アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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本日二本目です。
実は書いておきながら言うのもあれなんですけど………
イオリのセリフについて、私がイオリを原作の方で持ってないのでどういうふうにセリフを構築すべきなのか分からず、うろ覚えのSSのセリフとかを繋げて書いたんですよね………
これで良かったのかしら…?
というわけで、本編をどうぞ


六十六話:メモロビ⑪ 銀鏡イオリ

「やぁぁぁぁッッ!!!」

 

「ふっ、セリャァァッ!!」

 

「ゴホァッ!?あっがぁぁぁ……」

 

べしゃりと音を立て、少女の華奢な身体が地面へと叩きつけられる。

 

痛みに悶えつつ、手に持つコンバットナイフをなんとか構えようとする……

 

が、時すでに遅し。

 

「…ナイフヒット。腕を上げたが、まだ踏み込みが甘いな」

 

「うぅぅ……か、加減ってのはないのかよ……この鬼……!」

 

口で文句を垂れつつ、相手……セイジに差し伸べられた手を掴んで立ち上がったのはゲヘナ風紀委員会突撃隊長「銀鏡イオリ」だ。

 

「これが実戦なら加減なんて生易しい物はないぞ?

訓練は実戦を想定してやる物だ」

 

「……わかってるけどさぁ!

アンタの投げって息が詰まるぐらい痛いんだよ!」

 

「今呼吸できてるなら上出来なもんだな。

軽口まで叩く余裕があるならもう一回やれるだけの気力はあるんだろう?」

 

「あぁ、クソッ!やってやんよこのクソッタレがぁぁッ!」

 

イオリは再びコンバットナイフ……とよく似た形状のゴムナイフを構え、セイジへと突撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゔッ、お゙ぇぇぇッ!!!」

 

「ふむ、まぁまずまずといったところだな」

 

エチケット袋に胃のなかのものを吐き出すイオリの傍らで、セイジはフリップボードの紙にペンを走らせていた。

 

特に息が上がった様子もなく、淡々としたその様子は疲労困憊でぐったりとしているイオリとは対照的であった。

 

「ば……化け物……め……!」

 

「ふむ、化け物……か。

悪魔だ鬼だとは言われたことはあるが、化け物は中々聞かないな」

 

「言われてる……自覚は…あるのかよ……」

 

「直してやる筋合いは無いがな」

 

淡々とそんな言葉を返してくるセイジ。

 

そんな彼にイオリはあきれ交じりのジト目を向けるも、当然セイジはそんな目線などお構いなしである。

 

「はぁぁぁ……なぁ、なんでアンタはそんなに強いんだ?」

 

「……なぜそんなことを聞く?」

 

唐突なイオリの質問に、セイジはペンを動かす手を止めて目線だけをイオリへと向けた。

 

「いや、特に他意はないんだけどさ……アンタの戦い方とかを見てると、なんかこう……妙な違和感というか…」

 

どこか煮え切らない態度で、イオリはセイジから感じたものを言葉に出そうとした。

 

が、いざ口にしてみようとするとなぜか言葉が思い浮かばない。

 

「逆に聞くが、お前は強さというものは何のために得ると思う?」

 

「んーー……………?

そりゃ強ければそこら辺の連中を従わせられるだろ?

そしたら変な気を起こして暴れる奴も減るし……

うん、まぁ力がある奴が正しいからじゃないか?」

 

「……そういえばゲヘナはそういう気質の強い学園だったな」

 

イオリの答えに顔を顰めつつ、そういえばそうだったとゲヘナの暴力至上主義的な思想に軽く頭を抱える。

 

「まぁ、お前たちならそうなるんだろうな……。

あくまでお前たちの求める力は自身の存在を確立するための手段………平たく言うなら、強さが自分のあり方でありアイデンティティとして周りに認められる指標になっているんだろう」

 

「うーん?多分……そう、なのか?

