聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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遂に騎士くんは、『宿敵』と出会う。


美しき白い恐怖 〈ランドソル〉の王女ユースティアナ?

ームイミsideー

 

「ーーーーお前は、『教授』?」

 

ムイミは目の前に立つ男性を鉄格子越しに見てそう呟いた。

結構な長身に整った顔立ちをし、水色の長髪を後ろでおさげにし、前髪で片目を隠し、隠れていない赤い目は鋭く肌の色は褐色であり、身体は重厚なマントで覆われ、肩には重厚な鎧を乗せており、髪から覗かせる耳は尖っていて、その人物が『エルフ族』である事を示していた。

 

「・・・・・・・・?」

 

しかし、『教授』と呼ばれた男性は、ムイミの言葉に首を僅かに傾げた。

 

「あれっ、反応が鈍い! あぁ・・・・『こっち』じゃ『教授』じゃないのかも、『あっち』の肩書きで呼んでも意味ないか? えぇっと、本名は何だっけ? 確か、ラジ・・・・ラジ?」

 

「・・・・『らじらじ』? それが、“私の名前ですか”?」

 

『教授』と呼ばれた男性が、困惑混じりにそう聞き返した。

 

「あぁ・・・・オマエも、その様子だと全部忘れちゃってるのか? いや、オマエって確か『ミネルヴァ』に操られて・・・・? んん、よく分からん!」

 

ムイミが頭をガジガジと搔く。

 

「まぁいいや、難しい事は後で考える! えっと、取り敢えず助けて! ほら! この鉄格子を引っこ抜いて! アタシ、悪い奴らに捕まってるんだ! 頼むよ〜! お前はどうせ、覚えてないだろうけど! 【エターナル・ソサエティ】では、お前に協力して色々働いてやっただろ?」

 

「【エターナル・ソサエティ】・・・・? すみません、よく分かりません。私、どうも記憶が混乱しているようなのです。自分が何者なのか、よく覚えていなくて」

 

ムイミは必死に懇願すると『教授』、もとい『ラジラジ』は躊躇いがちにだが口を開く。

 

「貴方の事は、何となく覚えているんですけどね。確か、『ノウェム』・・・・でしたか? ですよね?」

 

「・・・・!?」

 

ラジラジがムイミの事を『ノウェム』と呼ぶと、ムイミは肩をビクッと揺らした。

 

「お前、アタシの事を『ノウェム』って呼んだな? その名前は、今じゃ誰も覚えてないのに! 良かった・・・・! あ、アタシ、怖かったんだ! 本当に、全部アタシの妄想なんじゃないかって! アタシ、おかしくなっちゃったんじゃないかって!」

 

ムイミが、コレまで押さえていた気持ちを暴露するように声を張り上げる。

 

「でも、お前は覚えてるんだな・・・・ラジラジ?、全部夢や妄想じゃなかったんだなっ、そうだろ? アタシ、アタシ、ずっと不安だったんだ!」

 

「ーーーー良く、分かりません。すみません・・・・あなたは、『ノウェム』ですよね? 少し、髪が伸びましたか? 記憶と一致しません、う~む?」

 

『相棒』からも、『腐れ縁の相手』からも忘れられて、本心は不安と恐怖でいっぱいだったムイミは涙混じりに話すが、ラジラジは困ったようにムイミを『ノウェム』なのかと問いかけると・・・・。

 

「ソレに、“オクトーは一緒じゃないのですか? いつも、二人で行動していたのに”・・・・」

 

ラジラジは必死に思い出そうと、『オクトー』の事を話し出した。

 

「何だか、そんな気がします。やはり記憶が混乱していて、曖昧なんですけど」

 

「うん、うん・・・・アタシ達、ずっと一緒だったよ! お前とは、ほんの短い間しか関わってなかったけど、『仲間』だった! 皆、ソレを忘れちゃってるけど!」

 

「『仲間』・・・・ソレなら、その頼みは聞いてあげるべきですね。私の中に、『他者の願いを叶えたい』、と言う衝動もありますし。コレは、一体何なのでしょう?」

 

「『願い』を? う~ん・・・・お前の中に、『ミネルヴァ』の『残滓』があるのかな? アイツは、『願いを叶える為のシステム』そのものだったし。えっと、難しい事は分かんないけど」

 

「ーーーーふむ・・・・アナタとは、もっと、色々と話し合っておくべきだと判断します。私の『自意識の補完』と、『衝動』の為に」

 

