何も分かってない俺の前居た場所の生物だ。」

 

彼はそう返しつつ、黄色の目の個体と青紫色の目の個体へとレモン水の入ったボウルを差し出した。

 

多分口なのだろう目と目の間にある突起物をボウルの中へと差し込み、モスマンと呼ばれた生物はおいしそうにソレを啜っていた。

 

 

――ギィチチチチチ……

 

 

「あっごめんね。これ、貴方の分だよ」

 

 

――………。

 

 

残った赤目のモスマン。

 

彼にもボウルを差し出してみると、器用にも前足でこれを受け取った。

 

おいしそうに飲んでいるあたり、お気には召しているらしかった。

 

「……しかし、お前らどうやってここまで来た?それになぜ砂狼を付け回していた?」

 

――ギィチチチチチチチッ!

 

先生の質問を理解したのか、青紫の目のモスマンが翅を羽ばたかせて何巻伝えようとしていた。

 

なんとなく気づいてはいたが、どうやらこのモスマンたちは見た目が虫なだけで相当な知性があるらしい。

 

「……なるほどな。確かに、あの場所はあの狂信者どもの拠点だったし、お前らがいてもおかしくはないな。」

 

「それに……そうだったな。お前らは"アイツ"と特段仲が良かったしな」

 

――……ギィチチチチチ

 

先生の最後の一言……おそらくだが彼らの間にいた誰かなのだろうか?

 

先生たちの様子から、おそらくは既に亡くなっているのかもしれない。

 

その誰かが私と似ている……ということなのだろうか?

 

「……言っておくが、コイツはアイツとは違う。あくまでコイツは生徒……まぁ、教え子みたいなもんだ。」

 

――ギィチチチチチ?チチチチチチチッ!

 

先生の言葉を理解しているのかそうでもないのか……

 

モスマンたちは私を観察するように見つめていた。

 

「え、えっと……?」

 

――ギィチチチチチチチチチチッ!

 

「わぷっ!?こ、これって……鱗粉…?」

 

突然青紫の目のモスマンが私の方へと寄ってきて羽を揺らすように羽ばたかせ、鱗粉らしきものをかけてきた。

 

記憶はおぼろげだが、確か蛾の鱗粉は種類によっては毒……そうでなくてもアレルギーの元になりかねない代物だったはずだ。

 

「あー…砂狼。そいつの鱗粉に毒だとかは無いから安心しろ。」

 

「ん、そうなの…?というか今、私の心を読んだ…?」

 

毒がないことがわかって安心できた反面、先生に心を読まれたかのように答えられたことに私の意識は向いた。

 

「最初ソイツに鱗粉をかけられたやつは大抵そんな反応をしてるからな。まぁ、むしろソイツの鱗粉にはちょっとした恩恵もあるんだがな」

 

「恩恵……?」

 

特に何か変わったような気はしないが、この鱗粉に何かしらの効能があるのだろうか?

 

「……ん?おい、この鱗粉まさか祝福を最大で込めたのか?」

 

――ギィチチチチチチチ

 

「……はぁ。まあここには奴らもおらんだろうし、お前たちがそんだけ気に入っているのなら俺からは何も言わん」

 

「……?」

 

よくはわからないが、何かしら私にいいものをくれたらしい。

 

……特に何か変わっているような気はしないが、まあそういう物なのかもしれない。

 

「……ん、ところでなんだけど……私へのつきまといは?」

 

「……無駄だ。こいつらは基本的に殺しでもしない限りずっとこっちを見てくる。そういう存在だからな」

 

――ギィチチチチチチチチ……バシッ!

 

――ギィチチチチ!?チチチチチチチ!

