灰を創り出す者と青き青春   作:土門一家

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どうぞお楽しみください


第14話 日常

 

 

 

 SONS・OF・CINDER戦団のブラックマーケット支部ができてから数週間が経ったある日のこと……

 その日のブラックマーケットは空は黒く淀み、大粒の雨がバケツをひっくり返したように降っていた。

 住人たちは傘を差し、少しでも濡れないように身をかがめながら歩いていく。

 そんな中、歩道を傘も差さずに何かから逃げるように必死に走るヘルメット団の少女がいた。

 少女は時に住人にぶつかりそうになり、時につまづき転びそうになりながらも息を上げて必死に走り続ける。

 少女は周囲を見渡してちょうどすぐ近くに隠れられそうな路地裏を見つけた。

 これ幸いとばかりに急いでその路地裏に少女は飛び込み身を隠す。

 しばらく息を整えていると遠くから重厚な金属が水浸しになったアスファルトの地面を踏みしめる足音が聞こえてきた…

 少女は肩を跳ねさせ、聞こえてきた足音の主にバレないように口元に手を当てる。

 少女の隠れた路地裏の近くに現れたのは3人組の灰色の装甲服を着たマリーンだ。

 彼らは路地裏の近くで立ち止まり周囲を見渡している。

 

「どこに行った!」

「ちょこまかと動き回る…!」

「ここにはいない、向こうを見に行くぞ!」

 

 3人はここにもいないと思い、また足音を鳴らしながら走り去っていく…

 少女は安堵のため息を吐き、恐る恐る路地裏から顔を出す。

 すでにマリーンはおらずもう動いても良さそうなことがわかった。

 少女は急いで路地裏から出て、また走り出す。

 少女の目的地は自分たちのアジトだ、そこに帰れば一安心である。

 

 少女が路地裏から出て走っていって少しして路地裏の一部の壁が少し動く。

 少女が隠れていた路地裏には透明な何者かが立っていたのだ。

 透明になっていた人物はステルスを解除し、その全貌が露になる。

 その人物はカメレオンラインと呼ばれるマントを装備したフォボスアーマーを着用したマリーンだ。

 マリーンは耳に手を当て、通信を行う。

 

「隊長、ターゲットは移動を開始しました」

『そのまま追跡をしろ、奴らのアジトを炙り出すんだ』

「はっ、このまま追跡を開始します」

 

 マリーンは通信を終え、ヘルメットに装備されているバイザーを下ろし路地裏から顔を出す。

 少女はまだ視認できる範囲におり、先程のマリーンたちが見に行った方角とは逆の方へと走っていくのが確認できた。

 それを確認したマリーンは陽動を行っていた3人組に通信を行い、少女の方を追跡するように指示を出す。

 

 しばらくして、3人組のマリーンは少女から少し離れた位置でどこに向かうのか確認をしていた。

 少女はまだ追跡されているとは気付かず、アジトのある廃ビルへと急いで入っていく。

 それを確認したマリーンは通信を行い、アジトを見つけたことを報告する。

 

「隊長、ヘルメット団のアジトを発見しました。場所はこの辺りにある廃ビルです」

『わかった、その周囲にランドレイダーと調停分隊(インターセッサー・スカッド)を派遣する。お前たちはそのアジトから誰も出ないか監視を行え』

「はっ!このまま監視を続けます!」

 

 マリーンは通信を切り他の2人へ監視位置に着くように指示する。

 1人が裏口、残りの2人が正面入口を見るように配置に着く。

 

 しばらく待っていると道の向こうからランドレイダーが走ってくるのが見えた。

 通信を行っていたマリーンがランドレイダーに手を上げ、ここの廃ビルだと示す。

 ランドレイダーの上部ハッチから顔を出していた乗員は頷き、中にいる運転手に近くに止まるように指示する。

 廃ビルから少し離れた場所にランドレイダーは止まり、前部ハッチが開き中から10人編成の調停分隊(インターセッサー・スカッド)が出てきた。

 先頭を歩いている軍曹(サージェント)は2人のマリーンに声をかける。

 

「この廃ビルの中にいるんだな?」

「そうです、軍曹。まだ誰も中から出てきていません」

「そうか、お前たちは引き続き誰も出ないように監視、裏口にこっちから2人出す」

「はっ!」

 

 軍曹(サージェント)は後方にいた2人に裏口にいるマリーンに合流するように指示を出し、自分たちはいつでも中に入れるように4人組に別れて廃ビルの入口を両方から挟む。

 持っているボルトライフルの安全装置を解除し、腰に携帯しているチェーンソードの状態も確認する。

 全員の準備が整い、準備完了の合図を確認した軍曹(サージェント)はもう片方のチームをベータと命名し、自分たちのチームをアルファと命名した。

 

「ベータチーム、扉を開けろ」

「ベータ1、了解」

 