ムイミの言葉に、ラジラジは顎に手を当ててそう結論し、自分とムイミの間にえる鉄格子に手をかけた。

 

「・・・・鉄格子、引っこ抜けば良いんですね?」

 

「うん、頼む!」

 

ニヤリと笑みを浮かべるラジラジに、ムイミは力強く頷いた。するとラジラジは鉄格子をその腕力で引っこ抜き、ムイミと共に牢屋から脱出すると、【ラビリンス】のアジトの広間らしい場所に辿り着いた。

 

「うああぁ・・・・何だか変な感じだっ、まさかお前に助けられるなんてな? でも嬉しい、スッゴく! ありがとう、ラジラジ〜♪」

 

ラジラジに感謝を言って抱き着くムイミ。

 

「オクトーは全部忘れちゃってる、他の連中・・・・『ダイゴ』とかも所在が分かんない。アタシ、ずっと独りぼっちで不安だったんだ。だから、お前と再会できて本当に嬉しいっ♪」

 

「そうですか。良く分かりませんけど、アナタは笑顔の方が素敵ですよ・・・・ノウェム」

 

そんなノウェムに笑みを浮かべるラジラジは、まだ抱き着いているノウェムを離れさせる。

 

「ちょっと、下がってください。肉体がギクシャクしていて、加減が難しいのです」

 

「うん! あははっ、たった二人っきりだけど・・・・【エターナル・ソサエティ】の、復活だな! さぁ、反撃開始だ〜っ! 嘘っぱちだらけの、この『世界』に!」

 

ムイミは力強く拳を上へと突き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーキャルsideー

 

そしてここは、『ランドソル王宮』の玉座の間。ステンドグラスから月の光が入ってきており、荘厳な場所を照らしていた。

 

「・・・・ん、んん。はぅ? あ、あれ? ここ、何処・・・・?」

 

いつの間にかソコで寝ていたキャルが目を覚まして、辺りをキョロキョロと見回し、漸く状況を把握する。

 

「ここって王宮の、玉座の間? アタシ、何でこんな所に? さっきまで、アタシは牧場のある山の中に居たのに・・・・。『ティアナ』への対処は、クリスティーナに任せて。暴れ続けてた魔物達を、全力で制御して鎮静化させて。ホッと一安心してたら、ユウキを見つけたのよね」

 

キャルは眠る前の自分の行動を思い返すように呟き始める。

 

「どうも、ティアナ・・・・ペコリーヌを心配して、探しに来たっぽいけど。ユウキ‹アイツ›ったら、幾ら『聖剣』を持っているからって、一人で山の中に入るなんて、自殺行為よ」

 

ユウキと会ってからの話を纏めていると、心なしか顔に笑みが浮かび始める。

 

「魔物は、二人で片付けたけど、アイツ崖から落ちそうになってさ。慌てて、助けてやったのよね」

 

『聖剣』の所持者なのに、妙に間の抜けた奴だと思い、クスッと笑ってしまう。

 

「“ユウキは死なせちゃ駄目”って、『陛下』から言われてるし。・・・・別にユウキが大事だからじゃないのよ、『聖剣』を失ったら大変だからってだけで、勘違いしないでよねっ?」

 

誰も何も言ってない場所で、ツンデレ発言をするキャル。

 

「・・・・・・・・誰に対して言い訳してるの、アタシ・・・・は〜、今日は何だか全然駄目な日だわ」

 

冷静になって、盛大にため息を吐く。

 

「アタシって、やっぱり『陛下』の言う通りで・・・・『出来損ない』の、『欠陥品』なのかしら?」

 

“ーーーーそんな事ないよ”

 

と、キャルの後ろから声をかけられた。

 

「・・・・んん? あれっ、ユウキ!」

 

いつの間にかソコにいたユウキは、黙ってキャルを抱きしめた。

 

「ななな、何でアタシに抱き着いてるのっ? アタシの事が好きなのっ? ちょっ、離れて殺すわよっ!? フーッ!////////」

 

自慢では無いが異性との付き合いの無さ=年齢のキャルは、顔を赤くすると、猫の獣人‹ビースト›らしく威嚇した。

 

“・・・・・・・・”

 

が、ユウキは何も言わず、目を閉じていた。

 

「・・・・ん〜? アンタ、気絶してる? 寝惚けて、アタシに抱き着いてるだけ?」

 

寝惚けているのに受け答えして抱き着くだなんて、変な所で器用な奴だ、とキャルが呆れそうになったその時ーーーー。

 

 

 

 

