聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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さぁ、新たな聖剣をゲットだ。


『音の聖剣』と今後の展開

ーユウキsideー

 

命からがら、『プラノ平原』に跳躍したユウキ達を、髪を逆立てた騎士風の鎧を着け、片手に布の塊を携えた二十代位の青年、恐らく『マサキ』が笑顔で話してきた。

 

「いやぁ、誠に忝い! 助かった! 今回ばかりは、流石の私も生きた心地がしなかったよ! この恩はいずれ返そう! ただ今は、火急の用件があるので失礼する!」

 

「待て待て。何処へ行くんだ・・・・お前は見た目より重傷だからな、先ずは怪我の手当てをしろ。今アタシが厄介になってる【ラビリンス】の拠点に、治療施設があるから」

 

「申し訳ないが、そんな余裕はない! ネネカ様が攫われたのだっ、私は他の何を押しのけてでも救出に向かわねば! ソレが、あの方の騎士としての私の責務! いいや運命である!」

 

「だから先ずは手当てをしないと、ちょっと歩きただけでぶっ倒れるから! 大人しくしてろってば、もう!」

 

どうやらマサキは攫われたネネカを助けに行こうとしているようだが、ムイミに怪我を治せとひち止められている。ユウキ達はソレを取り敢えず見ていると、マサキがユウキ達の存在に気付いた。

 

「むむ? 見慣れない顔がチラホラいるなっ、どちら様かな? 紳士的に、先ずは私から名乗ろう! 我が名はマサキ! 偉大なる『七冠‹セブンクラウンズ›』ネネカ様にお迎えする、高潔にして真面目な騎士・・・・☆」

 

“・・・・シノブちゃんの言う通り、陽気な人だね”

 

「何処となく、ペコリーヌ様と同じ匂いがします」

 

「えっ、私こんなスチャラカな感じですか?」

 

ペコリーヌが心外そうな顔をするが、陽気な所と暑苦しそうな所が確かに似ている。

 

「ーーーー皆さん、少し静かに。あぁ、爆発が観測されました」

 

と、シノブが地下遺跡があった方角を見てそう言った。

 

「あの場にいたら、本当に私達も危険でしたね。どうにか、無事に脱出できて良かったです」

 

「間が悪いよな〜、オマエら。何だってあんな場所にいた訳?」

 

「はき。斯々然々で・・・・ユウキさん達とネネカさんを、引き合わせようとしたのです。私達はネネカさんと交流がありましたので、取り次いだ訳ですね」

 

「うむ! 君達【悪魔偽王国軍‹ディアボロス›】は相変わらず面白おかしい感じだなっ、結構結構☆」

 

「お主もな。しかし何があったんじゃい、ネネカが攫われたと言うが・・・・アヤツは超越的な存在じゃ、そう容易く誘拐などされぬとは思うのじゃが」

 

イリヤが聞くとマサキは経緯をある程度話した。

ネネカは鉄壁の守りの研究所に引きこもり、強大な力を有している。マサキも護衛していたが、王宮の軍隊は数千もの人員を投入し、更に『メギド』と言う魔物も現れ、流石に抵抗のしようもなかったとの事だ。

 

「ネネカ様には変身魔法があり、兵に紛れて逃げられる事もできたが、不意打ちで攻撃魔法を撃ち込まれてな、大怪我を負っていたので・・・・安否か気遣われる」

 

そしてネネカは、変身などできず追跡を躱す事が出来ないマサキを足手まといと言い、「私が敵の目を引き付けている内に、何処へでも失せなさい。あ、でもその『聖剣』を、『聖剣を集めている少年』に渡して置きなさい。アナタが持っていては、折角の『聖剣』が宝の持ち腐れになりますから」と冷たく言ったとの事だ。

 

「だがしかし! ソレはネネカ様の、分かりづらい優しさの発露! 我が身を犠牲にしてでも、せめて私だけでも生き延びて欲しい! と言う願いに他ならない!」

 

エラくポジティブシンキングな解釈である。

 

「私は暴走を始めた『魔力炉』のそばに身を潜め、この身をジリジリと炙られながらも誓ったのだ! 必ずあのお優しく愛おしい、ネネカ様を命に代えても救出すると!」

 

背中にザバーン、と高波を上げながら宣言するマサキ。

 

