聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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『ギルド』の説明とサレンディア救護院

ーユウキsideー

 

ユウキとコッコロは、これ以上【自警団‹カォン›】といると獣人‹ビースト›族との共謀者だと疑われる事を懸念したマホによって、【自警団‹カォン›】のギルドハウスから出ていこうとする際、サレンの計らいで、サレンとスズメと共に馬車で『救護院』へと向かう途中、仮眠していると『アメス様の夢の世界』に飛ばされた。

 

「まだ会ったわね、ユウキ。ようこそ、幕間の場所へ。あんたとあたしの、束の間の逢瀬を楽しみましょう」

 

にこやかに言うアメス様だが、すぐに半ば呆れ顔となる。

 

「しかしまぁ、今回も見事な巻き込まれっぷりだったわね。あんたのいる所に騒動あり、ホント主人公って大変ね。ともあれ、今回はクリスティーナちゃんも大暴れで、あんたの事も気に入っちゃった感じだったけど。まぁ彼女が悪目立ちするのも仕方ないのよ。彼女も『この世界』におけるかなりの『重要人物』だから」

 

アメス様はクリスティーナの事も知っているようであった。が、すぐに視線をユウキにも向ける。

 

「ーーーーあんたと同じようにね。そう言う重要人物がいる所では、物語は激しく揺れ動く。あんたはその大きな文脈に・・・・運命の流れに巻き込まれちゃった訳ね」

 

次に、アメス様は苦言をユウキに言う。

 

「それにしても、いきなり二冊抜刀、それも二刀流だなんて無茶な事したわね。体力もかなり消費したでしょうに・・・・まぁ、相手があのクリスティーナちゃんじゃ、生半可でどうにかなるものでも無いから、仕方ないとは言えるけど」

 

やれやれと肩を落とすアメス様。

 

「何にせよ、今回のクリスティーナちゃんとの戦いであんたはまた一歩、聖剣の力を引き出す事ができたけど、体験した出来事については、『ギルド』と言う概念を理解してないと分かりづらかったと思うわ。私が簡単に概要だけ教えておくけど、詳しく知りたい場合は、思い出を反芻してみて」

 

そう言って、アメス様は説明を始めた。

 

「あんた達が暮らしている〈ランドソル〉と言う町では・・・・全ての住人が、『ギルド』と呼ばれる集団に所属する事を義務付けられている。これは『戸籍』みたいなのも兼ねてて、『ギルド』に所属していないと住人として認められない。様々な福利厚生等の、公共のサービスが受けられなくなるわ。就職なんかにも不利ね。まぁあくまで〈ランドソル〉の中でのみ流通してる概念だから、他所から来た旅人なんかは特例で免除される事もあるけど。あくまでも『今のあんたの物語』は、〈ランドソル〉を中心にして展開してるから・・・・『ギルド』と言うものは、決して無視できない筈よ」

 

成る程、とユウキは理解を示す。

 

「そしてこの国は代々、王族が統治する中央集権型の政治が行われてるわ。そんな支配者たる王族が居住してるのが、『王宮』って呼ばれる建物ね。その為に、王族・・・・この国を支配する者達を指して、『王宮』って呼称する事も多いわ。そんな『王宮』直属のギルドを、【プリンセスナイト】って呼ぶのよ。各種の省庁、警察や消防、裁判所、その他諸々・・・・公的な役割を果たしている機関は全て、【プリンセスナイト】ね。まぁ本当に、お役所〜ぐらいの意味よ。あんた達を襲撃してきた、クリスティーナちゃんが所属しているのも・・・・【プリンセスナイト】傘下のギルド【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】よ。『王宮』直属の軍事力そのもの、警察や軍隊の役割を担ってるギルドね。この世界では長く平和な時代が続いているから、予算が削減されて弱体化してるみたいだけど、それでも【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】は公的なお役所で、この国の『正義』そのものよ」

 

難しい話だが、クリスティーナはそのギルドの副団長で、かなりの大物である事と、【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】が凄いギルドだと言う事が分かった。

 

「あんたは、今回のクリスティーナちゃんとの戦いで、『聖剣』を所持している事が知られただろうし、これから騎士団の連中に目をつけられちゃった訳。まぁ今回はクリスティーナちゃんの『独断』っぽかったけど、警察に睨まれて犯罪者扱いされたようなものよ。当面の危険は去ったけど、結構ヤバい状況かも知れないわ。事後処理の仕方を間違えると、詰むわよ。相手は腐ってもこの国の警察・・・・公的機関である【プリンセスナイト】なんだからね」

