ーアヤネsideー
ユウキ達の話し合いが終わり、サレンが会合に出掛け、ユウキとコッコロとスズメも寝静まった頃。
アヤネは寝ているクルミを揺すっていた。
「クルミ〜。ねぇ、クルミ? ごめん、起きて・・・・?」
「ふぇ・・・・どうしたんですか、アヤネちゃん・・・・?」
クルミが眠っていた瞼を開けて、アヤネに話しかける。
「ん・・・・何か、『変な音』がしない・・・・?」
「『音』・・・・? まだ、ママ・サレン達が起きてるんじゃないですか・・・・?」
クルミはまだ眠い瞼を擦りながら起きる。
「いま、何時ぃ・・・・? うう、今日はいつもより夜更かししたから眠たいんですよぅ・・・・?」
「うん。ごめんね、起こしちゃって」
「いいの・・・・たまに悪夢を見た時とか、アヤネちゃんは心配して一緒に寝てくれるもん・・・・今度は私の番って言うか、恩返しがしたいですぅ・・・・♪」
申し訳無さそうにするアヤネに、クルミが笑顔でそう応えた。
「アヤネちゃん。良かったら一緒に寝ましょう・・・・? 私と一緒なら安心でしょう、グッスリ眠れる筈ですよぅ・・・・♪」
「う〜独りで眠れないってお子ちゃまみたい。私、クルミよりもお姉さんだからねっ? でもまぁ。今回は、クルミの顔を立てて一緒に寝てあげても・・・・んん?」
「・・・・・・・・」
と、ソコでアヤネが一緒にそう返そうとすると、クルミが訝しむ顔をして、窓の外の景色を食い入るように見下ろした。
「ど、どうしたのクルミ? 急に黙っちゃったりして、変な冗談やめてよ・・・・」
「・・・・ア、アヤネちゃん・・・・!」
「???」
クルミが声を震わせ、震える指で窓の外を指さすので、アヤネも窓の外を見るとソコには・・・・。
「・・・・・・・・」
黒いオーラを纏い、紫色の目も妖しく光らせたーーーーアヤネと瓜二つの少女が、コレまた黒いぷうきちを携えて、月明かりに照らされた救護院の庭に立って、コチラを見上げていた。
「「ひぃぃぃぃっ!!??」」
アヤネとクルミが手を握り合って脅える。
「あ、あれって、私・・・・!? どうして私が窓の外にいるの!?」
「ーーーーーーーー」
自分そっくりの人間が無表情にコチラをフッと笑みを浮かべ口を開いて喋っていように見えた。あまりに不気味な状況に、幼い二人はスッカリ怯えきってしまっていた。
そしてーーーー。
「きゃっ、きゃああああああ!?」
アヤネの悲鳴が、救護院に響いた。
ーユウキsideー
そしてその頃、スズメに懇々と諭され、渋々納得したコッコロと、別の部屋で寝ていたユウキは。
ーーーーキィィィィン・・・・キィィィィン・・・・キィィィィン・・・・。
ーーーーきゃああああああ!?
“っ!!”
「(ガチャッ)ーーーー主さま。先程の悲鳴が聞こえませんでしたか?」
“聞こえた。アヤネちゃんとクルミちゃんの部屋のあたりだ”
突然、ユウキの剣が火炎剣烈火に変わり、警告をするような音を出すのと同時に、アヤネの悲鳴が聞こえ、ユウキがガバっと起き上がると、それと同時に寝間着のコッコロが部屋に入ってきた。
するとユウキは急いで寝間着からいつもの服に着替え、火炎剣烈火を手に持ち、二人の部屋へと向かおうとするが。
ーーーーきゃああああああ!?
