アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
何故か息抜きがてらでまたブルアカ原作の二次小説を新規で書いてた今日この頃です。
何故か頭のなかのクーパーに撃ち抜かれた衝撃で思いついた作品でしたが、出来栄え自体は本作とどっこい程度かなぁと思われます。
とはいえ今連載二つある中でさらに連載増やすとかは地獄でしかないので連載形式では投稿もできやしないという。
というわけで、アンケートを置いときます。
多分期限は次の話の投稿まで辺りにしてますが………まぁなんとなく結果は予想できる気がします。
というわけで、本編をどうぞ


六十七話:メモロビ⑫ 火宮チナツ

ある日の昼頃……

 

風紀委員会の負傷者が特に居らず、まとめる資料もほとんど片付けて手が空いてしまったチナツは、散歩がてらゲヘナの商店街を見て回っていた。

 

名目上はパトロールなのだが、ここ最近セイジがよくゲヘナへと足を運ぶようになってからは不良や規則違反者が暴れる頻度が低下しているために、ほんとにただ見て回るだけなのである。

 

……まぁ低下した理由は半分くらいは風紀委員会にもあるのだが。

 

まさか、セイジの訓練という名の掃討作戦によってゲヘナ内の不良集団の拠点が軒並み蹴散らされてしまうとは、少なくとも数週間前の彼女では想像もできなかっただろう。

 

その影響でゲヘナ内の不良生徒達の兵器所有率が大幅に低減され、少なくとも不良の戦車で怪我人多数等の状況が発生することはここしばらく無かった。

 

似たような事例であっても給食部の得体の知れないナニカ(パンちゃん)が脱走しただかでのものであり、不良生徒由来の問題などは大きく減っていた。

 

ある意味ではヒナの圧倒的実力による抑止力と大差ないが、この場合抑止力となっているのは彼女一人ではなく練度を底上げした風紀委員会なのでむしろ健全化したと言える。

 

とはいえ、今までが忙しかったがゆえにこうして暇になるとチナツとしてもどこか寂しい思いもあった。

 

流石に今までの状況が常態化してたほうがいいとかそういうものはないのだが、突然手が空いてしまうと自分のやることを見失ってしまったのだ。

 

特に何かあるわけでもなくパトロールを続けていると、不意にチナツの耳に妙な声が聞こえだした。

 

よくよく耳を澄まして聞いてみると、遠くから喧騒……いや、誰かが争う音が聞こえた。

 

それを認識した途端、チナツは音のする方へと駆け出した。

 

商店街から少し抜けた先、ビルとビルの間にある裏路地から音がしている。

 

チナツは腰から拳銃を抜き、正面に構えつつ裏路地へと滑り込んだ。

 

「風紀委員会です!両手を挙げて投降……を………?」

 

しかし、その場にいたのは……

 

「……ん?あぁ、火宮か」

 

『オ、オノレェェェ……』

 

バチバチと音を立ててスパークを放つ無数のオートマタと、全身傷だらけでありながらもオートマタを足蹴にしてショットガンを肩に担ぐセイジの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、その場にいたオートマタは全てセイジの手によって破壊されて回収されていった。

 

どうやら彼曰くここ最近何かと付け狙われていたらしいのだが、ちょうど風紀委員会本部へと向かおうとしていた途中で襲撃を受けたらしい。

 

噂に聞くパワードスーツを着る間もなく襲撃されたらしく、防弾性の低いスーツ越しに幾らか掠めてしまったらしい。

 

幸いなのは命中まではしていなかったことだが、それでも手榴弾の破片やら銃弾の掠めてできた切傷やらが全身に付いたその様子にチナツは我慢ならなかったらしい。

 

「……おい、火宮。それぐらいに……」

 

「ダメです、まだ半分も処置していませんから。」

 

現在、応援の風紀委員たちがトラックの荷台に破壊されたオートマタを積み込む傍ら、セイジはチナツの手当てを強制的に受けさせられていた。

 

傷はそこまで深くはないものの、所々血が滲んだその姿にチナツは軽く怒りながら手当てをしていた

 