 

どうやら大変な事になりそうだ、とユウキは思った。

 

「・・・・『プリンセスナイト』。って言う言葉そのものもよく覚えておいてね。ほら、世界の謎の『鍵』を握るムイミちゃんが、その言葉に強く反応してたでしょう?」

 

ユウキはコクリと頷いた。

 

「あんたは忘れちゃってるだろうけど、それはとても、重要な名前なのよ。ともあれ、長い一日が終わって、これからあんたは安全な場所で身を休める事ができるわ。【サレンディア救護院】って言う、これからあんたが生活の場にする事になる場所。そして、『ーーの聖剣』が眠っている場所でね」

 

【サレンディア救護院】。それが今向かっている場所であり、『新たな聖剣』がある場所でもある。

 

「あんたが今日ずっと一緒にいた、スズメちゃんが所属しているギルドの拠点よ。スズメちゃんのご主人様、サレンちゃんがあんた達の事も保護してくれる訳。今日はそのまま、彼女の元に身を寄せて夜を明かす事になる。『聖剣』の事は翌日にして置いて、今はひとまず安心して・・・・あったかいベッドで、ゆっくり眠りなさいって言ってあげたいけど」

 

すると、アメス様はハァ~っと、溜め息を吐いた。

 

「あっちゃ。どうもまだ『長い一日』は終わりそうにないみたい」

 

そして神妙な顔となって警告する。

 

「あんたの元に、『邪悪な影』が忍び寄ってる。今は少しでも体力を回復させて、油断せずに備えておきなさい。残念ながらヒーロー休息はないみたいだからね」

 

すると、『夢の世界』が光に包まれる。

 

「きっと、『ーの聖剣』も、【サレンディア救護院】を守る為なら、力を貸してくれる筈よ。頑張りなさいユウキ、〈仮面ライダー・・・・〉。非道な奴には怒りを見舞ってやりなさい。問答無用でね。それじゃ、ボンヌ・レクチュール。よい読書を♪」

 

そして、笑みを浮かべるアメス様を最後に、ユウキの視界が真っ白な光に染まった。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

目まぐるしい一日の疲労で、馬車の中で仮眠を取っていたユウキとコッコロとスズメは、サレンに起こされると、ランドソルの街から少し離れた場所にある大きな屋敷、【サレンディア救護院】に辿り着いた。

そしてサレンとスズメに案内されるまま、救護院の中に入ると、サレンは明るく声を上げた。

 

「ただいま〜♪ 皆、良い子にしてた?」

 

「ぁひゃ!? おおお、お帰りなさいぃ・・・・『ママ・サレン』!」

 

茶色い髪を肩口に伸ばし、頭のてっぺんに大きなリボンを結わえ、ピンク色の服を着た、コッコロと同い年の気弱そうだが、可愛い女の子が怯えながら出迎えた。

しかし、サレンは渋面を浮かべた。

 

「『ママ』って呼ばないでね、いつも言ってるけど。あたし、まだ十七歳よ。それよりも・・・・悪いけどお腹ペコペコだから、晩御飯の残りでもあったらちょうだい。何もないなら、店屋物とか頼むけどね」

 

「あっ、大丈夫ですぅ・・・・今日はスズメお姉ちゃんが仕事で遅くなるって言ってたから・・・・私達が食べるもの、用意しといてくれて・・・・だから、えっと・・・・?」

 

見た目通りの気弱でオドオドして物言いをする女の子は、それでも精一杯言葉を発する。

 

「た、食べる物はありますから! あ、あっため直して来ますぅ・・・・ひゃうん!?」

 

が、慌てて走ろうとする女の子は足がもつれてしまい倒れそうになるが、サレンが受け止めた。

 

「危ない! 慌てなくて良いからね、『クルミ』? ていうか、食べ物の用意くらい自分でするわ・・・・もう夜も遅いし、クルミは部屋に戻って寝ちゃいなさい?」

 

「ひぁっ、いやでも・・・・せっかく、ママ・サレンがおうちに帰ってきたから・・・・お、お喋りしたぃ・・・・うぅっ?」

 

サレンが休むように言うが、クルミはサレンとお話したいと涙目になりながら言う。その姿に、サレンは思わず苦笑しながら口を開く。

 

「あぁ、うん。じゃあ一緒に食事の用意をしましょ、仲良くお喋りしながらね。ずっと家を空けちゃってごめんなさい、寂しかった?」

 

「あぅ、みんな寂しがってましたよぅ・・・・?」

 