「と言う事で、こんな所で時間を無駄にしてはいられない! 命を救われた事には感謝するし恩には報いる主義だが、今は兎に角失礼する! 取り敢えず先に、『聖剣を集めている少年』を見つけ、ネネカ様から託された『聖剣』を渡し、ネネカ様を救出しなければ! ネネカ様を捕らえたのは、王宮の軍隊あま。取り敢えず王宮に突入して、大暴れしてあの方を奪還する! あぁまるで、囚われの姫を助けに向かう騎士の物語・・・・☆」

 

「落ち着きなさい、軽率に行動しても無駄死にするだけですよ。私が先日・・・・『空間跳躍』てま侵入したせいで、王宮の警備レベルは上がっています。今王宮に侵入しても、数秒よせずに衛兵に捕らえられます。最悪、その場で殺されますよ。あまり理性的な判断とは言えません。先ずは心を平静にするべきでしょう」

 

何処か陶酔して先走ろうとするマサキに、ラジラジが冷静に止めた。

 

「んん・・・・君はなんだい、不思議な気配がするね。何処となく、ネネカ様と似た雰囲気だな」

 

ムイミがラジラジを紹介すると、ムイミがラジラジの『空間跳躍』を使って、安全な場所へと行こうと言い出した。

 

「安全な場所に『ダイゴ』やクリスティーナ、ソレに『ラビリスタ』・・・・『晶』もいる。“その辺の名前に聞き覚えはあるか、マサキ”?」

 

「? 申し訳ない、人の顔や名前を覚えるのは得意なのだけどね。実際、私は君が何者なのかも分からないよ・・・・チャーミングなお嬢さん」

 

「そうか・・・・お前も、“全部忘れちゃってるんだな”。ネネカなら、あの用意周到な策士なら・・・・『世界の再構築』を予期して、対策をしてたかも知れないし。アイツは何かを覚えてるかも、って期待してたんだけど。本人がいないんじゃ、確かめようもない。くそっ、後手後手に回ってる感じだ」

 

マサキもムイミを覚えていないと言い、ムイミは落胆したように肩を落とす。

 

「まぁいいや。取り敢えず、こんな所で立ち話をしてても仕方ない。近所に【ラビリンス】の拠点の1つがあるから、先ずはソコまで移動して休もう。マサキも、一緒に来い。・・・・ユウキ達は、ど〜する?」

 

“僕達も行くよ。色々聞きたい事もあるし。マサキさんも、僕に用事があるようだし”

 

「ん? 少年? ソレはどういう・・・・」

 

ーーーーキィィィィン・・・・キィィィィン・・・・。

 

と、マサキがユウキの言葉に首を傾げると、布の塊から、ユウキの剣から共鳴するような音が鳴り響き、布の塊から桃色の波動が、ユウキの剣から青とオレンジと緑の波動が放たれた。

 

「こ、コレはまさか!?」

 

マサキは慌てて布を解くとその中から現れたのはーーーー『聖剣』であった。

刀身は『風刃剣翠風』と同じ位に短いが、『土豪剣激土』程ではないが太く、ピンク色の装飾がされた『聖剣』であった。

そして、ユウキの剣が『水棲剣流水』へ変わり、更に『風刃剣翠風』、『土豪剣激土』へと変わった。

 

「何と! ネネカ様が言っていた『聖剣を集めている少年』とは、君の事だったのか!? 何と言う運命の巡り合わせだろうか!」

 

マサキがそう言うと、共鳴音が大きくなり、マサキが手にしていた『聖剣』から手を離すと、『聖剣』は宙を浮いてユウキの剣と一体化すると、その『聖剣』へと変わった。

 

ーーーー♪〜♫〜♪〜♫〜♪〜♫〜♪〜♫

 

“・・・・コレは、『音の聖剣』?”

 

[ーーーー音銃剣錫音‹オンジュウケン スズネ›!]

 

『音の聖剣 音銃剣錫音』から軽快な音楽が流れ、頭の中に『聖剣』の名前と、この『聖剣』に合う『ライドブック』が入り、更に『聖剣』から名前が出た。

 

“それじゃ、ムイミちゃん達と一緒に行こう”

 

「OK。オマエらとは、いっぺん腰を落ち着けて話したいと思ってたんだ。じゃあ、ついてこい。コッチだ、コッチ♪」

 

ムイミに先導され、再び一同は歩き出した。

 

「ふふん。皆で一緒に、この『クソフザケた状況』を打ち砕く算段を立てようっ♪」

 

“・・・・っ!”

