昼下がりのキヴォトス、その中にあるブラックマーケットはいつも活気がある場所であるが普段とは違い、少しだけざわついていた。
ブラックマーケットがざわついている要因は大通りを歩く4人組が原因であった。
1人はここでは珍しい制服を着た生徒であるが、1番目を引くのは生徒の横と後ろを歩く3人だ。
その3人はコンクリートを重い金属で叩くような足音を鳴らしながら銃のトリガーに指をかけ周囲を警戒しながら歩いている。
また、見た目も灰色の装甲服を纏い、2m以上もある背丈のためかなりの威圧感がある。
ヘルメットを被っているため表情は分からず、隣の生徒も周りの視線に耐えきれず肩身が狭そうだ。
ヒフミはとぼとぼと目的地に向かいながらも周りのマリーンをちらりと見て後悔していた…
彼らが周囲の人に注目されてしまうなど少し考えれば分かったはずなのになぜ自分はそこまで考えが回らなかったのか……
いや、ペロロ様を手に入れる為なら背に腹はかえられないと考え直し、気持ちを切り替える。
先程、軍曹と名乗っていた彼の言った通り、後ろの2人のマリーンは自分に話しかけてくることはない。
それに彼も今は周りを見るのに忙しいのか話しかけてくる気配もない。
ヒフミは横に立つ彼を見てみると、首を上に上げなければ顔を見れないほど背が高く身のこなしもかなり機敏であり、装甲服を着ているとはとても思えないほどだ。
歩幅の広い彼らに遅れないように小走りで着いていきながら目的地である商店を目指す。
しばらく、ブラックマーケットを4人が歩いて行くと目的地である商店が見えてきた。
幸い、周囲には店主以外おらず、ヒフミは安堵の息をついた。
商店に近づき、目的のペロロ様の限定ぬいぐるみをヒフミは見つけることができ、店主に声をかけそれを買うことにした。
その間、軍曹はヒフミの手元にあるペロロ様を見てかなり首を傾げており、他の2人は周囲の警戒をするように立っている。
「……ヒフミ殿…?その手に持っているゼノのようなものは…なんでありますか?」
「これですか?これはペロロ様というモモフレンズの中にいるキャラです!そして、これはそのペロロ様の限定のぬいぐるみなんです!!」
「お……おう…そ、そうでありますか……?えぇぇ…これが目的の品…ですかぁ」
軍曹はペロロ様の見た目が余りにも奇怪すぎたため困惑しながらもヒフミに詳細を聞いてみるととてつもない熱量で語られてしまったため思わずたじろいでしまった。
そんな一幕がありながらもヒフミはペロロ様を買うことができた。
軍曹たちはペロロ様の見た目についてああいう好みもあるんだなと話していた。
ヒフミが彼らに合流し、帰ろうかというタイミングで突然声をかけてくる者たちが現れた。
それはヒフミが先程遭遇し、逃げることしかできなかったヘルメット団の3人組であった。
「おい!そこのトリニティの制服着た奴!」
「さっき私たちから逃げた奴じゃないか!」
「また懲りもせずここに来たのか?」
「ヒフミ殿、彼女たちが先程言っていた問題の原因ですか?」
「そ、そうです……あの方たちが丁度ペロロ様を買おうとした時に来てしまって……」
「なるほど…分かりました。私たちにお任せください」
「え、あ…ありがとうございます」
「な、なんだお前らは!?」
ヘルメット団の3人が先程会ったヒフミに食ってかかる。
ヒフミはまた会ってしまったことに困ってしまったが軍曹が自分たちに任せて欲しいと声をかけてきたため安心した。
3人のマリーンがヒフミの前に立ち、ヘルメット団の3人と相対すると少女たちは驚き銃を構える。
マリーンは銃口を向けられても全く動じず、内心はそんな銃で本当に撃ってくるのか疑問に思いつつも、銃を構えた少女たちを見下ろしマークスマン・ボルトカービンを構える。
「なんなんだよあんたらは!」
「そいつの護衛気取りか?」
「そんな変な形の銃でなにができるんだよ!」
「おい!後ろから出てこいよ!恥ずかしくないのか!」
「そうだそうだ!」
「そっちがその気ならこっちだって!」
ヘルメット団の少女たちはマリーンたちを馬鹿にするが彼らは動じない。
ヒフミに向けて声を出すが相手をされないため銃を構え直しマリーンたちに向ける。
