ーユウキsideー
ブレイズとなったユウキは、剣の切っ先をアリメギドとキリギリスメギドに向けたその時、オクトーの後方にいた獣人族の少女が飛び出してきた。
「おい、ユウキ! その青い鎧の剣士、ユウキか!?」
「おぉ、また新しい女の子が・・・・。やはり、主さまのお知り合いですか?」
“ーーーーうん。知り合いの『マコトちゃん』”
「主さま。たった一ヶ月そこそこの内に、一体何人の女の子と仲良くなられたのですかね・・・・?」
“・・・・・・・・だいたい、四十人ぐらい?”
コッコロの言葉に、ブレイズは片手で数えるように指を折ってから言った。
「左様ですか。アメスさまからの、託宣の通りです。本当に、節操のない・・・・全く、主さまは・・・・」
ユウキの交友関係に、コッコロは眉根を寄せ、何やらブツブツと呟き始めるのであった。
しかし、マコトは構わずブレイズとなったユウキに話しかける。
「おい! どういう状況だ、これはっ? 馬車に乗ってたのはお前だったのか・・・・ユウキ? ここは危険だぞ、避難しろ!」
「えぇっと・・・・先程主さまがお水で攻撃した時にもおっしゃっておりましたが、そちらが襲いかかって来なければ、わたくし達も、平和な馬車の旅を楽しんであられたのですけど」
「ううっ? 仕方ねぇだろ、仕事だっ! 問答無用で乱暴な手段に訴える事になったのは申し訳ねぇけど! 全部あのアホが悪いっ、オクトー先輩がよう!」
ブツブツを止めたコッコロの言葉に、言葉を詰まらせたマコトだが、オクトーを指差して断言した。
「先輩・・・・?」
「兎に角、お前達だけでも逃がしてやるから! せめて、安全な所まで! 付いてこいっ! 自己紹介とかはまた後でな!」
“(フルフル)”
が、ブレイズはマコトの言葉に首を横に振った。
“『メギド』を倒す。『アルターライドブック』も回収する”
「??? 『メギド』って、あの魔物の事か? 確かにさっき、オクトー先輩がお前の持ってる本と同じ物を魔物に与えたけど・・・・」
マコトが少し考える素振りをしてから、ガリガリと頭を掻いた。
「でも! 下手にオクトー先輩と喧嘩売ったら、お前後で面倒な事になるぞ!? っ!」
“・・・・・・・・!”
「うわっ!?」
マコトがブレイズを止めようとするが、何かを察したように振り返ろうとする前に、ブレイズがマコトの手を掴んで引き寄せた。
「なっ!? ななな、何してんだおま『ウオオッ!』うわっ!?」
何とマコトの後方からキリギリスメギドがキックを繰り出してきて、ブレイズはマコトをお姫様抱っこしながら、その攻撃を回避した。
「わ、わわわわ!?////////」
マコトは顔処か、全身を真っ赤に染めた。
『カァァァ!!』
しかし、アリメギドが口から液を吐き出し、それも回避して地面に当たると、地面がジュワァ〜っと音を立てて溶けた。
「うひゃぁぁ!? な、何なんですかこれっ!?」
「スズメさま! 触ってはなりません! 恐らく匂いを嗅ぐのも危険です!」
狼狽えるスズメの手を引いて、コッコロも離れる。
「おいオクトー先輩! アタシごとやるつもりかっ!?」
「うーん、これは僕の言う事聞いてる訳じゃないみたい。ゴメンねー」
「ゴメンねー、じゃねぇーっ!!」
ブレイズにお姫様抱っこされたままのマコトがオクトーに向けて怒鳴るが、オクトーは悪びれる様子もなく、謝意を殆ど感じない謝罪をした。
「えー、でもさー。ムイミちゃんを守るって事は、そこの彼も敵って事だよね?」
「っ、それは・・・・お前どうなんだ?」
“・・・・僕の目的はメギド。でも、ムイミちゃんの言葉には強い想いを感じた。そこの薄っぺらな言葉を言ってる人より、信じられる”
ブレイズはムイミを一瞥してから、オクトーに向けて、器用に水棲剣流水の切っ先を向けた。
「えぇー。僕ってそんなに薄っぺらい? 傷つくなー」
“そう言うとぼけた態度を取ってばかりいると、友達できないよ?”
