聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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お待たせしました。メインストーリーをメインに書いていきます。


ランドソル王国での出会い

ーアメスsideー

 

「ーーーーはい、お疲れ様。って言えば良いのかしら?」

 

ユウキは、美しい庭園と見覚えのある妖精の少女、何故かは分からなかったが、彼女こそが、コッコロの言っていた『アメスさま』だと、奇妙な確信を以て対面していた。

 

「とうとう始まったわね、あんたの、〈仮面ライダー〉としての新たな物語が。あんたの物語がバッドエンドになるか、ハッピーエンドになるかは『神様』のみぞ知る。ただまぁ、基本的にあんたは状況に振り回されるばっかりで・・・・ぶっちゃけ置いてけぼりになると思うから、あたしの方から色々補足してあげる」

 

『アメスさま』はやれやれと肩を竦めながらも、笑みを浮かべる。

 

「その為に、この幕間のあたしとの対話があるわ。あんたにとっては夢みたいなものだし、すぐに忘れちゃうんだろうけど。ちょっとでも何かが残る事を期待して、言葉を紡いでいくわ。・・・・ともあれ、先ずは前提から」

 

と、『アメスさま』は顔を引き締める。

 

「記憶喪失の主人公のあんたは『火炎剣烈火』と『水の聖剣』と、『岩石王ゴーレムのアルターライドブック』を回収し、従者の『コッコロたん』と共に、約一ヶ月間、『ランドソル』で日銭を稼ぎながら、ホテル暮らしをする事になったのよ」

 

さらに補足するように説明する。

 

「因みに、コッコロたん以外の子・・・・ペコリーヌちゃん達とは、ホテル暮らしを始める前に一旦お別れしてるわ。同じ町で暮らしてるし、偶に会ったりはしてるみたいだけどね」

 

ペコリーヌとユイ、そして気を失っていた女の子とは、別れたようだ。

 

「その間に、あんたは沢山の女の子達と出会っているの。出会った女の子達の数を数えみたら、大体四十人以上ね。そして会話し、交流し、時に『ワンダーライドブック』の力を得た魔物を共に倒し、『ライドブック』を回収しながら、どんどん仲良くなってるわ」

 

すると、ユウキは応える。

 

「えっ、そんなの記憶にないって? 本当にそうかしら?」

 

『アメスさま』は悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

「よぉく、思い出してみて、ちょっと真面目に記憶を引っ張り出してみれば、あんたと女の子達との出会いや交流の物語が始まる筈よ。彼女らの発言の中に、聞いた事のない『単語』なんかが出てきても・・・・あんたは、もしかしたらどっかでその『単語』を聞いて、意味を教えて貰ってるのかもね」

 

今度は、神妙な顔となる『アメスさま』。

 

「それらの情報や、あんたの経験を組み合わせて・・・・あんたは『この世界』や、あんた自身が抱えてる『謎』を解いて、『この世界』の至る所に飛び散った『聖剣』と『ライドブック』を回収していかなくちゃいけない。あんたがあんたである為に。〈仮面ライダー〉として、ね。そして、“この歪んでおかしくなってる世界を正す為に”」

 

そう言った瞬間、空間が光に包まれる。

 

「・・・・おっと、最初からダラダラと喋っちゃ駄目ね。長話はこれで一区切りにするから、あんたはあんたの物語を満喫しなさい。あんたの人生をね。道に迷ったら、あたしが導いてあげるから」

 

『アメスさま』はニッコリと笑みを浮かべるが、すぐに言い聞かせるように指を一本立てた。

 

「あ、言い忘れていた事が結構あったわ。先ず、『水の聖剣』もちゃんと使えるようにしておきなさいよ。その剣に誓って、あんたが皆を守るのよ、〈仮面ライダー・・・・〉」

 

それから『アメスさま』が色々と助言をしてから、ヒラヒラと手を振った。

 

「ーーーーそれじゃ、ボンヌ・レクチュール。よい読書を♪」

 

