聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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【自警団‹カォン›】での一時。仕組まれた罠

ーユウキsideー

 

あれから数時間後。

騒動の渦中から避難してきたユウキ達は、マコトによって【自警団‹カォン›】と言う、マコトが所属するギルドの拠点のギルドハウスへと案内され、休息を取った。

 

「みらくるまほりんくるりんぱ〜♪」

 

目の前で、フリフリの可愛いドレスを着て、キツネのような耳と尻尾をした獣人族‹ビースト›の少女が、呪文のような言葉を言って杖を突き出した。

すると、光のベールのようなものが舞い降ると、ユウキ達の身体が光り、傷どころか、衣服の汚れとキズまで直ったのだ。

 

“ぁ・・・・”

 

「「おぉ〜!」」

 

スズメとコッコロが驚嘆の声を漏らした。

 

「ふむ。よぉし! これで大体は元通りに回復しましたやろうか?」

 

“ありがとう、マホさん”

 

その一風変わった言語、獣人族の古代語の一種で話す少女、『マホ』は、マコトの所属する【自警団‹カォン›】のギルドマスター(ギルドのリーダーの意味)である。

ユウキはマホに向かって、改めてお礼を言った。

 

「やん。『マホさん』やのうて、『マホ姫』って呼んでおくれやす。いけずやわぁ、ほんまに。それに、お礼なんてええんよ。怪我してるん放置している方が、気ぃ悪いわぁ」

 

はんなりとした感じでそう返すマホ。『マホ姫』と自称しているが、実際のお姫様ではないのだが、お姫様のような気品に満ちていた。

 

「おぉ、スウって痛みが消えました! ていうか、服まで元通りに・・・・ううん、新品同然になってますね?」

 

「うち、生き物より服の修繕の方が得意なんどす。ついでやさかい、ちゃっちゃと直したんよ。余計なお世話やったら、堪忍しておくれやす・・・・♪」

 

「いえいえ、助かります〜。服がボロボロだと、お嬢様が心配すると思いますし。何から何まで、ありがとうございますっ♪」

 

「や〜お礼を言わはる事はあらへんよ。どうも、マコトはんがご迷惑かけてしもたみたいやし。えろう怖かったんとちゃう? かあいそうにな〜・・・・?」

 

お礼を言うスズメにそう言うと、マホはコッコロの頭を撫でた。

 

「こんなんで、お詫びになれば良ぇんやけど。かあいそ、かあいそ・・・・♪」

 

「あ、頭を撫でないでいただけると。どうも、皆さん・・・・【自警団‹カォン›】には、悪気はなかったようですし。被害も最小限でした、あまり気に病まないでくださいまし」

 

コッコロがそう言うが、マホは首を横に振る。

 

「せやけど〜お仕事の邪魔してもぉたから。その辺も、可能な限り埋め合わせさせておくれやす。今な、大急ぎで馬車の手配をしとるんどす。どうも、馬車は爆発して吹っ飛んでしもたみたいなんよ。一応、御者の人も無事やったようやけど・・・・怪我してはったから、ちゃんとした治療所に運んどいたわ」

 

「そ、そうですか。あれだけの乱戦で、死人が出なかったのは不幸中の幸いでしたよね。あのムイミちゃんだか、ノウェムちゃんだかって子は・・・・結局、【ラビリンス】って人達に誘拐されてしまいましたけど」

 

“・・・・・・・・”

 

スズメの言葉に、ユウキも思案するように考える。確かに誘拐されたが、ユウキにとってシズルとリノは顔見知りだ。彼女達の人となりはそれなりに知っている。ムイミ(ノウェム)に危害を加える事はしないと思った。

そんなユウキの様子を置いて、マホが話をする。

 

「そっちも、勿論追っ手を放っとるんよ。うちら【自警団‹カォン›】が、血眼で追跡しているさかい。せやけど・・・・どうも【ラビリンス】とか言う連中、逃げ隠れすんのが上手みたいやわぁ。犬の獣人‹ビースト›の嗅覚すら誤魔化して、まんまと逃げおおせとる」

 

獣人族‹ビースト›は身体能力だけでなく、五感も人間よりも動物のそれに近い。そんな彼らの追跡を逃れるのは並大抵ではないという事だ。

 

