アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
さて、ここからが本格的な原作崩壊からのオリジナルシナリオです。
ある程度原作の流れを踏襲はしますが、それはそれとしてまた違った結果を辿る世界線となっております。
因みに今回の内容ではまだ描写しきれていない部分を語りますが、それについては次回をお待ちいただければと…
それでは、本編をどうぞ


五十六話:ゲヘナ②

「そろそろ到着だ。

陸八魔、小鳥遊を起こせ」

 

降下し始めたベルチバード機内でアルが舟をこぎ始めていたところ、セイジの一声で叩き起こされた。

 

ホシノの体をゆすって起こしていると、ガクンと少しだけ揺れてローター音が収まりだした。

 

どうやら遂に着いてしまったらしい。

 

アルは身を震わせるも気を引き締めなおし、ベルチバードのドアを開いた。

 

開いた先に見えるのは懐かしい母校の風景……破壊と暴力にまみれ、遠くから爆発音や銃撃音が響くゲヘナ学区。

 

そして……

 

「キヒヒ、待っていたぞ」

 

「……さっさと終わらせたいわ」

 

そこに待ち受けていたゲヘナ側の代表達。

 

 

ゲヘナ学園生徒会万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)議長「羽沼マコト」

 

 

ゲヘナ学園風紀委員会委員長「空崎ヒナ」

 

 

突き刺すように向けられた視線に対し、アルは堂々と胸を張りつつも内心ガタガタと震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の店内の空気はあまりにも重苦しかった。

 

貸し切りで他に人はいないものの、もしいたのであれば即代金を支払って退店していただろう。

 

店の奥にある大人数用の宴会席。

 

片方にはセイジやホシノとアヤネ、そしてアルの四人が。

 

片方にはゲヘナの代表であるマコトやヒナに加え、万魔殿所属の情報部長「京極サツキ」と風紀委員会行政官「天雨アコ」の四人が着席していた。

 

 

 

「……さて、会食と行く前に早速本題に入らせてもらおう。」

 

席に全員が着いて間もなく、セイジはそう切り出しながら手元の資料をゲヘナ側へと配った。

 

「数日前、とあるクライアントに依頼されたらしい便利屋68がアビドス高校を襲撃した」

 

「幸いにもそこまで被害もなくこうして身柄を拘束したが、現在アビドス高校は連邦捜査部シャーレの支援を受けている」

 

「クライアント云々についてはこちらで解決しているが、問題はこいつらの扱いに関して少々問題があった」

 

「そこで今回、この場を設けてこいつらの所属校であった貴校ゲヘナ学園へと接触を図らせてもらった。

……ここまでは認識に齟齬はないと見ていいか?」

 

「キヒヒ、あぁもちろんだとも。

先生については噂には聞いていたが、中々に面白い提案までしてくれると思ったな」

 

「…………。」

 

セイジの問いにマコトは相変わらずの態度で答え、その一方でヒナは顔をしかめながら資料に目を通していた。

 

「……しかし、それならばなぜ風紀委員まで呼んだ?

このような交渉は我々万魔殿の管轄。

こいつら風紀委員会には関わりのないことだろう?」

 

「なっ……!?貴女、それはどういうつもりで…!!」

 

マコトのその問いにアコがキレながら立ち上がろうとする。

 

が、すぐにヒナによって抑えられた。

 

「アコ、おとなしくしてて。

まだ先生からの答えを聞いてない」

 

「………ッ!!申し訳ございませんでした」

 

その様子を不敵な笑みで見ているマコトに視線を向けつつ、セイジは重苦しく口を開いた。

 

「……端的に言わせてもらおう。

確かに交渉するだけなら万魔殿だけでもいい。

………だが、こいつら便利屋68の指名手配をしている風紀委員会にも確実に話を通させてもらおうと思った次第だ」

 

「それこそ分からん。

我々的には別にそいつらが勝手に起業していようと知ったことではない!

