ー???sideー
渓谷にて、ユウキ達が乗っていた荷台が爆発したのを、近くの丘で見下ろす二つの影がいた。
一人は銀色の髪をボブカットにし、貴族のような仕立ての良い服装に白いマントを垂らし、ヘソを出した格好をした若い青年。
もう一人は長身で、紫色の髪の後ろにモミアゲを少し伸ばして、大きな蛮刀を肩に担ぎ、肌の露出も広く、顔立ちはスッキリと精悍で、大きな胸元と引き締まった体躯と長い手足をした、何やら大雑把でガサツそうな雰囲気がある犬のような耳とフサフサとした尻尾をした獣人‹ビースト›族の女の子だった。
そして、犬耳の女の子が、若い青年をキッと睨んだが、若い青年は飄々とした口調で声を発する。
「あちゃ〜・・・・? 出力の調整、ミスっちゃったかな。馬車が吹っ飛んじゃったね〜?」
「『吹っ飛んじゃったね〜?』じゃねぇよっ! ふざけんな! あの馬車には、無関係な一般人も乗ってたんだぞ!?」
他人事な態度の若い青年に、犬耳の少女が男勝りな口調で怒鳴った。が、若い青年は調子を崩さず応える。
「いやいや、『無関係』だと断定できないでしょう〜。どうも『盗聴魔法』で聞いてた限り、『ムイミちゃん』は、馬車に乗ってた他の連中と顔見知りっぽかったしさ? あの子を逃がす為の馬車を用意したりとかさ〜、協力した『仲間』って可能性もある。まとめて動けなくしちゃえば、余計な手間が省けるよね?」
いけしゃあしゃあと言う若い青年に、犬耳の少女がまた声を荒げる。
「『可能性』ってだけだろうが! どうも他の連中は、『ムイミ』の事を知らなかったみたいだしさ! 可能性の話をするなら、『無関係な一般人』って可能性の方が高ぇんだよ!
あんたのお為ごかしにはウンザリだよ、『オクトー先輩』! こんな事なら、頼みを聞いてやるんじゃなかったぜっ! あぁ胸クソ悪ぃ!」
怒りが収まらない犬耳の少女は、更に言葉を紡ぐ。
「良いか、よぉく覚えとけ! あたしはなぁ、殺し屋じゃねぇんだよ・・・・!?」
「落ち着いて〜。鼻息荒くしないでよ、ワンちゃん」
両手を上げてヒラヒラさせる『オクトー』と呼ばれた若い青年は、燃え上がる馬車を親指で指す。
「それよりも・・・・どうも連中ーーーー無事っぽいようだよ」
「ああっ!? っ!?」
犬耳の少女が燃える馬車に目を向けると、炎の中から妙な物が現れた。
燃え盛る炎の球体が、馬車の中央に現れ広がると、周りの炎と共に消えていった。
「はぁっ!? 何だありゃ!? 何で炎が炎を消すんだよ!?」
「炎が燃えるには酸素が必要だからね〜。炎と炎がぶつかり合うと、お互いに酸素を燃焼しちゃって、お互いを消しちゃうんだよ」
驚く犬耳の少女に、オクトーが説明すると、周りの炎と炎の球体が消え、中から『ムイミ』とメイド服の少女とエルフの少女、そしてーーーー『赤い剣』を構えた少年がいた。
「(っ! あの『剣』は・・・・?)どうやら、あの少年の持ってる剣が、炎の結界を生んで防いだようだね?」
見覚えのある『剣』を持った少年を見据えながら、肩を竦める『オクトー』だが、犬耳の少女はホッとしたように肩を落とした。
「! 良かった、無事だったのか・・・・」
「安心してないでさ。こっからが本番だよ、お仕事に集中しよう?」
「あ、あたしは抜ける! 付き合いきれねぇよ、あんたには!」
「あぁ、良く言われるよそれ〜・・・・。ボク、お友達ができないタイプなんだよね。どうしてかな〜一応愛想良くしてるつもりなんだけど?」
犬耳の少女は、オクトーとの共闘をやめると言い、オクトーは残念とばかりに肩を竦める。
「自分の胸に聞きやがれ、クソが! 【自警団‹カォン›】はついてこいっ、現場に急行すんぞ! 生存者を救出する!」