「何や、訳分からん感じやけども・・・・うちらのせいで面倒な事に巻き込んでしもたんどす、できる限り力添えするわぁ。何でも、気軽に言うとおくれやす」

 

“かさねがさねで、ありがとうマホさん”

 

「お心遣い、痛み入ります。個人的には、スズメ様のお仕事を中断させてしまったのが、心苦しいですけど・・・・馬車の護衛も『任務』に含まれていたのに、役目を果たせませんでしたね。不甲斐ないです」

 

コッコロとユウキが、スズメに申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「あっ、大丈夫ですよ〜。あまり、お気になさらず。不幸な事故って感じでしたし、誰のせいでもありませんよね。それにどうも【自警団‹カォン›】の方々が、馬車も手配してくれるみたいですから。また、気を取り直してお屋敷に向けて出発しましょう」

 

「言うても、もう遅い時間やさかい・・・・今から出発すると、夜中に移動する事になりますえ。日が沈んだら魔物も凶暴化して、えろう危ないどすから。今晩は、うちらのギルドハウスに泊まっておくれやす。勿論、宿泊費とかはいりまへん。むしろ、うちらは賠償金とか支払わんとあかん立場どすさけ。運ぼうとしてた荷物の代金だけでも、【自警団‹カォン›】から支払わせておくれやす」

 

「いえいえ。荷物を詰める為の空き箱を運んでいただけですから、あまりお気になさらず。それよりも。私達が全然到着しないから、お嬢様が心配してそうですね〜? 連絡だけ、させてもらえますか? 『通信魔法』、あんまり得意じゃないですけど」

 

「座標計算とか、えろう小難しいもんな〜。うちも、魔法は大味やから苦手どす。うちらと同じ【自警団‹カォン›】の『カスミはん』なら、そう言う細かい魔法が得意なんやけど。今、ちょいと出払ってますんよ」

 

“『カスミちゃん』、何かの依頼でもあったの?”

 

「何やったかな・・・・『シャドウ』がどうとか言う事件の、調査をしてるみたいどすえ」

 

『シャドウ』と言う単語に、ユウキは眉毛を寄せて難しい顔をする。

 

「マコトはんも、今回の騒動の主犯・・・・オクトーはんって人を問い詰めたりして、忙しそうやさかい。諸々済むまで、うちが王子はん達のお相手をすんで♪」

 

と、ソコでコッコロが、マホの言葉に小首を傾げる。

 

「?・・・・『王子はん』?」

 

すると、マホが頬を赤らめて、ユウキに熱い視線を向ける、

 

「その人・・・・うちの、王子はんどす♪」

 

「主さまの事、でしょうか。えぇっと、【自警団‹カォン›】のギルドマスター・・・・マホさま、でしたか? あなたも、主さまとお知り合いなのでございますか?」

 

コッコロの問いに、更に頬を赤くして、キラキラとした視線をユウキに向けるマホ。

 

「はい、はい。その人は運命的に巡り合うた、うちの王子はんどすえ・・・・♪」

 

「ふむ・・・・本当に短い間に、やたらと女の子(それも美少女)とお知り合いになられたのですね・・・・主さまは」

 

何やらコッコロの視線と声が冷たくなっているが、ユウキはソレに気づかず満面の笑みを浮かべて応える。

 

“沢山友達ができて嬉しい”

 

「はあ、左様ですか。下心があって、次から次へと女性に声をかけている訳ではないのですね? それなら、別に構いません。そもそも、わたくしに文句を言う筋合いはございませんし」

 

そう言ってコッコロが取り敢えず納得するのと同時に、ギルドハウスに新たな人物が入ってきた。

 

「ハイタ〜イ、ただいまっ☆ パトロールのついでに、頼まれていた馬車の手配とかをしてきたさ〜♪」

 

「あぁ『カオリはん』、お帰りやす〜。お疲れさんやね、座って休んでおくれやす」

 

天真爛漫な雰囲気をし、茶色の長髪を腰に届くまで伸ばし、口からは小さな八重歯が見え、両手に動物の肉球のような手甲を付け、まるで踊り子のように露出の高い格好と腰に前掛けを巻いた、マコトくらいの抜群のプロポーションと大きな胸元をし、身体は日に焼けた健康美が眩しく、太陽のように明るい笑顔をした犬系の獣人‹ビースト›の少女『カオリ』が、ギルドハウスに戻って来た。