『プッ!』
ブレイズの言葉にマコトと、後方の団員達が一斉に吹き出した。
「・・・・余計なお世話だよ」
オクトーは少し憮然とした顔でそう返した。
『ーーーー!!』
すると、キリギリスメギドが両腕から伸びた鋭い爪を擦り合わせると、周囲に頭の中をかき回すような怪音波は発せられた。
“っ!?”
「うぁぁぁぁ!! 何だこれ!?」
「う、うるさ過ぎるぞーーーー!!」
「うぅっ・・・・!」
「あ、あた、頭が、割れそうです〜・・・・!」
『うわぁぁぁぁっ!!』
あまりの音に、ブレイズやマコトにムイミ、コッコロにスズメも耳を押さえて片膝を突き、他の団員達も悲鳴を上げていた。
「ちょっとー! 僕まで影響受けてるんだけどー!?」
オクトーまでも怪音波を受けて両耳を押さえていた。
『はははは! 俺の音楽に酔いしれなぁ!』
キリギリスメギドが声高らかにそう言った瞬間、ヒュンッ、と一本の矢が飛んできて、キリギリスメギドの頭に刺さろうとしたが、キリギリスメギドは済んで回避するが、矢は爪を弾いた。
『ぬぁ!? 誰だ!?』
キリギリスメギドが目を向けると、少し離れた丘に立っていたのは、二人の少女だった。
ー???sideー
「お〜・・・・? 残念無念また来年、逃げられちゃいましたね? 不意打ちだったのに!」
「ん〜どうやらあの魔物、普通の魔物じゃないみたいだね。背後、しかもこの距離から狙撃したのに反応できるなんて・・・・」
弓を構え、矢を射った様子をしているのは、茶髪のショートヘアの両サイドを円にし、赤く動きやすさを追求し、何処かお洒落な感じの服装をしたユウキよりも年下な女の子。
もう一人は、長い薄紫色の髪に白い花のアクセサリーを付け、白いドレス風の衣装に軽装の鎧を付けた、理知的で物静かな淑女な女の子だった。
「えへん。お姉ちゃんの、ワンポイント・アドバイス〜☆」
すると、淑女な女の子が、人差し指を立てて、弓矢の女の子に助言をする。
「一発で仕留められる場合は稀なので、矢は急所を狙って最低でも二発! 可能なら仕留められるまで、何発でも撃ち込もうっ♪」
「勉強になります〜! それでは助言に従って、攻撃を続行!」
そう言って、弓矢の女の子は構え、今度はアリメギドに狙いを定める。
「いつか、お兄ちゃん出会える日を夢見て・・・・撃つべし! 撃つべし!」
と、何本もの矢を乱射した。
『カァァッ!!』
アリメギドが溶解液を吐き出すが、何本かは溶けたが、数本が肩と腕と脇腹に突き刺さる。
『ガァァァァァァっ!!』
アリメギドが悲鳴をあげた。
「なんなんだよアイツら!?」
「えぇっと・・・・メギドを狙っていると言う事は敵では無さそうですが、あなたのお仲間ではないのですか?」
「知らねぇよ! 少なくても獣人‹ビースト›じゃねぇし、あたしの仲間じゃねぇ! 何なんだよ畜生っ、『姫さん』の占い通り今日は厄日か!?」
「・・・・主さまにお姫様抱っこしてもらっているのに、厄日と言うのは失礼と思いますが?」
「えっ?・・・・・・・・あぁっ! ち、ちがっこれは、その! つか、厄日ってのは言葉のあやでえっと////」
マコトが顔を赤くしてブレイズの腕から降りると、大きく深呼吸をしてから乱入者二人に向けて声を上げる。
「おいコラ! テメェら、何処のギルドのもんだっ!?」
「フッフッフ♪ 問われて名乗るも、オゴポゴですが〜!」
「皆〜! 『リノちゃん』は多分、『烏滸がましいが』って言いたいのっ♪」
「それです、『シズルお姉ちゃん』!」
等と、仲良くやり取りする『シズル』と『リノ』と呼ばれた二人。
「あらためて・・・・問われて名乗るも、烏滸がましいが! 私達は、世界の謎を探求する秘密結社【ラビリンス】! あなた達に怨みはありませんが、ちょっと介入させてもらいます!」
そう言いながら、リノはムイミ(ノウェム)を指さす。
「今、そこのえぇっと・・・・ノウェムを回収されて、どっかに隔離されると困っちゃうので!」
「リノちゃ〜ん。秘密結社なのに、堂々と名乗るのはどうかと思う・・・・ぞっ☆」
ーーーードゴォォォォォォォォンン!
