ーユウキsideー
魔物を一瞬で撃退したセイバーとペコリーヌ。
そのままリンに請われ、彼女に引っ張られるままに牧場へと向かう。
ソコで、彼らが見たものはーーーー牧歌的でのどかな雰囲気溢れる平和な牧場を、夥しい数の魔物達が蹂躙し、火の手が上がり、正に地獄のようなっている光景であった。
「うわっ? これは・・・・一体、何事ですか? 視界いっぱいを、魔物が埋め尽くしてる感じですね〜。私にとっては、珍しい事態じゃありませんけど・・・・。ちょっと魔物の量が桁外れですよね」
ペコリーヌはその光景を見てから、リンに問いかける。
「一応、確認しときますけど。この【牧場‹エリザベスパーク›】とやらでは、魔物を飼育してたりするんですか?」
「してないよ〜普通の動物とかだけ。ただの牧場だよ、何匹かは魔物を飼ってるけどさ。基本的には、普通の牧場。あぁ、何でこんな事に? き、昨日まではいつも通りだったのに!」
リンはペコリーヌにそう返してから頭を抱える。
“リンちゃん。一体何が起こったの?”
「わ、分かんないよ! あたし、今日も寝坊しちゃって・・・・昼頃になって起きてきたら、こんな状況で! わ、訳分かんなくて! 『リマ』が『助けを呼んできて』って言うから、大急ぎで山を下りて、ひぐっ、あんた達に会ったんだよ〜?」
いつもはマイペースのリンも、この状況に涙ぐんでしまっていた。
「他の皆は、まだ牧場の中に取り残されてる! た、助けて〜! お願いっ、何でもするから! ほら、とっておきのドングリをあげるから・・・・!」
リンがドングリを手にいっぱい入れて必死に懇願した。
それを見てセイバーは、コクリと頷いてから、リンの頭を撫でた。
“うん。任せて”
「あぁドングリ、美味しいですよね。最近のは特に、品種改良されてますから・・・・まぁ落ちついて下さい、何とかしてあげます」
ペコリーヌが剣を構えると、セイバーは火炎剣烈火を聖剣ソードライバーを納刀して、『ブレイブドラゴン』を抜いて変身を解除した。
“(ここは火炎剣烈火じゃなくて、水棲剣流水で行こう!)”
ユウキは、火の手が上がっている場所なら水を使うべきと考え、火炎剣烈火を水棲剣流水に変えると、『ライオン戦記ライドブック』を開く。
[ライオン戦記! この蒼き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史・・・・]
声が響き、ユウキは『ライオン戦記』を閉じて、聖剣ソードライバーの中央のスロットに装填すると、背後に巨大な『ライオン戦記ワンダーライドブック』が現れ、左手を腰の裏に回し、水勢剣流水を抜刀する。
[流水抜刀!]
スロットに装填したライドブックが開き、それに連動して巨大なライドブックも開き、青い鋼鉄の獅子が飛び出す。 水を纏った水勢剣流水を回して右手を左腕前に。そして左腕を後ろに添えて、ユウキは叫ぶ。
“変身!”
[ライオン戦記!]
横薙ぎに振るうと水の刃が放たれ、たゆたう水を纏った水勢剣流水を振るい、青い獅子がユウキを包み込んで水柱が上がる。その中で鎧を纏っていくと水柱が弾け、放たれた水の刃が仮面へ装着される。
[流水一冊! 百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を剥く!]
胸に青いライオンの頭部を付け、ライオンの鬣のような装甲を腰と背中に垂れさせ、仮面ライダーブレイズへと変身したユウキが叫ぶ。
“ーーーーこの水勢剣流水に誓う。【牧場‹エリザベスパーク›】を守る!”
「あ、あたしも戦う! 元々【牧場‹エリザベスパーク›】の警備は、あたしの役目だから! なのに、あたし怠けて遊んでばかりで。今日だって、呑気に寝ちゃってて・・・・【牧場‹エリザベスパーク›】の皆には、お世話になってるのに! 皆無事だよね、死んじゃってないよね?」
「どうでしょう。無事である事は祈りたいですけど。如何せん、周りが魔物だらけなので・・・・視界が不明瞭ですよね。何もかも、シッチャカメッチャカです」
“リンちゃん、僕の背中に乗って”
「うん!」
「じゃあ、行きますよ〜!」
リンがブレイズの背中におぶさると、ペコリーヌが突っ走り、全身が光り出す。
「とりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『っ!?』
魔物達がペコリーヌに気付くが、ソレよりも早く、ペコリーヌの剣が魔物達を斬り捨てた。
“ヒュゥゥゥ〜・・・・はぁっ!!”
