新訳 そして伝説へ・・・   作:久慈川 京

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ダーマ神殿①

 

 

 

 カミュ達に遅れて、赤く腫れた目を下げて神殿の扉を開けたサラは、扉の先で、まるで来る者を吟味するように佇む分厚い扉を見た。

 建物に入る扉の向こうに、もう一つの扉が存在する事は、通常の王城では当然の設備である。

 だが、ここは神殿であり、敵からの攻撃に備える事など、必要ではない筈。

 

「ようこそ、ダーマ神殿へ」

 

 自分背丈の数倍もある大きな扉を見上げていたサラの横から突然掛った声に、勢いよく首を動かしたサラの視界に、一人の男性が入って来た。

 法衣に身を包む訳でもなく、どちらかと言えば一国の大臣のような姿。

 ダーマ神殿の主ではないが、管理者といったところだろうか。

 

「何時以来でしょう。この<ダーマ神殿>へ自力で辿り着いた僧侶は」

 

「……カミュと申します……」

 

 感慨深い瞳を一行に向ける男に、カミュが頭を下げた。

 あれだけ『精霊ルビス』を侮辱するような事を発言していたカミュであったが、いつものように仮面を被る。

 

「ふむ……もしかすると、この<ダーマ>は貴方方には必要のない場所かもしれませんな」

 

「えっ!?」

 

 カミュの挨拶に、頭を下げ返した後、男は一行をまじまじと見つめ、そして呟く。その小さな呟きをサラは聞き逃す事はなく、ここまでの道で自分が犯した罪を見抜かれたのではと焦燥に駆られた。

 

 『お前は、この場所に足を踏み入れる資格はない』

 『もはやルビス様の加護がお前に届く事はない』

 

 そう言われたように感じたのだ。それ程に、目の前に立つ男の瞳は鋭く、まるで全てを見通しているかのように透き通っていた。

 透き通ると言っても、メルエのような純真無垢な瞳ではなく、様々な経験を含み、その上で人の心を見通すような瞳。

 それにサラは怯えた。

 

「……それは、どういう事でしょうか?」

 

 固まってしまったサラの代わりに先頭に立っていたカミュが問いかける。

 リーシャもまた、この男の真意が分からずに、厳しい視線を向けていた。

 

「ああ、それは……いえ、私がお伝えする事ではないでしょう。本日はもう陽も落ちました。明日、神殿内で教皇様にお会いするのがよろしいかと」

 

「……」

 

 カミュの問いかけに答えようとした男は、一瞬何かを考えるように言葉を途切り、そしてその理由を口にする事はなかった。

 日時を変えて、この神殿内の主と言葉を交わす事をカミュ達へ勧めて来る。

 

「この廊下を右に真っ直ぐ進むと、宿があります。宿と言っても、簡易な物ですが。今夜はそちらでここまでの疲労を癒し、明日の朝、もう一度この場所でお会いしましょう。その時までに教皇様への謁見の準備はしておきます」

 

「……畏まりました……」

 

 ここで無理をする必要がない事を悟ったカミュは、素直に男の提案を受け入れる。第一に、もはや今日の疲労で、メルエは半分眠っていたし、サラは疲労困憊の状態だ。

 サラの状況を考えれば、今は何を言われても、それを考える事など出来はしないだろう。

 

「では、また明日」

 

「……失礼致します……」

 

 男にもう一度頭を下げたカミュは、男が指示した方角に歩いて行く。

 そのマントの裾を握り、メルエもまた歩いて行った。

 残されたサラは未だに固まったままだ。

 

「サラ、行こう」

 

「あっ! は、はい」

 

 男に一礼をした後にリーシャが歩き、その後を付いて行こうと、慌てて下げたサラの頭の上から、男の声がかかった。

 

「私がこの神殿に仕えてから、もう長い月日が流れます。しかし、その間にこの神殿に辿り着いた本当の『僧侶』は貴女だけです」

 

「!!」

 

 サラが勢いよく上げた視線の先に、人の良さそうな笑顔が写る。

 その表情を見て、サラは再び罪悪感に駆られるのだ。

 

「サラ!」

 

「は、はい!」

 

 サラの変化に気づき、先程よりも強い口調で呼ぶリーシャの言葉に、もう一度勢い良く頭を下げたサラは、そのまま駆け足でリーシャのもとへと急いだ。

 残った男は、そんな一行の様子に目を細め、柔らかく微笑んだ。

 

「……ここへは、本来であれば、貴女のような者しか来る事は出来ないのですよ……」

 

 そんな男の言葉が、暗闇に支配された廊下に響き、すぐに消えて行った。

 

 

 