そう言って、他の団員達を連れて向かうと、オクトーが声をかける。
「待って待って。ボクも一緒に行くよ〜? 正直、『ムイミちゃん』はどうでも良いんだけど〜、あの子が盗んだ『お宝』を、回収しなくっちゃね」
そしてオクトーは、『炎の剣』を持つ少年を一瞥した。
「(それに、あの彼の『剣』の事も、調べておきたいし)」
オクトーは懐から『小さな黒い本』と、捕獲した『魔物』を入れた檻を見据えてそう小さく呟いた。
ーユウキsideー
爆発する寸前、ユウキは火炎剣烈火で炎の結界を作って皆を守り、結界を解除した。
すると、周りには煙が立ち込めており、馬と御者の姿は無かったが、足跡が地面にあるので、逃げられたようである。
「けほっ、けほっ! し、死ぬかと思いました!」
「右に同じでございます。間一髪でしたね・・・・。主さまのお陰です。流石は主さまです」
スズメもコッコロも無事のようであった。
“皆も怪我なくて良かった。でも凄いのは僕じゃなくて、火炎剣烈火のお陰だよ”
「さようですか。流石は主さまの剣でございます。しかしまぁ・・・・。危うく、馬車ごと爆死する所でしたね。何だったのでしょう、大爆発が発生したようですけれど?」
「わ、分かんないですけど! 怪我した人がいたら、私が手当てしますのでっ! 『お嬢さま』が心配して、傷薬とか持たせてくれたんです! えぇっと、治療符は〜・・・・? あぁっ、これはビリビリする『雷神の護符』でした!」
スズメは『雷神の護符』をしまうと、自分の杖を出した。
「じ、自分で治療魔法を使った方が早いですね! えぇっと、呪文呪文・・・・?」
しかし、コッコロが口を開く。
「しぃ~っ・・・・。静かに、スズメさま。どうも、まだピンチは継続中のようですよ?」
「えっ、えっ? あぁっ、何か周りに沢山の人影が! と、盗賊? 馬車を襲撃して金品を奪う、ならず者ですかっ?」
周囲に幾人もの人影が自分達を囲うように現れた。
その人影に生えた獣の耳と尻尾をスズメは見た。
「あれは・・・・獣人‹ビースト›でしょうか? って事は、【動物園】? どうしましょう? うちの『ギルド』の母体となっている、【プリンセスナイト】とは犬猿の仲なんです!」
どうやら【動物園】とは、獣人‹ビースト›族で構成された『ギルド』のようだ。
「ど、【動物園】が戦争を仕掛けてきたとかですかっ? だとしたら、盗賊に襲われるよりもずっと非常事態ですよ〜!?」
「あのう、スズメさま。それどころではないかも知れませんが、この方の治療を頼めますか?」
コッコロが、少し火傷を負ったサンドイッチ泥棒の女の子を見せた。
「つぅ〜・・・・!」
「うひゃっ! 火傷を負ってます!」
「ええ。御者の方と馬達を逃がした際、主さまの結界の中に入るのが遅れまして、負傷されたようです」
「可哀想に! まだこんなにちっちゃいのに! 死んじゃ駄目です〜元気になぁれ! えぇい、回復魔法っ☆」
スズメが回復魔法をかけて、女の子の火傷を癒やそうとする。が、女の子がそれを制する。
「うぐ・・・・。お、お前ら、さっさと逃げろ! ごめん、巻き込んじゃって・・・・。あいつらの狙いはアタシだ、オマエらは無関係何だからな。アタシを治療なんかすると、仲間だって誤解されるぞ?」
そう言うと、女の子は自分から離れるように言う。
「良いんだ、アタシは・・・・独りでも。大丈夫だから、もう慣れたからさぁ」
「そ、そんな訳にはいかないです! えいえいっ、回復魔法〜☆ う~今だけはドジらずにちゃんと成功して!」
“がんばってスズメちゃん!”