すると今度は広間の方から悲鳴が聴こえた。
「今度は広間から・・・・。参りましょう、主さま。充分に、気をつけてくださいまし。わたくしから、あまり離れないように」
そして、寝間着から普段着に着替えたコッコロを連れて、救護院の広間に行ってみると。
「うあぁああん! やだぁあああ!」
大泣きしているアヤネとクルミが、スズメに抱き着いていた。
「怖い怖い、怖い! わ、私が立っていたの! 私がっ、窓の外に立ってた! 嘘じゃないよっ、信じて! 私は嘘なんかつかないよ、良い子だから! やっぱり、そうだったんだ! パパやママみたいに、私も『本物』じゃないんだ! あの窓の外二いたのが、『本当の私』なんだ! だから、だから・・・・うああああん!」
「お、落ち着いてくださいアヤネちゃん! 大丈夫ですからっ、泣かないで〜?」
完全に怯え切り、要領を得ない事を言うアヤネをスズメが必死に宥める。
「失敬。すみません、何の騒ぎでしょうか?」
“何かあったの?”
「あぁコッコロちゃん、ユウキさんも・・・・すみません、起こしちゃいましたね?」
“気にしないで、それでアヤネちゃんはどうしたの?”
「んっと。私も悲鳴が聞こえて飛び起きたばっかりで、良く分からないんですけど・・・・どうも、アヤネちゃんが怖い夢でも見たらしくって?」
「ゆ、夢じゃないよ! 本当にいたの、私がいなの! く、クルミは信じてくれる?」
「はぅ・・・・わ、分かんないですけど・・・・」
“何が起こったかを話して”
「は、はい、お兄ちゃん・・・・」
ユウキが聞くと、涙目のクルミが話し出した。
「アヤネちゃん、私と一緒に寝ころんでたのに・・・・窓の外にも、『もう一人のアヤネちゃん』がいたんですぅ・・・・」
「えぇっと、どういう事ですか? クルミちゃんも、その何でしょう・・・・『もう一人のアヤネちゃん』を、見たんですね? 二人とも、嘘をつくような子じゃないですけど・・・・えっと、窓硝子にアヤネちゃんの顔が映っただけなのでは?」
“もしくは、『人間の姿に化ける魔物』がこの救護院の近くに来て、たまたま窓から見えたアヤネちゃんに化けた、とか・・・・?”
スズメがクルミの説明を聞いてそう仮説すると、ユウキが魔物の存在を述べた。
「っ! きっと魔物だよ! 目が光ってたの、私の目とは違う色だった! 紫色だった! それで、私を見て笑いながら何か言ってたの!」
「う、う~ん。本当に魔物や不審者だったら大変ですし、念の為に、私が外の様子を見に行ってみますね」
「ふむ。魔物などでしたら、一人では危険ではありませんか。どうもスズメさまは荒事にはあ不慣れなようですし」
「いえ・・・・大丈夫です、ちょっと様子を見に行くだけですし。コッコロちゃん達は、アヤネちゃん達の傍にいてあげて下さいね。ヤバそうだったら大声を出しますので、皆を連れて避難して下さい。皆が逃げる時間ぐらい、稼いでみせます」
そう言うと、アヤネとクルミをユウキに託し、スズメは外に行こうとする。
「お嬢さまが、会合の為に不在なので・・・・【サレンディア救護院】の皆を守るのは、今は私の役目ですから」
そして、スズメは外へと向かった。
ースズメsideー
救護院の外に出たスズメは。
「(うう〜? カッコよく大見得を切って出てきたのは良いんですけど、普通に怖いです! お嬢さま〜! スズメをお守り下さい! お、お化けとかだったら嫌ですね〜・・・・いや魔物でも、不審者でも何でも嫌ですけどっ? た、単なる子供達の見間違いだったら良いなぁ〜・・・・?)」
すっかりヘタれながら歩いていた。
「(えっと。確か、この辺がアヤネちゃんとクルミちゃんの部屋がある位置ですよね。窓の向こうに何かがいた、って事だから。この付近に、不審なものが無いか確かめれば〜・・・・?)」
と、アヤネが周囲を見回すと、夜闇の夜闇の中から、一人よ少女が現れた。
『・・・・・・・・』
「ひっ!? えっ、アヤネ・・・・ちゃん?」
小さな悲鳴を上げるスズメだが、ソコに立っていたのは間違いなく、紫色の双眸をした、身体全体が少し黒く染まったアヤネであった。
「(違う。アヤネちゃんは、救護院の中にいる筈です。あの子は、言った事は聞いてくれるお利口さんですし)」
『・・・・・・・・』
「(あぁっ、良く見たら目の色が違う! ソレに、目がボンヤリ光ってる? アヤネちゃんの言った通りです、コレは誰っ? ななな、何なんですかぁっ?)」
混乱するスズメを余所に、アヤネ?が口を開く。
『・・・・遊び・・・で・・・・』
「ふぇっ? な、何ですか? 遊び・・・・?」
『違うよ〜一緒に遊びたかっただけ!』
「は、はい?」
戸惑うスズメだが、構わずアヤネ?は無表情に喋りまくる。
『さぁ、早くやろうよ!』『もぐらさん、かわいい!』『お兄ちゃん、がんばって!』
「えっ、えっ・・・・?」
ーーーーきゃああああっ!?