そして、その空間が光に包まれたーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーユウキsideー

 

ユウキとコッコロが、自分達の住む大陸〈アストライア大陸〉の〈王都ランドソル〉で生活を始めてから、一ヶ月が経過した。

その間に、多くの女の子達と出会い、『ワンダーライドブック』を次々と回収していき、大半は『白い本』に入れているが、すぐに使用する為に、『白い本』から出てきた『ライドブックホンダナー』を腰に着け、『ブレイブドラゴン』等を納めている。

そんなある日の出来事である。

 

「主さま、大変申し上げにくいのですが・・・・。もう、お金がございません」

 

“えっ・・・・?”

 

突然のコッコロから告げられ、金欠問題に当たってしまった。

 

「故郷を出立する際に、『長老』より路銀を頂戴したのですが。流石に、底を突いてしまいました。〈ランドソル〉は都会でございますしね、物価が高いのです。それでも何とかやりくりして、安宿を探したり、自前で食材を調達したり・・・・頑張って、節約しておりましたけれど。もう、お財布が空っぽでございます」

 

コッコロが財布を逆さまにして振っても、ルピ‹お金›が一枚も出てこなかった。コッコロはズイッとユウキに顔を近づける。心なしか輝いていた。

 

「なので、主さま・・・・。わたくし、働きに出ても宜しいでしょうか? なるべく、主さまの元を離れて行動したくはございませんが。わたくし、お仕事を探して・・・・賃金を頂戴し、生活費に当てたいと考えているのです」

 

すると今度は、優しい笑みを浮かべる。

 

「主さまは、ごゆるりと・・・・お心のままに、その辺で遊ぶなり、美味しい物を食べるなりして下さいまし。これは、本日のお小遣いでございます。どうぞ♪」

 

そう言って、なけなしのルピをユウキに持たせるコッコロ。

 

「それでは、失礼いたします。夕刻には、宿に戻りますので」

 

“・・・・・・・・”

 

しかし、ユウキは顔が優れなかった。

 

「・・・・如何いたしました、主さま? 顔色が、優れないようでございますね。慣れない環境でしょうし、体調を崩されたのでしょうか。心配です・・・・それとも、お小遣いが足りませんでしたか? すみません。先程渡したのが、残りの手持ちのお金の全てなのです。う~む・・・・仕方ありません。わたくしの装飾品などを売って、お金に換えてきますね?」

 

“待って”

 

申し訳なさそうな顔になるコッコロが質屋に向かおうとすると、ユウキはコッコロを背中から抱きしめる。

 

「・・・・うにゅっ!? 主さま。急に抱き寄せられては困ります。公衆の面前でございますから」

 

とか言いつつも、何やら幸せのオーラを全身から出すコッコロ。

 

「如何しましたか、わたくしが傍にいないと心細いのでしょうか?」

 

“・・・・僕も働きたい。コッコロちゃんだけに負担をかけたくない”

 

ユウキはコッコロを離すと、コッコロに自分の気持ちを伝えた。

 

「ふむ・・・・。労働などの苦役は全て、わたくしが担いたいのですけれど。人に働かせて自分だけ遊ぶのも、罪悪感がございますか?」

 

“(コクン)”

 

「それが主さまのお気持ちでしたら、わたくしは尊重致します。ふふ、主さまはお優しい方・・・・♪」

 

顔を幸せそうに綻ばせるコッコロ。

 

「二人で稼いだ方が、効率的でございますしね。では、そうしましょうか」

 

そして、コッコロと二人で、日銭を稼ぐ為に町を散策する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、〈ランドソル〉の広場に辿り着いた。

 

「えぇっと・・・・この広場に、求人情報などが貼り出された掲示板がある筈でございます。その掲示板にて、わたくし良い感じのお仕事を探そうかと考えております。そんな方向で、主さまも構わないでしょうか?」

 

ユウキはコクリと頷いた。

 

「では、早速・・・・あぁ、あれです。あちらが、件の掲示板でございますね」

 

そうして、ユウキとコッコロは、求人情報が貼り出された掲示板に近づき、良い仕事が無いかと見ていると、

 

「ん・・・・んんっ・・・・もうちょっと・・・・!」

 

“???”

