聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

24 / 32
トモとマツリ、若き騎士達との遭遇。

ーユウキsideー

 

朝食を終えたユウキとペコリーヌとコッコロは、ユウキが後ろにコッコロを乗せた『ディアゴスピーディー』に、ペコリーヌが『ライドガトライカー』に乗って(本当ならペコリーヌの後ろにはキャルが乗る)、牧場に向かったサレンの足跡を追った。

 

「よぉし、到着っ☆」

 

ライドガトライカーを停めて降りたペコリーヌは首を傾げた。此処でテント村を作って避難生活をしている筈のマシロ達【牧場‹エリザベスパーク›】の面々の姿がなかった。

ディアゴスピーディーを停めて降りたユウキとコッコロも調べると、野営をした痕跡が残っていたので、此処にいた事は間違いなかった。

 

「もう、撤収してしまったのでしょうか。まさか全員、煙のように消えてしまった筈もありませんし」

 

「困りましたね。どうも『戦略級の大量破壊魔法』の影響なのか、この地域全体の魔力の流れが乱れていて・・・・『通信魔法』が使えないようですから、連絡を取る術がありません」

 

「日頃から、魔法に頼り過ぎている弊害でございますね。大規模な魔力の流れの障害、と言うのは前代未聞でございます。わたくしの『使い鴉』も、相手先の魔力等を辿って飛ばす為・・・・魔力の流れが乱れている上に、連絡を取りたい相手の事を存じ上げない為、使えませんし」

 

連絡を取る手段がない故に、救援に向かったサレンに無事を報告する為に足を運んだが、どうやら入れ違いになってしまったようである。

 

“せめて、皆がどこに行ったか分かれば良いけど・・・・”

 

「そしたらまた乗り物の乗って行って、合流できますもんね。何か置き手紙とか無いでしょうか?」

 

「ちょっと探してみましょうか。最悪、皆さん報告へ戻ったと仮定して、ソチラへ向かえば良いのですけど。皆さんが町中などに移動していた場合、無駄足になってしまいます」

 

二手に別れて行ってみるのも、偽者のユースティアナから命からがら逃げて来た手前、戦力の分散は避けたい所である。

 

「主様、わたくしの傍から離れないで下さいまし」

 

ユウキがどうしようかと考えていると、コッコロがベッタリとユウキに傍に寄り添いながらそう言った。

 

「主様の非常時に遠くへ居た事、わたくし深く反省しております。今度こそ、何があってもお守り致しますから。もう二度と離れません」

 

“ありがとう、コッコロちゃん”

 

「あはははは。コッコロちゃん、ユウキ君にギュウッて抱き着いてる・・・・♪」

 

と、二人の世界を展開する主従に、ペコリーヌはにこやかに言った。

 

「そうしてると、ホントの兄妹みたいですね♪・・・・ユウキ君を危険から遠ざけたいなら、私とは別行動を取るべきだとは思いますけどね。あの『偽者のユースティアナ』の目的は、私なんですから」

 

「いえ。先程も言いましたが、主様のお話によると、その『偽者』・・・・と仮称しますけれど。その人物は、主様や主様の所持する『聖剣』に興味を抱いて接触してきたようですし、主様としても、『闇の聖剣』を回収する為に、その『偽者』と戦うつもりです。『偽者』の真意は不明ですが、山を消し飛ばす程の魔法を放てる難敵です。我等は、力を合わせて対処すべきでしょう。頼りにしてますよ、ペコリーヌ様。共に、巨悪に立ち向かいましょう」

 

申し訳無さそうなペコリーヌに、コッコロはそう言った。

『聖剣』を狙っているだけでなく、どうやら『偽者』はユウキ自身にも興味を抱いている。更には、『偽者』によって〈ランドソル〉が支配されている。コレは最早ペコリーヌ個人だけの問題では無いのだ。

 

「と言うか。水臭い事を仰らないで下さいまし、同じギルドの、【美食殿】の『仲間』ではございませんか」

 

「コッコロちゃん・・・・ありがとう、とっても嬉しいです。い〜子、い〜子♪」

 

「あ、あまり頭を撫でないで頂けると。」

 

コッコロの言葉が嬉しくて、ペコリーヌはコッコロの頭を撫でたが、コッコロは不満そうであった。

 

「ふふ。実際、あの『偽者』は大量破壊魔法を放つ前に・・・・今回の狙いは私ではない、みたいな事を言ってました。狙いが私で、私から離れれば安全だ〜とは断言できませんよね。こうなったら一蓮托生です。手を携えて、難局を乗り切りましょう」