 廊下を歩き、突き当たりまで行くと、上へと続く階段が見えて来る。カミュは、もはや完全に眠りに落ちそうなメルエを抱きかかえ、その階段を上って行った。

 階段を上るとすぐにカウンターがあり、そこに一人の店主が座っている。

 宿屋と言っても名ばかりの物で、この<ダーマ神殿>に辿り着く者がいない以上、店主に仕事はないのであろう。昼の間に清掃などを済ませてしまえば、今と同じようにカウンターに座り舟を漕ぐだけなのかもしれない。

 

「……すまない……一晩泊まりたいのだが」

 

「!?……はっ! こ、こりゃ、珍しい」

 

 カミュが小さな声と共に、その店主の肩を揺らすと、驚いた店主の顔が跳ね上がった。

 カミュとその腕で眠るメルエ。そして、後から階段を上って来た二人の女性を見て、店主は更に目を丸くする。

 

「できれば、二部屋か三部屋をお願いしたいのだが」

 

「あ、ああ。喜んで。見ての通り、部屋なら選び放題。二部屋だろうが三部屋だろうが、四人で8ゴールドだ」

 

「8ゴールド!!」

 

 カミュの依頼に、作り物ではない笑顔を満面に浮かべ、店主が提示した金額を聞いてサラは驚きの声を上げた。

 それ程に安い価格だったのだ。

 実際は、サラの故郷であるレーベの村と同等の価格体系である。

 

「はははっ。まぁ、ここは、基本的にダーマ神殿の所有する宿だ。支払って貰っている金額も食事代金だけだからな」

 

「食事は出るのか?」

 

 サラの驚いた顔を見て、店主は軽く笑い声を上げながら頷いた。

 リーシャもまた笑顔になり、そのリーシャの顔を見て、サラもまた笑顔を浮かべる。二人が笑い合うのを余所にカミュが溜息を吐いていた。

 

「サラ、食事の前にメルエを起こして湯浴みをさせてやってくれ」

 

「は、はい」

 

 部屋の鍵を店主から受け取った一行は、それぞれの部屋へと入って行く。未だに眠るメルエをカミュから引き剝がし、宝物でも抱くように抱きかかえるリーシャに苦笑しながら、カミュは自らの部屋に入って行った。

 

 

 

 皆が寝静まり、宿屋の明かりが消えた頃、サラは一人宿屋を出て行く。この宿屋へと入る前に、教会を目に留めていたのだ。

 実質、この<ダーマ神殿>自体が大規模な教会であるのだが、『神殿』という名が示すとおり、それは神域に近い物として考えられ、一般の礼拝が出来る場所ではない。

 故に、別に礼拝が出来る教会を設けていたのだ。

 もはや、神父もいないが、一日中迷える者の為に門が開け放たれている教会には、明かりが灯されており、サラは正面に見えるルビス像へと歩を進めた。

 明りに照らし出されたルビス像は、サラが幼い頃より毎日見て来た物と同様に、優しく慈愛に満ちた笑みを浮かべている。

 

「……ルビス様……」

 

 ルビス像の前に跪き、手を胸の前で合わせたサラは言葉を漏らす。

 その表情は、正しく迷える者。

 己の中に存在し始めた確かな想いを否定する事も、肯定する事も出来ない者の表情。

 それは、サラの心を顕著に表わしていた。

 

「私は……私はどこへ向かえば良いのでしょうか……」

 

 サラの呟きは闇に溶けて行く。

 その呟きに答えはなく、ただ静けさだけが広がっていた。

 

「もはや資格のない者が、こうしてルビス様の前でお祈りを捧げる事をお許し下さい」

 

 手を合せ跪くサラは顔を上げる事が出来ない。

 それはサラの胸の内にある罪悪感。

 ルビスの教えと称される物を裏切ったと考える心故の物。

 

「私は、ルビス様のご加護を頂いていたからこそ、ここまで生きて来る事が出来ました。両親を失い、ただ魔物に襲われるのを待つだけであった私をお救いして下さり、神父さまのような方との出会いまで頂きました」

 

 サラが語る言葉と共に、床に大粒の滴が零れて行く。

 サラ自身、己が涙を流している事に気が付いていないのかもしれない。

 

「それにも拘わらず……私は……私は……」

 

 カミュへ強い口調で主張したサラはここにはいない。

 リーシャに己の胸の内を吐き出したサラもここにはいない。

 ここにいるのは、未だ修行中の若い一人の僧侶。

 

「私には、もはや僧侶としての資格も、ルビス様の御前に出る資格もありません。それでも……それでも私は、ルビス様を……」

 

 それ以上の言葉を繋げる事は出来なかった。

 もはや、零れ落ちる涙は堰を切り、口からは嗚咽が溢れ出す。

 崩れるように頭を下げたサラは、その場で咽び泣いた。

 無情な笑みを浮かべたままのルビス像は、何も答えない。

 サラの心のように暗く静まり返った教会に、一人の僧侶であった者の嗚咽が響き続けた。

 

 

 