リンを背負ったブレイズは、一呼吸をしてから、まるで川の流れのような滑らかな動きで魔物達に急接近し、その間を流れるようにすり抜けながら、魔物達を斬り捨てる。
“ふぅ・・・・”
『ガァ!?』
ブレイズが背を向けていると、魔物達が自分達の後ろに逃げたブレイズに向かって身体を振り向かせると、その瞬間、身体がズルッと音を立てて地面に落ちた。
そして、水棲剣流水から水を放出して、近くで燃えている火を消すのも忘れない。
「うひゃっ、あんたもあの人も強いなぁ?」
とは言いつつも、全方位魔物だらけのこの戦場で、たった三人で切り抜けるには少し心許ない。
すると、ペコリーヌが何かに気付いたように声を発する。
「ん? リンちゃんリンちゃん、向こうの方で煙が上がっての見えました? アソコって、何があるんです?」
ペコリーヌが指差した方には、牧場を一望できる位置にある家があり、その向こうに赤い色の煙が上がっていた。
「アソコには、厩舎が・・・・。おかしな色の煙だし、何かの『合図』かも? 何だっけ・・・・? 【自警団‹カォン›】の講習で、信号弾とかの種類について教わったような?」
リンは思い出そうと頭を抱えて唸る。
「う~ん、う~ん? あっ、確か『救難信号』だ! アソコで、誰かが助けを求めてるっぽい?』
「了解です〜。じゃあ、煙が上がった場所を目指して直進しますよ!」
“(コクン!)”
「いちにのさあん・・・・はいっ、れっつごぉ〜☆」
ペコリーヌがそう言って駆け出し、ブレイズはリンを背負ったまま流れるような動きで魔物の大軍へと向かった。
ーキャルsideー
「・・・・・・・・」
そしてその頃、【牧場‹エリザベスパーク›】の様子を見ながら、自分の力を制御しようとしていた人物がいた。
ーーーーキャルだ。
「はあ〜・・・・はあ、はあっ! くそっ、制御できない! どうして? 畜生っ、こんなつもりじゃなかったのに! うまく行かないわねっ、『陛下』に怒られる〜! 嫌っ、また『お仕置き』されるのは嫌ぁあ・・・・!」
『陛下』のお仕置きに怯えるキャルは、魔物と戦っているペコリーヌとブレイズ、ユウキを見据える。
「ティアナ・・・・じゃなくてペコリーヌとユウキが、牧場に踏み込んでから、魔物を暴れさせるつもりだったのに、その前に、こっちの制御を離れて魔物達が暴走しちゃったわ。あたしの命令も聞かずに、好き放題に暴れ回ってる。駄目よ、ペコリーヌは兎も角・・・ユウキは、まだ生かしておけって言われてるのに。ペコリーヌだって、なるべく生かして捕らえろって・・・・殺しちゃ駄目なのに、魔物達が全然言う事を聞かない! このままじゃ、ユウキ達・・・・死んじゃうわ」
改めて、戦況を見ると、ペコリーヌとブレイズが少々不利に見える。
「多勢に無勢よ。いくらペコリーヌが強いと言っても限界がある。『王家の装備』は、燃費が悪過ぎるし。いつかカロリーを消費しきって、疲れ切って倒れる。ユウキの奴も、ペコリーヌを庇いながら、百匹や二百匹以上の魔物と戦うのは無茶よ。そして、死ぬ。たった数人で対処出来る訳がないわ」
そしてキャルは、ユウキ達の末路を想像してしまう。
「アイツらは、死ぬ。踏み潰されて、引き千切られて、食い散らかされて死ぬ。分かっていた事じゃない、こんなのは。いつの日か、こうなるって」
そう考えながらも、胸元に手を置くキャル。
「なのに、どうして胸が苦しいの・・・・? あたしは心の無い、『お人形さん』の筈なのに! 『陛下』! あたしはやっぱり『出来損ないの欠陥品』なの・・・・?」
ーブレイズsideー
「とおぉりゃああ!」
“ハァァァァっ!”