 

突然、青紫の目のモスマンが赤目のモスマンをはたいた。

 

どうしたのだろうと先生の方に聞いてみると……

 

「こりゃ多分だが……こっちの赤いのがお前をずっと見ていたらしいな」

 

「えぇ……?」

 

先生に黄色の目のモスマンからの説明を通訳してもらったところ、本来持ち回りで私たちアビドスの生徒を見守っていたが急に赤い目のモスマンが私だけを監視しだしたのだそうだ。

 

迷惑はかけていないと言い張っていたので今日までは見逃していたが……今回の件でそれなりに迷惑がかかっていたことが分かった以上、今後はやらかさないようにこのモスマンたちのリーダーである青紫がしっかり言い聞かせたうえで見張っておくのだそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、モスマンたちと多少交流してその場は解散となった。

 

ここ最近はそこまで視線を感じることも多くなくなってきた。

 

先生に教えられたレモン水を毎日ちょっとした祭壇めいたモスマン達の巣(彼らがいつの間にか私の家のすぐ横に作っていた)に置きつつ、偶にひょっこりと顔を出して見てくる赤い目のモスマンと少しだけ遊んであげる。

 

そのおかげか彼らの言いたいことが何となく分かるようになり、なんなら時折青紫の目のモスマンに勉強をみてもらうことがある。

 

先生曰く、青紫の目のモスマンはモスマン達の中でもかなり賢い個体らしく、偶に先生がいた場所にある大学とかから資料を引っ張り出して独学で勉強しだすほどに頭が良いらしい。

 

その頭の良さが影響しているのかは分からないが、彼の鱗粉には生物の成長を助ける効能……通称「祝福」があるらしい。

 

この祝福を求めてモスマンを崇めるカルト教団がいるほどには有名らしく、私にかけられた最大濃度の祝福……効果が永久的に持続する祝福の付与がされた時には、彼らが拉致してでも自分たちの教団で祀り上げようとするほどにはヤバい力らしい。

 

実際、過去に先生もこれをかけられた結果そのカルト教団に目をつけられて散々な目にあったらしい。

 

私もお風呂に入ってるときに襲撃されるのはすごくイヤだ。

 

しかも先生の場合は押しかけてきたのが女性ばかりだった為に相当身の危険を感じたらしい。

 

最終的に襲ってきた人達は一人残らず吊るし上げられたそうだが、それでも懲りないぐらいにはしつこかったのだそうだ。

 

……まぁ、先生の苦労話は一旦置いとこう。

 

そんな私だが、最近趣味の相棒ができた。

 

 

 

 

 

――ギィチチチチチチチチ

 

 

「ん、そっちの経路をよく通るんだね。じゃあここは……」

 

 

――ギィチチチチチ、チチチチチ

 

 

「……そう、そんな感じなんだね。じゃああとはこことここを……」

 

今、私と共に地図を前にペンで書き込みをしているのは黄色の目のモスマン。

 

先生曰く、この子のような黄色の目の子たちは人を追跡することを得意としているらしい。

 

それで、私の趣味……銀行強盗の下見を手伝ってもらってる。

 

「ん、だいたい形はできてきた。あとは……先生にも言われた逃走ルートの選定だね」

 

――ギィチチチチチ?

 

「ん……いや、先生には教えてない。言ったら多分止められちゃうから。……このことは秘密だよ?」

 

――チチチチチ。

 

私の念押しにモスマンは肯定するように鳴いた。

 

私の……私たちの銀行強盗はまだ始まったばかり。

 

私たちの青春の1ページはここからはじまる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日青紫のモスマンに計画がバレ、二人揃ってセイジと青紫のモスマンに説教されるとはこの時は思いもしていなかった。




いかがでしたか?
カルト狂信者はやはり邪悪…!
滅ぼす以外の選択肢はない!
それとなのですが、今回でメモロビ回は一区切りとなります
相当長く本筋から外れていましたが、まぁ諸々の補足とかも兼ねて相当長くやっちゃいましたね
次回から本筋の方へと流れを戻します
それでは、また次の話をお楽しみに


追記:なんか一人足りなくないかって?
仕方ないんや……まだフラグが立ってないんや……
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