「あっ、応援してくださるんですね? ありがとうございます! あなたに応援されると、何故か全身からパワーが湧いてきます!」
そして治療魔法をかけるスズメ。しかしーーーー。
「ちょっと〜余計な事しないでくれる? 折角ラッキーな事に・・・・標的の『ムイミちゃん』だけを、動けなくできたっぽいのにさ?」
突然の男性の声に目を向けると、ヘソを出した銀髪オカッパ頭の男性がいた。その後ろに獣人族らしい女の子と何人かの獣人族。そして、檻に閉じ込められた一体の小さな魔物がいた。
「余計な手間、かけさせないでね。動かないで〜君達は包囲されている♪」
その男性を見て、『ムイミちゃん』と呼ばれた女の子が立ち上がった。
「『オクトー』・・・・!」
「気安く呼ばないでね〜仲良しだって思われちゃうじゃん。ボクってそれなりに高貴な家柄なんだよね、『泥棒』と友達だって勘違いされたら困っちゃうんだ〜♪」
そう言うと、『オクトー』と呼ばれた青年は、ユウキ達に目を向ける。
「ねぇ、そこの君達! 誰だか知らないけど、その子を引き渡してくれない? あんまり、無駄に疲れたくないんだよね〜。簡単に、片付けちゃいたい♪」
次いで、オクトーは『ムイミちゃん』を指差す。
「その子、『ムイミちゃん』はね〜・・・・。ボクの屋敷から、『お宝』を盗んだんだ。ほら、その王冠の形をしたブローチなんだけどね〜?」
ムイミが、『王冠の形のブローチ』を持っていた。
「それ、取り返さないと父上に怒られちゃうんだ。大事な物何だよね〜ボクにとっても、ボクを唯一、愛してくれたお祖母さまの形見だから」
「そうだったのか、オクトー・・・・? お前はそう言う事、全然言ってくれないんだもんな。そんなに大事な物なら、何でアタシなんかにくれたんだ?」
「え〜? 『くれた』って何なの〜『盗んだ』んでしょ?」
ムイミとオクトーが喋っている間に、ユウキは『火炎剣烈火』を別の剣へと変えた。
それに気づかず、二人は話を続ける。
「キミ、ずっとボクの屋敷の周りをウロチョロしてたよね? 怪しいと思っていたら、やっぱり泥棒だったんだ〜?」
「盗んだんじゃない、くれたんだ。オマエは、覚えてないんだろうけど」
何やらムイミは、物悲しそうな顔で話す。
「拾われっ子で、本当の誕生日が分かんないアタシが・・・・他の子達が誕生日祝いをしているのを羨ましがってたらさ、『じゃあ今日を誕生日にしよっか』って。『一応女の子なんだし、こういうの好きでしょ?』って、何で、アタシにくれたんだ? 大事な、オマエが大好きだった人の形見なんだろ?」
が、オクトーは鼻で笑いながら応える。
「あ~妄想の話? 面白いね〜。ボクが、君なんかにプレゼントする訳無いでしょ。キミって、ボクが嫌いなタイプだし♪」
“・・・・・・・・”
何やら二人の会話がすれ違っているのを、ユウキは眉根を寄せるながら、そっと剣を構えると、剣の刀身に、“水が集まっていく”。
ムイミが悲しそうな顔をする。
「なぁオクトー。ホントに全部忘れちゃったのか・・・・?」
が、オクトーは興味なしと言わんばかりに、話を続ける。
「おっと・・・・つい雑談しちゃった、すっかり日が暮れちゃったね〜。もしかして、怪我の手当てが済むまでの時間稼ぎだった(バシャァァァァァ!!)のわっぷっ!?」
ユウキが『青い剣』をオクトーに向けて突き立てると、そこから凄い勢いで水が発射され、オクトーの顔面に当たり、その水の勢いで倒れたオクトーの身体はびしょ濡れになった。
[水勢剣流水‹スイセイケン ナガレ›!]
「あ、主さま?」
「えぇっ!? ど、どうしちゃったんですかぁ!?」
「お、オマエ・・・・っていうか、その『剣』・・・・何処かで見た事あるぞ? それに、オマエそんな『剣』持ってたか?」
コッコロとスズメがユウキの行動に驚き、ムイミも目をパチクリさせると、ユウキの持つ剣、『水勢剣流水』を訝しそうに見ていた。
「お、おい、オクトー先輩、大丈夫かよ?(ーーーーでも、ちょっとザマァ)」
「ケホッ! ケホッ! ケホッ! あぁもうずぶ濡れだよぉ! ちょっと一体何するのさキミ! やっぱりその子の仲間?」
犬耳の女の子と、後ろにいる団員達は内心ユウキに拍手をしていた。
立ち上がったオクトーはムイミの仲間かと思い、ユウキを指差すと、ユウキはゆっくり立ち上がり、逆にオクトーを指差す。
“・・・・さっきからの話しぶりから、爆発魔法の罠を仕掛けたのはあなた?”