 

「はい。主様も同じ気持ちのようですよ。どうやら、リベンジを決意したお顔をしておられます。あぁ主様、大変精悍です・・・・♪」

 

笑顔でペコリーヌがそう言い、コッコロもユウキの顔を見て全身から♡マークを出しながら勢いで見惚れていた。

 

“でも、今のままじゃ駄目だ。強くならないと、あの人には絶対に勝てない”

 

「はい左様でございます。主様の持てる力の全てを使って、ソレでも敵わなかった強敵。不安や焦りが生まれるのは当然でしょう。寧ろ、何も感じていなかったら、神経を疑います。主様の人間味を感じて、わたくし安心致しました」

 

「コッコロちゃんって、良くユウキ君の顔色とかが読み取れますね。ユウキ君って記憶喪失なせいか、割と無表情で何を考えてるか分かんないんですけど」

 

が、ユウキの言った言葉からコッコロがそう返し、無表情な所があるユウキの顔色を読み取れる事にペコリーヌは感心した。

 

「ふふ。わたくしは故郷では、動物のお世話等をしておりましたので。物言わぬ、表情も変わらぬ禽獣であろうと、内心はある程度は把握できますよ」

 

「あはは。禽獣とか言われちゃってますよ、ユウキ君。・・・・おや?」

 

と、和やかに会話をしていると、ペコリーヌが怪訝そうに別方向を見て、ソレを追うとソコにはーーーー。

 

 

 

「うあぁんっ、寝坊しちゃうなんて一生の不覚ッス!」

 

 

 

軽装の鎧を付けた、アヤネやクルミと同い年位の女の子がやって来た。

 

「でもでも、昨日は遅くまで起きてたから、皆〜、何処ッスか〜!? うう、『ヒーローの心得』に違反してしまったッス・・・・現場に駆けつけるのが遅れるなんて、ヒーロー失格ッスよ。ーーーー猛省したッス! 明日の自分は、今日の自分より強くなるッス〜!」

 

何やら1人で騒いで反省して自己完結している怪しい女の子に、ユウキは訝しげな視線を向けていた。

迷子かと思ったが、こんな野営後の場所に通行人が来るとも思えないし、他に手掛かりがないのもあり、取り敢えず話しかけてみる事にした。

 

「もしもし? すみません、少々宜しいでしょうか・・・・?」

 

「はうっ? な、何スか? 怪しい連中ッスね!」

 

「ご挨拶ですね・・・・」

 

コッコロが話し掛けると、意表を突かれたのか、その女の子が飛び上がる程に驚き、先程の自分の姿を棚に上げてそう返し、ペコリーヌが一瞬苦笑するがすぐに本題に入る。

 

「えっと・・・・ここに【牧場‹エリザベスパーク›】の皆さんが避難している、って聞いたんですけど。アナタ、皆さんが何処に行っちゃったか分かります?」

 

「あぁ、【牧場‹エリザベスパーク›】の皆さんなら・・・・確かもう危険がないと判断されたので、牧場に戻って建物とかの復旧作業をしてるらしいッス」

 

「フム・・・・やっぱり皆さん、牧場に戻ってしまわれたのですね」

 

「押忍。昨夜の内にもうテント村は解散して、避難民は皆移動を始めたっぽいッスから。もうとっくに、皆牧場に戻ってると思うッスよ。牧場は爆心地から少し離れてたから、ソコまで被害は無かったらしいんスよ。勿論爆発の前に魔物に襲われて、グッチャグッチャに荒らされたみたいなんスけどね。仮設住宅なんかを建てれば、暮らせない程でもないし。日が高い内に、できる限り復旧するつもりっぽいッス。逞しい人達ッスよね〜、感心するッス」

 

ペコリーヌとコッコロの問いに、丁寧に答えてくれた。少し変わっているが、真面目な良い子のようだ。

 

「その復興作業の、お手伝いの為に・・・・色んなギルドが駆け付けて、牧場へ向かったらしいッスよ。自分も本来は、ソレに同伴するつもりだったんスけど」

 

“・・・・寝坊して、置いてけぼりにされちゃったんだね?”

