紅月の救世少女(こうげつのきゅうせいしょうじょ)   作:くにゅたろ

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16. 赤い月の終焉

 

戦いは混沌の極みを迎えていた。異形の支配者から次々と生み出される影の群れに、仲間たちは全力で立ち向かっていたが、その数は減る気配を見せなかった。

 

デルクのトレンチガンが轟音を響かせるたびに影が弾け飛び、ラナの炎が迫り来る敵を焼き尽くしていく。しかし、敵の勢いはとどまらない。

 

「こんなの、キリがないぞ!」

 

デルクが息を切らしながら叫ぶ。弾薬も限られている。ラナの魔法も長くは続けられないはずだ。

 

「球体だ!あの赤い球を破壊しない限り、この状況は変わらない!」

 

カインが剣鉈で敵を薙ぎ払いながら叫ぶ。その声に全員が球体へと目を向けたが、それを守るかのように支配者が立ちはだかる。

 

「貴様らごときに、この力を止められると思うな!」

 

支配者の手が赤い光を帯びた瞬間、部屋全体が震え、影たちがさらに凶暴さを増した。

 

リリスは混乱の中で短剣を握りしめていた。自分には何もできないと思っていたが、仲間たちの姿を見ると、その考えを捨てなければならないと悟った。

 

「私にできること……それは……!」

 

彼女は恐怖を振り払い、球体に向かって走り出した。

 

「リリス!何をする気だ!」

 

カインが叫ぶが、彼女は振り返らない。

 

「みんなを守るために、私がやるしかない!」

 

彼女は短剣を握り直し、支配者の横をすり抜けようとする。しかし、支配者はその動きを見逃さなかった。

 

「愚かな……!」

 

支配者の手が赤い光を放ち、リリスに向かって放たれる。その瞬間、カインが支配者に斬りかかり、攻撃を逸らした。

 

「行け、リリス!お前ならできる!」

 

カインの叫びに後押しされ、リリスは全力で球体に向かった。

 

彼女が球体に到達した瞬間、その手に握られた短剣が異様なほど熱くなり始めた。赤い球体の光が短剣に吸い込まれるように収束していく。

 

「これが……私のすべきこと……!」

 

リリスは力を振り絞り、短剣を球体に突き立てた。

短剣が球体に突き刺さった瞬間、耳をつんざくような音が響き渡った。赤い光が一気に弾け飛び、部屋全体を明るく染めたかと思うと、光が急速に収束していく。

 

リリスはその場に崩れ落ちた。短剣は手から滑り落ち、彼女の体から力が抜けていく。

 

「リリス!」

 

カインが駆け寄り、彼女を支えた。

 

「やった……の……?」

 

リリスの問いかけに答えるように、赤い球体は完全に消滅し、影たちも消え去っていった。部屋には静寂が戻り、赤い月の力が消えたことを示していた。

 

「やったんだ。お前が、やってくれた」

 

カインの声には感謝と安堵が滲んでいた。

 

他の仲間たちも駆け寄り、リリスを囲んだ。

 

「すごいわよ、リリス。本当にすごい……!」

 

ラナが涙を浮かべながら微笑む。デルクも言葉を失ったまま、彼女の肩を叩いた。

 

「……でも、私はただ……怖かっただけ。みんなを守りたくて、必死だっただけ……」

 

リリスは涙をこぼしながら呟いた。その姿に、誰もが言葉を失った。

 

「それでいいんだ。それが勇気ってもんだよ」

 

デルクが静かに言った。その言葉に、リリスは微かに微笑んだ。

 

その後、彼らは塔を出た。外の空は澄み渡り、赤い月の影響が消えたことを物語っていた。

 

「さあ、帰ろう」

 

カインが一行を振り返り、微笑んだ。

 

リリスもまた、一歩前を向き、新たな一歩を踏み出したのだった。

 

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