新訳 そして伝説へ・・・   作:久慈川 京

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今回の話は、正直かなりきついです。
心を強く持ってお読みください。


過去~アン~

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 陽が西の大地に沈み切り、夜の帳が降りてから既に数刻の時が経った。

 所々に立つ木々達も眠りについたそんな山中を、一人の少女が駆けて行く。陽が沈んだ頃から走り続けていた少女の息は、呼吸困難に陥っているかの如く粗い物になっていた。

 

「……はぁ……はぁ……うっ、ごほっごほっ……」

 

 呼吸困難の末、咳込みながら口の中に溜まった唾とも痰とも言えない液体を少女は吐き出した。

 もはや、少女の顔の穴という穴から様々な液体が出ており、年の頃七、八歳という少女の愛らしい部分は全く見られない。

 数刻前までに彼女と共に居た母親は、少女が走り始める少し前に目の前で動かなくなってしまっていた。いつでも優しく、常に少女に向けられていた暖かい微笑みはもう二度と見る事が叶わない。 

 

 少女の名は『アン』。

 

 この山の麓にある<カザーブ>という村にある、道具屋を営む男の一人娘である。

 過疎化が進む村の中、道具屋夫婦に生まれた待望の子であり、常に両親の愛を一身に受けていた少女。その少女が何故、このような山中を一人、涙と鼻水で顔を汚しながら駆けているのか。

 

 それは、太陽が傾き始めた頃まで遡る事となる。

 

 

 

 <カザーブ>の村は子供が少ない。過疎化が進み、若者と言える人間自体が少なくなって来ているのだ。

 最近では旅人も少なく、村に移住してくる人間も皆無に等しい。必然的に村の中に若者は少なくなり、その間に生まれる子供も皆無となる。

 故にアンには遊び相手がいなかった。物心がついた頃から、一人で遊ぶ事が当たり前になっていたのだ。

 大抵は家の中が多いのだが、天気も良く陽が暖かい日等は、外に出て何をする訳でもなく、花を見たり虫を見たりしながら歩きまわる事が、彼女にとっての遊びとなっていた。 

 

 この日も、朝から雲一つなく晴れ渡った空は、まるで神の慈悲を降り注ぐような暖かさを運んでいた。

 昼食を終えたアンは、母親に外に出る事を告げ、村の中を歩き始める。自宅を出て、アンのお気に入りの場所である湖に浮かぶ島のような場所へと足を進めていた。

 そこにはいつも老人が火を熾し何かを焼いている。この老人はアンの祖父とも仲が良いらしく、アンだと解ると、にこやかな微笑みを返してくれた。

 初めてこの場所に足を運んだアンの『何を焼いているの?』という問いかけに、いつもと同じ微笑みを浮かべた老人が火の中から二つの芋を取り出し、アンに手渡してくれた事がある。それから、ここはアンのお気に入りの場所となったのだ。

 

「ほほほっ、アンよ。今日は、お芋さんはないぞ」

 

「うん! アンは、お昼ごはんを食べて来たからいらないわ」

 

 アンが笑顔で現れた事に、嬉しそうな微笑みを浮かべた老人は、楽しみにしているだろうと思って声をかける。しかし、アンからは笑顔と共に、予想とは違う答えが返って来た。

 

「そうか、そうか。そう言えばもうお日様がてっぺんを越えてしまっていたの」

 

「おじいちゃんは、お昼ごはんを食べてないの?」

 

 まるで昼を過ぎた事を忘れたかのような事をいう老人を心配し、アンは一度家に戻り何か食べ物を持ってこようかと考えていた。

 

「いやいや、わしは良いんじゃよ。腹も大して空いておらんしの」

 

「おなか減らないの?」

 

 眉尻を下げて、窺うような視線を向けるアンに、老人は柔らかな微笑みを浮かべる。自分の答えを聞き、小首を傾げて、不思議そうな瞳を向けるアンに、老人は更なる微笑みを作った。

 

「うむ。アンのように、お転婆ではないからの。動かなければ、そんなにおなかは減らんよ」

 

「アンはお転婆じゃないわ!!」

 

 自分を心配してくれるアンの優しさに尚一層顔の皺を深めた老人は軽い冗談を言ったつもりだったが、アンにとっては酷い心外な言葉だったようだ。

 しかし、頬を膨らまし、老人から顔をそむけるアンの姿が尚更可愛らしく、老人の笑みは増していくのであった。

 

「それよりも今日はどこに行くのかな?」

 

「もう! アンは怒ってるんだからね!」

 

 話をそらそうとした老人の目論見にアンの許可は下りなかった。

 頬を膨らまし、腰に手を当てる少女の姿は、可愛らしい以外の感想を持つ事は出来ないのだが、老人は慌てた様子を作り、頭を下げる事にした。

 