 翌朝、朝食を取り終えた一行が宿屋を出ると、階下で昨日の男が待っていた。男が待っていた事に驚いたカミュではあったが、それを表情には出さずに、一つ頭を下げる。

 

「お待ちしておりました。教皇様がお待ちです」

 

「何から何まで、恐れ入ります」

 

 人の良い笑顔を見せた男に、もう一度頭を下げるカミュを見て、マントの裾を握っていたメルエも小さく頭を下げる。

 そんな幼い付き人の姿に男は笑顔を濃くした。

 

「では、こちらに」

 

 そう言って先頭を歩き出す男の背中を追って、一行は廊下を歩き出す。昨日通った道を戻りながら、リーシャは前を歩くサラの背中を見ていた。

 

 今朝見たサラは笑顔だった。

 しかし、その笑顔は完全な作り物。

 おそらく、カミュも気がついているだろう。

 隠しようのない程にくっきりと残る涙の跡。

 赤く腫れた瞼。

 同じ様に真っ赤に充血した瞳。

 彼女は一晩中泣いていた筈だ。

 

 彼女の中の全てと言っても過言ではない『精霊ルビス』への信仰というものが崩れ去り、今のサラには支えとなる物がない。

 彼女は、両親を失ったその日から、どんなに辛くとも、どれ程哀しくとも、『精霊ルビス』の教えを支えに生きて来たのだ。

 

 『自分が生きているのも、<精霊ルビス>のご加護のお陰』

 

 そう信じて生きて来たのだろう。

 その教えを自ら破り、心の支えであったルビスからの加護を手放してしまう。

 昨日は気丈に前を見ていた。そして、今も自分達に笑顔を向けている。しかし、その内面はどれ程の苦悩が渦巻いているのだろう。

 どれ程の絶望と、どれ程の後悔が押し寄せているのだろう。それを考えると、リーシャの目頭が熱くなる。

 

 サラは確かに成長した。

 それは、リーシャが目を見張り、舌を巻く程に。

 だが、それ故にサラは無理をしている。

 それがリーシャには哀しかった。

 

「さあ、こちらです」

 

 リーシャが物思いに耽っている内に、一行は昨日見た大きな扉の前に辿り着いていた。先頭を歩いていた男は、扉の端に身体を移動し、手を門へ向けて、カミュを促している。

 サラは再び前にしたその扉を仰ぎ見ていた。

 

 そして扉は開かれる。

 全世界の全ての僧侶の目指す地であり、ルビス教の聖地へと続く扉が。

 サラが己の支えを失って尚、切望していた場所へ誘う扉が。

 

「……あ…あ……」

 

 そして、扉の向こうの景色をサラは見た。

 最も神々に近い場所と謳われるその聖地は、天井に張り巡らされたステンドグラスによって、空から降り注ぐ陽の光を様々な色へと変化させている。

 赤や青、中には黄色の光や淡いオレンジ色の光もある。それが『幻想の世界に迷い込んだのでは?』と錯覚させる程に神秘的な色合いを作り出し、聖地を染め上げていた。

 周囲には赤々と炎が灯され、カミュ達が進む道を照らし出しており、長い回廊には赤い絨毯が敷かれ、来客の行き先を指し示している。

 前方には、祭壇らしき物が見えるが、その祭壇にいる人物までは、離れているために判別が出来ない。

 

「……行くぞ……」 

 

 余りの光景に、呆然と声も出せないサラをカミュが促す。カミュの声を聞いても、その光景から目を離す事が出来ないサラの手を、移動して来たメルエが握り、サラの身体を少しずつ前へと進めて行く。

 カミュやサラに遅れ、最後に中へと入ったリーシャもその光景に暫し見とれていたが、先程の男に一言礼を言おうと振り返った時には、既にその扉の周辺に男の姿はなかった。

 その事を、不思議に思ったが、『仕事に戻ったのだろう』と差して気にも留めず、リーシャはサラの後を追う。

 全員が中に入り終わると、重く大きな扉は、まるで役目を終えたかのように、閉じられて行った。

 

 

 

「よくぞ参った」

 

 幻想的な世界に首を動かしながら、どれくらい進んだ頃だろう。とても広大な聖地を歩き、前を歩くカミュが跪いた事に気付くよりも前に、その声はサラの耳に届く。

 それはとても厳格で、それでいてとても優しく、そして何よりも暖かな声だった。

 

「……アリアハンから参りました、カミュと申します……」

 

 慌てて跪くサラは、顔を上げる事が出来ない。如何にルビス教を信仰している僧侶とはいえ、サラはカミュに付き従う者の一人でしかないのだ。

 

「うむ。面を上げよ。おお、供の者も良い」

 

 想像とは違い、何とも気さくな声がかかった。

 その言葉にカミュは顔を上げ、リーシャ達も恐る恐る顔を上げる。

 ただ、サラだけは、未だに赤い絨毯を見つめていた。

 

