【完結】フラグ折り悪役令嬢〜乙女ゲー主人公の恋愛フラグを折ったら転生悪役令嬢の私と主人公で百合フラグが立った件〜   作:シャリ

22 / 46
12話:主人公(リエル):雷雨の夜に

 ざぁざぁと雨が降り、雨雫が窓を叩きつける音が響く夜、私は机に向かって勉強をしていた。外の天気が激しさを増してきていた。遂には稲妻が夜空を切り裂くように光り、その後に続く雷鳴が部屋全体を揺るがす。

 

「リ…リエル……」

 

 読書をしていたはずのリリア様の声がそばから聞こえた。私はすぐに顔を上げ、リリア様の方を見た。手が小刻みに震えており、顔にはこれまで一緒に過ごしてきた中で見たことがない……明らかな恐怖の色が浮かんでいた。

 

「リリア様、どうしましたか?」

 

 いったい何があったのか、不思議になる。

 

「雷が…怖いの……。お願い、そばにいて……」

 

 その言葉に、私の心が締め付けられた。リリア様の声は震えており、一度も聞き覚えのない弱々しさだった。ペンから手を離して、リリア様の手を優しく握った。

 冷たい。リリア様は体温が低いのか、これまで触れた時も手はひんやりとしていた。でも、今はまるで氷で冷やしたかのように熱がない。思わず、握る手に力が入る。

 

「リリア様、大丈夫です。私がいますから」

 

 リリア様の手をしっかりと掴みながら、ベッドへと誘導した。リリア様をベッドに座らせ、背中に手を回してそっと抱きしめた。

 異様なほどに全身が冷たい。さっきまで部屋じゃなくて、外にいて大雨に全身を晒してきたのではないかと思えてしまう。それに怖がり方も……孤児院で雷を怖がっていた子供とも違うように見える。もっと、こう、なにか……根本的な部分に問題があるみたい。

 リリア様も抱きしめ返してきて、腕の中で震えていた体が次第に落ち着いていくのを感じた。

 雷鳴が再び響き、リリア様がビクリとした。私はしっかりと抱きしめ続け、銀髪を優しく撫でながら、心の中でリリア様が少しでも安心できるように祈った。

 少しずつ、リリア様の体温が戻ってくる。

 

「リエル…ありがとう……」

 

 リリア様は私の胸に顔をうずめて、涙声で感謝の言葉を呟いた。私は何も言わず、そばにずっといることにした。

 私が初めての教室で悪意に晒されて孤独を感じた時、手を握って支えてくれたように。

 私の温もりが、リリア様の心に安寧を与えることを願って。

 

 

 

 ……ところで、この状態って大胆なことしている気がする。やましい気持ちは無い。誤魔化しじゃなくて本当に無いよ。相手を想った行動の結果だしね。

 その上で、抱きしめ合っている状況には緊張する。私だって人間だし、乙女だし。

 お互い、身にまとっているのが薄着のネグリジェだから、あの…うん……ね?

 

 心臓の音がいつもより早くなっているのが、自分でも分かる。

 リリア様にはバレてないよね……?




本心から相手を思いやっているのに恰好つかないですね、この子は……。

この作品はカクヨムにマルチ投稿していますが、カクヨムコンテストに参加もしています。
受賞したらコミカライズだかなんだかあるかもらしいので、良かったら『カクヨム版』の方も応援してもらえると嬉しいです。

次回、新たな攻略キャラクターが出ます。

リリエル

  • キテナイ…
  • チョットキテル…
  • キテル…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。