「すまん、すまん。それで、アンは何処へ行くのじゃ?」

 

「今日はね、お花を摘んで、それを教会に持って行くの!」

 

 老人の謝罪を聞いて、膨らませていた頬を戻したアンは、少し考えるような仕草をした後、今日の予定を老人に話し出す。その内容は、とても子供の遊びの範囲ではない物だったが、嬉しそうに話すアンを見た老人は、笑みを浮かべたまま頷きを返した。

 

「ほぉほぉ、そうか。それは良い事じゃ」

 

「うん!!」

 

 『今泣いた烏がもう笑う』

 そんな言葉がぴたりと当てはまるように機嫌を直したアンに老人の頬は再び緩んだ。

 アンが花を大切にしている事は老人も知っている。アンが花を摘むのは、いつもの事ではななく、一月に一度と言っても良いだろう。

 この心優しい少女は、頑張って咲いた花を簡単に摘んでしまったりはしない。月に一度、教会に並ぶ墓に供える為に、毎日水をやっていた花を摘むのだ。

 それが今日だった。

 

「じゃあ、もう行くわね」

 

「うむ。転ばないように気を付けて行くんじゃぞ」

 

 老人に向かって手を振り、アンは教会の方角へと身体を向ける。そのアンの背中に老人は言葉をかけるのだが、その内容は、またしてもアンの機嫌を損ねる物だった。

 

「もう! アンはお転婆じゃないの!!」

 

「ほぉほぉ、そうじゃった、そうじゃった」

 

 老人の切り返しに再び頬を膨らましたアンであったが、老人の笑顔に自然とアンの顔にも笑顔が戻って行き、大きく手を振りながら、老人の下を離れて行った。

 老人は小さく手を振りながら、何度も振り返るアンを優しく眺めている。この老人が見たアンの姿は、この太陽のような明るい笑顔が最後であった。

 

 

 

「こんにちは!」

 

 大きく重い扉を身体全体で押し開けたアンは、日光がステンドグラスを通って醸し出す鮮やかな色合いに目を細めながら、泉の畔にいる老人と同じように笑顔を絶やさない神父の到来を待っていた。

 

「アン、いらっしゃい」

 

「こんにちは、神父様。今日はお花を持ってきたの」

 

 アンの予想通り、いつもと同じ笑顔を浮かべながら、神父が登場する。アンは、教会に行く途中にある、アンの花壇から摘み取った瑞々しい花達を誇らしげに神父に見せ、今日の来訪の理由を告げた。

 

「そうですか。それは、それは。いつもありがとうございます、アン」

 

「はい!」

 

 その笑顔が更に優しさを増し、神父は深々と自分の腰ほどしかないアンへと頭を下げる。

 それは、毎月行われる二人の儀式。

 最初は、自分に頭を下げる神父に戸惑っていたアンだったが、『これが感謝を示すという事です』と神父から教えられてからは、それを素直に受け取る事にしたのだ。

 

「では、お墓の方に供えてくれますかな? 私がするよりも、アンのような子に供えてもらった方が、皆喜ぶでしょう」

 

「はい、神父様」

 

 自信の提案に、元気よく返事をするアンを見て、神父は苦笑に近い表情を作った。

 仕方がない事ではあるのだが、何でも無邪気に受け入れるアンに向けて冗談を言った自分を笑ったのだ。

 

「ふふふっ。アン、そこは否定して頂くと、私としても嬉しいのですが」

 

 まだ、謙遜や社交辞令が解らない歳なのだから仕方ないのだが、神父の言葉に不思議そうに首を傾げるアンに、神父は笑みを強くした。

 

「いえ、なんでもありません。さあ、陽が陰る前にお願いしますね」

 

「はい!!」

 

 話を戻した神父の言葉に元気よく頷いたアンは、『ルビス像』に続く赤絨毯から逸れた所にある扉へと向かって行った。

 その後ろ姿を微笑みながら見ていた神父もまた、自分の仕事へと戻って行く。

 

 

 

「♪~~ふん~~~ふんふ~~」

 

 機嫌よく鼻歌を口ずさみながら、アンは手に持つ花を墓の前に供えて行く。アン程の子供にとって、お墓に物を供える事が楽しいという子供は少ないだろう。

 しかし、アンはこの墓が並ぶ場所から見る<カザーブの村>がとても好きだった。

 周囲にそびえる山々、そこから心地よい風が降り、立ち並ぶ家の前に干してある洗濯物を靡かせる。活気があるとは言えないが、ここから聞こえる人々の声が、それぞれの生活が存在する事を認識させていた。

 決して華やかではないが、確実な営みがある。それが何よりアンに安心感をもたらすのだ。

 アンが口ずさむ歌も、古くからこの村で歌われていた歌。生まれた頃から、子守歌代わりに母親が歌ってくれていた歌である。アンは機嫌が良い時、楽しい時には、この歌を無意識に口ずさむようになっていた。