混乱しそうになるスズメの耳に、救護院からクルミの悲鳴が聞こえた。
「(ふあっ? 今のって、クルミちゃんの悲鳴? あの子達に、何かあったのでしょうか? どうしましょう、えぇっとえぇっと?)」
『あははは!』『楽しい〜!』『あははは!』
「(あのアヤネちゃんっぽい何かは、今のところ危なそうな動きはしてませんし・・・・取り敢えず放置して、皆の所に戻りましょう! もしかしたら、皆の所にもおかしなものが現れたのかも・・・・!?)」
一人で無表情に楽しい声を上げるアヤネ?を一旦置いて、救護院に戻ろうとするスズメ。
◇
「皆さん! どどど、どうしたんですかっ? 今、悲鳴が聴こえましたよ・・・・!?」
救護院の広間に戻ったスズメの目に入ったのはーーーー。
「い、嫌ぁっ・・・・! やめてぇ、『ママ・サレン』・・・・!」
『・・・・・・・・』
“くっ・・・・!!”
クルミに剣の切っ先を向けて斬りかかるサレン?の刃を、クルミを庇い、火炎剣烈火で受け止めるユウキの姿であった。
「あっ、危ない! えええっ、お嬢さま? 何て事をするんですか〜っ! 今、クルミちゃんを斬ろうとしましたよね・・・・!?」
「違うよ、スズメ! ママ・サレンじゃないっ、コイツも『偽者』! 窓の外にいた、『もう一人の私』と同じようなやつ!」
突然凶行を行う主に、スズメは必死に呼びかけるが、アヤネが『偽者』と叫んだ。
「だって、目が光ってるもん! ソレにママ・サレンは、絶対に私達に酷い事はしない! コイツは、やっぱり偽者だ! どっか行ってっ、うああああ〜ん! 吹っ飛んじゃえっ、【ぷうきちフルスイ〜ング】!」
アヤネがサレン?に向かって、ぷうきちを大きく振りかぶって叩き飛ばそうと、遮二無二にぷうきちを振り回す。
「や、やめてくださいアヤネちゃん! 暴れないでっ、救護院の建物が崩れちゃいますよ〜!?」
スズメが抑えようとするが、サレン?が無表情に口を開く。
『自信満々ね』『それじゃあ、お手並み拝見♪』
そう言うとサレン?が、スズメにも斬りかかる。
「わひゃっ!? おおお、お嬢さまっ? 今、私に攻撃しましたよねっ? 酷いです〜私はいらない子ですかっ? だから、処分するんですね! そうですよねっ! 私ったら、いつもドジで迷惑ばっかりかけてますから・・・・!」
“違うよスズメちゃん! このサレンちゃんは偽者だよ!”
「落ち着いてくださいまし、スズメさま。どうも、アヤネさまでしたか・・・・そちらの方のおっしゃる通り、これはサレンさまご本人ではないようです」
スズメは落胆するが、ユウキとコッコロが偽者だと言う。
「そのサレンさまは、どうも同じ動きを反復しているだけです。落ち着いて対処すれば、さほど危険ではございません。サレンさまらしかぬ、と言うか。訓練された戦士の動き、と言う感じではありませんよね」
“サレンちゃんの剣筋はもっと綺麗だし、サレンちゃんは子供達に刃を向ける事は絶対にしない!!”
