【完結】フラグ折り悪役令嬢〜乙女ゲー主人公の恋愛フラグを折ったら転生悪役令嬢の私と主人公で百合フラグが立った件〜   作:シャリ

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後日談2:悪役令嬢(リリア):呼び方について

 私とリエルが結ばれてから数日後の昼下がり。

 

 私とリエルとウルスの三人でお出かけ……もとい、恋人としてリエルとデートをしていた。

 そのデート中に公園のベンチで休憩をしていた時、ふと疑問に思っていたことが頭に浮かんだ。

 恋人になってからもリエルは私を「リリア様」と呼び続けている。学園を卒業をしたタイミングで結婚する予定なので、婚約者でもあるというのに何故なのか。

 

「そういえば、リエル。私との関係が変わった後も、どうして私を様付けで呼び続けるのかしら?」

 

 リエルの表情が戸惑いを見せた。

 私の問いかけが予想外だったのか、発言に悩んでる様子。しかし、リエルは意を決したように、真剣な顔で答え始めた。

 

「婚約者になっても、私にとってリリア様は尊敬できて、綺麗で、憧れで……本当に素敵な方だからです。だから、私は心から『リリア様』と呼びたいんです」

 

 リエルの真心が伝わってきて、私は心が温かくなるのを感じた。

 でも、リエルはまだ何か言いたげだった。静かに待ってみると予想していなかった言葉が続いた。

 

「それに……『リリア様』と呼ぶ方が、キスやえっちする時に興奮します!」

 

 予想外の回答をされて、座った状態からずっこけた。

 座り直しながらもリエルの青い瞳を見ると、いっそ清々しいまでに一点の曇りすら無く透き通っていた。まごうことなき本心だと分かる。

 

 どう答えるか迷い、天を仰いだ。リエルの瞳と同じ色の空が晴れ晴れと広がっている。眺めたところで、天は私に言葉を授けてくれない。

 視線を戻して、どうにか一言だけ吐き出した。

 

「……そう」

 

 他にどう言えばいいのか。

 リエルの言い分も、分かるような分からないような感覚だが否定する気は起きない。

 リエルの気持ちは噓偽りなく真摯で、私だけに向いている愛情も満ちている。その点を考慮すると悪い気はしないし、呼び方は好きに呼ばせておきたくなる。

 理解し、受け入れるのも恋人として大事なことだ。

 

「ごめんなさい、リリア様! 変なことを言ってしまって……」

 

 リエルが恥ずかしそうに謝る姿を見て、私は優しく微笑み、リエルの手を握った。

 

「いいのよ。あなたの気持ちはちゃんと伝わったわ。ただ、ちょっと驚いただけ。呼び方も、リエルの好きなようにしていいわ」

 

 私の言葉に、リエルは安心して息をついた。

 握った手の温もりを感じながら、私たちは静かな時間を……過ごせなかった。

 横で黙って、会話を聞いていたウルスが我慢できずに笑い出したからだ。

 私も釣られてクスクスとつい笑ってしまう。

 

「もぉー! 笑いすぎですよ!」

 

 

 笑い終えた後、親指を動かし、繋いだ手を擦りながら聞いてみる。

 

「ねぇリエル……今夜も私の名前を呼んでくれる?」

 

 私の意図を察して、リエルは頬を赤く染めて小さく頷いた。

 

「いっぱい呼びますぅ……」

 

 今日の夜は長そうね。

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