アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
さて、ここまで散々に展開が原作崩壊してきましたが、今回は極めつけの物となります。
まぁでも仕方ないですよね。
そ も そ も 先 生 が 二 人 な の が お か し い で す か ら
そんな訳で、本編をどうぞ


五十五話:ゲヘナ①

バラバラとローター音が響くアビドス砂漠の上空。

 

どこまでもまっさらな雲一つない青空の中、アビドスの校章が描かれたベルチバードが単独で飛行していた。

 

「……よし、進路はそのまま。

だいぶ操縦に慣れてきたみたいだな」

 

「はい!」

 

操縦席にはセイジとアヤネの姿があり、主にメインパイロットとしてアヤネが操縦してその横でセイジが指示を出しながら操縦を教えていた。

 

例えるのであれば自動車の実車教習、それのベルチバード版であった。

 

「……うへぇ……zzz」

 

「……どうすればいいのかしらこの状況?」

 

一方その後ろの搭乗員席では、ホシノがアルの膝の上に頭を置いて昼寝をしていた。

 

いつの間にか膝を枕にされてしまっていたアルは困惑しており、起こそうにも幸せそうに寝ている彼女を起こすのは気が引けてしまっていた。

 

なお、後日ホシノが「ノノミちゃんと違ってかなり張りがあるけど、ほどよい固さで寝やすかった」と感想を述べていたのはまた別の話。

 

さて、その件に関しては一旦横に置いとくとして…… 

 

現在セイジ達はゲヘナ学園方面へと向かっている。

 

より詳細に言うのであれば、ゲヘナ自治区内へと展開されているリコンストラクション•ウェイストランド社資本の新規飲食業店へと会食という体での交渉に赴いているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り前日の夜……

 

セイジの部屋にて、ホシノとアルはセイジの呼び出しを受けていた。

 

「……さて、呼び出した件について単刀直入に言おう」

 

二人が部屋に入ってくるや否や、セイジはそう話を切りだした。

 

「陸八魔……お前は確か不登校と校則違反でゲヘナ学園内で指名手配を受けていたな?」

 

「えっ!?え、えぇまぁ……そうだけど……」

 

突然の指摘に対し、アルは動揺しながらもハッキリとそれに答えた。

 

「お前とは契約を結んだ仲ではあるが、それはそれとして俺は教師としてお前のその問題に対処をする必要がある」

 

「えぇぇっ!?」

 

思わぬセイジからの宣告に対し、アルは仰天したかのようにいつものポーカーフェイスを崩して白目を剥いていた。

 

対処をする……それはつまり、強制的にでも登校させられて最悪の場合校則違反の元凶である便利屋を解散させるということなのだ。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そんな急に……」

 

「陸八魔」

 

抗議しようとするアルに対し、セイジは威圧の籠もった声色でそれを遮った。

 

「……確かに俺としては便利屋の解散は都合が悪いが、かと言ってこのまま札付きの輩を一企業として公に支援するわけにもいかん。

一応キヴォトス全域ではそうでもないが、それでもお前の母校のゲヘナ学園との関係性に面倒な溝ができるのは可能な限り避けたい」

 

「うっ……」

 

アルはセイジが言わんとしていることも分かる。

 

確かに半強制的とはいえども、こちらに利益のある契約を結んでもらった相手だ。

 

このままだとビジネスパートナーの顔に泥を塗らせることになるのも理解できていた。

 

だが……

 

「で、でも……!!私は……!!」

 

「最高のアウトローになる……だったな」

 

アルが自分の考えを主張しようとしたその時、それに被せるようにセイジの声が遮ってきた。

 

「別にお前の夢を否定したいわけじゃない。

だがな、陸八魔……」

 

セイジはそこで一呼吸を置き、アルの瞳を覗きながらそれを問いかけた。

 

 

「お前のその夢は、学生の本分を放棄しないと叶えられないほどに最底辺のものなのか?」

 

 

「ッ……!?」

 

セイジのその言葉に対し、アルは目を見開いて体を硬直させた。

 

「確かに、アウトローというのは無法者……法や規則に縛られることなく自由に生きようとする、平たく言うなら自由主義的な側面の強い人間たちだ」

 

「だがな……それは学ぶべきを学ばずに好き勝手していいという免罪符にはならん」

 

「な……ぁッ……!?」

 

わなわなと口元を震わせ、アルは驚愕と怒りでぐちゃぐちゃになった顔でセイジを見ていた。

 

「言っておくが、俺の知る限りでもただの荒くれ者よりしっかりとした教育を受けた元エリートのほうが無法者共のトップとして慕われていたし、そいつ以外はまともに統率が取れていたかも怪しいもんだったぞ」

 

「………」

 

「確かにお前は現時点でもしっかりとクセの強い社員たちを率いることができるぐらいにはカリスマ性もある。

だが、それだけではお前の言う最高のアウトローとやらには近づけん」

 

「…………」

 

アルはセイジの言葉に怒りもありはしたが……それ以上に、言い返そうにもそれができずに歯痒くなることしかできなかった。

 