「ふむ……ここは転職を司る<ダーマ>。ここに立ち寄る事を認められた者は、実に久方ぶりじゃ」

 

 顔を上げた一行の前にある祭壇の上に座る老人が一人。この好々爺にしか見えない者が全世界のルビス教徒の頂点に立つ『教皇』なのだろう。

 そして、もう一人。年の頃は三十を超えた程の男が、その教皇の脇に立っていた。その瞳は優しく、教皇と同じように、久方ぶりの客人を心から歓迎している事を窺わせるものだった。

 

「……『認められる』とは?」

 

 教皇と、その従者の暖かな眼差しに気を取られていたリーシャとは違い、カミュは教皇の発した言葉の一つに引っかかりを感じた。

 まるで、自分達がここに来る間に選定され、許可を貰ってここにいるかの様な言葉に、疑問を感じたのだ。

 

「うむ。この神殿は通常の人間には見えぬ。いや、見ようとはしないのかもしれぬな」

 

「……」

 

 カミュの疑問に気分を害した様子もなく、教皇はその答えを話し出す。

 だが、それはとても抽象的な物で、カミュ達が理解するには難しいものだった。

 

「お主達は、あの扉を潜る前に、あるお方にお会いせなんだか?」

 

「……はい。ここまでのご案内をして頂きました」

 

 教皇が続けた問いかけに、その理由が分からないまま答えるカミュ。

 流石のカミュも、教皇の意図する事が全く見えて来なかった。

 リーシャは尚更である。

 

「そのお方は、この<ダーマ神殿>の初代教皇様じゃ」

 

「!!」

 

 現教皇が漏らした事実に、メルエ以外の三人が驚きを表す。余りの驚きに、今まで何かに耐えるように顔を上げる事をしなかったサラまでも、弾かれたように顔を上げ、驚きに目を見開いた。

 

「ふふふ。驚くのも無理はない。あのお方は死して尚、この神殿を目指す者達を選定しておる。悪しき者にこの神殿が有する能力を利用されぬようにの」

 

 カミュ達の驚きの表情に満足したように微笑む教皇の姿は、正しく好々爺。とても、ルビス教徒の頂点に君臨する者とは思えぬ雰囲気に、カミュ達が纏う緊張も和らいでいった。

 

「で、では、あのお方は……」

 

 だからであろう。後ろに控え、今まで顔を上げる事すら出来なかったサラが口を開いてしまう。

 自らが信仰し、その資格すら無くなったと涙したルビス教において、雲の上の存在である教皇の前で許しもなく発言するなど、通常時のサラでは考えられないのだ。

 驚愕に彩られた瞳は忙しなく動き、跪いている足は小刻みに震えている。

 それは、どこかで見た事のあるようなサラの姿だった。

 

「…………あわ………あわ…………」

 

「!! メ、メルエ!」

 

 そんなサラの姿を見て、何かを思い出したようにメルエが口にした物は、サラの忌まわしい記憶を呼び起させるものであり、思わず叫んでしまう。

 とても、厳粛な場所で発する物でもなければ、幼い頃から憧れていた場所で取る態度でもない。それ程に、このルビス教徒の頂点にいる教皇と呼ばれる老人と、その横に控える男の醸し出す空気は暖かい物だったのだ。

 次第に、顔を上げていたカミュの顔からも仮面が外れ、呆れた表情を浮かべている事がそれを証明していた。

 

「ふぉふぉふぉ。そなたはメルエと申すのか?」

 

「…………ん…………」

 

「メ、メルエ!」

 

 教皇の問いかけに、真っ直ぐ教皇を見つめ、不躾に返事を返すメルエに、サラは苦言を呈する。今更な感は拭えないが、ようやくサラは今自分が置かれている場所を改めて認識する事が出来たのかもしれない。

 

「そうか、そうか。ふむ。何やら懐かしき物を感じてはいたが、あのお方がここへ通したのも当然よの」

 

「…………???…………」

 

 教皇の言葉に、思わず首を傾げるメルエ。しかし、横にいるサラの厳しい視線を受け、メルエは顔を下げた。

 『…………おに…………』という一言を添えた事により、尚更厳しい物に変わってしまい、反対側にいるリーシャの手を握ってしまったのは愛嬌だろう。

 

「お主達には、本来この<ダーマ神殿>と呼ばれる場所は必要ない物であろう」

 

「それは……」

 

 メルエから視線をカミュへと移した教皇は、カミュ達の疑問を大きくする言葉を溢す。そして、それに反応を示したカミュへ、愉快そうな笑顔を浮かべ、再び口を開いた。

 

「ふむ。そもそも、この<ダーマ>は転職を司る場所。己の中に眠る可能性を引き出し、その者の職を変える事が出来る場所じゃ。しかし、見たところ、お主達は総じて現状の職に不満を持ってはおらん。故に不要だと申した」