 

踏み台の上に立って掲示板に貼り紙をしている女の子が何か呻いており、ユウキがその子を見上げるとそこには、白いハイソックスと、下手をすれば中が見えてしまいそうな程のミニスカート、腰に大きな赤いリボンを着け、そして背中が大きく見える格好をした女の子が、これまた大きな貼り紙を貼ろうと四苦八苦している後ろ姿があった。

ユウキはその後ろ姿に何処か見覚えがあり、声をかけようとしたその瞬間ーーーー。

 

「ううっ・・・・! うあっ!? きゃあああああああああああ!!」

 

“んぐっ!?”

 

すると、足元を踏み外し、女の子がユウキに向かって落ちてきて、そのミニスカートに包まれた可愛いお尻をユウキに押し付け、

 

ーーーードシィィィィンンッ!

 

“ふがっ!?”

 

「きゃうっ!?」

 

「???」

 

盛大に倒れてしまい、コッコロがOxOとした顔にしてしまうと、女の子はユウキの顔面に馬乗りした格好で座っていた。

 

「いったたたた・・・・!」

 

茶色の髪を二つのお団子に結わえ、髪にはメイドのカチューシャを着け、さらに格好は女の子の大きな胸元が強調されているが、メイド服のようであった。メイドの女の子は、その可愛らしい顔と瞳を痛みに歪め、うっすらと涙が浮かんでいる。

 

「だ、大丈夫でございますか? かなり派手に、転倒したようですが・・・・?」

 

「あ痛たた・・・・わっ、ごめんなさい! 大丈夫です、ご心配なくっ♪」

 

“(・・・・白)”

 

そう言って、メイドの女の子はユウキに馬乗りしたまま会話をする。一瞬見えたスカートの中身を忘れようとするユウキ。

 

「えへへ・・・・張り紙をしようとして踏み台の上で背伸びしてたら、うっかりバランスを崩しちゃいました! 駄目ですね〜『スズメ』ったらドジで♪」

 

「・・・・すずめ?」

 

“あっ、『スズメちゃん』!”

 

ユウキはメイドの女の子、『スズメ』の名前を言うと、スズメもユウキに気づいたように声を上げる。

 

「あやっ? これはこれは、ユウキさん! ご無沙汰しております! 何だか、恥ずかしい所を見られちゃいましたね?」

 

「・・・・主さま。お知り合いの方でございますか?」

 

“うん。この『ライドブック』も、スズメちゃんから貰ったの”

 

ユウキはライドブックホンダナーから、『PETER FANTASISTA』と記された『水色のライドブック』を見せた。

 

「あっ、はい! ユウキさんには、以前ちょっぴり親切にしていただいたんですよ♪ その本は露店で手に入れた物で、お礼にお渡したんです♪」

 

すると、スズメはコッコロに目を向ける。

 

「こちらの子は・・・・えぇっと、ユウキさんの妹さんでしょうか? やだ〜かわいいですね♪ お嬢ちゃん、おいくつ? 今日は、お兄ちゃんとデートですか?」

 

グイグイくるスズメに困惑しながらも、コッコロは応対する。

 

「えぇっと、妹ではございません・・・・。主さまにお仕えしている、コッコロと申します」

 

「そうですか! では、私と同じような感じなんですねっ?」

 

「同じ、と言うと? えぇっとスズメさまも、主さまにお仕えを・・・・?」

 

そう聞くと、スズメが手と首を横に振った。

 

「いやあの違うんです! ごめんなさい。説明が下手で! えっと、私はご覧の通りしがないメイドなんですけどね? とある高貴な方に、お仕えしてるんです♪ 今もお嬢さま・・・・その方のお遣いで、お仕事を手伝ってくれる人を探してたんですよ。見て下さいこれ、頑張って作った求人の紙っ♪」

