牙狼 異世界黄金騎士伝   作:コレクトマン

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時のオカリナ編
転生~Reincarnation~


 ある謎の空間……というより、ファンタジー感がある場所で老人と青年の姿があった。

 

「……という訳で、お主は死んでしまったのじゃ」

 

「いやっ唐突だな。いきなりすぎて言葉すら思いつかないぞ」

 

 老人から死亡宣告を告げられて何とも言えない感じの青年。老人曰く、青年は30代後半になって会社に出勤中の途中で、工事中のビルを通る時に鉄柱が落下してきたらしく、そして最悪なことにその落下地点が子供がいたそうだ。その時には青年が子供を守るために突き飛ばし、そのまま鉄柱に突き刺さって即死したようだ。青年も薄々己が死んだことには自覚があった。

 

「……俺が死んだのは分かったが、助けた子供はどうなった? 結果的に助かったのか?」

 

「自分のことより相手のことを考えるなんてのぅ……お主、よっぽどのお人好しと言われたことはないのか?」

 

「……んなことは周りからよく言われている。だが、そんなことはどうでもいい。それで子供は無事なのか?」

 

 自分が死んだのにこの精神の図太さ、お人好しにもほどがある。そう老人は呆れながらも子供の安否を説明した。

 

「結果的には無事じゃ。もっとも……」

 

「もっとも……何だ?」

 

「正直に言えば、お主の行動は犬死みたいなものじゃ。あの子供は突然の強風に押されて運よく助かる筈じゃったのだが、お主が介入したことで死ぬ時期より早く死んでしまったのじゃ。お主の場合は60代で癌を患ってその十年後に死ぬのがお主の人生じゃったのだが、何ち狂ったのか早く死んでしまうとはワシとて予測もできなんだ」

 

 まさかのカミングアウトに青年は……

 

「……悪かったな、予想外な早死にでよ。俺にとって自分の死よりも、子供の死が一番胸糞わるいものだからじっとしてられなかったんだよ。ほらっ言うだろ? “子供は宝”ってな。一応言っておくが、俺は性癖的にロリやショタの概念はねえからな?」

 

 逆にドライな感じで自分の死すらどうでもよかった。ただ単純に子供の未来を守っただけのようだ。要らぬ念押しも含めて。

 

「別にワシはお主のことをロリコンでもショタコンとは言っておらんだろう……(汗)」

 

「あくまで一応だ。俺が死んじまったことが本当だとしてもあまり驚かないな。慣れって訳じゃないが、そういうもんだったで納得するんだよな。……それはそうと、今更かもしれないがアンタはこの空間の主っというか、神的な存在か?」

 

「神的な存在って……ワシはこう見えてれっきとした神そのものなのじゃが。それ以前にお主の人生はそんなもので良いのか……?」

 

 青年のドライすぎる性格に何を言っていいのか分からなくなるくらいに困惑する老人こと神。頭を抱えつつも本来の話に戻すのだった。

 

「……まぁ、お主のことは大体わかった。それでお主の今後のことなんじゃが、予定された死の時期より早く死んでしまった者は輪廻転生の軸に入ることは不可能なんじゃ。要するに、元の世界に転生は神々のルール上禁じられてるのじゃ」

 

「なるほどな。……まぁ、あっちにはあまり未練はない……といえば噓になるが、そっちのルールなら仕方ないな。それで、俺はどうなるんだ? 最近流行りの異世界転生ってやつを行うのか?」

 

「本当にドライな性格じゃのう、お主? ……まぁよい、話を戻そう」

 

 神からの話によると、青年の言う通り別世界に転生させるのだがその転生させる世界に面倒な存在がいるとのこと。それは魔獣“ホラー”。特撮の一つ“牙狼”に出てくる古から存在する闇の住民なのだが、それは架空の存在のはず。しかし、何故か転生させる世界に存在するようだ。しかもその転生先が“ゼルダの伝説”なのだ。時系列からして“時のオカリナ”の時代に転生するようだ。

 

「なんだってホラーがゼル伝の世界に? 神々の間で何かやらかしたのか?」

 

「勘が鋭すぎじゃないかのうお主は? ……確かに事実上そうなんじゃがな。とある下級神が面白半分で牙狼の世界の魔獣をゼル伝世界にぶち込みおったのじゃ。その下級神は既に処分を下したのはいいのじゃが、肝心のホラーをどうするかまだ対処が遅れてしまっておるんじゃ」

 

「適当に言ったことがマジで当たっちまった。……まぁ要するに、俺を牙狼で言う“魔戒騎士”として、“守りし者”としてゼル伝世界に転生してホラーを討滅してほしいってことなんだよな? 神々がやらかした尻拭いな感じで」

 

「尻拭いって……まあ実際にそうなんじゃが、お主をそのまま転生させてはホラーに返り討ちにあって犬死にするだけじゃ。だから転生する前に一度ここでしばらく修業するのじゃ。ここで修業した経験は、転生した際に引き継がれるから問題ないぞ」

 

 青年にとってはありがたい事だった。何せ戦いとは無縁の民間人だ。それをそのまま転生したら逆にホラーに返り討ちにあい憑依されるか、ゼル伝の魔物に殺されるかの二つしかいない。神の言うようにここで修業することにした。したのは良いがここで青年はある事を思い出す。魔戒騎士の修業はとてつもなく過酷で、下手をすれば死ぬくらいにやばいものだと思い出した頃には既に遅く、死なないくらいに死にものぐるいに修業に励むのだった。