 

「疲れてないから大丈夫さ〜私は今日も元気いっぱいよ〜! あはは〜♪」

 

するとカオリは、ユウキの存在に気付いた。

 

「お〜ユウキがいる! こんな所で何してるば〜遊びに来たなら大歓迎よ〜! あは〜一緒に歌って踊るさ〜♪」

 

そう言いながら、カオリはユウキの手を取って立ち上がらせ、一緒にクルクル回って踊る。その際、日焼けした瑞々しい二つの大きな果実が揺れるのだが、ユウキは邪心のない笑顔でカオリに応じる。

 

“今日も元気だね、カオリちゃん”

 

「うんうん、元気だけが取り柄さ〜! キミはいつも大人しいけど、たまにはテンション上げてはしゃぐべきさ〜?」

 

「(おや? このカオリ・・・・と言う方も、主さまのお知り合いなのですね。『偶然、偶々』と片付けるには、不自然な気も致します。ふむ・・・・アメスさまの託宣の通り、どうやら主さまは『数奇な因果』の中心にいらっしゃるようですね)」

 

流石にコッコロも、ここまでユウキの知り合いの女の子が次々と現れる状況に、『違和感』を感じ始め、カオリもコッコロに向けて小首を傾げる。

 

「ん〜? そっちの子、何だか難しい顔をしてるさ〜? 笑顔の方がカワイイよ〜、笑う門には福来る! もしかして、お腹空いてるの? 私もマコトの代わりにパトロールして、町内をグルっと一周してきたから! たっくさん走ったせいで、凄く腹ペコさ〜♪」

 

そう言うと、カスミはポンッと両手を叩く。

 

「あ! ギルドハウスの厨房を借りて、お菓子でも作る〜? 美味しい、『サーターアンダギー』とかっ♪」

 

「さぁた・・・・?」

 

“カオリちゃんの故郷のお菓子。凄く美味しいよ”

 

前にカオリにご馳走してもらったユウキが説明した。

 

「成る程。考えてみれば、お昼から何も食べておりませんね。食事を振る舞っていただけるのでしたら、大変助かります」

 

「あっ・・・・私、良かったらお料理手伝いますよ〜?」

 

「ううん、お客さんは休んでて欲しいさ〜? 待っててね、たらふくご馳走するさ〜♪」

 

と、ソコでマコトにも連絡をしようと、マホが通信魔法をしようとした時、通信が繋がらず、魔法に失敗したのかとマホは思ったが、どうやら“通信が妨害されている感じ”がするらしい。

マホがカオリに、帰る途中で不審な点が無かった聞くと、ギルドハウスの周りがいつもより静かで空気が重く、動物すらいなかったと言った。

カオリが外に行って調べようと言うが、マホが『おぞましい気配』が近づいていると告げた。

 

“・・・・っ!”

 

「主さま?」

 

「どうしましたか?」

 

ユウキも、突然剣を持ち出し、コッコロとスズメが首を傾げるが、ユウキは二人をギルドハウスの扉近くから離れさせ、物影に隠れるようにした。

 

“・・・・外から、凄まじい闘気が近づいてくる”

 

「「えっ?」」

 

「カオリはん、臨戦態勢になっていておくれやす。皆は、うちらの後ろに下がっててや。・・・・どうも、招かれざる客がお越しのようやわ」

 

マホがそう言うと、カオリもすぐに臨戦態勢を取り、ユウキは剣を抜き、『ブレイブドラゴン』を手に持ち、コッコロとスズメを連れて後ろに下がる。

 

「ど、どうしたんですかっ? 皆、怖い顔をしちゃって・・・・?」

 

「しぃっ・・・・静かにしとおくれやす、どうも非常事態みたいどすえ。戦闘になるかも知れへんから。お客はん達には、避難してもろた方が良ぇかも」

 

狼狽するスズメに、マホが静かにするように言うと、魔法を使った。

 

「ん〜・・・・あかん、『索敵魔法』をしてみたんやけど。どうもギルドハウス、取り囲まれてるみたいどすえ。迂闊に動くと、多分狙い撃ちやわぁ」

 

「!? え、えっ? どどど、どういう事ですかっ?」

 

「まぁ、『敵襲』って事どすえ。うちら【自警団‹カォン›】は、のほほんと平和的な活動をしてんねやけど・・・・。一体、何処の誰さんやろ? 襲撃される覚えは、あらへんけど。・・・・んっ?」