 

スズメが掲示板に貼った求人の紙を見せ、コッコロがその文面を読む。

 

「ふむ・・・・引っ越しのお手伝い、ですか。荷物の梱包と、できればそれを運搬する馬車の護衛も? 簡単なお仕事ですけど、かなり破格の報酬でございますね?」

 

「えへん。うちのお嬢さまは基本的なドケチ・・・・いえ倹約家なんですが、お金を使うべき時には大盤振る舞いしがちなんです♪」

 

訝しそうに目を細めるコッコロに、スズメは説明する。

 

「ユウキさん達、この掲示板に用があったんですよね。職探しをしているのなら・・・・よろしければ、このお仕事を請けていただけませんか? 勿論、ご都合が合えばって感じですけど。全然知らない人よりは、面識のある人に頼んだ方が安心ですから♪」

 

コッコロは求人の紙を受け取り、改めて目を走らせると。

 

「ふ〜む・・・・渡りに船でありますし、かなり条件もいいのでお引き受けしても宜しいのですけれど。わたくしの一存では決められません。どうしますか、主さま?」

 

“ーーーー先ずは、どいて欲しい”

 

「え? どういう事でしょう?ーーーーあぁ・・・・先程スズメさまが転んだ拍子に、主さまに馬乗りになっていらっしゃいますね?」

 

そう。スズメはユウキの顔面に馬乗りしたままなのだ。それに気づいたコッコロの言葉に、スズメも漸く気づいた。

 

「!? ひあっ! ごごご、ごめんなさいごめんなさい! 私ったら、本当にうっかりばっかりで! ユウキさんに跨ったまま、呑気に世間話なんかしちゃってましたね! ししし、失礼しました〜! すぐにどきます・・・・あわわっ、んひゃあうん!?」

 

“うわっ!”

 

慌てて立ち上がろうとしたスズメが、何故かバランスを崩すと、ユウキに覆い被さるように倒れてしまった。

 

「おぉ、慌てたせいでバランスを崩してまた転びましたね。もはや馬乗りどころか、主さまと絡み合って寝そべっている感じに」

 

コッコロは妙にズレた台詞を言うと、話を戻すように改めて口を開く。

 

「えぇ〜っと・・・・ほ、本当にドジな方なのですね。これでは荷運びには苦労するでしょうし。確かにお手伝いが必要かもしれません」

 

コッコロとユウキは、スズメからの依頼を受ける事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、荷運びの馬車に乗って渓谷を移動するユウキとコッコロとスズメは、昼食を食べていた。

 

“「いただきます」”

 

「どうぞ、召し上がれ〜♪ えへへ、移動しながらの食事になっちゃってすみません。馬車の手配に時間がかかってしまって・・・・バタバタと、出発するしか無かったんです。近頃、この辺は物騒ですから、一時的に余所の町に疎開する人がいたりとかで、中々馬車が調達できませんでした」

 

馬車に揺られながら、スズメの料理を食べて話を聞いているユウキとコッコロ。

 

「駄目ですね〜段取りが悪くて・・・・『お嬢さま』にもいつも叱られるんです、【ちゃんと準備万端、整えてから動きなさい】って」

 

「ふむ・・・・引っ越しをすると言う事ですし、馬車は必要です。わたくし達は暇ですので、時間がかかっても然程迷惑ではございませんし」

 

“気にしないで”

 

「あはは。ご不便をかける分、今回のお仕事の衣食住は保証しますので。たっぷり、召し上がって下さいね〜♪ さぁどうぞ、ご遠慮なく。早起きして作ったんです、サンドイッチとか♪」

 

バケットの中から彩りの具材が挟まれたサンドイッチを見せるスズメ。

 

「恐縮です。すみません、ご相伴に与ってしまって。わたくし達、手持ちのルピが尽きかけておりまして・・・・その日の食事にも、事欠く有様なのでございます」

 