 

「ーーーーふふ。あまり動かさない方が良いわよ、その子の事が大事ならね。ちょっとした、ショック状態って所かしら。命に別状はない筈だから、安心して。『空間転移』に耐えられずに、失神しちゃっただけよ」

 

 

 

 

と、鈴が転がるような綺麗な声が響いた時、キャルは背中に冷たい氷が入ったような底冷えを感じた。

 

「ヒッ、へ、『陛下』・・・・!」

 

半ば怯えながら、キャルは部屋の奥に鎮座している玉座に優雅に脚を組んで座る、『陛下』と呼ばれる人物を見据えた。

腰にまで届く白銀の長髪。雪のように白い肌。芸術品のように美しく、妖艶な容貌。その麗しい身を包むのは、〈アストライア大陸〉から遠く離れた極東の国『トーゴク』の衣装。目元には三本の爪痕のような化粧が施されている。しかし、キャルを見下ろすその瞳は血のように真っ赤で、その眼光からは氷のように冷たい冷酷さと、有無を言わせない威圧的が放たれていた。そして、何よりも異質なのはーーーーその頭に乗った狐のように尖った耳と、東洋風の意向が入った衣装に身を包んだ、女性のような雰囲気の人物こそ、〈アストライア大陸〉の首都〈ランドソル〉の王族であり、代表者であるプリンセス、『ユースティアナ・フォン・アストライア』であった。

そしてその片端には、ユウキの持つ『聖剣』と同じデザインをした『紫色の剣』を携えていた。

その人物は、眼下にいるキャルを見据えながらやや呆れたような口調で話す。

 

「やぁね、この子ったら・・・・『ヒッ』とか言っちゃって。まるで、『化け物』にでも遭遇したみたいなリアクションじゃない。傷ついちゃうわ〜ふふふ♪」

 

優しい声色でキャルに話しかけるユースティアナ。

 

「アナタには、結構良くしてあげたつもりなんだけどね・・・・。『陛下』なんて他人行儀な呼び方もやめてよ。『家族』でしょう?」

 

「も、ももも、申し訳ありません! えっと、『ユースティアナ様』・・・・!」

 

「『様』も余計だけどね。まぁ良いわ、今日の私はご機嫌だから。何せ、まとめて目障りな連中を始末できそうで、欲しかった『聖剣』が一気に四本も手に入りそうなんだもの。お掃除すると、気分がスッキリするし、宝物が手に入ると、心が弾むものでしょう?」

 

ユースティアナは自分の所持する『聖剣』のエンブレムを撫でながら、声を弾ませていた。

 

「ともあれ、アナタ達。山の中で無邪気に遭難してるんだもの・・・・。私、待ちくたびれちゃってね。もう夜も遅いしさっさと寝たいからから、直接呼び出しちゃった♪」

 

機嫌良く話すユースティアナに、キャルは何やら嫌な予感が感じてならない。

 

「アナタを『目印』にして、その子と一緒にこの場に呼び寄せられたのよ」

 

「く、『空間転移』って・・・・アタシとユウキを、山の中から、“この王宮まで瞬間移動させたんですか”? そんなの、魔法でもあり得ない!」

 

『空間転移』は魔法の中でもかなり上位にあり、習得も発動もかなり難しい術である。遠距離にいる相手を自分の所に転移させるだなんて、『天才』と言われるキャルですらできないのだ。

しかし、ソレを目の前のユースティアナは、まるでナイフとフォークを持って食事するのと同じと言わんばかりに話した。

 

「あり得なくないわよ。キャルったら、私を誰だと思ってるの? 『転送ゲート』ってものがあってね、訳あって封印して一般人には滅多に利用させてないけど。昔は、ごくありふれた移動手段だったのよ。その『転送ゲート』の魔術回路に介入しつつ、チョチョイのチョイって活用した理由。無駄に魔力を使っちゃったわよ、“今は少しでも節約したいのに”。感謝してよ、可愛いキャル・・・・。あのまま山の中にいたら、“巻き添えでお陀仏になってたかも知れないんだから”」

 

ユースティアナの言葉が良く分からないキャルは、取り敢えず口を開く。

 

「・・・・? 良く分かりませんけど、あの、ユウキに何か用事だったんですか? 陛下に命じられて、ずっと観察してましたけど・・・・コイツは、『聖剣』を複数所持している事以外、取り立て特徴のない、普通の男の子ですよ。陛下が、そんなに注目する理由が分かりません」

 