 

「うう、早起きは苦手ッス」

 

ユウキに言われ、ガックリと項垂れた。

 

「あはは、暗い顔をしてたら、お日様に笑われちゃいますよ。貴重な情報ありがとうございます。助かっちゃいました」

 

「いえいえ! 『ヒーローの心得その1、情けは人のためならず』ッス! お役に立てたなら嬉しいッスよ〜、一日一善ッス♪」

 

ペコリーヌの質問に元気良く応えた女の子に、ペコリーヌは撫で撫でしようとするが。女の子は頭の帽子を押さえて拒否し、コッコロがペコリーヌの過剰なスキンシップは悪い癖と注意し、妙に事情に詳しい女の子は何者かと問いかけた。

 

「あっ、申し遅れたッス! 『ヒーローの心得その3、何を差し置いても派手に名乗りを上げるべし』!」

 

そして、改めて女の子は、妙に格好つけて名乗った。

 

「じゃじゃ~ん☆ 自分は天下無敵のスーパーヒーロー、『トラタイガー』・・・・! に憧れてヒーローを目指す、『マツリ』と言う者ッス!」

 

女の子の名前は『マツリ』と言うらしい。

 

「【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】の『見習い騎士』として、日夜、弱きを助け強きを挫き悪と戦う孤高の戦士ッス! どうぞ、以後宜しくお願いするッス・・・・☆」

 

「わぁ〜、か〜わいい・・・・♪ って、【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】!?」

 

“(と言う事は、この子、『ジュンさん』の部下って事か・・・・)”

 

そして、所属ギルドを聞いて、ペコリーヌは肩を震わせ、思わず後ずさってしまった。ユウキは友人の『騎士団長』の事を思い出していた。そして、そのペコリーヌの反応から、マツリは訝しそうに目を細める。

 

「むっ? その名前を聞いて、顔色を変えるって事は・・・・もしかして、おねーさんは悪い奴ッスか? 【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】は、犯罪者や悪党を撲滅する正義の味方ギルド! その名を聞いて後退るって事は、悪党って事ッス!」

 

と、ソコで、コッコロがペコリーヌに近づき、コソコソ話でどう言う事なのかと。

ペコリーヌ曰く、『お姫様を名を語る偽者』として指名手配されているとの事である。

と、マツリが痺れを切らしたのか、ペコリーヌに『任意同行』を求めて剣を振り回してきた。

 

「わわっ、誤解ですよ〜?」

 

「むう! 逃げるなッス! 大人しくお縄につくッスよ・・・・!」

 

見てくれは子供だが意外と鍛えているのか、結構な剣技でペコリーヌを攻撃する。やられる訳にはいかないので、ペコリーヌは応戦し、ユウキとコッコロは離れる。『聖剣』を持つユウキが騎士団と戦えば、余計ややこしい事になるからだ。

と、ペコリーヌとマツリが本格的に剣を交えそうになったその瞬間。

 

「ーーーーソコで何をしている・・・・!?」

 

銀色の長い髪を後ろに結わえた軽装の女の子が、2人を止めた。

 

「あっ、『トモね〜ちゃん』! 良い所に来てくれたッス! コイツらを逮捕するのを手伝って欲しいッスよ!」

 

「えっと、どう言う事? 良く分からないけど、君はまだ『見習い』何だから『逮捕権』は無いよ? 危ない事は『大人』に任せて、引っ込んでて!」

 

マツリがその女の子を『トモ』と呼んだ。そしてトモは、状況が飲み込めずいたが、取り敢えずマツリを下がらせて、自分が剣を構えた。

 

「う〜、また子供扱いして! 子供でも、正義を愛する気持ちは大人以上ッス!」

 

「兎に角、一旦私の後ろに下がって! 見た所、敵はかなりの使い手だよ・・・・! 君じゃ太刀打ちできないっ、私が相手をする!」

 

そう言って、トモはマツリを下がらせ、ペコリーヌと対峙する。

 

「【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】所属、騎士団員トモ! 義によって、助太刀するっ!」

 

「えっ、あっ・・・・」

 

「とりゃぁっ!!」

 

「うわっ!!」

 

トモがペコリーヌに斬りかかる。とても速く、洗練された剣技である。次々の刃がペコリーヌを襲う

が、ペコリーヌも基本的なだけでなく、実戦で鍛えた技で躱したり受け止めたりしていた。

 

「こ、この人達、何でこんなに喧嘩っ早いんですか!?」

 

ユウキとコッコロも助太刀しようとする。

が、

 

「この人達を怪我でもさせたら、本当に犯罪者になっちゃいますよ。『公務執行妨害だ〜』、とか言われそうです」

 

確かにその通りだ。曲がりなりにも向こうは騎士団。ソレに手向かったらコッチが不利になる。

 

「あの、一旦落ち着きません? ホントに誤解なんです〜、争い合うのはやめましょう! 平和が1番ですよ! ねっねっ♪」

 

「おや、悪党らしからぬ事を言うね・・・・実際、あんまり悪意は感じないけれど。『陛下』が病に伏せって微妙な時期なんだ。争いの芽は育つ前に断つ!」

 

ペコリーヌが説得するが、トモは聞く耳を持たなかった。が、気になる事を言った。

 

“(っ! 『陛下』って、あの人が・・・・!?)”