「うんうん。だから、お仕事を探していたんですもんね? 駄目ですよ〜ユウキさん。お兄ちゃんなんですから、しっかりしないと。妹ちゃんにきちんと食べさせてあげるのは、お兄ちゃんの義務ですよ?」

 

“ん、うん・・・・”

 

スズメにメッとされて、素直に頷くユウキ。しかしコッコロはおずおずと言う。

 

「いえ、あの、ですから、わたくしは主さまの妹ではございません」

 

やれやれと思いながら、コッコロはサンドイッチに手を伸ばし、口の中に運んで咀嚼した。

 

「・・・・む、むぐっ? このサンドイッチ、何やら独特な味わいですね?」

 

「あっ、すみません! 私ったらメイドなのに料理が得意じゃなくてっ、お口に合いませんでしたか?」

 

「いえ、わたくしが、この地方の味付けに慣れていないだけでしょう」

 

慌てて頭を下げるスズメにそう言うと、コッコロは再びサンドイッチを頬張る。

 

「・・・・もぐもぐ♪ 主さまは、パクパクと召し上がっておりますし」

 

「お、美味しくなったら無理して食べなくて良いんですよ? ただ目的地のお屋敷までは半日ほど掛かりますので、何か胃に詰めておいた方が良いんてすけどね?」

 

するとスズメが、何かを思い出したかのように手をポンっと叩いた。

 

「あっ、そうです! 料理が美味しくなる、おまじないがあるんですよ〜♪」

 

そう言って、スズメがその大きな胸元の前で両手でハートマークを作ると、

 

「えぇいっ、おいしくなぁれ☆」

 

と、おまじないをした。

 

“???”

 

「・・・・それは、何かの魔法とかでございますか?」

 

「いえ、単なるおまじないです。気休め程度には、美味しくなる筈です♪」

 

“「・・・・・・・・」”

 

なんとも言えない気持ちになるユウキとコッコロ。

 

「はぁ、気休め程度でございますか・・・・」

 

すると、コッコロが手元を見ると、サンドイッチが無くなっていた。

 

「おや、わたくしの食べかけのサンドイッチがありませんね。主さま、食べちゃったんですか?」

 

「ユウキさん。沢山サンドイッチはあるんですから、横取りしちゃ駄目ですよ」

 

“(フルフル)”

 

ユウキは違うと首を横に振ると、納刀された剣を片手に持って、コッコロの傍に置いてあった、荷造りの為に用意された空き箱からサンドイッチへと伸ばされた手を軽く叩いた。

 

ーーーーバシッ!

 

「ーーーーいったぁぁぁぁっ!!」

 

すると何と、箱の中からーーーーローブで顔を隠しているが、僅かに見えるオレンジ色の髪をした小さな女の子が飛び出てきた。

 

「ひゃぁっ!?」

 

「!?」

 

スズメとコッコロが驚く中、女の子は叩かれた手をヒラヒラ振った。

 

「オマエ! いきなり何すんだ!?」

 

“サンドイッチ泥棒”

 

「・・・・密航者でしょうか?」

 

「いえ・・・・無賃乗車でしょうか? どうしましょう・・・・馬車を借りる際に交わした契約上、事前に申告した以上の人数を乗せたら駄目なんです。割増料金、取られちゃいます。でも、ちっちゃい子ですし、お外に放り出すのも可哀想ですよね」

 

スズメはユウキの胸ぐらを掴んで揺らしている女の子に話しかける。

 

「・・・・えぇっと、お嬢ちゃん。ここで、何してるんですか?」

 

すると、女の子がスズメに向かって怒鳴る。

 

「ち、ちっちゃくない! アタシはちっちゃくないぞ!?」

 

「ちっちゃいですけど・・・・。えっと、無賃乗車はいけませんよ。悪いようにはしませんから、事情を話していただけます?」

 

