アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
ここ最近PS版の方でトリガーになって空を飛んでた今日この頃です。
トム猫とサンダーボルトしか乗ってませんけど、基本的にあの2機だけでもストーリーも対人も行けちゃうんですよねぇ。
そんなことはさておき、本日もまた二本立てです。
意外と書けるもんだなぁとは思いつつ、メモロビ回の設定を煮詰めるのが中々大変でしたわ……
実は今書いてるこのメモロビ回自体無計画からのスタートであり、前回のようにどこまでのキャラを出すのかとかは実は決めてなかったりするんですよねぇ……。
いや、ほんと……止め時どうしよ?
まぁそんなことはさておき本編をどうぞ


六十五話:メモロビ⑩ 天雨アコ

ある日のゲヘナ風紀委員会本部。

 

委員長であるヒナが出張中の中、アコは一人で事務作業を黙々とこなしていた。

 

本来であれば風紀委員達をヒナに代わって指揮したりすることもあるのだが……

 

今回については、その仕事をある人物に半ば奪われたような状況であった。

 

それ故にか彼女の手には余計な力が加わっており、それなりに上等そうなペンからはギシギシと悲鳴が聞こえていた。

 

「…………………。」

 

無言で、だが明らかに不機嫌さを隠せない態度で書類を片付けていくアコ。

 

そんな彼女のいる執務室の扉が開かれ、彼女の怒りの元凶が入ってきた。

 

「……天雨行政官、温泉開発部の鎮圧が完了した。

報告書についてだが………」

 

「……そこに書類が置いてあるので、それで制作してください」

 

「了解した」

 

入ってきて早々セイジはアコへと話しかけるものの、事務的なやり取りをするだけしてすぐに書類作成に取り掛かった。

 

部屋にはペンの走る音が二つだけであり、そこに会話などという物はなかった。

 

が、しばらくすると片方がストレスのあまりに爆発した。

 

「あぁぁッッ、もうッ!!なんでよりにもよって貴方がヒナ委員長の代役をしているんですか!!」

 

「………空崎から説明されただろう?

アイツの業務内容を俺が改めた結果、現状の過重労働を減らすために後進の育成を兼ねてしばらくは俺が代役として指導に入ると言う話のはずだが?」

 

「えぇ、もちろん知ってますよそんな事!

確かに委員長のご負担を減らせることについては文句はありません!

ですが……」

 

そこで一言区切り、心からの叫びをアコは吠えた。

 

 

 

「だからと言って、部外者の貴方が風紀委員を率いるのは納得出来ません!!」

 

 

 

「……まぁそんなことだろうとは思ったが」

 

アコの叫びに対し、セイジはきわめて冷静にそう返していた。

 

実際、彼としては幾らばかりか反発があるだろうとは予測し覚悟もしていたことだ。

 

「しかし、それはただの私情だろう?」

 

「えぇ、そうですとも!納得いかずに腹を立ててるのがただの八つ当たりなこともわかっているんですよ!」

 

しかし、理屈の上では彼女も理解しているらしかった。

 

後々にヒナから聞いた話ではあるが、セイジはかつて傭兵組織……それもどちらかといえば秩序寄りの組織を率いていたとアコは知っている。

 

傭兵とはいえ集団ともなればある程度統率を取る必要性があり、それなりに現場指揮や傭兵たちの育成を行なっていた経験のあるセイジ程、教官役として適任な人材はそういないということは理解している。

 

実際彼の指導が入って以降の風紀委員の練度には目を見張るものがあり、今までなら一般委員のみでは取り逃していた不良生徒や規則違反者を彼女たちだけで捕縛することができるようになってきている。

 

なんなら一部の委員は支給品とは別の武装を使用しての場合のみではあるのだが、指導前の風紀委員切り込み隊長「銀鏡イオリ」に近い練度の戦闘技術を見せている。

 

今のところ彼女達の専用武装の使用許可は降りていないが、少なくともヒナは許可を出すことに乗り気であった。

 

その専用の武装への適性を見出したのもセイジであり、訓練がてらまとめ上げたデータを下に武器の適性を調べた際に発覚した一部委員の癖を生かすものとして提案されたものである。

 

それらを踏まえても、彼の統率能力はヒナの代理兼指導役としては充分すぎるほどであったのだった。

 

しかし、その理屈を理解していても納得しきれないのが人の性……いや、天雨アコという少女の性格なのだろう。

 

青筋を立てつつ、とにかくセイジに叫び吠え散らすその姿はまるでしつけのされていない駄犬のようであった。

 

「とにかく一旦落ち着いて頭を冷やせ。

そのまま喚き散らしたところで、ストレスで脳が沸騰するだけだぞ?」

 

「誰のせいでストレスがたまってると思っているんですか!!