 

そう。トモが言う『陛下』とは、ペコリーヌから全てを奪い、『闇の聖剣』を以てユウキを完膚なく敗北させ、後少しで殺されそうになった、あの人物であった。

その人物が“病に伏せっている”、と、言ったのだ。

 

「我が剣、受けてみよ! せいやぁっ・・・・!」

 

と、思考する前に、トモが更に技を加速させて、ペコリーヌに斬りかかる。腕前は結構強いレベルで、流石のペコリーヌも手加減抜きで相手するのはキツそうである。

 

“(・・・・まぁ流石に、ジュンさんやクリスティーナさん程じゃないけど)”

 

ユウキは、騎士団のトップの2人と比べてそう思った。

 

「【王宮騎士団‹NIGHTMARE›】の人が『陛下』って呼ぶのは、あの『偽者』ですよね? 病気で臥せってるって、どう言う事ですか?」

 

“ペコさん! ソレ以上はダメ!”

 

「あっと!!」

 

と、ユウキがそう思っていると、トモから距離を空けたペコリーヌが思わずそう口ずさんだので声を上げると、ペコリーヌめ「しまった」と思って口をつぐんだ。

前から思っていたが、どうにもペコリーヌは口が軽いと言うか、迂闊な所がありすぎる。騎士団の人間の前で、本当は『偽者』だが、今は『お姫様』として認識されている相手を『偽者』と言うのは、不敬罪として捕まる理由を与えてしまう事だ。

 

“(『あの人』が臥せっている? あの物凄い魔法を使って疲れたのかな?)”

 

流石に『戦略級の大量破壊魔法』を使った影響で、魔力が枯渇し、一時的な昏睡状態になったのかも知れない。

 

「良い気味ですし、アイツが動けないならチャンスです! 私は、『私』を取り戻します! 絶対に! だからこんな所で、逮捕されてあげる訳にはいきません! とおりゃあ〜・・・・☆」

 

ペコリーヌも同じ考えに至ったのか、トモに反撃する。が、トモもその一撃を剣で受け止め、後方に跳んで威力を軽減させた。

 

「おおっ? 凄まじい破壊力だね・・・・。けれど、見た所太刀筋は甘い! そのような喧嘩殺法では、長い歴史の上で磨かれた正統派の剣術には構わない! 『ミクマ流』の剣技、その身でとくと味わえ・・・・!」

 

トモの一撃を剣で受けて、ペコリーヌは後ろに押し出された。

 

「うう。クールビューティーって感じの見た目の割に、意外と熱血な子ですね〜。は、話を聞いてくれる気がしません。んもう! 良い加減にしないと怒りますよ! その日の美味しいご飯の為に野山を駆け巡り、魔物を狩る事で身に付けた私の剣技は実践仕様です! お上品な、そんなお座敷剣法には負けません・・・・!」

 

「中々言うね。ちょっと面白くなってきた・・・・♪ ふふふ、血湧き肉躍る!」

 

そろそろ我慢の限界が来たペコリーヌと、テンション上がってきたトモの剣戟が激しくなる。

ソレを見ながらコッコロはユウキに話し掛ける。

 

「・・・・如何致しましょうか、主様?」

 

“・・・・パワーと経験はペコさんが、技とスピードはあの子が上だね。コレ以上やり合うと、ペコさんがいずれ腹ペコで動けなくなるね”

 

そう。ペコリーヌの弱点は、『王家の装備』を使い過ぎると空腹で倒れてしまうのだ。つまり、持久戦に弱い。もしこのまま長引けば、焦れたペコリーヌが大技を使う可能性がある。そして相手を倒したら『公務執行妨害』になるし、相手が躱したらまた戦闘が長引いてしまい、結局ペコリーヌが空腹で倒れる。

 

“ーーーー仕方ないな”

 

ユウキは剣を抜くと、『土豪剣激土』に変えて、地面に突き立てると、今まさに正面から全力で駆け出したペコリーヌとトモの間に、バゴンッ、と大きな岩が隆起した。

 

「は?ーーーーうわっ!?」

 

「へ?ーーーーギャフンっ!?」

 

トモは隆起した岩にぶつかり、尻もちをついて倒れ、ペコリーヌは岩にぶつかって止まった。

 

「アイタタタ・・・・な、何だ? 誰か『土魔法』でも使ったのか・・・・って!」

 

トモは顔とお尻を擦りながら起き上がって辺りを見回すと、『土豪剣激土』を地面に刺したユウキと目が合った。

 

「!・・・・んん? あの剣、まさか!?」

 

トモはすぐに立ち上がると、ユウキに近づき、その顔をマジマジと見つめる。

 

「君は、もしかしてユウキと言う名前じゃないかな?」

 

“そうだけど・・・・?”