「……セイジ先生。貴方は私たちと違って銃弾を受けたらすぐに傷ついてしまいますし、最悪死んでしまいます。

……なぜ、それでも身体を張って戦い続けているのですか?」

 

ポツリ、とチナツの苦言がセイジへと向けられた。

 

特別彼女はセイジになにか想いがあるわけでもないが、傷つくことをわかっていながらなぜ傷だらけのままでそんな危険に身を投じるのかが彼女には理解できないでいた。

 

ここキヴォトスにおいて銃弾の危険性が低く見積もられがちなのは、彼女達生徒が持つヘイローの加護によるものが大きい。

 

ヘイローの力には怪我は避けれずとも致命傷となるダメージを大幅に軽減する効果があり、それ故に彼女たちの中には銃弾を喰らうことによる死が無いという認識……

 

つまり、引き金が引かれてその弾丸が当たることによって命が失われるという感覚が非常に薄いのである。

 

これが生徒同士ならただの過激なじゃれ合い程度で済むのだが、セイジとシャーレの先生は違う。

 

この二人はその銃弾を一発でも受けてしまうことが致命的であり、ありふれているからこそもっとも分かりやすい身近な危険のはずだ。

 

シャーレの先生はそれをわかっているからこそ後方からの指示などを徹底しているのだが、セイジは違う。

 

彼の場合、例え防具の類がなかろうと戦場へと自ら真っ先に突っ込み、自身の怪我も何もお構いなしに前線で戦い続けるのだ。

 

指揮者として心強く思うところもありはするのだが、一方でそれよりも心配のほうが大きくかかってしまうのである。

 

身体の脆さ、身分上の立場、そして同じく彼を心配するであろう人達。

 

彼が傷つくことによって、一体どれだけの人や組織に影響が出るのだろうか?

 

彼の行動は、それらに対して無沈着であるかのようにも見えてしまう。

 

そもそも、彼は死というものへ恐怖心を抱いているのだろうか?

 

普通であればどんな人間でも持ち合わせるであろうその感情を、彼は持っているのだろうか?

 

そんなチナツの問いに、セイジは少し考える素振りを見せて口を開いた。

 

「……俺は、そうすることでしか生きられないから……としか言うことがないな。」

 

「………………?」

 

セイジのその返答に、チナツは困惑した。

 

そうすることでしか生きられない?

 

自ら死にに行っているも同然なのに?

 

ますますチナツには理解ができなかった。

 

「確かに、俺や○○は肉体が脆い。得にアイツの場合は耐える訓練すらしていない」

 

「だがな……俺とアイツには決定的に違うものがある。

それは何だと思う?」

 

セイジからの問いに、チナツは治療の手を止めずに考える。

 

暴力に慣れている……?

 

いや、それだけならキヴォトス人となんら変わりない。

 

となれば、決定的に違う何かが彼にはあるはずだ。

 

そうして考えを巡らせていると、ふとヒナが語っていた彼の経歴の話を思い出す。

 

セイジはかつて、外で傭兵団を率いていたと聞いている。

 

その時から前線で指揮を取り続けていたらしく、故に彼は戦闘能力だけではなく指揮においても高い実力を持っていたらしい。

 

つまり、これが何を意味するかといえば……

 

「……実際に死線を潜った数……でしょうか?」

 

「いい着眼点だ」

 

治療が終わり、Pip-Boyを操作して替えの服を用意しながら彼は答える。

 

「正確には死線だけじゃない。

……目の前で、何度も仲間や他人の死をこの目で見てきた」

 

「………ッ!?」

 

彼の放った言葉に、この空間の空気が凍りつく。

 

予想はしていたものの、チナツはその言葉が思っていたよりも重いものだと感じていた。

 

「立ち向かうことなく逃げたやつは真っ先に死んだ。

まぁそりゃそうだ、歯向かう気のない腰抜けなんぞ格好の獲物だからな」

 

「口だけ立ち向かう気概があったやつも、また死んだ。

口ではどうこう言っていたが、結局はいざ向かおうとしたときになって怖気づいて逃げ出して死んだ」

 