こうなったら責任を取ってストレス発散に付き合ってもらいますからね!!」

 

理不尽である。

 

特に何か悪いことをしたわけでもなく、セイジはただ仕事をしただけで責任を取らさせる羽目になっていた。

 

ため息を吐きつつもこのまま放置したら面倒と判断し、セイジは彼女の提案に乗るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、ストレス発散の勝負はこれか?」

 

「えぇ、そうですとも。

まさかルールすら分からないなんて言いませんよね?」

 

対面する二人の間に置かれたもの。

 

それは、モノクロのボードの上に様々な形状の駒が置かれたボードゲーム……チェス盤であった。

 

「いや……昔親父に叩き込まれたからできはするが……」

 

「ならなんの問題もありませんね!

では、早速先手で……」

 

「確か、ポーンはこれだな……」

 

コトッコトッと二人は駒を置きあい、試合が始まった。

 

最初のうちはアコが圧倒的に優勢だったが、ルールと戦法を思い出してきたらしいセイジが次々と詰め始めていき……

 

「……チェックだ」

 

「なぁぁッ!?で、ではビジョップをここに……!」

 

「………チェックメイトだ」

 

「な……あ………ッ!?」

 

セイジのチェックメイトの言葉に、アコは盤面に齧りつくかのごとく確認する。

 

既にセイジはクイーンとビジョップ一つを失っているものの、アコ自身は先ほどの巻き返しでナイトとルークを全損。

 

生き残りのビジョップとクイーンで防御陣地を構築したが、セイジのナイトと生き残りのビジョップが連携し、隙を突いてキングを取られてしまった。

 

やがて自身が完膚なきまでの敗北をしたと認識したためか、アコは項垂れつつ「ま、参りました……」と宣言した。

 

「な、何故……!?明らかに先生の反応はそこまで得意としているものではなかったはず……!?」

 

「その見所はともかく、搦め手の使い方が単調だったな。

俺の誘導に引っかかってビジョップを全損したのもそうだが、搦め手の使い方もいなし方もまだまだ未熟だな」

 

どこからか取り出したらしい缶コーヒーに口をつけつつ、アコの指し手に辛口の指摘を入れるセイジ。

 

「こ、こんなはずでは……!?私は……私はまだ……!!」

 

そこで、アコは閃いた……いや、閃いてしまった。

 

もうこうなればなりふり構っていられない。

 

何としてでもこの憎たらしい大人の顔に泥を塗りつけてやるために、多少の無様を晒してでも食いついて勝てるまで戦い続けると。

 

そして、それと同時に目の前の男の弱みを握る策までもを閃いてしまった。

 

セイジの誤りといえば、彼女の執念……そして天雨アコという少女が内々に抱えているその欲望を見抜けなかった事であった。

 

「……ふふ、ふふふふ………!」

 

「………?なんだ、負けのショックでイカれたか?」

 

残念なことに、イカれているのは元からである。

 

ゆらりとした動きで再起動したアコ。

 

彼女は突然、自身の上着へと手をかけて勢いよくそれを剥ぎ取った。

 

「………は?」

 

青い上着が宙を舞い、セイジは状況が飲み込めずに固まってしまった。

 

それと同時にアコは素早くスマホに何らかの操作を行なっており、すぐに勝ち誇った顔でセイジへと向き直った。

 

「さぁ………先生?次の対局をしましょうか?」

 

「いやまて天雨。お前、その格好は………」

 

セイジが微かに動揺したらしい声で指摘するが、無理もない。

 

ただでさえ布面積が少ないアコの改造制服だが、その上着を脱いだ事で更にその露出が強調されていたのだ。

 

「これは敗者の罰ゲームです。えぇ、そうですよ………負けたら一枚ずつ、私たちは服を脱いでいく必要があるのです………!」

 

「おい天雨!それは………」

 

「おっと、先生?