指名手配についてもあくまで風紀委員会が勝手にやっていることだろう?」

 

「は、はぁぁッ!?」

 

これまたマコトの発言に対してアコがキレるが、再びヒナに抑えられる。

 

「……確かに、指名手配自体は私達風紀委員会の管轄よ。

でも、その手配の基準になる校則を作っているのは貴女たちでしょ?」

 

「ふん、そのようなこと知ったことか!」

 

会話として成り立っているかも怪しいマコトとヒナのやり取りに対し、セイジはその様子を確認して何かを思うような仕草を見せた。

 

「その「勝手にやっている」という認識でそちらが対応しているからこそ………とでも言い換えればいいか?」

 

「………何が言いたい?」

 

突然のセイジの言葉に、マコトは先ほどまでの笑みを消して真剣な面持ちで彼を見る。

 

「そちらの情報はあらかじめ調べさせてもらったが………

万魔殿と風紀委員会は相当仲が悪いのだろう?」

 

「………それは否定できないわね」

 

なんとも言えない表情でそう呟いたのはサツキ。

 

なまじ自身もあまり風紀委員会に対して良い印象を持ててない以上、彼の言葉に異を唱えることはできなかった。

 

「俺たちとしては便利屋が逮捕されて解散されるのは非常に困る。

だが、片方だけに交渉を持ちかけたところでもう片方が障害になってしまう……

だからこそここに両陣営共に参加してもらい、意見をすり合わせつつ交渉させてもらおうと思った次第だ」

 

「……まぁ、筋が通ってはいるわね。

確かに万魔殿だけだと連絡の不行きで行き違いを起こしかねないもの」

 

「なんだと!?」

 

今度はマコトがキレてヒナに突っかかろうとしたが、彼女もまたサツキによって止められていた

 

「……まぁ、お前たちの確執については後回しだ。

理解ができたのなら話を進めさせてもらうぞ」

 

一つ咳払いをし、改めてセイジはゲヘナ側の生徒たちへと視線を向けながら口を開く。

 

「まず、アビドス高校からは便利屋68の処遇についてはこちらでの奉仕活動という形で精算させることが一つ。

次に、シャーレからは便利屋68の指名手配の解除と部分的な復学を提案することが一つ。

以上がこちらからの要求する提案となる」

 

「続いてこちらから提示するゲヘナ側への今件の交渉における対価だが……

まず、今回の便利屋の処遇についての対価としてアビドス高校との友好条約の締結。

その次にシャーレからの要求への対価として、現在連邦生徒会および連邦捜査部シャーレとのみ契約をしている「リコンストラクション•ウェイストランド社」からの軍需物資や兵器類の供与や契約について、万魔殿および風紀委員会へとその権利を付与する。

……以上がこちらから提案する内容だ」

 

「……言うことに欠いて、ずいぶんとふざけたことを言いますね!!」

 

セイジが語ったその提案。

 

すべて言い切られるとともに、ゲヘナ側……先ほどまでおとなしくしていろと言われていたアコが立ち上がって噛みつき始めた。

 

「弱小校との友好条約?

得体も知れない企業の兵器の横流し?

そんなものでそこの便利屋達の指名手配を帳消しにできるわけがないでしょう!」

 

高速でまくしたてられるセイジへの否定の言葉。

 

だが、ある意味では彼女の言うとおりである。

 

アビドスは精鋭揃いの歴史と実力のある学校ではあるが……

 

現在の強豪校の一角であり、アビドスの何百倍もの生徒と戦力を抱えているゲヘナと"対等な関係で"友好条約を結ぶというのはあまりにも不釣り合い。

 

しかも、兵器を流すという企業は最近起こされたばかりなうえに目の前の男が代表である。

 

絶対に利権が大いに絡んでいるだろうに、なぜそのような一方的にも思える要求を通せると思えているのかが不思議でならなかった。

 

さらに言うのであれば、よりにもよって便利屋68という校則違反の上で成り立っている非合法な組織を見逃して合法な組織として認めろと要求。

 

横暴と言うにはあまりにも酷いソレに対し、ただでさえ沸点が低いアコは堪忍袋が千切れんばかりとなっていた。

 

「委員長!こんな男の話なんて聞いていても無駄です!

今すぐにでもそこの便利屋を捕らえて………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アコ?静かにしてて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ゾワリッ

 

アコの背中に一筋の冷たい汗が流れる。

 

それもそうだろう。

 

自身が敬愛する委員長が異常なほどに怒気を放っている。

 

アコにはそれがどういう理由でなのかが理解できなかった。

 

「………セイジ先生。

取り乱して申し訳ないけど、一つ聞きたいことがある」

 

「ふむ、なんだ?」

 

未だに怒気の収まらないヒナからの視線に対し、セイジは涼しい声で答えた。

 

そんな彼に対し、ヒナは一言だけ質問をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は………どこで雷帝の遺産を知ったの?」




いかがでしたか?
なんでセイジがかの厄ネタの存在を知り、どうしてこの場の話題で出てくるのか?
それは次回までのお楽しみでございます
というわけで、また次の話をお楽しみに。
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