シズルがリノに可愛く言いながら頭突きを浴びせ、その衝撃波がリノの頭を貫通した。
『っっ!!??』
ブレイズ達が目を見開き、コッコロもOxOした顔になった。
「どぅふ!? ず、頭突きは! 頭突きは勘弁して下さいお姉ちゃんっ、痛いから!」
『(いや、痛いで済むレベルの衝撃波じゃなかった気が・・・・)』
全員がそう思うが、シズルは止まらなかった。
「後、内緒しとくべき私達の『目的』を、ペラペラ喋るのも駄目だ・・・・ぞっ☆」
ーーーードゴォォォォォォォォンン!
またしてもシズルがリノに頭突きを繰り出した。
「ぴぎゃあ!? だ、だから頭突きはやめて! 勘弁して下さい、お姉ちゃんっ! 反省しましたから! り、リノはいい子になりましたから・・・・!」
ーブレイズsideー
「何なんだ、あのスチャラカな二人組は・・・・?」
姉妹漫才を繰り広げている二人に、マコトは半ば呆れた様な声を漏らす。
「ん〜【ラビリンス】だぁ? 聞いた事がねぇギルドだな。『秘密結社』とか言ってやがったけど?」
「おおっと、油断タイ焼きです! お姉ちゃんっ、援護しますので目標の確保を!」
「ラジャ〜♪ でも『タイ焼き』じゃなくて『大敵』だと思うぞっ・・・・☆」
そう言って、シズルは剣を携えて、マコトに突っ込んでいく。
「おおっ、真っ直ぐ突っ込んで来やがった! 良い度胸じゃねぇか! こいよっ、受けて立ってやる! こちとら獣人‹ビースト›だからって、野兎みたいに、無抵抗狩られてやる程お利口さんじゃねぇからな! おいユウキお前はーーーー」
『グワァァァァッ!!』
『キシャァァァッ!!』
“っ! コッコロちゃん、スズメちゃんをお願い! はぁぁ!!”
マコトがブレイズに下がるように言おうとするが、キリギリスメギドとアリメギドがブレイズに迫り来て、ブレイズは水棲剣流水を振るって応戦した。
「じ、状況が混沌としてきましたね・・・・スズメさま、とりあえずこちらへ」
「は、はい!」
コッコロはスズメを連れてこの場から離れようとした。
が、その時、マコトに迫っていたシズルが、キリギリスメギドとアリメギドと交戦するブレイズを見て、ピタッと止まって話しかける。
「あれぇ、鎧が青いけど、もしかしてユウキ‹弟›くん!?」
“あっシズルさん、久しぶり”
キリギリスメギドとアリメギドの攻撃をまるで流れる水のように滑らかな動きで受け流しながら応じる。
「あはは! また変な魔物と戦ってるの? こんな状況だけど、また会えて嬉しいよぉっ♪」
「・・・・あの方ともお知り合いなのですね、主さま? 何と言うか、全世界の女の子全てと面識がありそうな勢いですね?」
何やらコッコロから、冷たい視線をザクザクと突き刺さられる。すると、シズルは機嫌よく声を発する。
「ふふ〜ん♪ 弟くんは『特別な存在』だからね! 『大いなる運命の流れ』の真ん中にいるの! そう言う、『主人公』っぽい子なんだ! だから仕方ないね♪」
何やら意味深な台詞を言うシズルだが、すぐに気を引き締める。
「おっと・・・・弟くん。お姉ちゃんが手助けしようか?」
“フッハッ! 大丈夫! ハァっ!”