 

「こんにちは、蟻さん。今日は何を見つけたの?」

 

 墓地の土の上を這いまわる蟻を見つけ、アンは声を掛ける。アンにとって、この村にある物、この村で生きている者は全てが見ていて楽しいものだった。

 それと言うのも、最近村に出入りするようになった盗賊が最初に来た時は、村中の人間が外へ出て来ないようになってしまっていた。

 それは、アンも例外ではなく、両親に抑えられ、外に出してもらえなかったのだ。

 最近になって、ようやく外へ出る許可がアンに下りる事となる。故に、外の景色、肌に触れる風、暖かく照らす日光、その全てが、アンにとって喜ばしい事だったのだ。

 教会に戻り、神父から水差しを借りたアンは、墓地の周辺に咲く花々に水をやって回る。山からの吹き下ろしの風で傾いた花には、小枝を支え木にし、土から根が出そうになっている物は再び土をかけてやる。その作業の合間にも、虫達を見つければその後を付いて行った。

 

 そんなアンの一人遊びも、足元が見え辛くなった頃に終わりを告げる。

 アンを迎えに母親が来たからだ。

 

「アン、暗くなる前に帰って来なければ、駄目でしょ?」

 

「あっ!? ご、ごめんなさい……」

 

 一人遊びに夢中になっていたアンに苦言を呈すこの女性が、アンの母親。

 アンを産んで既に十年近くも経つが、その美貌は衰えず、<カザーブ>でも人気のあるこの母親がアンは大好きだった。

 

「ふふっ、気をつけるのよ。今日はお母さんと一緒に帰りましょ」

 

「うん!!」

 

 アンが項垂れてしまうと、厳しい顔をしていた母親もすぐに笑顔がこぼれ、言葉と共にアンに手が差し伸べられる。母親の笑い声に嬉しそうに顔を上げたアンは、大きな声を上げて、母親の手を取った。

 

「あら、アン? まずは、神父様にお礼を言ってから、手を洗わせて頂きましょうね」

 

 自分の手を握るアンの手が、土と埃で汚れている事に気が付いた母親は、にこやかにアンに向かって言葉をかけた。

 アンが土いじりや色々な事に興味を示している事を知っている母親は、それを咎めるような事をしない。幼い頃に、自分の感触で触れ、見る事が子供の成長に必要な事だと知っているのだ。

 二人は、墓地を出て神父に挨拶を済ませる。教会の洗い場で、母親と二人で手を洗うアンは、終始笑顔を絶やさなかった。

 

 

 

 教会を出ると、陽は大分傾き、周辺を赤く染め始めていた。

 各家に灯りが灯り始め、夕食の支度の為、煙突からは煙が出ている。村の外を歩く人達も既に誰もおらず、遠くに見えるアンの自宅である道具屋も、店仕舞いを済ませていた。

 

「さぁ、アン。早く帰りましょ。お父さんもお腹を空かせて待っているわよ」

 

「うん! アンもお腹が空いたわ」

 

 手を繋ぎながら家路を急ぐ母子。

 普通の村であれば、何の違和感もない、ほのぼのしい光景。

 そんな母子の幸せは、唐突に終焉を迎える。

 

「な、なんですか!?」

 

 手を繋ぎ、笑顔で見下ろしていたアンに影が降りたかと思うと、周辺が突如夜になったかの如く闇が広がる。何事かと顔を上げた母親は、自分達を囲む大勢の屈強な男達を見た。

 アンは、恐怖から母親の腰にしがみつき、怯えたように目を瞑る。

 

「へへっ、流石は<カザーブ>自慢の若奥さんだ。噂以上に別嬪じゃねぇか」

 

「本当だぜ。こりゃ、道具屋なんかにゃ勿体ねぇ」

 

 周囲を取り囲む男達が、母親を見て口々に何かを語り出す。周囲を完全に包囲されている為、周りから見れば、『またあいつ等が集まって何かやっている』としか見えないだろう。この男達こそ、ここ一年程で村に出入りするようになった盗賊一味であった。

 

「な、何をするんですか? そこを通して下さい!」

 

「へへへっ、声も良いじゃないか。あの時はどんな声で鳴いてくれんだろうな」

 

 母親は恐怖に身が竦む中、それでもアンを護ろうと毅然とした態度で立ち向かうが、盗賊達の耳には全く届いていなかった。

 それどころか、何か不穏な事を言い始めている。その間も、アンは母親の腰にしがみ付いて震える事しか出来なかった。

 

「大声を出しますよ! 何を……うぅぅ……」

 

 身の危険を感じた母親の言葉は最後まで発する事が叶わない。

 男達の内の一人が、後ろから母親の口を塞いだのだ。

 