 ベータ1が扉の前に立ちボルトライフルを構えながらゆっくりと開ける。

 そのままベータチームのマリーンが続いて入り、アルファチームがそれに続いて入っていく。

 廃ビルの中は電気がついておらず薄暗い。

 また、雨の音が激しく多少の足音ならかき消してしまうほど他の音が聞こえないほどだ。

 アルファチームが1階の広場に待機し、ベータチームが階段を使い上層に上がることになった。

 ベータチームがしばらく階段を上がり、2階に到着すると話し声が聞こえてきた。

 声が聞こえたのを確認したベータチームは一度立ち止まり、ゆっくりと話し声がする部屋の近くの扉へと歩いていく。

 扉を少し開け、中をベータ3が確認する。

 中に居たのはヘルメット団のリーダーと思しき赤いヘルメットを被った少女と構成員であろう数十人の少女、そして先程逃げていたであろうずぶ濡れの少女がリーダーに怒られているようだ。

 

「なんであの灰の化け物どもに目付けられたん?!」

「わ、わかんないです……」

「アイツら相手に容赦しないって言われとるやん!ウチらみたいな小さなヘルメット団なんか簡単に蹴散らせられるんよ!」

「はい……」

「でも、もうしゃあないな。目付けられたんやから急いで逃げるしかないねん」

「はい…でもどうするんですか?」

「どうするって?」

「あの人たちはずっと追いかけてきますよね?」

「それならブラックマーケットから一時的に離れれば問題ないねん」

「なるほど……」

「よぉし、あんたら!荷物まとめな、すぐに逃げるよ」

「はい!」

 

 ヘルメット団の少女たちが後ろにあった荷物とかをまとめる作業に取り掛かっている。

 それを確認したベータ3はベータ1に彼女たちが逃げるつもりだと伝える。

 ベータ1は通信を行い、アルファ1にベータチームだけで排除するか聞く。

 アルファ1はベータチームだけでどうにかなると考えていたため、ベータチームだけで排除するように伝える。

 ベータ1は通信を終え、ベータチームに突撃するように指示する。

 ベータ3が扉の前に立ち、扉を蹴破る。

 突然の奇襲にヘルメット団は驚き、何事かと慌てている。

 吹き飛んだ扉が部屋の中央に転がり、続けてベータ2とベータ4がグレネードを少女たちの元に転がす。

 転がってきたグレネードを見たリーダーの少女や気づいた少女は遮蔽物に隠れたが、反応が遅れた少女たちはそのままグレネードの爆発で吹き飛ばされてしまう。

 部屋にベータチームが突入し、ボルトライフルを発射する。

 運良くグレネードの爆発から逃げれた少女たちがボルトライフルの斉射で吹き飛ばされ、隠れていた遮蔽物にも穴をあけていく。

 やられっぱなしでいられるかと身を出し、持っていた銃でマリーンたちに射撃するが全く効かず、逆にボルトライフルで撃ち抜かれた少女もいる。

 リーダーは持っていたグレネードのピンを抜き、マリーンたちの方へと投げる。

 グレネードを確認したベータチームはしゃがみ、爆発に備える。

 グレネードが爆発し、爆風に包まれたのを確認したリーダーと残った少女たち。

 これで倒したかと喜ぼうとした瞬間、煙の向こうからボルト弾が飛来し数人を吹き飛ばしていく。

 リーダーは愕然とし、銃を構えたが煙からベータ2がチェーンソードを振り上げながら突撃してきたため驚きのあまり銃を落としてしまった。

 ベータ2は近場にいた少女たちをチェーンソードで切り飛ばしながらリーダーへと走っていく。

 リーダーは尻もちをつきながら降参すると叫ぶがベータ2はリーダーの身体を蹴り飛ばす。

 リーダーは壁に叩きつけられ気絶する。

 

 戦闘が終了し、ベータ1はリーダーが先程まで座っていた場所を捜索し目的の物が入った木箱を見つける。

 木箱の中には高性能爆薬が入っており、アルファチームに目的の物が手に入ったと通信する。

 他のベータチームのマリーンは倒したヘルメット団の少女のヘルメットを剥ぎ取り、背中のスパイクや腰の鎖などにぶら下げる。

 しばらく待ち、アルファチームが部屋の中に入ってきた。

 アルファ4が持っていたコンテナの中に高性能爆薬をしまいこみ、ヘルメット団排除の依頼達成の報酬を受け取りに行こうとアルファチームが全員に告げる。

 マリーンたちは外に出て、待機していたマリーンたちに撤収の合図を出す。

 最初の3人組はそのままブラックマーケット内のパトロールに向かい、調停分隊(インターセッサー・スカッド)はランドレイダーに乗り込む。

 ランドレイダーは発進し、傭兵斡旋所へと向かっていく……

 

 

 

 




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