 

ふと、マホとカオリの獣耳がピクピクと動いた。

 

「足音がするさ〜! 堂々と、真正面から来た! よぉし、私が迎撃するさ〜♪」

 

カオリが意気揚々と正面玄関に向かう。が、現れたのは、オクトーに尋問していたマコトだった。

 

「! ちょっ、ちょっと待て! あたしだっ、攻撃すんなよ〜!?」

 

「お〜? マコト、紛らわしいさ〜? 危うく、私の空手の餌食さ〜♪」

 

「あはは・・・・良かった、『敵』さんを迎え撃つ準備は万端って所か。いつもみたいに呑気にしてたら、一網打尽にされちまうぜ〜?」

 

「『敵』、ってのは何処の誰さんどす? うちら、状況が分からへんやけど」

 

マホが聞くと、マコトは難しそうな貌を浮かべる。

 

「ん~・・・・一から十まで説明してる余裕は、なさそうだけどな。兎に角、今回の一件は全面的にあたしのさいだっ! ごめんな! あたしが警察に動いたせいだよ、申し開きをする余地もねぇ! 」

 

“どういう事・・・・?”

 

「よぉ分からんけど、謝らんといて、マコトはん。うちら【自警団‹カォン›】は一蓮托生、一人だけに責任をなすりつけたりはせえもへんよ。マコトはんの責任なら、皆の責任どす。せやから、皆で対処しまひょ。できる限りで良ぇから、事情を教えておくれやす」

 

そう言って、マコトは床に座って頭を下げ、ユウキが問い、マホが頭を上げて説明するように言った。すると、頭を上げたマコトが話し出した。

 

「おう・・・・どうもオクトー先輩よ様子がおかしいからよ、ギッタンギッタンにして問い詰めたんだよ。そしたら、今回の一連の騒ぎの裏が見えてきた。どうも、オクトー先輩は・・・・あのムイミだかノウェムだかって言う、女の子の捕獲が目的だったんだけど。他にも、のっぴきならない事情を抱えてたみたいだな」

 

説明しながら、マコトは神妙な顔となる。

 

「女の子一人捕獲するにしちゃ、大がかりだと思ったんだよ。地雷の魔法陣とか仕掛けては、大人数で襲撃に、得体の知れないメギド‹魔物›まで使ってさ・・・・。その時点で、変だなって気づくべきだったんだけど。あたしみたいな、これまで殆ど繋がりのなかった後輩を頼ってまで、戦力。招集したのも・・・・“全部、誰かが糸を引いてたせいみたいだ”」

 

それを聞いて、全員に緊張が走る。

 

「オクトー先輩も、体良く利用されたって事だな。どうもあのアホンダラ、その『黒幕』には頭が上がらねぇみたいだ。何か『弱味』でも握られてんじゃねぇのかな? かの馬車の襲撃は、あり得ないぐらい軽率で、無茶だったもんな」

 

マコトは煮えくり返る鬱積をぶつけるように床を殴った。

 

「っっ!! 兎も角、物凄くヤバい状況だ! あたしら嵌められたんだよ!!」

 

「『嵌められた』って誰にやの? その『黒幕』言うんは一体ーーーー(ドカァァァァ!!)きゃっ!?」

 

と、マホが聞こうとしたその瞬間、ギルドハウスの壁がブチ破られ、土煙が舞った。

そして、破られた壁の土煙から、人影が一つ、悠然と歩いてきた。

 

「はぁ〜い♪ 呼ばれて飛び出て、Good night☆ 夜分遅くに失礼する。歓迎してくれ、お客様だよ♪」

 

そして現れたのは、成熟した女性の肢体を見せ、胸元を大胆に見せる黒く豪奢で所々に黒いフワフワとした装飾品を付けた派手なドレスに、肩や腕に軽装の鎧を付け、大剣をその手に持ち、金色の髪を後ろでポニーテールにし、金色の瞳をし、薄く化粧をした成人の女性だった。

 

「アハッ☆」

 

【自警団‹カォン›】のギルドハウスの壁をブチ破ったのであろうその女性は、にこやかな笑みを浮かべてウインクをした。

 




作者は【自警団‹カォン›】ではカオリが好きです。
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