火炎剣烈火でサレン?と斬り結ぶユウキがそう断言した。
「ふむ。では先程、主さまの言った、人間の姿に化ける魔物か何か、なのでしょうか?」
「魔物・・・・言われてみれば何処となく、生気が無いと言うか人間らしからぬと言うか? ちょっと、確かめてみましょう!」
そう言って、スズメはサレン?に問いかけた。
「あのう、お嬢さま〜? 初めてお会いした日の事、覚えてらっしゃいますか? あれは、お嬢さまの十二歳の誕生日でしたね。お嬢さまは・・・・当時はまだ幼い子供だったのに、大人達の前で立派なスピーチをされていました。給仕をしていた私は、その日もドジって、バースデーケーキに頭から突っ込んじゃったんですよね。覚えてらっしゃいますか、お嬢さま?」
『強化アイテムね』『あたしが言った事は守っているようだけど』
スズメが思い出を語るが、サレン?は全く関係無い言葉を出してきた。
「・・・・覚えてらっしゃらないなら、あなたはお嬢さまではありません」
スズメが今にも泣きそうな声で、サレン?に向かって声を発する。
「私のドジのお陰で、肩から力を抜いてスピーチできたのだと・・・・『あなたのドジには、いつも助けられている』のだと。そう笑顔で仰ってくれた、私が尊敬し、仕える主ではありません」
スズメとコッコロも武器を構えた。
『これを使いなさい』『あなたに使いこなせる?』
するとサレン?は、『アルターライドブック』を取り出した。
[ハンザキサンショウ王!]
“『アルターライドブック』!?”
『アルターライドブック』が開かれ、ソコから放出されたエネルギーがサレン?の身体を包み込むと、その身体が変貌し、メギドへとなった。
大きな口を開けた紫色のサンショウウオを思わせる姿をしており、口の中に鋭い目付きをしたドクロのような顔があり、胸と腹部に本がのっていた。
『甘いどころかピリリと辛い、『ハンザキメギド』である』
サンショウのメギド、『ハンザキメギド』は、鋸の様な刃先を持つ大剣『サキガエシ』を持ち上げる。
「お、お嬢さまの姿で、怪物にならないで下さい〜!」
スズメが魔法を放つが、ハンザキメギドの身体に触れようとすると、まるで滑るようにいなされてしまった。良く見ると、体表に粘度の高い体液を纏わせているのか、それが魔法を滑らせていなしていてのだろう。
『カァァァァァ!!』
「スズメさま! コチラに!」
「うわわわっ!」
ハンザキメギドがコッコロとスズメに襲い掛かり、コッコロがスズメの手を引いて避ける。
“アヤネちゃん、クルミちゃん。こっちに”
そして、アヤネとクルミを避難させようと、広間から連れ出したユウキは、すぐに広間に戻ろうとすると、アヤネとクルミがユウキの服の裾を握った。
“二人とも?”
「お、お兄ちゃん・・・・あれ、ママ・サレンじゃ、ないんですよね?」
「ママ・サレンじゃいんだよね? そうだよね、お兄ちゃん!?」
二人が心の底から不安そうに問うてくる。
サレンを心から慕っている二人にとって、あんな姿を見てしまったら、仕方ないと言えるだろう。
するとユウキは、心の底から何やら煮え滾る感情が込み上がってくるのを感じながら、ソレを二人に見せないように腰を落とし、二人の視線に合わせて、笑顔で二人の頭を撫でた。
“ーーーーうん。アレはサレンちゃんじゃないよ。悪い奴が化けた偽者だよ。だから・・・・お兄ちゃんが、絶対やっつけるから、安心して”
「「・・・・うん!」」
二人が笑顔でそう応えると、ユウキは立ち上がり、火炎剣烈火を両手に持って、ハンザキメギドへと向かう。
『ん?』
“・・・・許さない・・・・”
ユウキは今ーーーー怒っていた。
スズメが、アヤネが、クルミが、救護院に住む皆が大好きなサレンの姿で襲い掛かり、【子供達を守り、育てる。その為だったら、あたしは何でもする】、と言っていたサレンの気高い心を土足で踏みにじるような行いに、心の底から怒りが湧き上がる。
“ーーーーお前は絶対に、許さない!”