「ああ、いけねぇや。そんな態度に出ちゃ。俺達は何もする気はなかったんだぜ。それが、大声なんか出されたら村の連中に気付かれちまう」

 

「そうだぜ。そんな事になって、お頭に話が行っちまったら大事だ」

 

「こりゃ、もうしょうがねぇな。連れて行くしかねぇだろ」

 

 最初から逃がす気など毛頭なかった事は、男達の態度を見れば明白だ。

 それにも拘わらず、自分達を正当化するような言葉と下種な笑い声に、母親は絶望する。口を手で塞がれ声を出す事も出来ない。更に、腕を掴まれ動く事も出来なくなっていた。

 

「おい、このガキはどうするんだ?」

 

「あぁ? 連れて行くしかねぇだろ。この場面を見られちまったんだからな。俺はガキには興味ねぇからお前らにやるよ」

 

「俺達もいらねぇよ。ギャハハハッ」

 

 母親と同じように口を押さえられたアンは、男に抱えられるように持ち上げられ、別の男がアンと母親の口を布のようなもので塞ぎ、歩き出した。

 下種な笑い声を周辺に響かせ、陽が傾き、隣にいる人間の顔すらもはっきりとは見えなくなり始めた<カザーブ>の村を出て行く。

 母親は最後の気力を振り絞り抵抗をするが、一人の男からの腹部への強烈な拳を食らい、意識を失った。総勢十人にもなろうかという男達は、ぞろぞろと村の外へと歩いて行く。門番に不審に思われないように、二人を担ぎ上げた男達を取り囲むように、別の男達が周囲を歩いた。

 あまり歓迎していない人間達が村から出て行くのを、門番がわざわざ止める筈もない。すんなりと男達は村を出て行く事が出来たのだ。 

 

 

 

 アンは頬に暖かな空気がかかる感触に目を覚ます。静かに目を開けると、目の前には焚き火による炎。その周りを十人程度の男達が囲み、酒を酌み交わしていた。

 アンは、先程の出来事を思い出し、母親を探す為に起き上がろうとするが、そこで初めて、自分が木に縛り付けられている事を知る事となる 。

 

「ギャハハッ……ん? おお、お譲ちゃんのお目覚めだ!!」

 

「―――オオォォォ――――」

 

 アンの目覚めに気がついた男が、周囲にその事を告げる声を上げると、『待ってました』とばかりに喜びの歓声が湧き上がる。その声は、周辺の木々を震わせ、アンの身も振るわせる程の大きさを誇った。

 

「へへっ、しかし、すげぇ事考えるよな」

 

「違いねぇ。子供の目が覚めるのを待って、実の子供にも見せてやろうって言うだからよ」

 

「ギャハハハ。まあ、楽しけりゃ良いだろうよ」

 

 アンには男達の会話の内容が理解出来ないが、全ての男達が自分を見て、下種な笑いをしている。それでも、アンにはそれに構っている暇などなかった。

 母親を見つけなければと、何度も左右に首を振り、周辺を見渡す。しかし、その行為も下種な笑いを繰り返す男達にとっては格好の酒の肴となってしまうのだった。

 

「ん~? おお! お譲ちゃんが、母親を探していらっしゃるぞ!」

 

「――――ギャハハハハッ―――――」

 

 屈強な男達の大きな笑い声は、アンにとって恐怖以外の何物でもない。

 『何故このような事になってしまったのか?』

 ほんの数刻前には、暖かな日の光の下で花を愛で、山から吹き下ろす心地よい風に髪を靡かせていた筈の自分が、山の中で男達に囲まれている現実に、アンは恐怖した。

 

「おい! お母様をお連れしてやれ!」

 

 戸惑い、目に涙を浮かべるアンを余所に、一人の男が別の男に向かって声を上げる。声を上げた男の下にいる人間なのか、『へい!』と間の抜けた返答をした男が火から離れ、アンとは逆方向へ歩いて行った。

 

「お、お母さん!!」

 

 火から離れた二人の男が連れてきた母親は、服装などは乱れていないが、抵抗をした時に暴力を受けたのか、その美しい顔の右頬が赤く腫れ、涙の跡を残している。

 暗くなり始め、火の灯りが頼りな場所で、アンにそれを確認する事は出来ず、ようやく頼りとする母親が現れた事に安堵に近い叫びを上げた。

 

「……ア、アン……」

 

「へへへっ、感動のご対面だ。ギャハハハ」

 

 アンの叫びに項垂れていた母親の顔は上がり、絶望に打ちひしがれた表情を浮かべる。アンだけでもなんとか逃げていて欲しかった。

 母親は、自分の運命は既に諦めていたのだろう。しかし、娘だけはという想いは未だ捨て切る事は出来なかった。

 