『『グガァァァァッ!!』』
水棲剣流水から水の斬撃で二体のメギドを斬りつける。
「アハッ♪ 男の子だね!・・・・さてと、それじゃぁお姉ちゃんはお仕事お仕事♪・ーーーーフッ!」
そう言って、シズルはバッと飛び出して、オットーに向けて剣を振るう。
ーシズルsideー
「っ!」
「っ!?」
が、マコトが大剣でその一撃を防いだ。
「何処見てんだタコっ! テメェの相手はアタシだ!」
「・・・・っ!」
マコトが挑発するが、シズルが余裕の笑みを浮かべて剣を握る手に力を込める。
「っ・・・・うりゃっ!」
が、獣人‹ビースト›の膂力で大剣を振るうが、シズルはそれを避けて、後方にヒラリと大きく跳んで間合いを空けて着地する。
「ふぅ・・・・ゴメンねぇワンちゃん。ワンちゃんも今はちょっと遠慮して欲しいなぁ。遊んであげても良かったけど、また今度ね♪」
淑やかな笑顔で明らかに舐め腐ったような言葉を吐くシズルに、マコトは大剣を構えたまま見据える。
「うおっ!? こいつっ、言動はアホなのに、意外と強ぇじゃん! 面白ぇな、楽しくなってきちゃったよ! 待てコラッ、もっと遊ぼうぜぇえ・・・・☆」
「だ〜か〜ら〜、わんわんと遊ぶのはまた今度ね? ハウスして? しつっこい女の子は、嫌われちゃうぞ? 懐いてくれるのは、ちょっと嬉しいけど〜・・・・☆」
目的忘れてシズルと戦おうとするマコトの闘気を、シズルはにこやかに受け流す。
「私の狙いは〜こっち! とりゃあ、お姉ちゃんキ〜・・・・ック☆」
と、シズルはムイミと睨み合っていたオクトーにキックを繰り出す。
「えっ、ボクっ!? ちょっと待って、一度にそんな何人も相手にできないって! ボクは見ての通り頭脳労働専門〜・・・・うぎゃあ!?」
キックを受けて、ゴロゴロと転がるオクトーにムイミが声を掛ける。
「オクトー!? 大丈夫か〜っ!?」
「あははっ♪ あなた、この男の子と戦ってたんじゃないの? どうして心配するのかなぁ、う~ん?」
シズルは頬に人差し指を当てながら思案すると、思いついたように声を上げる。
「あっ、お姉ちゃんピンときた! さては恋だね・・・・☆」
「な、なっ? 何を言ってるんだっ、何なんだオマエはっ!?」
狼狽するムイミに、シズルは話を続ける。
「あなたなら、【ラビリンス】って言う名前を聞いたら、大体理解できるんじゃない? まぁ、お話はあとでねっ! お姉ちゃんチョップ・・・・☆」
そう言って、シズルはムイミの首筋に手刀を叩きんだ。
ーーーードゴッ!
「のごっ!?」
その威力に、ムイミは地面に沈む。
「ムイミちゃん!? やりたい放題だな〜何故か異様に手際が良い!」
起き上がったオクトーも、シズルの暴挙には目を丸くした。
しかし、シズルはそんなオクトーの視線に構わず、ムイミを肩に担いで、丘の上から弓矢でブレイズをサポートしているリノに向けて声を発した。
「はい。ノウェムを無事に確保! 撤退に入るよ〜リノちゃん援護して!」
「はいは〜い! 女の子を泣かせる意地悪なお兄さんに、教育的指導・・・・☆」
リノはオクトーに向けて矢を射った。
「ちょっ、うわっ!? 待って待って、撃たないで〜! って言うか、ムイミちゃんを横から攫うのは勘弁して〜。その子を回収するのが、ボクの仕事なんだけど?」
「ごめんなさいね、それって私達の任務でもありますので! 目的が同じなら、後は早いもの勝ち! 言われても困りますよ〜ノロマな亀さん♪」
リノが言い終わると同時に、ムイミを担いだシズルが合流した。
「はい到着っ、ただいま〜! おうちに帰ろう、リノちゃん♪」
「了解です、お姉ちゃん・・・・☆」
すると、シズルから妙な魔力の波動を感じると、虚空に向けて声を発している。
「『マスター』! 撤退するので、他の連中が追ってこられないように『オブジェクトを変更』して」
ーブレイズsideー
“はぁぁっ!!”
ブレイズは流れる水のような動きで水を纏った水勢剣流水を振るい、キリギリスメギドとアリメギドの身体を斬りつけた。
『『ぎゃぁぁぁぁ!?』』
“ハァァァァ・・・・ハァっ!!”