 

「うん。そうでしょ、良かった良かった。ずっと会いたかったんだ、君に」

 

「おや? 主様の事を、ご存知なのですか? 本当に、主様ったら・・・・出会う女の子とは、大体全て顔見知りなのですね? しかも、綺麗な女の人から、可愛い女の子まで・・・・」

 

“・・・・いや、この子とは今日初めて会ったと思うけど?”

 

トモが何故かユウキを知っているような口ぶりで、またコッコロから冷たい視線を浴びせられるユウキ。

しかし、騎士団でユウキの知り合いと言えば、『騎士団長』とクリスティーナあたりだけなのだが。

 

「うん。私も初対面だよ。人相書きを持ってるから顔を知ってただけ。そうか・・・・やはり君が、ユウキなんだね」

 

トモはユウキの顔を見てから、土豪剣激土に目を向けて、フム、と納得と安心したような顔となった。

 

「良かった。会いたかったんだ。ううん、君をずっと探していた。すまない。コチラから仕掛けておいて、どの口がほざくと言う感じだけれど・・・・」

 

“僕に一体、何の話?”

 

「先ずは、その『聖剣』についてなんだけど・・・・」

 

「ええ~っ!? と、トモ姉ちゃん! い、今、『聖剣』って言ったッスか!?」

 

トモが『土豪剣激土』を指して問うと、マツリも凄い勢いで近づいてきた。

 

「うんそうだよ。この人が、『団長』が言っていた『聖剣を集めている少年』だよ」

 

「うわっ!? うわっ!? あ、アンタがそうだったんスか!? い、言われてみればその剣、【サレンディア救護院】の裏庭に刺さっていた『石の聖剣』にソックリッス!」

 

「はぁ・・・・その『聖剣』が、主様が手にとって本来の姿になったのが、この『土の聖剣 土豪剣激土』でございますよ」

 

コッコロが補足すると、マツリは目を輝かせて、ユウキの周りをまるで犬ように周りながら、『土豪剣激土』を色々な角度で見ていた。

 

「うわ〜! うわ〜! 良いな良いな〜! 自分、ヒーローを目指しているから、『聖剣』には憧れてたんッスよ〜!」

 

“良かったら触ってみる?”

 

「えっ!? いいんすか!?・・・・って、ダメッスダメッス! 自分はまだ未熟者ッス! で、でも! 自信を持って自分が『聖剣』を持つにふさわしいって気持ちになったら! 是非持たせて下さいッス!」

 

ユウキが『聖剣』を持って見るかと聞くが、まだ自分はふさわしくないと言って断った。

 

「フフッ。私も剣士の端くれだからね。『聖剣』には興味が尽きないよ。ともあれ、こんな野っ原で立ち話というのも何だし・・・・。何処か静かに語り合える喫茶店にでも、腰を落ち着けたいのだけど。ソチラの話も、できるだけ聞かせて欲しい。色々と興味深い話が聞けそうだ・・・・」

 

「・・・・あの〜、和気藹々している所、申し訳ないんですけど・・・・」

 

と、トモとマツリとの戦いが休戦になりそうな空気の中、ペコリーヌの声が弱々しく響いてきた。

 

「おや? ペコリーヌ様。どちらに・・・・」

 

コッコロが目を向けると、『土豪剣激土』で隆起させた岩に突っ込んで、そのままめり込んでしまっているペコリーヌの後ろ姿があった。

 

「助けて下さ〜い! めり込んで動けなくなっちゃんだんですよ〜」

 

結局、4人でペコリーヌを救出した後、復興作業の物資を届ける為に、馬車に乗って牧場へと向かったのであった。

その間、トモとある程度の話をし、マツリには『土豪剣激土』だけでなく、『水棲剣流水』に『風刃剣翠風』を見せたりしていた。終始マツリはテンションブチ上げで『聖剣』を見ていた。

ただ、『火炎剣烈火』だけは、未だに反応を示してくれなかったが。

 




土豪剣激土に新能力、地面に突き刺すと岩が隆起する。『◯の錬◯術師』をイメージしてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。