アンタのように小難しく考えたことがないから、改めて考えてみるとそうなのかもしれないな……?」

 

イオリは首を傾げつつ考えるも、良くも悪くもゲヘナ生らしい側面が強い彼女には難しい内容らしい。

 

「………まぁ、それについては別にいい。

ここではそういう文化だからと納得もできる」

 

「なんか釈然としないけど………まぁいいや」

 

遠回しに「お前たちは野蛮で馬鹿である」と語るセイジに対し、イオリは深く考えず納得してしまった。

 

本当に、そういうところである。

 

「じゃあ、アンタのその強さは違うのか?

噂だと不良生徒をぶん殴って従えてたとか聞くけど……」

 

「正確には頭を撃ち抜いて、吊るし上げてから言うことを聞かせていたのが正しいな。

まぁ、聞かせることなんぞ大人しくするかもう一発撃たれたいかの二択だったがな」

 

「……噂の半分とはいえ合ってるのか。

本当にイかれてるよ、アンタ」

 

「イかれてないマトモなやつから死ぬ場所で生きてりゃ、嫌でも頭のネジが外れるものだ。

生憎なことに、俺はそう簡単に死ぬわけにはいかない理由があるもんでな」

 

どこか自虐的なニュアンスの混じるセイジのその言葉に、イオリは微かにだが違和感の正体のヒントを感じ取った。

 

「……生きるために強くなる、ってことか?

アンタ程強くても死ぬことがあるっていうのか?」

 

「……つくづく思うが、お前たちは俺をなんだと思っているんだ?

お前たちキヴォトス人には馴染みないだろうが……

俺にしろもう一人の教師にしろ、人間っていうのは銃弾一発当たりどころによっては簡単に命を無くすぐらいには脆いぞ?」

 

「……そのもう一人の先生は知らないけど、アンタがそれ言っても説得力がないよ。

アコちゃんから聞いたけど、腹に大穴空けても生きてた上に美食研を蹴散らしたんだろ?

普通の人間が脆いってんなら、アンタほんとに人間なのか?」

 

「……………………。」

 

イオリの返した質問に対し、セイジは沈黙した。

 

その沈黙が何を意味するかは分からないが……

 

少なくとも、彼としては何か思うことがあるようだ。

 

「……ま、いいや。

正直アンタが人間だろうが化け物だろうが大して変わらないし」

 

しかし押し黙るセイジに何を思うでもなく、イオリは近くに投げ捨てていたゴムナイフを拾い上げてセイジの方へと振り返る。

 

「アンタは強いし、多分やってることも過激だけど正しいことをしてるんだろ?

だけど……」

 

イオリはセイジの目を見据え、手に持つナイフをセイジの顔面の中央へと指すように掲げる。

 

「……いつか、私らのほうが強くなってアンタよりも正しいんだと証明してやるよ。

そんときに散々ボコボコにしてくれた礼もしてやるから……その時までに覚悟しろ」

 

好戦的かつハッキリとした言葉と表情で、イオリはセイジへと獰猛な笑みを向けた。

 

それに何を思ったのか……

 

「……ふっ、俺の首はそう簡単には落ちんぞ?」

 

同じく、獰猛さを感じる好戦的な笑みで返していた。

 

「……アンタもそんな顔するんだな。

まぁいいさ、その首がいつまで繋がっていられるかしっかり数えてな!」

 

それだけを言い残し、イオリはセイジに背を向けて訓練場の更衣室へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の首を穫る、か。」

 

一人残されたセイジは誰に聞かれるでもなくそう呟く。

 

「……なぁ、俺はあとどれだけ生き抜けばいい?

いつまで俺は背負わないといけないんだ?」

 

「……答えちゃくれないか」

 

それは誰に向けた言葉なのか。

 

願いでも懇願でもないその言葉は、他に誰もいない訓練場へと小さく響くのみだった。




いかがでしたか?
実際のところ、ゲヘナって力こそ全てな気質があるのでこんな感じだとは思いますが……
私の観測できる範囲ではこれが限界でしたわ………
というわけで、また次の話をお楽しみに

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