スズメは女の子の事をジッと見る。

 

「家出とかですかね、『アヤネちゃん』と同じような・・・・。こんなちっちゃい子が一人旅って訳でもないでしょうし。う~ん、どうしましょ?」

 

「だ、だから! ちっちゃいって言うなよ〜っ!?ーーーーんんっ?」

 

すると、女の子は掴んでいたスズメの顔を眉毛を寄せながら見据える。

 

「あっ、オマエ! 知ってるぞ! 前に会った事がある!」

 

「ふぇ、スズメとですか? えぇっと・・・・【サレンディア救護院】の子供じゃないですよね、あなた? あのう、どなたかと間違えているのでは?」

 

スズメは人違いと言うが、女の子はユウキから手を離すと、スズメに向かって指差した。

 

「そう、スズメ! そんな名前だった! ここで会ったが、百年目・・・・! おい! オマエは、アタシの事を覚えてるかっ!?」

 

「え、えぇ〜っと・・・・?」

 

女の子は首を傾げるスズメの両肩に手を置いて揺さぶる。ついでに、スズメの大きな胸元も盛大に揺れる。

 

「ひゃわわっ、揺さぶらないで下さい! あんまり暴れちゃ駄目ですっ、馬車が横転しちゃいますよ!?」

 

“落ち着いて”

 

「んん? おい、おいおいおいっ? 改めて見るとオマエ!」

 

ユウキが止めようとすると、女の子はユウキを見て目を見開いた。

 

「嘘だろっ、オマエ! オマエだよ、何でこんな所にいるんだっ? 全然姿を見かけなかったから、心配したんだぞ〜っ!?」

 

“・・・・『オマエ』って、僕の事?”

 

「ふむ? 主さまとお知り合いなのですか、あなた? 主さまは、何故か女の子のお知り合いが多いようですね・・・・?」

 

何やら言葉にトゲを付けているコッコロ。

 

「どけっ、お前は知らん! 邪魔だ!」

 

女の子がコッコロを退かすと、ユウキに顔を近づける。

 

「それより、オマエだよ! どこで何してたんだ、これまで! 会いたかったぞ〜『プリンセスナイト』・・・・!」

 

『プリンセスナイト』。その単語に反応したのは、ユウキではなくスズメであった。

 

「『プリンセスナイト』? あなた、『プリンセスナイト』の関係者なんですか? 私も、『プリンセスナイト』の傘下ギルド、【サレンディア救護院】に所属しているんですけど・・・・? えっと、それ関係で何処かでお会いしたとかですか?」

 

「違う!」

 

スズメが聞くと、女の子はユウキから離れて、座り直してから話し出す。

 

「『プリンセスナイト』はギルド名じゃない! どっかで変な“こじつけ”が行われたんだ! そうじゃない! 『プリンセスナイト』って言うのはーーーーっ!?」

 

“・・・・っ?”

 

と、話の途中で女の子が、そしておそらくユウキも同じく、嫌な気配を感じたのか、女の子は荷台の前を見据え、ユウキも剣を持った。

 

「ーーーーマズイ。この嫌な感じ・・・・!」

 

女の子が馬車の前にある物を見つけると、スズメの両肩に手を置いた。

 

「お前ら! 今すぐこの馬車から飛び降りろ!」

 

「えぇ〜っ!?」

 

「死ぬぞ!」

 

「えぇぇっ!? な、何なんですかぁ!? も、もうスズメには、何がなんだか分かりませんよぉ〜っ!」

 

“っ!”

 

スズメが突然の言葉に困惑し、ユウキが剣を握り締めた時、馬車が『それ』の上に車輪が乗ってしまったその瞬間ーーーーオレンジ色の魔法陣が展開され・・・・。

 

ーーーーチュドォォォォォォォォォォォンン!!

 

荷台が爆発し、二頭の馬と御者だけが、その場から逃げ出した。




さぁ次回、爆破に呑まれたユウキ達の運命やいかに!?
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