職場で先輩に「サッカーやろうぜー」という定番の振りを出されたため、返しとして「お前の頭がボールなー」と言ってみた結果、何故かドン引きされてしまった今日この頃です。
もしかしてこれ、定番の返しじゃないんですか?
少なくとも私はこれが正解と聞いていたのですが……
それはそうと、本日は二本立て!
タイトルでお察しの方もいるかと思いますが、"ヤツ"が出ます。
ついでに、今回の話から76だけではなくFalloutシリーズ全体からも様々な要素を出していきます。
そんなわけで早速、一本目の本編をどうぞ!
追記:あとがきはオマケのお話になってます
ある日のシャーレビル。
とある部屋にて○○先生は鼻歌交じりに"あるモノ"を操作していた。
そこは、ビルの地下に存在する特殊な部屋……
連邦生徒会長が残したオーパーツの一つ「クラフトチェンバー」が鎮座する場所であった。
「"ふ〜ふ、ふふふふん♪ふふふ、ふ〜んふん♪"」
彼が上機嫌で作業しているもの。
それは、クラフトチェンバーの起動準備であった。
クラフトチェンバーはキーストーンと呼ばれる謎の物質を用いることでランダムな物品を生み出す装置であり、募集という名のガチャシステムが存在していないこの世界における先生のお楽しみなのである。
基本的に生徒に関わるものが生成されるのだが、稀に副産物でお酒やレアなプラモデルといった先生用の嗜好品が生成されることがある。
確率はまぁ………ピックアップ外の未加入星三生徒の募集確率並みに低いのだが。
それでも夢をあきらめないのが先生であり、今日も今日とて色々と必死に頑張って貯めたキーストーンをたっぷりと使用してクラフトチェンバーを起動させようとしていた。
「"ふん♪ふん♪ふ〜ふ、ふふん♪"」
ガラガラと音を立ててクラフトチェンバーの受け入れ口にキーストーンが入れられていく。
その時………一瞬だが、キーストーンではないナニカが紛れて中に入ってしまった。
「ふふふ、ふ〜ふん♪ふ〜ふ〜ふ〜ん♪」
ちょうど鼻歌が終わったその直後、クラフトチェンバーが光を放ちつつ起動した。
先生は視覚保護用のゴーグルをかけつつ、今か今かと「ジェネレート」の瞬間を待っていた。
光が一気に強く放たれ………たその時であった。
「………グルォォォ………」
「"………うん?なんか声みたいなのが………?"」
先生は何かの唸り声のようなものを聞き取った。
ごく低音かつ音があまりにも小さいが……
しかし、先生がそれに気づいた直後に光が収まりだした。
「"………っと、そんなことよりも今日の結果だ!
さてさて、今日出てきたのは………"」
声のことなどすっかり忘れ、彼は製造でジェネレートされたものを確認しに向かった。
高級そうなソファー、数枚程のアビドスの校章が描かれたBD、見ていると何故かハルカの顔が思い浮かぶピンク色の結晶………
そして…………すごく大きな何かの卵が複数個。
「"…………んんん????"」
先生は最後に現れた物………嗜好品の枠で出てきた謎の卵たちを見て首を捻った。
「"えっ………卵?しかもデカくない?"」
○○先生は頭にハテナマークを無数に浮かべつつ、卵の一つを手に取った。
………ほのかに暖かい。
何かが中で動いてるかのような微かな振動がする。
「"………えっ……?もしかしてこの卵……赤ちゃんが入ってるの!?"」
先生は慌てた。
シャーレのビルはペット可だったか?とかどこで飼うべきか?とか、そもそもコレなんの卵だ?とか………
慌てるあまり、彼はソレがクラフトチェンバーによって生み出されたものであることを忘れてまずはこの子たちの親を見つけないとと変な焦りを浮かべたりもしていた。
………だが、いくら慌てたところで時間は待ってくれなかった。
――ピシリッ
唐突に、何か硬いものにヒビが入ったような音がした。
ハッとして先生が手元に視線を落とすと、卵の振動が強くなってヒビが入りだした。
――産まれる
その事実に更にパニックになりかけたが、すぐに平静を保って今にも孵化しようとするその卵を応援し始めた。
「"が、頑張って!もう少し……!もう少しだよ!"」
――ガタガタガタ………パリッ、パキャリッ!