「えっ? そうだけど、何でボク達の邪魔するのさ? やっぱり仲間なのかなぁ?」
“・・・・無関係な僕達は巻き沿いにされて、危うく死にかけたんだけど?”
「あっ・・・・もしかして、その事を怒ってる?」
“ーーーー怒られないと思ってるの?”
ユウキの正論とも言える言葉に、オクトー以外が「あぁ〜、うんうん」と同意するように頷いた。
「いやでもさ。いきなり水をぶっかけるのって無いんじゃない?」
“・・・・炎が良かった?”
火炎剣烈火に変えたユウキが、刀身に炎を纏わせて問う。
「あ、やっぱり水で良かったです」
“そう?”
オクトーがそう言うと、ユウキは火炎剣烈火を水勢剣流水に戻した。
すると、
「お、おいオマエ! 戦おうとするな! オマエまで巻き込まれるぞ!」
“・・・・ムイミちゃんをどうするの?”
「どうするのって、勿論、捕縛するのさ」
ムイミが止めるように言うが、ユウキは聞かず、オクトーに問いかけると、オクトーは応じさらに続ける。
「その子の事、調べたよ。その子はね、戸籍上は何かの実験施設の研究員の娘・・・・って事になっててね。その施設の人が、その子を『回収』したがってる。ボク、調べ物とか得意だからさ。色々、分かったんだけど・・・・」
オクトーが、やれやれと溜め息交じりに、ムイミに目を向けて話す。
「キミって、所謂『実験動物』みたいなものなんでしょ? そんな自分の立場を嘆いて、脱走したって感じ〜?」
「っ・・・・・・・・」
ムイミの身体が、ビクッと震えた。
ユウキはそれを見ると、もう片方の手に聖剣ソードライバーを出現される。
「まぁ、キミの事情なんかは興味ないけどさ〜? ただね〜・・・・いつまでも屋敷の周りを彷徨かれると鬱陶しいしさ〜。ボクはそんなキミの『捕縛』って言う依頼を引き受けた訳。まぁ、利害の一致だよね〜♪ 因みに依頼人は、キミを回収する際に生死は問わないって言ってたから。あんまり面倒をかけるなら、サクッと始末して・・・・屍体を依頼人に届けて、お仕事完了〜って事にするよ?」
そこまで言って、オクトーの目に冷酷な光が宿る。
「だから、あんまり手こずらせずに、さっさと諦めてボクに確保されてくれないかな〜・・・・ムイミちゃん♪」
しかし、ムイミはオクトーに話しかける。
「・・・・アタシは、ムイミじゃない。“この世界では、アタシは『ムイミ』じゃないんだ”。意味を、アタシの人生を見つけたんだ。ううん、オマエが教えてくれたんだ・・・・オクトー。面倒くさがりで、優しくなくて・・・・でも、アタシが大好きだった『相棒』。たった一人の『相棒』! 忘れちゃったみたいだから、改めて教えてやる! 名乗ってやる、何度だって!」
それから、ムイミは叫ぶように言う。自分の『名前』を。
「よぉく、耳をかっぽじって聞け! アタシは、『ノウェム』だ! 【エターナル・ソサエティ】の、【カレイドスコープ】の、【ラウンドテーブル】の・・・・ううん、オマエの『相棒』のノウェムだ! ムイミじゃない!」
「ノウェム? ノウェム、ノウェム、ノウェム、ノウェム、ノウェム・・・・う~ん? ごめんね、やっぱり知らない名前だな〜? きっと『妄想』と『現実』の区別がついてないんだね〜可哀想に。あはは、思春期にはありがちだよね〜♪」
“・・・・・・・・”
必死に訴えるムイミの言葉を、オクトーは一笑した。それを見て何故か、ユウキは奇妙な感覚を覚えていた。
が、一笑していたオクトーがその笑いを消してムイミを見据えながら、懐からーーーー『本』を取り出した。
「・・・・でも何か、キミの声を聞いてると苛々してくるからさ〜? その口を、ちょっと閉じて欲しいな〜?」
[アリかキリギリス!]