「だから許してあげて、とでも言いたいの? 随分仲良くなったみたいだしね〜アナタ? 【美食殿】だっけ? 妙なギルドにまで入っちゃってさ?」

 

その言葉に、キャルは内心ドキッとしながらも弁解する。

 

「あの・・・・せ、潜入工作です。仲間になれば、油断させられるかなって」

 

「うん、分かってるわよ。可愛いキャル、私のキャル・・・・♪」

 

ユースティアナはキャルの言葉にウンウンと頷く。

 

「言ったでしょ、『アナタは私の一部みたいなもの』。アナタの気持ち何か、手に取るように分かっちゃうのよ?」

 

何処か白白しさを感じる言葉を吐きながら、ユースティアナは突っつくように言葉を発する。

 

「ねぇ、『お友達』が欲しかったの? ううん、“愛されたかったのかしら”? 分かるわ〜『独りぼっち』は寂しいもんね」

 

と、何処か嘲弄が混じったような言葉を並べるユースティアナの目が、スッと細められる。

 

「・・・・でもね、キャル。『神さま』に、『友達』はいらないのよ。たった一人で完結し、万物を支配する。ソレが、私達の在り方よ。アナタは私の一部の筈なのに、何でそんな簡単な事も弁えてないのかしらねぇ?」

 

そう言いながら、ユースティアナは額をため息混じりに声を発する。

 

「あ~あ、失敗だったわ。やっぱり『この世界』だと、『未来予知』も全然信用ならない感じ。はぁ~、こんな事態想定していなかったわよ。そうよねぇ。『この世界』、“ゲームじゃなくて現実だもんね”」

 

「陛下? あの、何を仰っているのですか?」

 

「だから『陛下』って呼ぶんじゃないわよ。ーーーー愚図」

 

「っっ!!??」

 

そう言って、ユースティアナはキャルに向けて人差し指で指したその時、指先に緑色の魔力が集まりそして・・・・。

 

「ぎゃぁあああああああああああああああああーー!!!」

 

キャルに向けて雷撃を放ち、キャルは玉座の間全体に響く程の悲鳴を上げ、両膝を突いてしまう。ユースティアナは放出している魔力を弱めて、不快そうに声を上げる。

 

「煩いわねぇ。ピーチクパーチク喚かないでよ、イライラするわよ。舌を噛まないように気をつけなさい。アナタに死なれると、今はまだちょっと困るんだから」

 

そう言うと、ユースティアナは指先の魔力を上げ、キャルを更に苦しませる。

 

「や、やめて! なんで・・・・! アタシ、陛下の言う事聞いたのに、ちゃんと頑張ったのに・・・・! あああああああああああーーっ!!!」

 

「ーーーー勘違いしないでね。コレは『お仕置き』ですらないわ、アナタは何も悪くないの。私の命じた事を一つも達成できず、醜態を晒し続けていたけれど。ソレは、アナタの責任じゃないわ」

 

苦しむキャルを冷徹な目で見ながら、何の説得力のない言葉を並べ出すユースティアナ。

 

「可愛いキャル、良い子のキャル・・・・私が甘かったのよね、アナタの事を“人間扱いし過ぎていたわ”ーーーー単なる、『道具』なのに」

 

と、冷酷で残酷な言葉を吐き出し、更にまだ続けた。

 

「『プリンセスナイト』の力は強大過ぎるし、アナタの肉体が耐えられないかと思って・・・・ゆっくり、ちょっとずつ慣らしながら与えていたけれど。結果として。アナタは魔物を制御できずに、『役目』を果たせなかったわ。ソレでも、経験を積めば成長して・・・・成果を上げてくれるかも、って期待してたけど。『聖剣』と言う新しい『道具』が手に入ったし、何だか面倒臭くなってきちゃったから」

 

そう言って、一拍子置いてからまた残酷な言葉を吐き出す。

 

「アナタの肉体を気遣わずに、『プリンセスナイト』の力の全て与えるわ。ソレで、アナタが壊れちゃっても・・・・また、造れば良いんだもんね。トライ&エラーを繰り返すのが、成功の秘訣よ。『次のキャル』は、もっと使える良い子かも知れないし?」

 

ユースティアナは、薄く笑みを浮かべて、キャルを『用済み』と断じた。

 

「な、何で・・・・? どうしてこんなっ、酷い・・・・! やめ、やめてぇええ!」

 

雷撃を浴びながら、キャルの目元には涙が浮かび始めた。

 

「アタシ、アタシ、ちゃんと良い子にしてたのに・・・・!」

 

そして、キャルの目元から一筋の涙が溢れ落ちたその瞬間ーーーー。

 

 

 

 

“ーーーーやめろ!”