ソレが通じたのかどうかは定かではないが、彼の声かけに呼応するかのように卵の中身が勢いよく解放された
「キュウッ!」
「"………………へっ?"」
先生が持つ卵から飛び出して元気に鳴き声を上げた生物………
どこか爬虫類のような雰囲気を持つ「二足で起立している」その生命に対し、先生は目を点にして呆けていた。
「「「「「キュウアァァッ!」」」」」
「うへぇ〜………この子たち可愛いねぇ。」
「ちょッ、ホシノ先輩!?私に近づけないで!?」
「ん、セリカは臆病。こんなに小さくて可愛いのに……」
「い、委員長!?へ、へへへ平気なのですか!?」
「チナツ、ちょっと怖がりすぎじゃないかしら…?
もしかして爬虫類苦手なの?」
「むしろ好きな人が居ると………「キュアッ!」きゃぁぁぁぁぁッ!?」
「……あ、あの……」
「「zzz……」」
「ありゃりゃ……すっかり寝ちゃってるっすねぇ〜」
「なんと言いますか……ハスミ先輩を枕とかクッションとかではなく母親だと思ってるんじゃないでしょうか?」
「おおお、餌を食べてくれました!」
「キュル〜♪」
「……完全に人に懐いてますね。
一体、何の幼体なのでしょうか?」
「うっ……見た目はトカゲとかに似てるのに……」
「キュル?」
「あら?この子、もしかして女の子でしょうか?」
「え、なんでわかったのノア?」
「ふふ、なんとなくですよ」
「"……すっかり馴染んじゃったなぁ"」
「キュルルッ♪」
ここはシャーレビル内にある多目的施設、通称「シャーレカフェ」
本来であれば生徒たちの憩いの場となるこの施設は現在、謎の爬虫類の幼体たちによって占領されていた。
この幼体たちはすべて○○先生がクラフトチェンバーで生成してしまった卵から産まれた個体達であり、さすがに地下に閉じ込めっぱなしだと色々と問題が起こりそうだったために急遽カフェを彼らの一時的な居場所として与えたのだ。
かなり知能が高い生物なのか、興味を持ったからと迂闊に触って壊すなどということもなく手に取って拾ったものを眺めたり、今はこの通りカフェにやってきた生徒達とじゃれ合う姿まで見せている。
とりあえず生徒の伝手を使って彼らの住居を用意し始めており、今はどういった設計にするかで建設担当の生徒達とデザイナー担当の生徒たちが揉めている段階なのだそうだ。
それもこれも彼らがどういった生物で、成長するとどうなるのかがわからないゆえの混乱ともいえるのだが……。
というわけで、先生を始めとして複数人でこの爬虫類達の情報をこうやって触れ合いながら集めている。
惜しむらくはセイジについては現在強制入院中であり、彼の助力を請えそうにないということだ。
だがまぁ……
「"……せっかくだし、写真の一枚でも送ってあげよう"」
軽いお見舞い感覚で先生は膝で眠る個体や生徒達と遊んでいる個体達の写真を撮り、彼のモモトークへとすべての写真を送信した。
……その選択が正しかったことを実感するのは、それからまもなくであった。
しばらく謎の爬虫類たちと遊んでいると、不意にスマホから着信音が響いた。
先生がすぐに確認してみると、セイジからの例の秘匿回線での通信要請だった。
先生はすぐにシッテムの箱を手に取り、専用のマイクとイヤホンを接続してアロナへと通信の接続を頼んだ。
そして、間を置くこともなくイヤホンから聞こえてきたのは……
『貴様ぁぁッ!!どこからデスクローの子供を攫ってきやがった、この馬鹿者ぉぉぉぉッッ!!!!!