 

 しっかりとした口調で告げる教皇の瞳に、サラの心は吸い込まれそうになる。それ程にルビス教の頂点に立つ老人が持つ空気は強い物だったのだ。

 だからであろう、普段ならば、あり得ないような言葉がカミュの口から零れていた。

 

「……私は……」

 

「たわけ! 『勇者』と呼ばれる職を辞する事はできん! その職はお主が決める物ではなく、お主という存在が起こす行動や、言動、そしてその心を指し示す呼称に過ぎん。厳密に言えば、それは職ではない」

 

 しかし、教皇の言葉に異論を挟もうとしたカミュの言葉は、その教皇によって遮られた。

 先程までの好々爺の表情は消え、厳しい目をカミュへと向けている。それは、正しく頂点に立つ者の威厳。

 

「それにの……『勇者』と呼ばれる者でここに来る事が出来たのは、お主が初めてじゃ。それが何を意味するのか、それは私には解らん。だが、古来より、『勇者』とは一時代に一人しか存在せん。この世界に生きる者の中で、お主が唯一の『勇者』なのかも知れん」

 

 何故、カミュが『勇者』である事が解ったのか。

 それを教皇は一言も示してはいない。

 しかし、カミュには、まるで全てを見透かされているように感じた。

 自分という人間も、その生い立ちも、胸に渦巻く苦悩も。

 

「お、畏れながら!」

 

 そんなカミュの胸中を余所に、その後ろから声が上がった。それは、このような謁見の場面で、今まで一言も口を開いた事のない女性の声。

 何か思うところによって上気した顔を挙げ、声を上ずらせながらリーシャが口を開いたのだ。

 

「申してみよ」

 

「はっ! 畏れながら、私のような魔法力のない者であろうと、魔法が使えるようになるのでしょうか?」

 

「……リ、リーシャさん……」

 

「……」

 

 教皇の許可が下り、口を開いたリーシャの言葉にサラは驚き、カミュは思わず溜息を吐いてしまう。

 彼女が魔法という物に憧れを持っている事は知っていた。しかし、カミュもサラも、リーシャの憧れがこれ程強い物だとは思っても見なかったのだ。

 

「ふむ。人は誰しも、その身体に魔法力を備えておる。要はそれを表に出す事が出来るかどうかじゃ」

 

「で、では!」

 

「うむ。生まれ持った魔法力の才を大きく逸脱する事は不可能じゃが、魔法を使えるようにする事は出来る」

 

 リーシャの問い掛けに対し、教皇が返した言葉は、リーシャの瞳を輝かせるのに十分な答えであった。

 その目は輝き、希望によって薄い唇が微かに震えている。

 その様子に、カミュはもう一度大きな溜息を吐いた。

 

「じゃが!」

 

「!!」

 

「魔法を使う職業に転職するという事は、お主が戦士ではなくなるという事。今のお主が持つ才能や特性を失うという事じゃ。つまりは、この先筋力の上昇は望めなくなる。通常の魔法使いよりは力は強いが、戦士や武闘家等よりも劣る事になる。そして、先程も申したが、生まれ持っての魔法力の才は変えられぬ。つまり、その者の才が乏しければ、魔法力が通常の魔法使いよりも劣る可能性もあるという事じゃ」

 

 目を輝かせていたリーシャに向けて、一際大きな声を発した教皇は、その転職による難点を語り出す。それは、決してリーシャにとって簡単に受け入れる事が出来るような、生易しい物ではなかった。

 

「……」

 

 愕然と頭を下げてしまったリーシャに、カミュはもう一度溜息を吐く。それは、リーシャの行動に呆れたというよりも、その考えに呆れたような物だった。

 カミュには、リーシャの考えや憧れが理解出来ないのかもしれない。生まれ持っての魔法力を持ち、筋力も戦士並の物を持っているカミュにとっては、『魔法』とは決して神秘ではないのだろう。

 

「ふむ。これ、そこの若い僧侶よ」

 

「は、はい!」

 

 一段落がついたリーシャから視線を外し、教皇は最後に残る、法衣を纏った少女に声をかける。突然掛かった声に驚いたサラは、周囲の者も驚く程の声量で返事を返した。

 

「ルビス様にお仕えする身の者がここを訪れたのは、この私の後継者となる者以来となる」

 

 教皇は傍に控える男に手を向け、紹介を受けた男は、にこやかな笑顔を向け、カミュ達へ軽く一礼をした。

 サラは、先程から暖かな視線を向けながらも、一言も発する事がなかった男性が次期教皇である事を知り、驚きを隠せないまま、慌てて顔を絨毯へと下げる。

 

「お主もまた、私の後を継げる者なのかも知れん」

 