真っ向から否定したいのに、セイジのその言葉に何も言い返す言葉が思い浮かばない。

 

理解したくないのに理解できてしまうし、納得したくないのに納得ができてしまう。

 

心の何処かで、無意識下であってもアル自身も気づいてはいたのだ。

 

今のままでは、自身の目指したいアウトローへとなることは困難としか言えないのであると。

 

「だからこそ、お前にはその夢のためにもゲヘナ学園に復学してもらう必要がある」

 

「ぐっ………うぅ……!!」

 

現在この場において、アルはセイジのその提案に反発することは難しかった。

 

「もちろん、ただ復学させるだけでは指名手配をしている風紀委員にとっ捕まってお前たちの便利屋が取り潰しにされる可能性も高い」

 

「……だからこそ、だ。

俺と身柄を一時的に預かっているアビドスが間に挟まったうえで、あちらに交渉をして指名手配の取り消しと便利屋の合法化をする」

 

「あっ、それでおじさんも呼んだんだねぇ〜」

 

そこでやっと話の中に入れたからか、先ほどまで蚊帳の外だったホシノは反応していた。

 

「う〜ん……でもさぁ?

なんでアビドスまで巻き込んでまで便利屋の子達を助けるのかな?

別に先生の権力があれば上手いことその辺捻じ曲げられるんじゃないの?」

 

「愚問だな小鳥遊。

権力っていうのは何でもできる便利アイテムでもなければ、たかが一人間が振るうだけで世界が変えられるほどの影響を生み出すというものでもない」

 

ホシノの疑問に対し、セイジはバッサリと切り捨てるように言葉を返していた。

 

「少なくとも、現時点では便利屋の立場はアビドス高校で身柄を拘束された元襲撃者の一派。

つまる所、事実がどうあれこいつらについての処遇を決める権利そのものはアビドスにあるわけだ」

 

「まぁゲヘナとしては他校の領分で問題を起こした以上、身柄を引き取って自分たちで処罰することでこちらへのケジメとしたいはずだ」

 

「……なるほどね〜。何となく話が分かってきたよ」

 

ホシノは何かに合点がいったかのように手のひらをポンと叩いていた。

 

「つまり、先生はこのケジメの付け方のところで上手いこと介入して便利屋の子達を助けつつ復学させたいわけなんだね?」

 

「まぁそういうことだ。

それに、ケジメの付け方についてもアビドスの方での奉仕活動という名目で当面は通すことも可能だ。」

 

「……まぁ、確かに人手があるに越したことはないだろうけどさぁ」

 

セイジの肯定とその返しに対し、ホシノは微妙な表情をしつつも完全な否定はできなかった。

 

実際問題今のアビドスを取り巻く状況を鑑みれば、彼女が守りたいものを全て守るには多少なりとも手段は選んでいられないところまで来ている。

 

本当なら自力でどうにかしたいが、カイザーの件やその他諸々を考えるとそれは現実的に考えてもかなり厳しい。

 

迂闊に外様のセイジ達大人や他学園の生徒に力を借りたくはないと思うが、そんなわがままを通すには彼女のこのアビドスで守りたいものが多すぎた。

 

信頼は未だできないが、一応相互に利用し合える程度には信用はできている。

 

ならば、彼女としてはその提案を蹴る必要性は特に感じられなかった。

 

「……さて、ここまで話して改めて聞くが陸八魔?」

 

「…………ッ!!」

 

改めて問いかけられるとともに、アルへと突き刺さるセイジのいつ何時も変わることのない冷たい視線。

 

アルは姿勢を正し、セイジの目を見つめ返す。

 

「お前には二つの道がある。

一つはここでの話を飲んで復学しつつ、アウトローの道を模索していく道

もう一つは、この話を蹴って何もかもをおじゃんにしてでも現状を維持する道」

 

「進んで未来を手に入れるか、それとも今に胡座をかいて停滞するか……

お前は何を選ぶ?」

 

「………………私は」

 

アルは深く俯き、頭の中で様々なことを脳によぎらせた。

 

アウトローに憧れる前、優等生でありながらも何処か周りに馴染めなかった自分。

 

憧れを抱き、今までの自分を捨てて新たな道を進もうと決意した自分。

 

そして、そんな自分についてきてくれた大切な社員……大切な仲間たち。

 

……もう、彼女は迷うことができなかった。

 

 

 

「私は………どんな道でも進んで未来を手に入れたい」

 

 

 

その答えがアルの口から紡がれたその時、セイジの顔に笑みが浮かんでいた。

 

「あぁ、良い目になったな。

覚悟の決まった、実にいい目だ」

 

この時、ホシノはセイジの顔を見て酷く驚いた。

 

いつも鋼鉄製なのかと思わんばかりに動かないセイジの表情。

 

今この時の一瞬だけだが……

 

その顔には何処か穏やかな雰囲気の優しさが混じっていたのだった。




いかがでしたか?
さてはてこの先どうなることやら……
ただあえて言うのであれば……
バタフライエフェクトって、残酷にも発生するんだなぁって……
というわけで、また次の話をお楽しみに
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