イヤホンごと鼓膜を壊さんとする、セイジの怒号であった。
――先生説明中――
『クラフトチェンバーだと……?どういうことだ?』
現在、なんとかセイジへと諸々の説明をすることで彼の落ち着きを取り戻すことができた。
彼はクラフトチェンバーから卵が出現したことを聞き、通信越しでも分かりやすいぐらいに動揺……というより困惑していた。
「"いや、私に聞かれても困るよ……。というか、セイジさんはこの子たちを知ってるの?"」
『知ってるも何も……そいつらはウェイストランドのアボミネーションだぞ?』
「"……え?"」
セイジからの返答に、先生の脳から体まで全身が凍りついた。
アボミネーション
それは、英語で「冒涜的なもの」や「忌み嫌われるもの」を現す単語であるのと同時に……
ウェイストランドにおいて、放射線等の様々な要因によって変異した怪物達を現す言葉でもあった。
「"えっ……嘘でしょ……!?こんな可愛い子たちが!?"」
『そいつらはデスクローという生物でな。
元々は俺たちの世界のアメリカが戦闘用としてカメレオンをベースに改造した生物兵器なんだが………アメリカが滅んだ後は野生化して、あっちでは大体の地域に生息域を持っている厄介な獣だ』
「"………へっ!?せ、せせせ生物兵器!?"」
セイジから告げられたその正体………すやすやと安らかに膝の上で寝ているデスクロー•ベビーに対して、先生はガタガタと動揺で震える手で撫で始める。
『コイツらの成体は腕と鉤爪がかなり発達した構造になっていてな………
まぁこっちのもので分かりやすく例えるなら、戦車を軽く引っ掻くだけで装甲が紙切れみたいに破けるな』
「"………マジですか?"」
『マジも大マジだ。
だからこうして今連絡を取ったんだぞ』
先生は開いた口が塞がらなかった。
確かにどんな生物でも赤ん坊のときは可愛いとはいえ……
さすがにそれがそんなトンデモ生物に変わり果てるなど、とてもじゃないが想像できなかった。
「"……じゃあ、セイジさん。この子たちは"」
『本来なら殺処分と言いたいところだが……状況を聞いた範囲でならその必要はないかもしれん』
先生の問いに対し、セイジは彼の予想半分の答えを返してきた。
「"……!ど、どうすればいいの!?この子達は処分しなくて済むには、私は何をすればいいんだい!?"」
『落ち着け○○。
とりあえず、そこにいるやつ……空崎辺りに俺の下まで来るように伝えろ。
そいつらの生態だとか飼育方法だとかを記録した資料をそっちに運ばせる』
「"分かった!ちょっと待ってて……
ヒナ!突然で悪いけど、セイジさんのところに資料を取りに行ってくれないかい!!"」
そこからの展開は目まぐるしい程に早かった。
ヒナがセイジから受け取ってきたその資料を元に、彼らの居住区画や飼育計画、そしてシャーレでの戦力としての運用方法の模索などが行われた。
最初資料を読んだ生徒たちの一部は殺処分の声を上げていたが、そのうち飼育派による半ば洗脳じみた説得と言う名の圧力によっていつの間にか消え去っていた。
それから数日が経ち、その頃には仕事の早すぎる建築系の部活や一部のデスクロー愛護派の活動によってデスクロー達の住処がシャーレビルに併設するように建設された。
形状はコロッセオを元にしつつ居住性を高めており、デスクロー達が快適に暮らせるよう空調をAIで常時管理。
施設中央は複数のエリアに分けて様々な環境を用意し、時折狩りを学ばせるためにウサギやモルモットのような小動物を適宜放っている。
セイジから渡された資料……彼のかつての仲間が記した観察日誌や生態記録等によると、デスクローの成長はかなり早いらしい。
大体生後一ヶ月になる頃には人間で言う15歳程度の成長具合になるらしく、そんなに可愛い期間が短いのかと生徒達は嘆き悲しんだ。
しかしそれもつかの間、デスクローたちの中に一匹だけクイーンとなる雌個体が混ざっていることが発覚した。
卵を産めるまでは少しかかるらしいが、またベビーを見る機会があると知った一部生徒たちの喜びようは、それはもうすさまじいものだったという。
……後日、このデスクローたちが言語を話せるようになったり、ヘイローのような紋章が身体に浮かんで神秘を宿していると発覚するのは、また後々の別の話である
――成功だ。
――卵は皆、無事に逃がすことができたらしい。
――我が子たちも、まるで自分のことのように喜んでいる。
――まさか、土壇場であの人間からの貢ぎ物が卵たちを救ってくれるとは思っても見なかった。
――貢ぎ物は既に形を留めず砕け散ってしまったが、それはまるで成し遂げたかのように誇りのある姿であった。
――……どうやら、奴らが来たらしい。
――我が子の首が入り口から転がり込み、別の我が子の足元へと転がった。
――そして、入り口から入ってきたのは人間と思われる者。
――その身には我が子「ゴリス」やその友たる人間が語っていた「パワーアーマー」なるものを身に着けており、何かの塊らしい道具をこちらに向けている。
――……さぁ、せめてもの抵抗だ。
――我が子になるはずだった卵たちにこの勇姿を見せることが叶わないのが残念だが、せめて死す時は誇り高く戦い死のう。
「グルオオォォォオオォォォッッッ!!!!」
キュイイイ……バララララララララララッ!
――名も知らぬ者よ。
――どうか……我が子達をよろしく頼もう