 

 

 

 ___________________________________________

 

 

 

 修業が始まってから100年……

 

 

 

 青年の修業が始まってからはグロッキーな日々だった。下手をすれば命を落としてもおかしくないくらいに厳しい修業だった。神曰く、この空間で修業して仮に命を落としたとしても強制的に蘇生されて修業再開になるようだ。もっとも、修業中で死ぬことはなかったが。更には、ここでは歳を取らずに経験だけが体に蓄積するので大丈夫*1と言っていたが精神面的にきつい。まぁ、修業の成果のおかげなのか精神面がより強固に図太くなってそれもありだなと願ったり叶ったりなのだ。

 

 地獄ともいえる過酷な修業を経て、青年は魔戒騎士になった。魔戒騎士の原点である“(ハガネ)”の鎧を継承するのかと思ったが、何と青年の受けた修業は、魔戒騎士の中でも最高位の強さを持つ“黄金騎士 牙狼”の鎧を継承するための修業だったらしく、それを知らず知らずのうちに継承したのだった。青年自身もまさか牙狼の鎧を継承するとは思ってもみなかったようだ。

 

 そうして魔戒騎士としての修業を終えた青年は、神による転生の準備に入るのだった。転生の際には今の歳では何かしらと不具合が起きるとのことで、転生の際に15歳まで若返るように設定するそうだ。……まぁ、30代のおっさんと一緒に冒険なんて誰得だろうなと青年は思った。

 

「百年前と違って見違えた面になったのう? 中々様になっているぞ」

 

「あの地獄のような修業を受ければ存外人は変わるさ。それはそうと、転生の準備は既に完了した。いつでもいいぞ」

 

「その様じゃな。だが、転生する前にお主に渡しておくものがある」

 

 そう言って神は懐からある箱を取り出し、箱を開けて青年の前に出す。その箱の中に入っていたのは……

 

『よぉ……お前が牙狼の称号を継ぐ者か?』

 

「ザルバ!? ……神さん、これってマジなのか?」

 

「本気と書いてマジじゃよ。お主は既に牙狼を継承したのだから魔導輪のザルバと共にホラーを討滅するんじゃ」

 

 そう言って神は青年にザルバを渡した。青年は改めてザルバを指に装着して面と向き合うのだった。

 

「まさかザルバまでいるなんて予想外すぎて言葉が出ないぞ……」

 

『何だ? 俺様と共に行くのが不服か?』

 

「そうは言ってない。ただ、改めて魔戒騎士として、守りし者として使命を果たすだけさ。これからよろしくな、ザルバ」

 

『あぁ。それで小僧、お前の名は何だ?』

 

「俺は蒼牙。“堂島蒼牙"だ」

 

 互いに自己紹介を終えた後に青年こと蒼牙は、神が手配した魔法陣の上に乗り、転生準備を完了させる。すると神が何か一言いってきた。

 

「あ、そうじゃ。お主はまだ牙狼を継承したばかりじゃから轟天には乗れんぞ。その代わりじゃが、“マスターバイク”を送っておくぞ。燃料はそこらの魔物の素材や様々な素材でも補充できるから頑張るんじゃぞ」

 

「はっ? マスターバイクってブレワイのアレか? 流石にそれは技術的に……」

 

 蒼牙が言い切る前に,魔法陣の光につつまれて転生するのだった。光が消え、蒼牙がいた場所には転生用の魔法陣しか残されていなかった。

 

「大丈夫じゃ。マスターバイクとて古代シーカー族が作った物だと思えば問題ないじゃろう。さてっ……彼が転生したかどうか…………あっ」

 

 この時に神は一つのやらかしをしでかしてしまった。それは蒼牙を少年時代のリンクがいるであろう“コキリの森”ではなく、“迷いの森”に転生させてしまったのだ。しかも予定されていた原作開始五ヶ月前の時期にではなく、デクの樹がゴーマに寄生している時期だった。

 

「あーっ……やってしもうた。と、とにかく。今はワシの出来る事をしよう」

 

 やらかしたことの反省を後回しにして修正の為に行動を起こすのだった。しかし、その行動が後の蒼牙がゼル伝以外の別世界の旅をしなくてはならないきっかけになることを当時の蒼牙や神は知る由もなかった。

 

 

 

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 神の手違いで迷いの森に転生した蒼牙は、案の定迷子になっていた。神が贈り物とであるマスターバイクに乗ってコキリの森の道を探すために迷いの森を走り回った。因みにだが、このマスターバイクの正式名称が“マスターバイク牙狼型”という名前らしい。……このマスターバイク、厄災の黙示録に出てくるマスターバイクの類か何かか?

 

「転生したのは良いが、まさか迷いの森に転生するなんて思いもしなかったぞ」

 

『それもそうだが、早めにこの森を脱出しないと面倒なことになるぞ?』

 

「わかってる。食糧は現地調達で何とか賄えるとして、ここで命を落とすなんてシャレにならないからな」

 

 幸いだったのは、時のオカリナ時代の世界にもブレワイ、ティアキンにあるハイラル原産の作物があったのだ。当面の食糧難は回避できたが、それでも何とかコキリの森に辿り着こうとマスターバイクを走らせるのだった。これが後の蒼牙とザルバ、リンクがこの世界に隠れ潜んでいるホラーを討滅しつつ、大いなる冒険が始まろうとしていた。

 

 

*1
精神と時の部屋か何かか? 

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