魔王放浪 陰実編(仮第)   作:幻龍

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原作主人公のシャドウが退場しましたが、暫くはたぶん原作沿いに進みつつ、変化をつけていきたいとおもいます。

それと一応次話を投稿できたのですが、続くかは不明です。


第一話

「情報通りだな。中々貯め込んでいる。これで当面の生活資金は確保できたな」

 

 エリスはシャドウが拠点にしていた、廃村の一角にある小屋に来ていた。

 そこには金貨や宝石等の貴金属や、高価な美術品と思わしき物が所狭しと置いてあり、シャドウ(盗賊)がかなりの頻度で、犯罪を働いていた証拠でもあったが。

 

「これだけ貯め込むには相当悪事をしないと無理だぞ……。どれだけ極悪人だったんだ? あいつは?」

 

 盗賊(シャドウ)の所業にエリスは心底呆れるが、もういない奴のことをあれこれ考えていても仕方がないので、目の前で蠢く肉塊の方に視線を移す。

 

「これが悪魔憑きの症状か……」

 

 盗賊(シャドウ)から手に入れた情報によると、悪魔憑きと呼ばれる症状は魔力暴走が原因であり、暴走を制御できれば治すことができるらしい。――そして、盗賊(シャドウ)はこの悪魔憑きを利用して、様々な人体実験を行っていた。

 

「人体実験も平然とやるとは、性根も腐っていたんだな……。――先ずは俺の権能で暴走を治癒できるか試してみるか」

 

 早速悪魔憑きの魔力暴走を鎮めるべく、エリスが持つ権能の中でも特に便利な権能を行使する。

 原因が分かっていればこの権能の力で完全に治すことができるはず。

 

「我は全てを治癒するものなり。それは死さえ超越する」

 

 権能の一つ――森羅万象を癒す者を使用する。

 権能の力を受けた醜い肉塊の魔力暴走は治まり、醜い肉塊は金髪美少女エルフへと生った。

 暴走状態の時との見た目のギャップに、エリスは内心大変驚愕しつつ、平静を装いながら彼女の言葉を待つ。

 

「……身体が元に戻った?」

「おはよう。エルフの美少女よ。俺はお前を治療したものだ。自己紹介から始めようか」

 

 目覚めた彼女は自分の身体を見て呆然と呟いていた。

 これが神城エリス()と、将来介添人となる金髪美少女エルフの最初の出会いであった。

 

 

 

◇◇

 

 神城エリスが異世界で奮闘している頃、地球ではその原因を作った8人目のカンピオーネ――草薙護堂とその仲間が学校で昼食を取っていた。

 彼らは魔王殲滅の英雄――ラーマチャンドラ討つ為、自分以外のカンピオーネを並行世界に追放することで、彼を弱体化させることに成功。――そのまま彼を討滅した。

 

「ラーマチャンドラを討って、黒幕を倒したけど、追放した連中は中々見つからないな……」

「仕方がありません。並行世界は未知数ですからね。――正直並行世界がどれだけ存在しているかわかりませんから」

 

 草薙護堂が弁当を食べながらそう言い、彼の騎士を自称する銀髪美少女――リリアナ・クラニチャールは呟く。

 草薙護堂達は最後の仕上げとばかりに、彼を魔王殲滅の英雄に仕立て上げていた黒幕を倒す為に、運命神の神域へと赴いた――そこで待っていた黒幕を見事討つことに成功したが、追放した者達の捜索は芳しくなかった。

 

「これは私の意見なんだけど、真剣に探す必要はないのじゃない? 適当に探していればいずれ見つかるわよ。カンピオーネの方々はどうせ、並行世界で逞しく生きているでしょうし」

「……そうだな」

 

 草薙護堂の愛人を自称する金髪ロング美女――エリカ・ブランデッリは自分の意見を述べ、護堂はそれにある程度納得して肯く。

 

「護堂さん。スミス様やアレク様等他の方々は兎も角、エリスさんが戻って来たときは、どうなさるつもりですか?」

 

 今まで聞き手に回っていた万里谷祐理が、魔王内戦が終わった直後から気にしていたことを、護堂に尋ねる。

 

「神城のことか? どういうことだ?」

「今回の件に関しては護堂さんのやり方を否定はしません。――しかし、あの御方が、今回の追放劇を許すと思っているのですか? きっと護堂さんの所業に怒り心頭で、追放された並行世界で大暴れしている可能性があります」

 

 祐理の溜息と呆れが少し混じった諫言に、護堂は思考が一瞬停止した。

 自分と同じ日本出身の先輩カンピオーネ――神城エリス。護堂と彼の関係は基本的に悪くなかった。――何故なら彼はカンピオーネとは思えない程理性的だったからだ。

 エリスは魔術界での通称を幾つか持っているが、その中に『親しき者の王』や『統治者』という通称がある程、自分の身内や国家、傘下組織等を大切にする。それ故に、自分と争って被害が出るのを嫌ったのか、自分から彼に挨拶を行った以降、魔王内戦まで顔を会わせることはなかった。

 

「あー。……やっぱり、怒ってるかな? あいつ?」

「あの御方も何だかんだいってカンピオーネです。怒り心頭で荒れている直後なら、自分と無縁な並行世界の一つや二つ、混乱に陥れていてもおかしくないでしょう」

「あの御方ことだから、並行世界で自分の組織を作り上げてそれを使って世界征服し、大帝国を築いていても不思議じゃないわよね」

 

 護堂は頭を掻きながらそう言うと、リリアナはそれに対して淡々と返答し、エリカは半分面白がりながら答える。

 

「エリス様が帰還なされたときは無人の荒野で戦って下さい」

「お、おう……」

 

 祐理はそう護堂に嘆願し、護堂は彼と死闘を演じることになる己の未来に、若干憂鬱になりながらも肯くのであった。

 

◇◇

 

「お前が元に戻った経緯はこんな感じだ」

「そう……。ありがとう。助けてくれて。一生掛けてこの恩を返すわ」

 

 エリスは自己紹介と今までの経緯を説明し、金髪美少女エルフは礼を述べた。

 そして、暫く会話をした結果、彼女は存在を抹消されて故郷を追放されたので、故郷に帰ることができないらしく、自分の部下となり付いていくことになった。――無論自分が違う世界からやって来たことや、元の世界でカンピオーネをしていたこと、その世界にいずれ戻ることも承知の上でだ。

 

「元の名前を名乗る気がない以上、名無しでは呼びにくいから新たな名前が必要だな。――今日からお前はアルファと名乗れ」

「了解したわ。私はアルファ。これからよろしくお願いするわ」

 

 エリスに対して眩しい笑顔を出して返事をするアルファ。

 彼女の心底嬉しそうな表情に安堵する中、ある考えが頭に浮かぶ。

 その考えを実行するには今しかないと決断し、エリスはアルファに向かって宣言する。

 

「アルファ。俺達は本日を持って魔術王の庭(ロード・ガーデン)を組織する。俺による俺のための組織だ。最初の目的は取り敢えずこの世界に確固たる基盤を築くことから始めるぞ」

「はい! エリス」

 

 こうして、エリス(カンピオーネ)とアルファの長い付き合いと、組織作りが始まったのであった。

 

 




結果的に悪魔憑きが治って助かったので、原作ではアルファから依存されるくらい感謝されていますが、シド君がアルファの悪魔憑きを使って実験していた内容って、普通にディアボロス教団がやっていることと大差ないですよね……。

それと主人公は他にも幾つか通称・敬称等を持っています。
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