「む、娘だけは! 私をどうしても良いです。でも、娘だけは、娘だけは……」

 

 その母親の想いは、盗賊達への懇願という、世間が知れば全く意味のない行為と嘲笑われる行動に出ていた。

 そしてやはり世間の考え通り、それは徒労に終わる。

 

「ギャハハハ、安心しな。娘の前で、たっぷりアンタを可愛がってやるから」

 

「!!……うぅぅ……」

 

 母親の嘆願など聞く気もないのだろう。下種な笑い声を発している口から涎を垂らしながら、優越感に浸ったような表情を浮かべて男は笑う。

 『絶望』という感情が母親の心を満たし、許しや助けを請う気力さえも奪って行き、ただ嗚咽を漏らす事しか出来なかった。

 

「まあ、俺達がする事を見てしまったんだから、お譲ちゃんには悪いけど、生かしておく事はできねぇよな」

 

「ちげぇねぇ。ギャハハハ」

 

「……そ、そんな……」

 

 男達が口々に話す内容が、母親を更なる絶望の淵に落として行く。

 それは二度と這い上がる事が出来ない程の深さを持つものであり、男達の話の内容は、二人の死を意味していた。

 しかも、母親はその前に死をも超える程の恥辱を受け、アンはその母親を強制的に見せられるという耐えがたいトラウマを埋め込まれる筈だ。

 

「さあ、野郎ども、始めようぜ!」

 

「―――――オオォ―――――」

 

 中心人物のような男の掛け声に、その他大勢の人間が声を揃える。それは、盗賊達にとっての饗宴の始まりを意味し、アンと母親にとっては地獄の始まりとなる合図となった。

 男達は我先にとアンの母親へ群がって行く。木に縛り付けられるアンの目と鼻の先まで母親は引き連れられ、服を剥ぎ取られて行った。

 

「キャ――――――――!!」

 

 アンの耳に切り裂くような母親の悲鳴が轟き、アンは目を瞑る。

 だが、傍にいた男がそれを許さなかった。

 

「目を閉じるな!! しっかりと見るんだよ。お前の母親の喜んでいる姿を」

 

 アンにはとても母親が喜んでいるように等見えない。苦痛に歪み、今まで見た事のない程に大きく口を空け悲鳴を上げる母親が、喜んでいる訳がない。アンはその光景を何処か別世界の出来事のように見る事しか出来なかった。

 

「や、やめてぇ――――!! ア、アン、見ないで!!」

 

「へへへっ、一番乗りは俺だ」

 

 叫び声を上げ続ける母親が、アンと湯浴みをする時のように一糸纏わぬ姿に変わった時に、中心人物を見られる男が下半身を露わにし、母親に覆い被さった。

 手足を他の男達に抑えられている母親は、抵抗する事も叶わない。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うるせぇ!! おとなしくしやがれ!!」

 

 泣き叫ぶような母親の叫びは、圧し掛かった男の拳に途切れる。何度も何度も母の上で動く男がアンには気持ち悪い物にしか見えなかった。

 この姿であれば、虫の方が遥かに可愛い。

 いや、魔物の方が良いぐらいだ。

 

その後、満足したように母親から離れた男が他の男達に頷くと、次々と男達が母親に覆い被さって行く。母親もその頃にはすでに叫ぶ気力もなく、涙も枯れ果てたのか、目は虚ろとなり、その眼差しはもはや『人』と呼べる色をしていなかった。

 次々と男達が入れ替わり立ち替わり母親の上で蠢いて行く姿は、甘い物に群がる蟻のようである。いや、それは懸命に餌を運ぶ蟻達に失礼なのかもしれない。

 周囲にいた男全員が母親を虐げ終わるまで、アンは顔を背ける事も、目を閉じる事も許される事はなかった。

 そして、十人もの男達の欲望を一身に受けた母親は、ぐったりと横たわる。

 

「……お……お…かあ……さん……?」

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 人形のように色を失った瞳をして虚空を見つめていた母親が、アンの呟きで正気に戻ってしまった。

 それは耐えがたい苦痛を思い出させる。

 夫以外の人間に身体を奪われ、しかも、その恥辱を最愛の娘に一部始終見られていた。女性にとって、そして母親にとって、この事実は人間を崩壊させるのに十分な物。

 しかし、自身の自己防衛のような母親の叫びは、今まで散々楽しんでいた人間によって止められる。

 

「うるせぇ!!」

 

「ぐふっ!」

 

 アンの目に飛び込んで来たのは、胸の真ん中に太く鋭利な刃物が突き刺さった母親の姿。アンの母親を真っ先に組敷いた男が、母親の叫びが耳触りとばかりに、腰に差していたナイフのような物で胸に突き刺したのだ。