 

 

 

 

 

 

 

ーユウキsideー

 

[烈火抜刀!]

 

“ーーーーくぅぅぅぅっ・・・・! ハァっ!!”

 

セイバーに変身したユウキが、キャルに放たれる雷撃を火炎剣烈火を盾にして防ぐと、聖剣を振って雷撃を消し飛ばした。

 

「ーーーーあら、ユウキくんが起きちゃったわ。アナタがやたら下品な大声を出すからよ〜キャル。ごめんなさいねユウキくん、うるさかったでしょ?」

 

“・・・・うるさかったのは、アナタがキャルちゃんに言ってる言葉だよ!”

 

セイバーは義憤を込めて、火炎剣烈火をユースティアナに向けて構えたが、ユースティアナは余裕の笑みを崩さなかった。。

 

「ん? どうしたのユウキくん? 『炎の聖剣』を構えたりしてるけど、もしかしてキャルを庇うつもり? 状況も良く分かって無いだろうに・・・・。良い子ね〜優しいのね♪ーーーー“そういう所は変わらないのね”」

 

思いっきり嘲笑しているのが分かる言葉を吐くユースティアナ。だが、まるでセイバー、否、ユウキの事を以前から知っているような口ぶりである。

 

「でも残念。コレはゲームじゃなくて現実だから、お人好しの偽善者は、早死にするか、世の中の無情に絶望するか、終わりない戦いに身を投じるだけよ? その『仮面を着けた愚か者』達のようにね」

 

“・・・・・・・・”

 

セイバーは火炎剣烈火を構えるのをやめなかった。

 

「・・・・仕方ないわね。少しその不快な敵意を納めてもらおうかしら。ーーーー『コレ』の試し斬りもしてみたかったしね」

 

ユースティアナがゆったりと立ち上がると、片端に置いていた『紫色の聖剣』を持ち上げた。

 

ーーーーキィィィィン! キィィィィン!

 

火炎剣烈火と他の3本の『聖剣』がその『紫色の聖剣』に呼びかけるように音と波動を放つが、全くの無反応であった。

 

“・・・・アナタ、その『聖剣』に何かしたの?”

 

「フフフッ・・・・『道具』風情が持ち主を選ぶなんて生意気だと思ってね。少し『躾』をしてあげたのよ。お陰で『コレ』は私の意のままに動くわ。ーーーーこんな風にね!!」

 

[闇黒剣月闇‹アンコクケン クラヤミ›]

 

刀身は上からノコギリのようなギザギザの金色の刃、顔のようなエンブレムと上下逆になるが左右で長さの違う角をし、蛇腹が入った持ち手をした『闇の聖剣』であった。

 

「そして、コレもね♪」

 

ユースティアナは懐から、『Jaaku Dragon』と記された『紫色のワンダーライドブック』を持ち、開くと同時に、その腰にバックル付きのベルト『邪剣カリバードライバー』が巻かれ、漆黒の闇が溢れ出た。

 

[ジャアクドラゴン!]

 

その時、後ろのステンドグラスからの月明かりのみに照らされていた玉座の間に、ライドブックから溢れ出る暗闇に包まれていく。

 

“っ、こ、コレは・・・・!?”

 

セイバーは後ろで倒れているキャルを見失わないように、近くに移動し片膝を突いて火炎剣烈火を構えると、闇の中から『ライドブック』の言葉が聞こえた。

 

[かつて世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった一体の神獣であった]

 

ーーーーギャァァァァァァァァッ!!

 

闇の中から、竜の咆哮が聞こえてくる。

 

[ジャアクリード!]

 

「ーーーー変身」

 

[闇黒剣月闇! Get go(月光!) under conquer(暗黒!) than get keen.(斬撃!) ジャアクドラゴン!月闇翻訳! 光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!]

 

「ーーーーふっ!」

 

闇を斬り裂いて、月光に照らされながら現れたのは、一人の鎧剣士であった。

 

「名乗っておくわね。ーーーー『仮面ライダーカリバー』、だったかしら?」

 

ユースティアナの声を発するその鎧剣士、カリバーは闇黒剣月闇を切っ先をセイバーに向ける。

 

「少し、躾けてあげる♪」

 




次回、炎の剣士 仮面ライダーセイバーVS闇の剣士 仮面ライダーカリバーです。
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