「“ユウカ、いったん下がって!!スズミは閃光手榴弾を不良の子たちの真ん中に投擲!!”」
「イッタぁ…ちょっと下がるわね。」
「わかりました。……そこ!!」
俺が後方に下がり、○○先生の指揮のもと生徒たちが戦闘を進めていく。
やはりというべきか、彼女たちは銃弾の一発や二発では沈まないこともあって飛んでくる弾に対して少々無防備気味な戦い方をしていた。
服装についてもそうだが、この中で最も戦いの場から遠い位置にいるのだろう早瀬に至っては遮蔽物に隠れることなく堂々と身を乗り出して発砲している。
持ち前の胆力でかなりこらえて見せてはいるし、それによってほかのメンバーに弾が飛んでいかないこともあってデコイ…いや、タンクとしての役割ではよい仕事をしている。
だが、いくら何でも死なないからと銃弾に当たることに危機感を覚える様子がないのはあまりよろしくない。
かろうじて二分経つか否かというところで状況は終了したが、これがキヴォトス流の戦いというのならあまりにも幼稚かつ杜撰な戦い方である。
…まあ、命の取り合いが常なあちらと比べること自体がおこがましいのかもしれないが。
『先生、先ほどこの騒ぎを巻き起こした生徒を特定しました。』
七神の突然の通信に、俺たちはいったん足を止めた。
「そうか。報告を頼む。」
『狐坂ワカモ。百鬼夜行連合学院を停学になった後、矯正局に収監されていました。』
『…ですが、今回の脱獄騒動でほかの七囚人と呼ばれる生徒たちと共に脱獄。その後の足取りはつかめていませんでした。』
「……ずいぶんと厄介そうな肩書のついた奴だな。この騒動はその収監に対しての報復……といったところか?」
『それはわかりませんが、記録によると彼女は破壊衝動のようなものを抱えているそうです。おそらくは今回もそれに突き動かされての行動でしょう。』
「はぁ……面倒だな。」
破壊衝動に飲まれて行動する奴は碌なのがいない。
何もかもを巻き込んで破滅するゆえに、その後の収拾をつけるのが面倒なのだ。
「特徴は何かわかるか?」
『ワカモは厄災の狐とも呼ばれており、その由来となってるのは彼女の耳と身に着けている狐の面からとのことです。』
「……なるほど。どうやらそいつはこっちに気づいたらしいな。」
七神から特徴を聞いた矢先、俺たちからかなり離れた位置からこちらを睥睨する人影。
詳細は遠すぎてわからないが、顔の辺りに白い被り物のようなものをつけている。
『……ッ!!確認しました。彼女がワカモです!!』
「大当たりか。奴までの距離にいる敵勢力はわかるか?」
『少々お待ちを……ッ!?先生、下がってください!!』
そんな彼女の声が飛んでくると同時に、俺たちの前の道路が吹き飛んだ。
「……!!全員、車両の後ろに退避!!」
すぐに俺は指示を出し、隠れた放置車両の後ろから双眼鏡を使って前方を確認する。
「……そういえば不正なルートの兵器があるとか言ってたが、まさかここでその一部を目にすることになるとはな。」
前方から迫ってきていたのは数台の戦車であった。
先頭の車両の砲塔からは微かに煙が漂っており、先ほどの砲撃はこの戦車からの物だと推測できる。
「あれは……巡行戦車クルセイダーⅠ型です!!」
『…旧式ではありますが、元はトリニティ総合学園に制式採用されていたものです。』
「…ずいぶんとこの兵器を流した奴らは羽振りが良いみたいだな。」
まさかの制式採用されていた非正規品である。
行政機関の兵器の管理体制も、ずいぶんと杜撰らしい。
「カタログスペックはどれくらいだ?」
「…そうですね、確か――」
…なるほど、その程度の厚さなら何とかなる。
「総員、傾注!!…アレは俺が仕留める。」
「守月、俺が合図を出したら持ってるだけ閃光弾を奴らのほうに投げ込め。他の者はそれぞれ散開して牽制射撃。○○はこいつらを後方から指揮してサポートだ。」
『せ、先生!?いくら何でも無茶です!!ここは生徒たちに…』
「そうよ!!いくら何でも、戦車相手は……」
「さすがに俺も何もなしに兵器とはやり合わん。それに、今ここにいるメンバーでは羽川以外対装甲用の弾を持ってないだろうが。」
「羽川も、可能な限り戦車を破壊しろ。だがお前はあくまでスナイパーだ。俺が破壊しそこなった奴を中心に確実につぶせ。」
「わ、分かりました。…ですが、どうやってあの数の戦車を…?」
「簡単な話だ。」
そういいながら俺はPip-Boyから二つの兵器を取り出す。
「“せ、セイジさん!!それは…!?”」
「奴らの戦車の構造的に、あまり対空射撃はできないらしいからな。」
「…状況開始だ!!」
俺はそう宣言すると同時に、背中に取り付けたそれを点火した。
いかがでしたか?
どうやら、原作以上の数の戦車が不良に流れていらっしゃるようで……。
まったく、どこの悪徳企業がそんなに流したんですかね()
次の作品をお楽しみに