 水を飲む時にむせたような音を口から発したのを最後に、アンの愛する優しい母親は胸から盛大に赤い液体を噴き出し、動かぬ人形となってしまった。

 

「あ~あ、死んじまった。俺は、もう一回しようと思ってたんだがな」

 

「いいじゃねぇか。まぁ、血で真っ赤に染まっているが、硬くなる前にやっちまえよ」

 

「ギャハハハ、そうだ、そうだ」

 

 『これは夢ではないのか?』

 『そろそろ、母親の優しい声で揺り起こされるのではないのか?』

 アンの目は見開き、今目の前で起こったことが何なのかも理解出来ない。アンのそんな儚い希望は、アンの周りを取り囲む男達の常軌を逸した会話に握り潰された。

 母親は、既に死んだのだと。

 

「何言ってやがる。それに俺達には、まだ楽しみが残ってるだろ?」

 

 中心人物であろう男が宥めるように周囲の男達を見回し、最後にアンへと視線を向ける。呆然と母親の死体を眺め、『夢なら早く覚めて』と願っていたアンは、その男の視線に目の前が真っ暗になったような感覚に陥った。

 追い打ちをかけるように、男の宥めに反応したその他の男達が歓声を上げる。

 

「よ~し、お前ら。今持っている有り金を全部をここに出せ。持っているゴールド全部だ。隠していたりしたら命はないと思えよ!」

 

「何を始めんだ!?」

 

 男の提案に盗賊達はしぶしぶと言った感じで、焚き火の近くに自分の持っているゴールドを置いて行く。十人分の盗賊の有り金だ。

 それは、次第に山になって行き、それを見ていた盗賊達が再び歓声を上げ始めた。

 

「これで全部だな? よし、じゃあ、今からこのガキの縄を解く。ガキを山に放してから……そうだな半刻後に狩りを始める。このガキを狩った奴が、ここにあるゴールドを独り占めだ!」

 

「オオオォ―――――――」

 

 地鳴りのような歓声が山全体に響き渡り、アンの恐怖心を増大させる。

 正直、アンは男が何を言っているのか解っていない。

 

「おい」

 

 男の掛け声に、アンの近くにいた盗賊がアンを縛りつけている縄をナイフで切り、アンを解放した。

 自由の戻った身体に戸惑い、『やはり夢だったのでは』という希望を持つアンの視線の先に、再び血達磨になった母親の姿が映る。

 

「お、お母さん!!」

 

 縺れる足を何とか動かし、母親の傍に駆け寄るが、それは母親の姿をしてはいたが、もはや物言わぬ肉塊となっていた。

 

 もう、あの優しい微笑みをアンに向けてくれる事はない。

 もう、あの暖かな食事を作ってくれる事もない。

 もう、アンの髪を洗い、拭いてくれた後に、優しく梳いてくれる事もない。

 もう、父親と微笑み合いながら、『アン』と呼んでくれる事もないのだ。

 

 目を見開いたまま、首から下を真っ赤に染める母親を見て初めて、アンはその現実を理解した。

 わずか七、八歳の少女にとって頭の許容範囲を大きく逸脱する情報。しかし、アンは理解せざるを得なかった。

 

「お、お母さん! お母さん! うぅぅ……お母さん!!」

 

 それでも、血で染まった母親の身体を何度も揺すりながら、再び笑いかけてはくれないかと声をかけ続ける。だが、命の灯が消え果てた身体は、アンの悲痛な呼びかけに何の反応も示さない。

 

「い、嫌だよぉ……お母さん! ねぇ……お母さん!!」

 

「おい! いつまでやってやがる! お前には最後の仕事があるんだよ!」

 

 理解しながらもそれを飲み込む事を拒絶し続けるアンに痺れを切らした男は、母親の傍で座り込むアンを強引に立たせ、引き摺るように焚き火の近くまで移動させる。

 

「いやぁぁ! お母さん!!」

 

「うるせぇ!! ここでお前も殺してやろうか!?」

 

 引き摺られながらも、尚も母親を呼び続けるアンを、男が殴りつける。屈強な男の手加減なしの拳を受け、アンの小さな身体は軽々と宙に待った。

 強い衝撃と共に地面に落ちたアンの鼻からは赤い血液が流れ、ここ最近でやっと生え変わって来た歯が口内で折れていた。

 

「……うぐっ……ごほっ……うぇ……」

 

 口から血を吐き出し、目からは涙、鼻からも血を流しているアンの顔は、もはや少女の愛らしいものではなかった。

 それでも、周囲の男達の表情は愉悦に歪んでいる。まるで、それが今から始まる舞台の幕開けとばかりに。

 

「おい! ほら、早く逃げろよ。そんなとこに這いつくばってちゃ、つまんねぇだろうが! 良いか? 俺達から逃げる事が出来たら死ぬ事はねぇんだ。必死になって逃げな」

 