水を纏った流水を二体のメギドに向けて水流を放つと、二体のメギドはその勢いで上空に飛ぶ。
“ハァァァァっ!!”
『『ぐはっ!!?』』
更に流水で斬りつけるブレイズはドライバーの『ライオン戦記』を押すと、本が捲れるような動きをした。
[ライオン戦記!]
ーーーーグルルルル・・・・!
すると、舞うように流水を振るうブレイズの前に、青い本が開かれ、そしてーーーー。
“『ライオンワンダー』!!”
その本から青い鋼鉄のライオン、『ライオンセンキ』が飛び出し、更に水の斬撃を飛ばすと、二体のメギドの足元に水の斬撃が弾けて下半身を飲み込む程に水が膨れ、動きを封じると、そこに鋼鉄のライオンセンキが二体のメギドを襲い掛かり噛み砕いた。
『『グアアアアアアアアアアアアアっ!!』』
ーーーーガォオオオオオオオオオオオオオッ!!
二体のメギドが爆散すると、ライオンセンキは雄々しき雄叫びを上げ、爆炎の中から飛び出してきた『ARI KA KIRIGISU』と記された『アルターライドブック』を咥えて、ブレイズに近づくと、ブレイズは『白い本』を手に持つと、『白い本』が開き、『アルターライドブック』は其中に吸い込まれていった。
“『アリかキリギリス』の『アルターライドブック』、改修完了”
と、『白い本』に浮かんだ文字を口にしたその瞬間ーーーー。
ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!
突然地響きが起こり、小さな岩が降ってくる。
“っ!”
ブレイズはすぐにコッコロとスズメの上に落ちてくる岩を斬り捨てていく。
「なっ? うわっ、何!?」
オクトーもこれには驚く。まるでシズルとリノを隠すように、周りの樹木が歪み、地面が隆起したりしたのだから、驚くのは当然だろう。
魔法とも思えない。まるでそうーーーー“世界を組み替えるような神の所業のようであった”。
「ひゃわわっ、立ってられないです! 何ですかこれっ、怖い〜!」
コッコロを片手で抱き寄せ、スズメをもう片方の手で抱き締めるブレイズ。
「・・・・ふあっ? あ、主さま、急に抱き寄せないないで下さいまし!」
「うひぇあ!? ななな何で急に抱き締めるんですか、ユウキさん!」
“スズメちゃんが転びそうだったから”
「あぁ、だから咄嗟に支えてくれたんですね? わ、私は大丈夫ですから! 転んでも怪我しないように受け身とか練習してますし! でも、反射的な動きだったんでしょうけど・・・・えへへ、助けてくれて嬉しかったです」
「あうあう。大丈夫ですから、落ち着きましたから、ハグは勘弁して下さいまし。・・・・うう。すみません主さま、動転してしまいました。けれど、こんなのはあり得ないのであります。地形を変動させるなど、神か悪魔にしか不可能な事です。わたくし達は今まさに、神話に描かれているような奇跡の直中に・・・・」
「おい、ゴチャゴチャ言ってる場合かっ! この辺は足場が脆いっ、崩れるぞ! 早く避難しねぇと、皆まとめてお陀仏だぜっ!?」
“・・・・これだ!”
[ガトライクフォン!]
ブレイズは『白い本』から飛び出した置物を開き、開かれると、色々なボタンがあり、そこにある一つのボタンを押して閉じると、何とその置物が巨大化した。
[ライドガトライカーーーーー!]
すると、金と黒の四輪の乗り物へとなった。
「えぇっ!? 何ですかこれ!?」
「主さまの乗り物でしょうか?」
“うん。ライオンセンキ! マコトちゃんを彼を!”
『グルルルル!』
ブレイズがライドガトライカーに跨り、その前にコッコロを、その後ろにスズメを乗せ、ライオンセンキは背中にマコトとオクトーを乗せて、その場から走り出した。
「うひゃぁぁぁぁ! 速いです〜!!」
“・・・・・・・・”
スズメが目を回すが、ブレイズは既にその姿を眩ませた【ラビリンス】の二人と、ムイミのいた方に一瞬だけ目を向けた。
“(・・・・何が、どうなっているんだろう?)”
ブレイズは首を傾げながらも、その場から走り去っていった。
【ラビリンス】の登場で、ブレイズの活躍の影が薄くなってしまった(泣)。