ペコリーヌとブレイズが次々と魔物を切り捨てて行くと、【牧場‹エリザベスパーク›】の家へと到着した。
「はい、到着っ! どうにか、救難信号が上がってた地点に辿り着きましたよ〜☆」
“お見事!”
「あはは。他人事みたいに言いますね。やっぱり弱っちい貴方でも、『聖剣』を使うと大活躍できますね。私達を例の怪しげな『力』で強化してくれたりとか・・・・♪」
ーーーーキィィィィン・・・・。
何故だろうか・・・・聖剣達が騒ぐ、まるでペコリーヌの言葉に不快感を示しているかのように。
「・・・・おっと、気ぃ抜いちゃ駄目ですね。えぇっと、助けを求めてた人〜? 何処ですかっ、救助に来ましたよ〜?」
ペコリーヌが駆け出すと、その前にーーーーラマが二本足で立ち、軽装の鎧とスカートをはいて、剣を携えた魔物のような見た目の人物がいた。
「きゃっ! な、何? 貴方、誰?」
「んん? えぇっと、魔物・・・・ですか? でも、人間の言葉を喋りましたよね? 基本的に魔物って、殆ど人語を解さない筈なのに〜?」
「失礼ねっ、魔物じゃないわよ! 誤解されちゃうのも仕方ないけどね〜。これでも、心は人間のつもりよ?」
すると、ブレイズから降りたリンがラマに近づく。
「リマ〜無事だったの? 良かったぁ・・・・♪」
「あら、リンちゃん! 助けを呼びに行ったんじゃないの? 随分も戻ってくるのが早かったわね?」
「うん。山道の道中でユウキに会えたから! えっと、ソコの派手な人も味方! あたし達を助けに来てくれたんだよ〜?」
リンがブレイズとペコリーヌの事を紹介した。
“リマちゃん、無事のようだね?”
「あれ? あなたは?」
ブレイズが仮面を解除して、ユウキの顔を見せた。
「あら、本当にユウキくんだわ! やっほう」
“やっほう”
「あはは、ユウキくんって、やたら顔が広いですよね・・・・? ともあれ、先程は失礼な事を言ってすみません。【牧場‹エリザベスパーク›】の方ですか?」
「うん。単なる居候だけどね。私、皆をまとめてこの厩舎に逃げ込んだのよ。突然の事だったし、牧場の敷地内から脱出するのは難しくて」
「あたしだけ寝坊して、宿泊所にいたから・・・・厩舎に向かっていた魔物の群れに退路を塞がれる事もなくて、逃げられたんだよね」
「うん。リンちゃんだけでも逃げ延びて欲しいって思ってたんだけど。戻ってきちゃったのね、リンちゃん。変な子ね。いつも、面倒なお仕事とかからは逃げ回ってる癖に」
リマにそう言われ、リンはブーッと唇を突き出す。
「あたしだって、逃げちゃいけない時ぐらい弁えてる・・・・【牧場‹エリザベスパーク›】の皆は『家族』だもん、置き去りになんかしたくないよ」
普段はズボラで怠け者のリンも、リンなりにこの牧場の事を大切にしているようである。
「・・・・『家族』ですか。ソレは大事ですね、命懸けで守らないと。ともあれ、私が派手に暴れて囮になりますので、その間に皆さんは避難して下さい。私、何故か魔物に狙われやすいので・・・・私が引きつければ、どうにか皆さんが逃げる隙ぐらいはできる筈です」
「で、でもそんな・・・・? あなたが危険すぎるわ、死んじゃうわよっ?」
「あはは。民を守る為に命を捧げるのが、本来、『私達』の役目ですからね」
リマが囮になろうとするペコリーヌを引き止めるが、ペコリーヌは朗らかに笑ってそう応えた。
「・・・・生存者は、ここにいるので全員ですか? 逃げ遅れた人とか、います?」
「あれっ? 『マヒル』と、『しおりん』がいない!」
リンがここにいない仲間に気づいて辺りをキョロキョロすると、リマが話し出した。
「うん。『マヒル』ちゃんは、この牧場で飼育されてる牛さんとか羊さんとかが、心配だからって、牧草地の方へ向かったの。あの子にとっては、動物さんも『家族』だから。『シオリ』ちゃんは・・・・何か思い詰めた様子で、魔物の群れの中に突っ込んで行っちゃったわ。『牧場の平和を守るのが、自分の使命だから』って」