「うん。でも、後ちょっとの辛抱だから。今日も何だか無駄にトラブルに巻き込まれちゃって、先行き不透明だけど、あんた達の平和な暮らしが第一で、最優先よ♪」

 

そう言って、サレンはクルミを優しく抱き締めた。

 

「はぅあっ? ママ・サレン、抱き締めちゃヤですぅ・・・・! く、苦しぃっ!?」

 

と言いつつも、何処か嬉しそうなクルミ。その二人の周りがとても穏やかで微笑ましく、まるで本当の姉妹か親子に見えてしまう。

 

「あのぅ・・・・? わたくし達は、どうすれば宜しいのでしょう?」

 

すっかり蚊帳の外にされたコッコロとユウキ。コッコロがおずおずと声を発する。すると、サレンもそれに気づいたようだ。

 

「あぁ、ごめん。お客さんを、玄関の前で立ち往生させちゃって。んっと、空き部屋が幾つかあるから、案内するわ。そこに、荷物を運び込んじゃってね。悪いけど、ベッドメイクとかも自分でやってちょうだい」

 

そう。コッコロとユウキはあの後、宿屋に置いてあった荷物も持って、この救護院に来たのである。

 

「一流ホテルのスイートルーム・・・・とはいかないけど、まぁ雨風は凌げるわ。今日はお互いに疲れているし、うちの裏にある『聖剣』についても明日にして、ゆっくり休みましょう」

 

と、そこでサレンが思い出したように話をする。

 

「おっと、言い忘れてたわね。淑女らしく、キチンと歓迎の挨拶をしないと・・・・ようこそ、愛しい我が家、【サレンディア救護院】へ♪」

 

 

 

 

 

 

サレンに案内され、二つのベットがある二人が共同生活するには十分の広さがある小綺麗な部屋に着き、サレンはそのまま一階に戻り、寝間着に着替えたコッコロとユウキは、今日一日の目まぐるしく濃い日を労った。

 

「ふむ。何だか今日は、ずっと状況に流されっぱなしでございますね。お疲れでしょう主さま。手早くベットを整えましたので、横になって下さいまし」

 

“他の荷物は明日取りに行くんだね?”

 

「はい。後日、ホテルから運んで来ますので、今日のところはゆっくりお休みになって下さいまし。クリスティーナとやらが言っていた『聖剣』も、明日に見せてもらいましょう」

 

“サレンちゃんに泊めてもらえて助かったね”

 

「はい。サレン様のご厚意で、この【サレンディア救護院】に、泊めていただける事になったのですよね。ホテルまで戻ろうにも、もう大分遅い時刻でございましたし。ずっとホテル暮らしをしていると、宿泊費だけで汲々としてしまいますしね。殆ど無料で寝床を提供してくれる、と言うサレン様のご提案は渡りに船でした」

 

そろそろ路銀も底を尽きそうになっていた二人にとって、本当に助かった。

 

「色々トラブルに巻き込んでしまったお詫びに、等と言われましたけれど・・・・まぁお言葉に甘えて、今晩の所はご厄介になりましょう。あれなら生活が安定するまで、ここで寝泊まりしてもいい・・・・等と言われましたけどね。そこまでお世話になるのも、やや心苦しくありますね」

 

“そうだね”

 

「サレン様達を信用して良いものか、まだ判断がつきませんし」

 

“サレンちゃんは信用できるよ”

 

コッコロはサレン達を疑うが、ユウキは迷いなく応えた。

 

「まぁ、わたくしは主さまのご判断に従います。どうか、お好きなように。何があっても、わたくしが主さまのお命だけは守り抜きますので」

 

コッコロが決心するように言った。

 

「とは言え・・・・流石に今日は、散々修羅場に巻き込まれたので疲れました。わたくしも、休ませていただきますね。主さまも、『メギド』を二体にクリスティーナとの戦いでお疲れでしょう。ゆっくりとお休みなさいまし、主さま・・・・♪」

 

“うん。お休みなさい、コッコロちゃん”

 

お互いにそう言って、ユウキはベッドに横になり、毛布を被って目を閉じ、眠りに入っていったーーーー。

 

 

 

ーコッコロsideー

 

そして、コッコロは明かりにしていたランプの灯を消すと、スヤスヤと眠るユウキにこっそりと近づいて、その寝顔を見つめる。

 

“ZZZ・・・・ZZZ・・・・ZZZ・・・・”

 

「フフっ・・・・」

 

安らかに眠るユウキの寝顔に、笑みを浮かべるコッコロは・・・・。

 