「ギャハハハ、逃げられりゃ良いけどな!」

 

 懸命に顔を上げようとしたアンの泥と血で汚れた髪を掴み、男はドスの利いた声でアンに促す。その言葉に再び周囲の盗賊達から野次や笑い声が響き渡った。

 

「……うぅぅ……ぐずっ……」

 

 それでも立ち上がったアンは、もう一度母親の姿を見た後、もはや完全に闇と化し始めた山の中へと走り込んで行く。その行動は、もはや本能であったのかもしれない。彼女は聡い子供であった。母親の死を理解したと共に、自身の死も理解していたのだろう。

 それでも、『生物』としての本能が、彼女の小さな足を動かしていた。

 

「おしっ。野郎ども! 半刻後だ。半刻経ったら、武器は何でもかまわねぇ。剣であろうが槍であろうが、それこそ弓だってかまわねぇ。とにかく仕留めた奴がゴールド総取りだ! 張り切って行けや!」

 

「オオオォ――――――」

 

 盗賊達の狂った雄叫びが、闇のカーテンをかけたカザーブの山々に響く。

 それは、これから始まる狂宴の始まりを意味していた。

 

 

 

 逃げ出したものの、アンはどこをどう走ったらいいのか全く分からない。

 それもその筈であり、アンはやっと家の外を出る事を許されたばかりだ。

 村の外に出た事自体、これが初めてである。幼いアンの脚力ではどうしても速度は出ない。おまけに、肺活量も少ないため、すぐに息が切れてしまう。それでも、アンは懸命に走った。

 もはや、息が切れる事など構ってはいられない。肺が悲鳴を上げ、呼吸をする度に、喉に焼けるように痛みが走っても、アンは夜の山道を駆け続けた。

 どこをどう走ったのかさえ分からない。家では、眠るまで多少の明かりをつけたまま母親に手を握ってもらいながら眠るアンも、今ばかりは山を支配する暗闇を怖がっている余裕はなかった。

 

 『もう<カザーブの村>が見えてくる頃だろうか?』

 『もうすぐ、いない自分と母親を探しに来た父親と会える頃ではないか?』

 

 そんな希望が頭に浮かびながら懸命に走るアン。しかし、現実は無常。アンの幼い足では、半刻という時間の中、盗賊達の声が聞こえない距離までも移動する事は出来ていなかった。

 突如上がった歓声とも怒号とも知れない叫び声にアンの足が止まう。それは半刻という時が経ってしまった事を意味する合図であった。

 

「……うぇ……お母さん……お父さん……ぐずっ……」

 

 夜の闇の恐怖。

 先程まで見ていた光景の恐怖。

 そして今まさに上がった咆哮への恐怖。

 

 幼いアンには、もはや泣く事しか出来なかった。

 呼吸困難になるほどに、アンの息は切れている。もう走る事など出来はしない。故に、アンは近くの茂みに隠れた。

 

「こっちには来てねぇのか? こっち側だと思ったんだけどな」

 

 アンが隠れた茂みのすぐ近くを、手に持つ剣を振り回しながら盗賊の男が歩いて来る。アンは息を殺し、手を口に当てながら、木の根元にある茂みにしゃがみ込んでいた。

 

「あ~あ、いねぇのかよ。ちきしょう!」

 

「……はぁ……ごほっ……」

 

 剣を振り回しながら、アンの隠れている茂みを通り越し、男が暗闇へと消えて行こうとするその時、知らず知らずに止めてしまっていた呼吸を戻し、アンは咳込んでしまった。

 それは、闇と静けさに包まれる森に木霊する。

 

「ああ?」

 

 暗闇に消えて行ったはずの男の声が聞こえ、こちらに戻って来る気配をアンは感じた。

 もはや猶予などない。このままここにいれば、間違いなく殺されるだろう。その程度の事は、アンにでも理解出来た。

 結果的に、アンは最悪な選択をしてしまう。

 全速力でその場から逃げたのだ。

 

「おっ、やっぱりいやがったな。待ちやがれゴールド!」

 

 賞金の対象としてしかアンを見ていない盗賊は、幼いアンの歩幅を考慮にいれ、決して走ることなく、早足で追いかけていた。

 狩りが簡単ではつまらないとばかりに、執拗にアンを追い詰めて行く。剣を高々と掲げながらアンを追う盗賊の顔は、愉悦に満ちていた。

 アンは懸命に走る。

 小さく短い歩幅ながらも、その回転数を上げ懸命に前へ前へと踏み出して行くのだが、後ろの男との距離は広がらない。いや、縮まりもしないのだ。

 だからこそ、アンは諦める事をせずに懸命に走る。

 