そして先頭に立っている軍曹に3人で射撃をする。
銃弾は軍曹の至るところに命中したが、甲高い音を立てて傷1つつけることなく全て弾かれた。
ヒフミは突然のことに驚いたが、軍曹が全く動じておらず、まるで何事もなかったかのように立っているためさらに驚愕した。
マリーンたちが今度は一発だけ射撃を行った。
ヒフミとヘルメット団の少女たちにとっては銃撃音があまりにも轟音と言っても過言ではないほどの音を立て、ヘルメット団の少女たちへとボルト弾が飛来する。
着弾し、炸裂した衝撃で3人は吹き飛び持っていた武器もひしゃげてしまった。
当たったのはヘルメットだったが、そのヘルメットも壊れてしまい、吹き飛んだ先で意識を失ってしまった…
あまりにも圧倒的な光景を見てしまったヒフミは言葉を失ってしまったが、ふと気付く。
こんな騒ぎが起きたことがマーケットガードにバレてしまうのはいけないということだ。
ヒフミは慌てて3人のマリーンに声をかける。
「あの!もしかしたらマーケットガードの人たちが来てしまうかもしれません!急いで逃げましょう!」
「マーケットガード……?いや、その者たちに気付かれてはいけないのですね。分かりました、おい!すぐにここを離れるぞ!」
「「はっ!」」
ヒフミから伝えれた情報を聞いた軍曹は2人に離れることを伝え、ヒフミと共に急いで今いた場所から離れはじめた。
一方、その頃待機していたインパルサーと
彼らの隊長である軍曹は中隊長へと報告を行っていた。
「ゼックス中隊長、こちらアルファ1-1。報告があります」
『なんだ?なにか新たに判明したことでもあったか?』
「はっ、この世界の住人と思われる阿慈谷ヒフミという少女と接触に成功。ブラックマーケットの場所が判明しました。その見返りに彼女の問題に対処することとなりました、そのため
『なるほど、ブラックマーケットの場所が分かったか。よくやった、それにその少女とは友好的である方が良さそうだな。それについては問題ない、むしろよくやった』
「彼らが戻ってき次第基地へと帰還します」
『分かった、報告は以上だな?通信終わり』
「はっ!……何も起きてなければいいんだがな」
「多分大丈夫だと思われますが……」
「隊長!彼らが戻ってきました!ですがどうやら走って戻ってきています!」
「そうか……なにがあったかはすぐに分かるだろう」
彼らの元へブラックマーケットに行っていた4人が戻ってくる。
ヒフミだけが息を切らしており、他の3人は敬礼を行いながら軍曹が隊長に向けて報告を行う。
「ブラックマーケット内部で彼女の目的は達成することができた。しかし、その後に彼女の言っていた問題である3人組の少女たちと遭遇した」
「ふむ、それで?」
「彼女に危害を加えないようにするため護っていたところ3人が私に撃ってきた。その後、私たちで彼女たちを排除した」
「なるほど……分かった、必要な対処であったな」
「その後、彼女がどうやらマーケットガードなる者たちが騒ぎを聞きつけてやってくると言い出したので急いで逃げてきたということだ」
「マーケットガード…?どういう奴らだ?」
「私たちでは分からない、彼女なら分かるだろう」
「えっ!…その、マーケットガードというのはブラックマーケットにいる独自の治安維持組織の人たちの名前でああいったことが起きた時に出てくる人たちです。あまり問題を起こさないようにするのがいいんですよ、あそこでは…」
「なるほど、新たな情報感謝する。そちらの目的は達成できたのか?」
「はい!出来ました!皆さんありがとうございました!!」
「いや、礼には及ばない。こちらとしても有意義な情報を得られたからな」
「では、私はそろそろ帰らないといけないんですが、大丈夫そうです……?」
「あぁ、もちろん。気を付けて帰ってくれたまえ」
「はい!今日はありがとうございました!また会えたら会いましょう!」
「あぁ、また会えたらな」
ヒフミはマリーンたちに感謝を述べて立ち去って行った。
マリーンたちはインパルサーに乗り込み、基地へと帰っていく……
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