“っ! あれは・・・・”
それは間違いなく、『アルターライドブック』であった。
[目を覚ませ・・・・。個と群が織りなす、ストーリーメギド!]
「よっと」
オクトーはアルターライドブックを後ろの方に投げると浮遊し、檻の中の小さな魔物の身体に当たると、魔物の身体が光りだした。
「もう、お喋りは終わりね? さっさと回収して依頼人に届けちゃうから、ボクの人生からバイバイして〜?」
『『グガァァァァァァァァッ!!』』
その光をバックにオクトーがにこやかに言うと、檻をぶち破って、二体の『メギド』が現れた。
一体は、蟻のような鎧を着込んだ黒い鎧姿をした怪人『アリメギド』。
もう一体は、対照的に、キリギリスのような鎧を着込んだ様な派手な姿をし、右腕と胸部に本の意匠がある怪人『キリギリスメギド』であった。
「な、何だ、コイツら!? こんな魔物、“『レジェンド・オブ・アストルム』に存在しない筈だぞ”!?」
驚くムイミだが、身構えてユウキ達に目を向けて声を発する。
「おい、お前らだけでも逃げろ! 時間くらいは稼いでやるっ。巻き込んじゃったお詫びにな♪ さぁこい、オクトー! オマエは、いっぺんブン殴ってやろうと思ってたんだ!」
しかし、メギドが現れた以上、ユウキも引き下がる訳にはいかない。
「どどど、どうしましょう・・・・!?」
「ふ~む、逃げろと言って貰えたのですし、そのお言葉に甘えて退散したい所ですけれど。如何しましょう、主さま?」
そう問うコッコロだが、ユウキの答えはとっくに決まっている。
“ムイミちゃんも放っておけないし、メギドも見逃す訳にはいかない!”
そう言って、水勢剣流水と聖剣ソードライバーを構える。
「はい。そうですよね、分かります。アメスさまの託宣によると・・・・主さまは困っている女の子を置き去りにして、逃げ出すような方ではございません」
ユウキはそう聞くと、聖剣ソードライバーを腰に当てた。
[聖剣ソードライバー!]
「おや、エンブレムが違いますね?」
コッコロが聖剣ソードライバーのエンブレムが、赤から青に変わっている事に首を傾げたが、ユウキは構わず、水勢剣流水を聖剣ソードライバーに納めると、そこから水が弾け飛び、ライドブックホンダナーから、青く『LION SENKI』と記されたワンダーライドブックが飛んできて、ユウキの手に納まり、ユウキが開く。
[ライオン戦記! この蒼き鬣が新たに記す、気高き王者の戦いの歴史・・・・]
声が響き、周囲の人間の目がユウキに集まると、ユウキは『ライオン戦記』を閉じて、聖剣ソードライバーの中央のスロットに装填した。
すると背後に、巨大な『ライオン戦記ワンダーライドブック』が現れる。左手を腰の裏に回し、水勢剣流水を抜刀する。
[流水抜刀!]
スロットに装填したライドブックが開き、それに連動して巨大なライドブックも開き、青い鋼鉄の獅子が飛び出す。
水を纏った水勢剣流水を回して右手を左腕前に。そして左腕を後ろに添えて、ユウキは叫ぶ。
「変身!」
[ライオン戦記!]
横薙ぎに振るうと水の刃が放たれ、二体のメギドを牽制すると、たゆたう水を纏った水勢剣流水を振るい、青い獅子がユウキを包み込んで水柱が上がる。その中で鎧を纏っていくと水柱が弾け、放たれた水の刃が仮面へ装着される。
[流水一冊! 百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を剥く!]
胸に青いライオンの頭部を付け、ライオンの鬣のような装甲を腰と背中に垂れさせた、燃えるような赤い炎の剣士〈仮面ライダーセイバー〉と違う、冷静な青い水の剣士、その名をーーーー。
「〈仮面ライダーブレイズ〉。ーーーーこの水勢剣流水に誓う。メギドを倒し、ムイミちゃんを守る!」
ブレイズは、右手に持った水勢剣流水を左胸に持って構えながら言った。
次回、早速バトル・・・・の前に、あの狂人の姉とおバカの妹がワチャワチャやります。