まさか拒否なさるなんてことはありませんよね?

もし拒否なされるようであれば………」

 

彼女は先ほどまで操作していたスマホの画面をセイジへと見せつけるように掲げる。

 

そこには、チェスで敗北した直後にアコが服を脱ぎだした部分を切り取った動画が映されていた。

 

「なっ!?」

 

「こちらの動画、SNSで拡散させていただきます♪」

 

セイジは動画の角度から推測して横を振り向く。

 

するとその方向にあった調度品の装飾の一つに違和感があり、よくよく目を凝らしてみると盗撮だとかに使われる小型の隠しカメラであることが分かった。

 

「天雨貴様………嵌めやがったのか!」

 

「ふふふ………本来は委員長のご様子を確認するために取り付けていたカメラでしたが、このような形で活用できるとは思いませんでしたよ♪」

 

この女、相変わらずブレないヒナへの執着を語るが………その顔にはセイジでもなかなかしないような邪悪な笑みが浮かんでいた。

 

恐らくは本当に偶然が重なったのだろうが………それにしたってタチが悪かった。

 

「チィ………!!」

 

セイジは渋々とした様子ながらも、再び駒を並べ始めた。

 

下手にここで断ってしまえば動画を拡散され、ただでさえあまり良くない自身への世間の印象が更に悪化しかねない。

 

彼女のスマホとカメラを破壊するということも考えたが、どこかにバックアップを取られている可能性もある。

 

詰まるところセイジはチェスではチェックメイトをかけたが、代わりにアコの手によって自身の命運にチェックをかけられてしまったのだ。

 

「あぁ、そうです。

先生が完全に負けたら私の言うことを何でも聞いてもらうことにしましょうか♪」

 

「…………」

 

そして、この場で恥を忍んで敗北して自分の服を剥がすという選択肢も防がれて退路を断たれた。

 

断れば動画のことをダシに強請られるのが目に見えている上に、彼女の言う「言うこと」というのは明らかに碌なものでは無い。

 

この場の支配権を握るアコに逆らうこともできず、セイジは苦汁を舐めさせられつつ盤面へと向き直る。

 

「じゃあ、先生?

対戦、よろしくお願いしますね♪」

 

「………あぁ。」

 

この時、セイジは心のなかで酷く後悔した。

 

こんなことなら最初から勝負に乗らなければ良かった、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も地獄の脱衣チェスは対戦数が二桁に差し掛かるまで続いた。

 

結果は全てセイジの圧勝。

 

流石に自身の主導権を渡すわけにもいかず、彼はアコが赤面しつつ何かに目覚めたかのような顔で自身の服をひん剥いていく姿を見ていることしかできなかった。

 

最終的に下着まで脱ぎ出そうとしたあたりでリボルバーの早撃ちを脳天に当ててアコを気絶させ、この悪夢のような試合は終わりを迎えた。

 

そのあと後処理として残りの書類(アコのものを含む)を一気に片付け、アコの服を元通りに着せた状態で仮眠室へと放り込んだ後に、やはりバックアップが取られていた動画ファイルを全て削除したうえで風紀委員会本部を後にした。

 

入れ替わりで出張から帰ってきたヒナが見たのは処理が済んだ書類の山と疲れ果てたように眠るアコの姿だけであり、まさかこの場で風紀もへったくれもない不健全な勝負が行われていたなど彼女は知る由もなかった。

 

後日、何かにこじつけてセイジへと何かしらの勝負を挑むアコの姿が目撃されたが……

 

彼がその申し出に応じたかは定かではない。




いかがでしたか?
えぇ、多分皆さんが言いたいことは分かります。
だいぶ無理がある内容なのは重々承知してます。
ただですねぇ……チェスみたいな戦略系の勝負でもないと、セイジが乗っかろうとしないと感じたのでこうするしか無かったんです……。
もちろん、アコが変な扉を開きだした件についても私見の「アイツならやりかねない」という偏見なので解釈違いは覚悟してます。
ただ………やるかやらないかでいえば多分やりそうなので許してヒヤシンス…
というわけで、次の二本目をお楽しみください
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