【レミリア・スカーレット】
私はフランの肩に手を置き固唾を呑んで見守る。
わたしが運命のために選んだ道だった。
しかし、結果として後悔した。
ぶつぶつと呟くように話すルビーの声。
それは宴会中に届けられた。
話しながら、とても強い力の攻撃を避け続けるルビー。
しかし、最後にぶつぶつと言葉を重ねて。頭を抱えて彼女は止まる。
一歩
一歩
後ろにふらふらと下がる。
アハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アア、アヒャヒャヒャ!!!!!!!!!!!!!!!
頭を掻きむしりながら笑う。
様子のおかしさに、流石の鬼も攻撃の手を止める。
彼女の様子を全てのものが見ていた。
また、
一歩
一歩
後ろに下がるルビー。
そして、空中で突然膝をつくように座る。
崩れ落ちるように。
頭を掻きむしる。
髪がパラパラと何本か落ちる。
「そうだね。私がダメだった、まただめ、でした。 」
霊夢が勢いよく空に駆け出した。
紫の方へ猛スピードで飛ぶ。
私も慌てて跡を追う。
彼女の色とりどりの花がついた羽。
花が枯れる。
枯れた花が落ちる。
それに連なる枝が枯れる。
羽はその細い細い枝が絡み付いている。
ガリガリの骨組み。
栄養を失った。そんな羽組み。
彼女が頭に置いた手を空中に振った。
下がっていた彼女の拳は結界に届く。
ガンツツツツ
と当たる。
結界にヒビが入る。
「やっぱ壊せもすることができない」
違うのよ。元々のはきっと簡単に壊れたはず。霊夢が霊力を流して、いまは藍という狐妖怪までその結界の維持に携わっている。
私もその結界周りに魔力で保護膜をかける。
いつのまにか、まだ頭に残っていた手が顔を覆い隠すように。
その手を剥がすと、目からは真っ赤な涙が流れている。
そして___
ルビーは、両眼を抉り取った。
赤い美しい髪
真っ白い白い肌。
目を瞑った先から流れ出る赤い涙。
「貴方のせいじゃないよ。私がしたいと思ったんだ。
だって私の顔は美しいじゃない?
だから、それだけが魅力なんだと思っちゃって
だから、とりたくなったの。
心配しないで、貴方のせいじゃない。」
赤い涙を淡々と流しながら静かに話すルビー。
それはいつも通りの声で…。
私は泣いていた。私なんかが泣いちゃいけないのに泣いていた。
「怒るつもりだったんだ。
でも怒りよりも自分への悲しさが出てきちゃって、
もうダメだなって
でも大丈夫、良く見えてるよ。
貴方の顔も。幻滅させた家族の姿も。
みんなの顔も分かるんだ。
戦いたかったんだよね、いいよ。 」
そういって、ルビーはテュルソスの杖を振る。
それは一気に結界を砕いて
萃香の元に振り下ろされる。
周りあの影響が出なかったのは、私の力を保護するようにフランが泣きながら魔力を補強してくれていた。
萃香はブチっと潰される。
いやその直前で霧のように形を変えたみたいだ。
焦るように私達を見て、
気を引き締めたように
ルビーは、目の前に大きな花を咲かせて萃香を受け止める。
勿論本気の鬼の拳はそんなもので止まるはずがない。
その花を破って突き抜ける。しかし変な液体が彼女にかかる。
しかも、鬼の目の前には彼女はいない。
そう、いつのまにかは何かくれるように後ろに回っていた彼女は、持っていた武器で背中から思いっきり殴る。
液体は粘着を持ち、彼女の能力は散ることが出来ない。
「ごめんね、知ってたんだ。フェアじゃないけど、本気だもんね。」
そして、右手を萃香のお腹に突き刺す。
血が噴き出る。
そして後ろから萃香のことを噛む。
萎むように萃香からは妖力が吸い取られらる。
焦って鬼は手を回す。
もちろんそれには簡単に破壊できてしまうすごい力がある。
空中に作った魔力を萃めて手足を切る。
「ああ、初めて使ったけど難しいな」
頭からは一本歪なツノが生えている。
髪色も美しい赤色から金色の何かに変わりそうだ。
「もう、誰でもいいんだ。」
萃香は手足もはやせぬまま下に落ちる。
紫が焦るように回収する。
それを見届けて彼女は興味がないようにふらふらと何処かへ飛ぶ。
私は声の限り名前を呼ぶ。
でも彼女は振り返らなかった。
博麗神社には誰もが知る吸血鬼が住んでいる。
たまに神社を掃除したり、人にも優しく、妖怪にも優しい。
いや、興味がないのだろう。
何しても怒らない。
何しても笑って許す。
何しても何しても心が掴めない、そんな妖怪が住みたく。
人間はもちろん、きみわるがった。
しかし、いつのまにか恐れもされなくなった。
「霊夢、何も言わずここに置いてくれてありがとう。霊夢は私に対して普通だから私も普通でいられた。
そろそろ、次に行くね。」
そう言い残して…彼女はいつのまにか霧のように消えた。
ケシの花がそっと咲いた。
霊夢は彼女がいなくなってから溜めてた涙を流す。
勿論、ある場所でも泣き声が響く。そして館は燃えるように美しい赤い館だったと言う。