「………立ち向かったやつも、相当な数が死んだ。

ドジを踏んで死んだやつや無謀な争いをして死んだやつも多かったが………それでも、後に多くを残して逝ってしまった」

 

「……………………。」

 

「俺は逃げて死ぬ訳にも、口だけのトーシロをこいて死ぬ訳にもいかん。

運よく今は生きているが、これで急に逃げ出そうもんなら……俺はあの世で残していった連中に示しがつかなくなる」

 

「………それが先生が戦う理由なんですか?」

 

「………まぁ、大体はそうだな。

いつ死ぬか分からない以上、俺は悔いのない死に方を選ぶというだけだ」

 

チナツはもう、何も言えなかった。

 

彼に意見しようにも、死に触れすぎたセイジと彼女では価値観どころか見ている世界すら違った。

 

自分たちは生きることを前提で行動しているが……

 

セイジは、死ぬことが前提の生き方をしているのだ。

 

否定などできるはずもない。

 

彼女にとって……いや、キヴォトスの生徒たちにとって死というものは何よりも重く、あってはならない禁忌なのだ。

 

命の価値が軽いわけでもなく、ただ「命は簡単に失われる」ということを念頭に置いたかのような考え方。

 

そんな一見軽いようでありながら非常に重みのあるその考えを、どうして否定することができるのだろうか?

 

だが………チナツはこれだけは言わなければと口を開く。

 

「ですが、先生………あなたが死んでしまっては残された方が………」

 

「残される………か。」

 

チナツの言葉に、セイジは何を思ったのか遠い空を見上げた。

 

その目に映るものが何なのか、チナツからは見ることができなかった。

 

「………俺は置いていかれただけの人間だ。

俺の後ろにはもう、誰もいないんだ」

 

セイジのその言葉を、チナツは理解しようとした。

 

……だが、本能がそれを許さなかった。

 

あまりにも重すぎるその言葉に、チナツはその言葉を受け入れきれなかったのだ。

 

ただ、彼女は一つだけ理解してしまった。

 

………彼にはもう、失うものも残せるものも何もない。

 

セイジの心は空っぽで、埋めてくれるはずの誰かは居ないのだと。

 

チナツはその事実に深い悲しみを覚えるが、だからといって彼に寄り添おうとする選択肢はなかった。

 

人を治して癒すはずの自分が、ただ一人の心の傷すらも癒そうとすることができないというその事実に吐き気を催す。

 

「………これだけは教えておくぞ、火宮」

 

セイジはどこからともなく市販品の缶コーヒーを取り出し、チナツの手に放り込みながら語りだした。

 

「人の心なんてものはそう治ることはない。

体の怪我とは違って、時間も労力も桁違いにかかる」

 

「………だからこそ、お前は自分が心から寄り添える相手の心を治していけ」

 

俯いて立ち尽くすチナツに背を向け、セイジはどこかへと去っていった。

 

立ち尽くしていた彼女はふらふらとした足取りで近くのベンチへと座り込み、セイジから渡された缶コーヒーを開けて口をつけた。

 

………ほろ苦い中に、甘みを感じる。

 

よくよく見てみればコーヒーはブラックではなく、微糖の少し甘めなものだった。

 

その甘さを感じるとともに、チナツの頭に浮かんだのは一人の男性。

 

「………○○、先生………」

 

彼女は思う、せめてあの人だけはできるだけ支えて助けたいと。

 

それでもと彼女は思う、可能な限りではあるがセイジにも救いの手を差し伸べたいと。

 

未だ忙しく委員たちが後処理をする中で、彼女は口に含んだほろ苦くも甘いコーヒーを飲み込むのであった。




いかがでしたか?
今回はちょっと普段よりもしっとりめにしてみました。
特に構想もなくダラダラと書いてたらいつの間にかこんなしっとりとした話が出来上がってたなんで口が裂けても言えねぇ………()
というわけで、この下にあるアンケートにご協力よろしくお願いします。
そして、また次の話をお楽しみに
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