リマがそう言うと、リンが首を横に振ってから話し出す。
「違うよ・・・・ソレ、本来はアタシの役目でしょ。しおりんは、アタシがサボりがちだから、見かねて手伝ってくれてただけなのに」
「真面目だからね〜、シオリちゃんは。それにあの子は、魔物の赤ちゃんを拾って育ててたじゃない? 『ニャット』、って名前付けて。今回、魔物の群れが牧場を襲ったのは・・・・魔物が、そのニャットを取り返しに来たんじゃないか〜って思ったみたい。それなら自分の責任だからって、ニャットを抱えて、魔物の群れの方に向かっちゃったの。ニャットを引き渡せば、魔物は目的を果たして帰るかもって」
「いやぁ、ニャットは関係ないと思うけどな〜・・・・・襲ってきてる魔物、種族とかバラバラだし。“何かを探してる”っぽいね」
リンがコチラに向かって来ている魔物達を見てそう言う。確かに、『ニャット』と言う名前からして、恐らく猫系の魔物だろうが、猫系ではない魔物達までやって来るのは確かにおかしいと思うのは当然だろう。
と、そう話していると。
「うんうん! 『リンリン』の言う通りだべ! 魔物達、兎に角手当たり次第にブッ壊して回ってるだけっぽいな。上手に回避すれば、ソコまで危険じゃないべさ?」
星の入った瞳と青い髪、小柄な体型をし、牛の着ぐるみのような衣装を着て独特の話し方をし、その手には大きなフォークのような武器が握られていた少女が話に入ってきた。
「おわっ、マヒル! 良かった良かった、生きてたんだ♪」
「あはは。動物達や、リンリン達を置いて死なねぇど〜♪」
リンがこの状況でも明るく朗らかに笑っている少女、この【牧場‹エリザベスパーク›】のギルドマスター‹牧場主›である『マヒル』であった。
「動物達は、取り敢えず死ぬよりマシだろうと思って・・・・山道に向かって、放してきた。運が良ければ逃げ延びて、近所の集落とかに保護されるべ。全部片付いたら探して、無事に回収する必要があるけども。まぁオラの牧場の動物達は健康で頑丈だべ、魔物なんかにやられたりしないべさ。どうも正気を失って暴れてるのは、魔物だけみたいだしな。動物達はオラの言う事をちゃんと聞いたし、皆お利口さんにして避難してくれた筈だど。後は、リンリン達が逃げ延びられたら一安心だべ。牧場の建物とかは壊されちまったけど、まぁ命あっての物種だべな〜♪」
大切な牧場が滅茶苦茶に破壊されているのに、牧場主のマヒルの朗らかな雰囲気が、暗くなりそうだった空気を和やかにしてくれる。
するとマヒルが近くにいた女の子を呼び寄せた。
「『シオシオ』も、ほれ、ちゃんと無事だべ」
現れたのは、金色の瞳で長い黒髪で毛先が白い、華奢そうな女の子であった。露出は高く、首には虎の毛皮のマフラーかマントを付け虎の耳と尻尾を付けた獣人族‹ビースト›の少女、『シオリ』が現れた。
「危なかっしい事に、魔物の群れの中に倒れててなぁ・・・・オラが気づいて運んでやらなきゃ、踏み潰されてたど?」
「・・・・・・・・」
シオリは、申し訳なさそうに俯いていたが、リンが駆け寄った。
「しおりん! この馬鹿っ、あんまり無茶しないでよ〜・・・・?」
「ご、ごめんなさい・・・・心配、かけちゃいましたね。でも私は病弱で、いつ死ぬか分からないから。私が死ぬ気で皆を守って、生き延びさせられたら・・・・私にも、『生まれてきた価値』があるかなって」
「んもう。二度とそんな馬鹿な事を考えちゃ駄目よ、シオリちゃん? そんな風に、自分を犠牲にしなくても・・・・【牧場‹エリザベスパーク›】の皆は全員、シオリちゃんに『生まれてきた価値』があるって思ってるわよ?」
リマが少し怒った後に優しく諭すと、シオリは改めて頭を下げた。
「はい。ごめんなさい。リマさん、マヒルさん、リンちゃん、皆・・・・」