 そして、続く教皇の言葉に、サラの顔は再び弾かれたように上げられた。

 予期していなかった言葉は、サラの脳を一瞬混乱に陥れるが、その熱は瞬時に冷まされて行く。

 サラの脳裏に再びあの罪悪感が襲い掛かったのだ。

 

「お主が望むのならば、『僧侶』として、この場所で更なる修行を積むが良い」

 

「い、いえ! 畏れ多いお言葉」

 

 慈愛に満ちた教皇の言葉。

 そして、ある意味、次期教皇として、自分の敵になりかねないサラに対し、変わらぬ笑顔を向けている男性。

 しかし、サラは即座に言葉を返す。その早さに、若干の驚きを浮かべた教皇は、もう一度サラの顔を見ようと視線を向けるが、サラの顔は、まるでそれから逃げるように下げられてしまった。

 

「ふむ。何か不満かの?」

 

「い、いえ! 有り難いお言葉なれど……私には、もはやそれをお受けする資格はございません」

 

 不思議そうに問いかける教皇に対して発したサラの答えに、リーシャは苦い顔を浮かべる。

 昨日から悩むサラの問題は、リーシャやカミュが考えているよりもずっと深いものなのかもしれない。

 その事にリーシャは眉を顰めた。

 

「……資格?」

 

「は、はい」

 

 サラが放った言葉に首を傾げた教皇の眉が顰められる。

 もし、次期教皇となる『資格』が必要であるとすれば、この<ダーマ神殿>に辿り着いた段階で、サラは資格を有した事になる筈。それにも拘らず、視線を背けるサラを訝しげに見た教皇は、ある一つの結論に達した。

 

「ならば、お主も転職を望むのか?」

 

「そ、それは……」

 

 他の三人を完全に置き去りにして交わされる教皇とサラの会話は、心地良い物ではなかった。

 サラの苦悩を知っているカミュやリーシャは、その想いを理解している分、身に詰まされるものなのだ。

 『転職』という言葉を聞き、もう一度顔を上げたサラは、教皇と視線がぶつかった。『畏れ多い』と視線を下げようとするが、その眼力というべき力に、サラは視線が外せない。

 まるで自分の中身を見透かされるような強い視線を受け、サラは暫し硬直してしまった。

 

「ふむ。そうか……私もまだまだ未熟じゃの。お主こそが、この<ダーマ>を見出した者であったか」

 

「……」

 

 暫し、サラの内心を見つめるように見ていた教皇が、柔らかく自嘲気味な笑みを浮かべ、独り言のような呟きを発する。その呟きはとても小さく、教皇に傍に控える次期教皇である男性にしか聞こえない物であった。

 

「本来、お主達に『転職』等という物は必要がない。だが、それでも何かを想うのであれば、この<ダーマ>より北へ進み<ガルナの塔>へと向かうが良い」

 

「……ガルナの塔でございますか?」

 

 一度カミュ達全員を見渡した後、教皇はカミュ達へと何かを含む言葉を掛ける。それに疑問を返したのは、カミュだった。

 自分達に、この場所を訪れる必要がなかったにも拘らず、次の指針を示す教皇に疑問を覚えたのだ。

 

「うむ。もし、お主が言う『資格』とやらをその目で見たいというのであれば、行ってみよ。お主が選ばれし者であれば、必ず『それ』の方からお主に呼びかけるじゃろう」

 

「……」

 

 教皇の言葉に、カミュ達三人は言葉が出ない。唯一人、メルエだけが何も解らず、不思議そうに三人の表情と教皇を見て首を傾げていた。

 

「お主達が<ガルナの塔>で何かを見つけた時、再び私の前に現れる事となるだろう。その時まで、暫しの別れじゃ」

 

「……はっ……」

 

 その言葉を最後に、教皇は傍に控えし次期教皇と共に祭壇を降りて、奥へと消えて行った。

 残された四人の間に何とも言えない空気が漂う。教皇が何を示唆し、何を自分達に伝えようとしているのかが、全く見えて来なかった。

 ただ、一つだけ言えるとしたら、自分達はこの<ダーマ神殿>の北にある<ガルナの塔>と呼ばれる場所へ行かなければならないという事だけ。

 教皇の最後の言葉は、自分達との再会は必然である事を示していた。

 それは、<ガルナの塔>で自分達が、いや、自分達の内の誰かが何かを得る事を意味している。そして、それはこの旅で重要になる出来事なのだろう。

 

「サラ、行こう」

 

 カミュが立ち、その後をメルエが付いて行った。

 リーシャも立ち上がるが、サラだけが未だに跪いたまま赤い絨毯を睨んでいる。

 

「サラ、今は考えるよりも行動だ。教皇様が何を私達にお伝え下さったのかは、私には解らない。だが、きっと教皇様は私やカミュにではなく……サラ、お前におっしゃられていたのだ」

 

「えっ!?」

 