「(ーーーーコンコン)失礼しまーす」

 

すると、部屋の扉がノックされ、スズメがにこやかに入ってきた。

 

「えっと・・・・もう寝ちゃいましましたか? お食事の準備ができましたので、まだ起きられておられるならご一緒にーーーーうひゃぁっ!?」

 

と、言葉の途中で素っ頓狂な声を上げた。理由はーーーーコッコロがユウキに抱きつきながら眠っていたからである。

 

「あ、あれ!? あなた達・・・・何で一緒に寝てるんですかっ!?」

 

若干顔を赤くしたスズメの声に反応し、ユウキとコッコロが目を覚ます。

 

“う〜、どうしたのスズメちゃん?”

 

「ふむ? 何か、問題がございますか?」

 

「いや問題って言うか、コッコロちゃんはまだ子供とは言え、若い男女が同衾なんてっ? あぁっ・・・・もしかして、お二人は『そう言う関係』なんですか?」

 

狼狽えるスズメに、ユウキとコッコロは起き上がる。

 

「『そう言う関係』、と仰いますと? わたくしと主さまはご覧の通り、ごくありふれた主従関係でございます♪」

 

そして、何故同じベッドで寝ていたのかを説明する。

 

「就寝中、主さまは無防備になられますからね・・・・こうしてわたくしが同じ寝床に入って、身辺の警護をしているのです。何があっても、すぐに対処できるように」

 

酷く真面目に応えるコッコロ。

 

“コッコロちゃん、暖かい♪”

 

「わたくしは体温が高いらしく、抱っこして寝ると湯たんぽの代わりになって良い・・・・と、主さまには好評でございます。ええっと、いけませんか?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

さも当然の事のように語るコッコロに、スズメは思考停止したように硬直したが、すぐに声を発した。

 

「いけませんよ! あなた達、別に親子でも兄妹でもないんですよね? 『間違い』があったらたいへんですっ、子供達の教育に良くない! コッコロちゃんにも別室を用意してますから、そっちで寝て下さいね?」

 

そう言って、スズメはコッコロの手を取って、ベッドから下ろそうとする。

 

「ほらっ、おいで! 早くっ、子供達に見られる前に・・・・!」

 

「ふむ、何をそんなに慌ててらっしゃるのですか、スズメ様・・・・? わたくし達、これまで同室で寝泊まりしておりましたよ。それぞれ個室を借りると、宿泊費が高くつきますからね。だ、駄目だったでしょうか?」

 

「駄目ですよ〜んもう、あなた達って、偶に常識がないですね」

 

“ごめんなさい”

 

首を傾げるコッコロに、スズメは声を張り上げ、ユウキが謝罪する。

 

「謝る事は無いですけど・・・・そう言えば、あなたって記憶喪失なんでしたっけ。だから、色々大事な事がすっぱ抜けてるんですね。それなら情状酌量の余地はあるって言うか、仕方ないです」

 

そう言って、やれやれと肩を落とすスズメ。

 

「でもまぁ、やっぱり若い男女が同衾するのは問題なので・・・・すぐ向かい側がコッコロちゃんの部屋ですから、コッコロちゃんは、そっちで寝ましょう?」

 

「けれど、わたくしは、主さまのお側から離れたくないのです」

 

「ワガママ言わないで下さい。寂しいのは分かりますけどね。心細いなら、私が一緒に寝てあげますから・・・・♪」

 

「ふむ。主さまは駄目で、スズメ様はOKなのでございますか? 理屈が分かりかねます。できれば、主さまと一緒が良いのですけど・・・・?」

 

「あぁ、もう・・・・どう説明したら良いのやらっ、困っちゃいますね?」

 

ユウキ関連に関しては話が通じないコッコロに、スズメが頭を抱えた。

 

「兎に角、お嬢様が、広間でお待ちですので・・・・二人共、そちらで一緒にお食事をとって下さいね。まぁ、眠いなら寝ちゃっても良いですけど、暫くお二人は、【サレンディア救護院】で過ごされるんでしょう? それなら、お喋りする機会は・・・・これから先、幾らでもありますからね♪」

 

“・・・・お腹空いたな”

 

完全に起きたユウキはお腹をさすった。確かに、昼頃から何も食べていないのだ。寝る前に身体が栄養を求めているのは当然だろう。

ユウキにつられて、コッコロも空腹を自覚し、結局二人は起きて、寝間着から着替えて、スズメと共に、サレンとクルミのいる広間へと向かった。

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