「ほらほら、どうした。そんなんじゃ追いつかれちまうぞ!」

 

 賞金がすぐ目の前まで来ていることが盗賊の余裕を生んでいるのかもしれない。アンのスピードが緩まれば、自身の歩くスピードも緩める。

 アンに希望を与えながらも、絶望を味あわせ、そのアンの表情に愉悦を感じているのだ。

 

「はぁ……はぁ……ぐずっ……はぁ…はぁ……」

 

 盗賊の目論見通り、涙や鼻水をすすりながらも懸命に走るアンは、後ろから追って来るその男しか見ていなかった。

 故に、前から聞こえる弓を引き絞る音が聞こえていなかったのだ。

 

「あっ!!」

 

 アンを追う盗賊の叫び声に、後ろを振り返りながら走っていたアンの顔が前方に向けられる。 

 

「……ごふっ……」

 

 アンが振り返るのと同時に、その小さな胸に矢が突き刺さった。

 アンには何が起きたのか理解が出来ない。息を吐いていた口からは、真っ赤な液体が出て来ていた。

 先程まで呼吸困難に近いながらも、しっかりと空気を吸う事の出来ていた胸は、今はもう思うように動いてはくれない。

 

「!!」

 

 高速に回転していたアンの短い脚は、そのスピードを落とし、もはや前に出す事も叶わなくなっていた。

 アンの視界が、霧がかかったように霞んで行く。もう、どこが痛くて、どこが苦しいのかすら分からない。アンの身体が地へと沈みそうに崩れ始め、霞がかかりながらも、わずかに見えていたアンの瞳が、前方で再び弓を構える男の姿を捕らえた。

 

 それは、真っ先に母親を組敷いた男。

 それは、アンを殴り、号令を掛けた男。

 

 その男の姿が、アンがこの世で見た最後の映像となった。

 再び引き絞られた弓から放たれた矢は、膝を地面につけたアンの額に突き刺さり、糸が切れた人形のように、アンの身体は崩れ落ちて行く。

 

「汚ねぇぞ、兄貴! 俺が追い詰めていたんだぜ!」

 

「ああ? 俺は言っただろ、『武器はなんだって良い』と。剣なんかを振り回しているてめぇが悪いんだろ。とにかく賞金は俺のもんだ」

 

 アンを後ろから追っていた盗賊の不平をどこ吹く風で聞き流し、男は弓を背負い直す。男の言っていた通り、武器は何を使っても良い事になっていた。

 しかし、それを言うのなら、この十人の中で、今回弓を持っているのは、矢が二本刺さったままになっている少女を引き摺っている男だけなのである。必然的に他の盗賊は、剣や槍などの直接的な武器となってしまう。そう考えれば、最初から結果が解っていた出来レースのようなものだ。

 

「ちくしょう……わかったよ。その変わり、そのガキを見つけたのは俺なんだ。少しぐらい分け前をくれても良いだろ?」

 

 しかし、兄貴分に当たるこの男に直接そのような事が言える筈はない。

 故に、口から出たのは最大限の譲歩案なのであろう。

 

「ああ? 仕方ねぇな。気持程度にはやるよ」

 

「本当か!? やったぜ! でもよ、そのガキや母親の死体はどうするんだよ。村の連中が見つけたら問題になるぜ」

 

 兄貴分に当たる男の回答を聞いて、喜んだ男であったが、不意に後始末に関しての疑問と不安が頭を過った。

 実際に村にいる道具屋の主人は、今頃は血眼になって妻と娘を探しているだろう。もし、死体が発見され、それがカンダタ一味の仕業だと解れば、それはカンダタへ報告される事となる。その時、身が危ないのは、彼ら十人なのである。

 

「そんな事は、心配する必要はねぇんだよ。夜の山じゃ、魔物がうじゃうじゃいる。そのまま放っておけば、魔物が掃除してくれらぁ」

 

 既に、母親の死体は魔物が食している最中かもしれない。アンの死体は仲間の確認の為、運ばなければならないが、母親と同じ所に置いた後で、宿営地を移せば、それだけで証拠は隠滅されると考えているのだ。

 

「そりゃそうだな。流石、頭が良いぜ」

 

 夜も深まり、周辺が暗い山中に、二人の男達の笑い声が木霊する。唯一の明かりを発する月だけが、その一部始終を見ていた。

 

 

 

 これが、男達が死の恐怖からカミュに話した事実。

 メルエが詠唱を行う程の怒りを露わにした内容。

 そして、常に冷静沈着なカミュを鬼に変えた原因である。

 

 

 

 

 




読んで頂き、ありがとうございました。

この話は賛否両論あると思います。
もしかすると、否のほうが多いかもしれません。
しかし、この物語全体を通して必要なイベントとして描かせて頂きました。

ご意見、ご感想を心よりお待ちしています。

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