「うん。でもまぁ、お説教は後回しね。取り敢えず、さっさと避難しましょ?」
「はい。それなら、逃げやすそうな方角ぐらいは分かります。私、案内しますよ。どうも魔物は山中の『ある地点』を中心にして、暴れ回ってるみたいですから。ソコから離れれば離れる程、安全になると思います」
シオリが説明すると、ペコリーヌが割って入ってくる。
「ん〜・・・・横からすみません。その『ある地点』ってどの辺です? どうも、魔物達の動きが不自然ですし。魔法とかで、誰かに操られている可能性があります。だとしたら、その魔物を操ってる『何者』かは・・・・当然、魔力の流れとかの中心にいる筈です。怪しいとしたら、その山中の『ある地点』です。魔物が単に操られてるだけなら、術者を倒せば一件落着です。私、ソコに突撃して術者を仕留めますよ。魔物を皆やっつけるよりは、その方が簡単そうです」
確かに、術者を倒せば魔物達も大人しくなると思われるので、ペコリーヌの言葉も理に適っている。
が、
「私がそっちに向かっちゃうと、皆さんの守りが手薄になっちゃいますけどね」
「大丈夫。逃げる位の事は、アタシ達にもできる。アタシは、兎も角・・・・リマやマヒルや、しおりんにコイツも強いから」
リンがブレイズとなったユウキの腰をポンッと叩いた。
「リンちゃんも、強い人・・・・逃げても良かったのに、戻ってきてくれたもの」
シオリがリンも強いと言った。ソレを聞いて、ペコリーヌは頷いて声を発する。
「ふむ・・・・ユウキくんは、【牧場‹エリザベスパーク›】の皆を連れて、避難してくださいね。私は暴れて敵を引きつけつつ、魔物を操ってるらしい『何者』かをやっつけてきます」
“危険だよ?”
「あなたと初めて会った時もそうでしたけど、こう言うのって、私にとっては珍しくないんですよ。大量の魔物に、襲われる事って。根本的な解決をしないと、いつまでも同じ事の繰り返しですしね・・・・この辺で、華麗に片付けておきたい所です。御伽噺のお姫様じゃあるまいし。命を狙われるのには、懲り懲りですから。もっと呑気に、のほほんと・・・・美味しい物を食べたりして、平和に過ごしたいです」
ペコリーヌが細やかな望みを言う。
「それに。私、倒した魔物は、ちゃんと食べる事にしてますからね。こんなに毎日毎日、執拗に襲われて・・・・その度に魔物を倒して食べてたら、流石の私も胃もたれしちゃいますよ」
これまでの付き合いから、ペコリーヌのお腹に胃もたれが起きるとは思えないか。
マヒルが頷くように声を上げる。
「うん。じゃあ、そんな方向で行くべか。ユウキは兎も角、そっちの子は誰だか分かんないんだけども。自己紹介とかは、また後でな〜? 善は急げだ、早速行動すんべ! いっせいのせ〜で飛び出すど? オラに付いてこいっ! 牧場はオラの庭みたいなもんだ、地面の何処が凹んでるかまで熟知してる! ほら行くど〜! いっせいの〜せ☆」
そして、ペコリーヌは魔物達の方に走り、ブレイズとマヒル達は魔物の数が手薄な方に駆け出した。
ー???sideー
駆け出しているブレイズ達を見据えているのは、『サレンのシャドウ』であった。そして、そのシャドウは自身に、『ハンザキサンショウ王アルターライドブック』を押し当てると、サンショウウオメギドへと変貌し、悠然とブレイズ達の方に歩いていった。
ー???sideー
ブレイズが【牧場‹エリザベスパーク›】の皆と魔物の倒しながら進んでいると、水棲剣流水や火炎剣烈火、土豪剣激土が波動を放っていた。
ーーーーキィィィィン・・・・キィィィィン・・・・。
牧場から少し離れた位置にある、倒れた大木に突き刺さった『緑色の聖剣』に、呼びかけている。
ーーーー・・・・・・・・キィィィィン・・・・。
しかしその聖剣も、その呼びかけに、僅かに応え、その刀身にそよ風を纏っていた。
次回、風の聖剣が戦場に旋風を吹き起こす。