 リーシャの声にも気付かない様子で下げていたサラの顔が、弾かれたように上がった。

 リーシャはそのサラの瞳を見て顔を顰める。

 自信の欠片もない瞳。

 自身が『僧侶』としての資格を失ったと悩み、それでも踏み入れた聖地に君臨する、ルビス教の最高位なる教皇の威厳に当てられたのだろう。

 

「サラの悩みは解る。いや、私には正確な意味では解らない。だが、今は悩み、塞ぎ込んでいる場合ではない。常に悩み、考え、答えへと進むサラはどこへ行った!? それとも、サラの旅はこの場所で終わるのか!?」

 

「い、いえ!」

 

 顔を上げたサラの目に映る、リーシャの真剣な瞳。

 そして、強い口調で叱咤する言葉に、サラは勢い良く立ち上がる。

 立ち上がり、自分の目を真っ直ぐ見つめるサラに、リーシャは頬を緩めた。

 

「よし。さぁ、行こう。外でカミュもメルエも待っている筈だ」

 

「はい!」

 

 サラはこの時、リーシャという騎士が自分の傍にいる事を深く感謝した。

 いつも、自分が奈落に落ちそうになる時に、その手を掴み、もう一度引き上げてくれる人間。

 そして、『もう歩けない』と弱音を吐きそうな時に、尻を叩いて立ち上がらせてくれる人間。

 サラにとって、それは『太陽』であった。

 力強く、そして暖かく、厳しく照りつける時もあれば、優しい光を注いでくれる時もある。暗闇に落ち、道を失いそうな時、全ての闇を薙ぎ払うように強い光を届けてくれる。

 それは、正に『太陽』。

 

 英雄ではない。

 勇者でもない。

 それでも、サラにとってリーシャとは、目標にすべき『太陽』であった。

 

 

 

「……陽が落ちる前に、この山の中腹までは下りたい……」

 

 リーシャを追って、サラは大きな扉を出る。城門のような重い門の前にカミュとメルエは立っていた。

 リーシャを確認すると、この後の方針をカミュが話し始める。行きは数日掛かった山道を、出来るだけ早く下りたいというカミュの言葉に、リーシャは一つ頷いた。

 

「しかし、残念だ。魔法が使えるようになると思ったのだが」

 

「……」

 

 門に向かって歩き出そうとした時に、後ろを振り返ったリーシャが漏らす言葉に、カミュは盛大な溜息を吐く。そして、振り返ったカミュの表情は無表情ではなく、真面目なものだった。

 

「な、なんだ?」

 

 そんなカミュの表情に怯んだリーシャは、言葉を詰まらせながら、カミュへと問いかける。サラも、カミュが何を言うつもりなのかが解らず、じっとカミュの表情を見つめていた。

 

「……魔法はメルエがいれば良い……」

 

「…………ん…………」

 

 リーシャの目を見て発せられたカミュの言葉に、マントの裾を握っていたメルエが大きく頷いた。

 自分の役割を取られる事に対しての抵抗なのかもしれない。

 

「し、しかし!」

 

「それに、アンタが魔法使いになったところで、何が出来る?」

 

 流石のリーシャも、このカミュの言葉に『むっ』と顔を顰める。

 自分が魔法を使いたいという願望がないとは言わないが、それでも、この仲間達の事を考えての物が大半なのであったのだ。

 

「私が魔法を使えるようになれば、その分戦闘が楽になるだろう!?」

 

「……いや。それはないな……」

 

「…………リーシャ………まほう………だめ…………」

 

「そ、そうですね。どちらかといえば、邪魔になる気が……」

 

 『仲間の為に』

 そんな思いを吐き出したリーシャに対する答えは、全て否定的な物だった。

 中でも、サラのは酷い。

 助けどころか邪魔になるとまで言うのだ。

 

「なんだと!?」

 

 当然リーシャは、怒り心頭と言った様子で激昂した。

 そんなリーシャに、カミュは溜息を一つ吐いた後に口を開く。

 それは、アリアハンを出た頃では考えられない一言。

 そして、その言葉に、リーシャは言葉を失った。

 

「アンタは、前線に俺一人で行けと言うのか? 魔法を使える人間は二人いれば十分だ。アンタが前線に出ているからこそ、メルエの魔法も効果を発揮する」

 

「……カミュ様……」

 

 『一人で旅をする』と言い張り、リーシャやサラは勝手について来る人間と考えていた筈のカミュの言葉に、サラは目を丸くした。

 

「魔法が効かない魔物が出て来たらどうする? それこそ、アンタのような人間が絶対的に必要になる筈だ」

 

「わ、わかった」

 

 ようやく搾り出されたリーシャの声。

 それは、どこか感動にも似た感情が織り込まれた声だった。

 『自分が必要とされている』

 それがカミュの言葉に表れている事への驚きと喜びが入り混じった声。

 