 

と、ソコでユウキの意識が遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あら? こんにちは、ユウキ。まだ呼んで無いのに、急にコッチに来たからビックリしたわアンタ、どうも疲れて眠ちゃったみたいね。まぁ、久しぶりの戦闘と『2冊抜刀』を使った疲労が来たのかもだけど」

 

どうやら体力を使い切ってアメス様の夢を見ているユウキに、アメス様がそう話した。

 

「記憶を失う前のアンダは気軽にダンジョン攻略してた訳だけど、生身で、この『現実』で同じ事をやるのは大変だわ。整地されていない場所を泥だらけになって進んで、魔物やメギドと戦って、周囲の探索も忘れずに・・・・挙げ句、最後は自爆する研究施設から必死に脱出。そんなの、できれば勘弁して欲しいわよね」

 

改めてそう言われると、いつもの〈美食殿〉の活動がまだマシに思ってしまう。

 

「ともあれ。アンタは体力を使い切って、こうして夢を見てる。眠ってるアンタの事は、あのラジラジって人が運んでくれてるみたいだから安心してね。因みに、アンタはコレから、秘密結社【ラビリンス】のアジトまで案内されるみたいね。ソコで色々と教わると良いわ。『世界の謎を探求するギルド』である【ラビリンス】が、現状、どのくらいまで『真相』に辿り着いてるかは分からないけど。彼等との『接触』と、『対話』、『情報交換』、そして『ラビリスタからアンタへのプレゼント』がある。ソレは決して無駄にならない筈だわ」

 

“うん”

 

『ただ、急いでね。敵がコッチの準備が整うまで待ってくれたりはしないから。あらゆる手を尽くして、アンタ達を潰しに来るわ』

 

そう言いいながら、アメス様は目を伏せる。

 

「そのせいで、多分コレから、アンタは哀しい事態に直面する筈だけど・・・・負けないで。せめて心を折られないでね。そうなったら、全部お終いよ。頑張って。応援する事しかできないけど、アタシはいつでもアンタの味方よ。そして。アンタの味方はアタシだけじゃない」

 

アメス様は薄く笑みを浮かべる。

 

「今回アンタ達を手伝ってくれた、【悪魔偽王国軍‹ディアボロス›】のシノブ達や・・・・他にも色んな人達が、アンタを手助けしてくれるわ。アンタが繋いだ『絆』が、アンタを助けてくれる。ソレがアンタの、『聖剣』にも負けない『最大の武器』よ」

 

“・・・・・・・・うん”

 

ユウキはコレまで出会ってきた多くの人達の顔を思い浮かべると、笑みを浮かべて頷いた。ソレを見てアメス様も満足そうに頷く。

 

「どうか忘れないでね、アンタは独りぼっちなんかじゃないわ。勿論。アンタが出会う人間全てが善良で、アンタに都合の良い事をしてくれるとは限らない。皆、それぞれの人生を必死に生きてるんだから。特に『七冠‹セブンクラウンズ›』や、その周辺の人物はアンタと利害が対立する可能性が高いの。だから今回アンタが、『七冠‹セブンクラウンズ›』のネネカちゃんに会いに行ったのを見てて冷や冷やしたわ。彼らも『この世界』における『重要人物』、『主人公』めいた存在なのよ。アンタと同質っていうか、立場が似ている存在なの。だからこそ。記憶喪失のアンタが忘れちゃってる『前世』では、アンタは『七冠‹セブンクラウンズ›』と苛烈な戦いを繰り広げる事になった訳だし」

 

“えっ?”

 

まさかネネカと敵対していた事に驚くユウキ。

 

「だけど、アンタは1度敵対した相手とも仲良くなって手を結べるわ。ううん、そうやって『前世』でも今でも仲間を増やして、いつか世界を救う『英雄』に成り得るの」

 

ソコでアメス様は目を鋭くする。

 

「そんなアンタだからこそ、孤独に、『この世界』の頂点・・・・『神様』になろうとしている『ユースティアナ』には、絶対に負けない。ここは真摯な祈りが悪魔によって歪められ、『再構築された世界』・・・・けれど。そんなアンタの尊い気持ちは、心は歪まずに実を結ぶ筈だって信じてるわ」

 

“・・・・うん”

 

『夢の世界』が光に包まれていく。

 

「それじゃ、ボンヌ・レクチュール。よい読書を♪」

 

そうアメス様は言い残して、夢は光に包まれた。

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