ーーーーキィィィィン!
ーーーーガシャァァァァン! ドガァァァン!!
『グァアアアアアア!!』
ユウキが構えてそう言うのと同時に、外から窓を破って飛んできた『剣の形をした岩』が、ハンザキメギドにぶつかり倒れさせ、ユウキの持つ火炎剣烈火と一つになると、ユウキの手に『岩の剣』が収まる。
「主さま! その剣は・・・・!?」
「あぁ! あれです! うちの裏庭に刺さっていた『聖剣』です!!」
そして、剣を覆っていた岩が砂になり、その姿を露わにした。
大きさはユウキと同じくらいはあり、刃がオレンジ色の重々しい大剣であった。
[ーーーー土豪剣激土‹ドゴウケン ゲキド›!!]
新たな聖剣、土豪剣激土を持ったユウキの脳裏に、この剣と相性が良い『ワンダーライドブック』を取り出す。奇しくもそれは、サレンと共に見つけた『ワンダーライドブック』であったのだ。
[玄武神話! かつて四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた・・・・]
ユウキは開いた『玄武神話』の『ワンダーライドブック』を閉じて、ゲキドシェルフに装填する。
背後に巨大な『玄武神話ワンダーライドブック』が現れ、ユウキの周りに幾つもの岩が周り、ゲキドトリガーを引く。
“変身!”
ユウキが土豪剣激土を目の前に集まった岩に振り下ろすと、岩がぶっ飛び、『ワンダーライドブック』が開かれた。
[一刀両断! ブッた斬れ! ドゴ! ドゴ! 土豪剣激土! 激土重版! 絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!]
ユウキの身体が一回り大きくなったようになると、ぶっ飛んだ岩を装甲のように纏い、か弱き者を虐げる悪に対し、威圧する眼が現れ、『土の剣士〈仮面ライダーバスター〉』が誕生した。
「うわぁ! 何か凄い感じになりました!」
「主さまの新たな姿・・・・!」
“ーーーー仮面ライダーバスター!”
『っっ!! シャァァァァァァ!!』
ハンザキメギドはバスターの身体にサキガエシで斬っていくが、重厚な鎧に阻まれ、バスターは全くの無傷である。そしてバスターは土豪剣激土をハンザキメギドに向けて振るう。防御しようとするが、高火力の大剣にソレは悪手。
『グハァッ!?』
一撃を受けて大ダメージだったのか、数歩後ろに引くが、バスターはゆっくりて近づきながら、土豪剣激土を振るい続ける。
“一つ、外道な悪に・・・・”
『グォっ!?』
“二つ、震える大地の怒りを・・・・”
『ギバァッ!?』
“三つ! 見舞って上げよう、問答無用ッ!!”
『グバァァァ!!』
最後の一突きで、激土が破った窓から外に追い出すと、バスターは速読機『シンガンリーダー』に『玄武神話ワンダーライドブック』を読み込ませて必殺技を発動する。
『玄武神話ドゴーン! 会心の激土乱読撃! ドゴーン!』
土豪剣激土を上に掲げると、地面から土や岩が飛び出し、刀身に集まり巨大化させ、バスターは勢いよく振り下ろす。
“『大断断』ッ!!!”
ーーーードゴォォオオオオオオオオオンンッ!!
『ーーーーギャアアアアアアアアアアアア!!』
そして、ハンザキメギドを両断し、サレン?が地面に倒れ、『ハンザキサンショウ王アルターライドブック』は、庭の何処かに落ちていった。
土豪剣激土を肩に担いだバスターは、地面に倒れたサレン?に、コッコロとスズメと共に近づいたその時。
“っ!”