「まぁ、アンタが魔法使いに転職したとしても、メルエ以上の魔法力を持つ筈がない。二人の魔法使いが必要ない以上、メルエではなく、アンタと別れる事になるだろうな」

 

「ぐっ……」

 

 だが、そんなリーシャの感動は、瞬時に崩れ去る。

 教皇の言葉を信じるのであれば、カミュの言う通り、リーシャが転職したとしてもメルエの魔法力には敵わない事は確かだろう。

 だが、『魔法使いならメルエの方が上なのだから、魔法使いとして転職したリーシャはいらない』とはっきり言われると、それはそれで悲しい物があった。

 

「…………リーシャ………つよい…………」

 

 落胆したように顔を下げるリーシャの目に、カミュの足元から自分の下へと移動し、自分を見上げる件の少女が入って来る。まるで、『自分は知っている』とでも言うように、自信に満ちたメルエの瞳を見て、リーシャは笑みを溢した。

 

「ああ。剣の腕なら、カミュ等よりずっと強いぞ」

 

「…………ん…………」

 

 微笑を浮かべながら答えるリーシャに、メルエもまた、笑顔で頷く。

 メルエの頭を優しく撫でながら、彼女は誓うのだ。

 『自分が出来る事で、この者達を護りきるのだ』と。

 リーシャの瞳に、再び強い光が宿った事に、カミュも軽い笑みを浮かべる。

 

「……行くぞ……」

 

 踵を返したカミュは、ルビス教の聖地を後にする。その後を追ってリーシャが歩き、その手をメルエが握った。

 そんな三人を追うように歩き出そうとしたサラの視界に、メルエの奇妙な行動が入って来る。

 

「……メ、メルエ?……ま、まさか……」

 

「…………ん…………」

 

 今まで、進行方向とは逆を見ながら、もう片方の手を振っていたメルエが、サラの言葉に大きく頷いた。

 それは、サラに見えない者を見ていた証。

 おそらく昨夜いたあの男性。

 初代教皇であり、もはや魂だけとなった存在。

 

「……ああ……」

 

「…………あわ………あわ…………?」

 

 いくら、自分達の頂点に立つ偉大な人間といえど、霊は霊。

 サラの恐怖心を煽る存在である事には違いはない。

 メルエが手を振っていた場所に恐る恐る目を向けると、先程までは誰もいなかった筈の場所でこちらに向かってにこやかに手を振る一人の男性。

 その身体は、後ろの壁が見える程に透き通り、その者がこの世の存在ではない事を示していた。サラは呆然とその場を見るが、恐怖心から手を振り返す事もなく、ゆっくりと首を戻し、早足で門を潜ろうとする。

 

「ちょっと待て」

 

「ぐぇ!?」

 

 しかし、そんなサラの逃亡は、サラの『太陽』によって阻まれた。

 早足で通り過ぎようとする首の後ろを捕まれ、サラは潰れた蛙のような声を上げる。再び恐る恐る振り返るサラは、にこやかに微笑むリーシャの姿を見た。

 

「先程は、なかなか面白い事を言っていたな、サラ?」

 

「ふぇ!?」

 

 リーシャの顔は笑顔であるが、目が笑っていない。

 それは、静かな怒りを耐えている証拠。

 何度となく、その表情を見て来たサラには、それが理解できた。

 

「……私が魔法を覚えると、戦闘の邪魔になるのか?」

 

「えっ!? そ、それ……あっ! メ、メルエ!」

 

 ゆっくりと紡がれるリーシャの言葉に、サラは目を泳がせる。その視界の端に、リーシャの手を素早く離し、逃げるようにカミュのマントの中へと駆けて行くメルエの姿が入って来た。

 

「攻撃魔法の乏しいサラには、私のように戦闘の邪魔にならぬよう、今以上に武器での戦闘訓練をしていかないとな……」

 

「えっ!? い、いえ。わ、私は大丈夫です」

 

 反射的に断りを入れてしまうサラであったが、そのような断りが『魔王』の異名を持つ女性戦士を相手に通用しない事は、既にサラも理解している筈だった。

 これ以降、サラの鍛錬の厳しさは更に増し、何度かメルエの叱責をリーシャが受ける事になる。

 

 一行は、来た方向とは逆方向に山を下り始めた。

 天上の神々に最も近いとされる<ダーマ神殿>を有する山々の彼方から、暗い雲が動き始めている。

 それは、まるでサラの心のように厚い雲であり、一行の道を示すかのように暗く重いものであった。

 

 

 

 




読んで頂き、ありがとうございました。

ダーマ神殿でのイベントは、完全な独自解釈が多々あります。
この場所は「ドラゴンクエストⅢ」というゲームの中でもかなり重要度の高いイベントが起きる場所です。久慈川式のダーマ神殿を描いて行きたいと思っています。

ご意見、ご感想を心よりお待ちしています。

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