「「!?」」
サレン?が起き上がるのを見て、バスターとコッコロとスズメが再び構えた。
『!!』
サレン?が剣を構えてバスターに向かうが、その寸前に、コッコロが槍でサレン?の剣を受け止める。
「・・・・くっ!」
「っ!(ツルン)わひゃぁっ!?」
鍔迫り合いの両者。スズメが魔法で援護しようとするが、足を滑らせて転んでしまった。
「す、スズメさま・・・・」
「うぅっ、す、すみませ〜ん!」
こんな状況でもドジを発動してしまうスズメに、コッコロは少し呆気にとられた。しかし、スズメはすぐに起き上がり、杖をサレン?に向けると、魔法を放った。
「っ!」
『ああああああああああああ!!』
コッコロが即座にサレン?から離れると、魔法がサレン?に直撃し、サレン?の身体が光に包まれると、その光がバスターの持つ土豪剣激土ーーーー否、ソレが変わり、『ユウキの剣』へとなり、光はユウキの剣に吸収されてしまった。
「ふぅ〜・・・・皆さん、お怪我はありませんか?」
「はい・・・・主さまのお陰で、わたくしは無傷でございます。最後にスズメさまがドジって転んだので、その分余計な負傷をしておりますが」
「あはは、これは自業自得です・・・・。皆さん、ご無事で何よりでした♪」
漸く終わり、バスターも土豪剣激土を地面に刺して杖代わりにして寄りかかる。
「何だったんですかね、あのお嬢さまの偽者は・・・・倒れると同時に、夢か幻みたいに消えちゃいましたけど。妙に手応えがありませんでしたし、血も出てなかったですよね? 生き物じゃなかったんでしょうか、お化けみたいなもの・・・・?」
“(『ミヤコちゃん』のお友達かな?)ーーーー何故か、僕の剣に吸い込まれたしね”
バスターは一瞬、『プリン大好きのお化け』の事を思い出すが、それよりも、自分の剣にさっきの敵が入った事を言う。
「あっ、そんな風に見えましたね。何だったんでしょう、不可思議な現象ですけど」
「さぁ、わたくしも詳細は存じませんが・・・・主さまの剣は、『アメスさま』から与えられた『特別な代物』のようですよ。先程のお化けみたいなものだけでなく、普通の魔物等も吸収する事が可能のようです。流石に、聖剣まで吸収するとは思っても見なかったですが・・・・今度、『アメスさま』に祈祷した際に詳細を尋ねてみますね」
すると、何やら周囲から怪しい気配が迫ってくるのを、バスターが感じ取り、土豪剣激土を地面から抜いて構えた。
「・・・・おっと。皆さん、どうも呑気にお喋りしている場合では無さそうですよ?」
コッコロも周囲を見ると、先程吸収したサレン?と同じ者と、アヤネのそっくりな人物が現れた。
『・・・・・・・・』
『・・・・・・・・』
しかも、他にも大勢の団体で。
「うわっ、何かウジャウジャいますよ!? お嬢さまやアヤネちゃんの偽者だけじゃない、他にも沢山! 救護院の建物が、大量の『偽者』に取り囲まれてますねっ?」
「う~む・・・・体力も魔力も有限です、一々相手をしていたら押しつぶされそうですね。余力がある内に救護院の皆様を連れて、包囲を突破し、安全な所まで避難すべきてしょう」
「そ、そうですね。お嬢さまが会合している場所まで逃げて、保護してもらいましょうか?」
“ーーーーそれじゃ、僕が道を作る!!”
バスターが土豪剣激土を地面に突き立てると、大地が隆起し、『偽者達』を吹っ飛ばす。
“今だ!”
三人が救護院に戻ると、既にアヤネとクルミが、他の子供達を集めていた。
「皆〜! はぐれないように気をつけて、一緒に来てください!」
『うん!』
そして、子供達を連れて避難しようとする。
「ひぃいん・・・・! 朝から晩まで、今日はとことん修羅場ですよ〜!」
厄日としか言いようの無い一日に、スズメは泣き言を言うしかできなかった。
土豪剣激土は何故すぐに来てくれなかったのか、ソレは次回分かります。