人外が差別される世界で、いつの間にか人外になってました。~色々大変なことがありますが俺は元気です   作:kuroe113

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最終回俺は元気です

「少し言いにくいことがあるんだけど。実はね、君を人間に戻せるかもしれないといったのはうそなんだ」

 

 二人で河川敷を歩いていると、白夜が背後にいる俺に深刻そうに事実を口にした。

 

「どういう意味だよ、それ」

 

 しかし、俺は戸惑うばかりだ。

 何せ、それが本当であろうとも嘘であろうとも結果が変わらないからだ。

 何があろうとも俺は人間であることをやめ、この命をささげ混乱に終止符を打っていただろうから。

 

「いやさ、私が君を人外に改造したと言い張られると面倒だったからね。だから、君に私に落ち度がないですよと証言するために嘘をついたんだ」

 なるほど、俺にこれからもうその証言をしてくれというう事か。

「了解」

 とあっさりと口にすれば、

「助かったよ」と白夜が返した。

 

 

「実は私が君を人外に改造したのではと疑われているんだ」

「それは……この国の公務員は優秀なんだな」

 

 だって、それが真実だし。

 しかし、人間に戻る手段がないこの身で、こいつを告発したところで状況が悪くなるだけで、俺には何の得もない。それに、仇を取るためには何でもすると決めたのだ。

 この程度のことで覚悟は揺るがない。

 

 

「あ、いたいた! おーい!!」

 

 妹を助けるためならどんなことでもしてやる。沿う覚悟の言葉を口にしようとしたところで白夜さんは誰かに手を振った。

 

「あ! 白夜お姉ちゃん」

 

 それはフードをかぶった小さな影だ。

 声も幼いことから、小学生、あるいはもっと幼いか……。

 

「一つ言っておくが、誘拐は犯罪だぞ」

「何言ってるんだい?」

 

 いや、そこはかとなく犯罪臭がして。

 

 

「さてと積木君。頑張って来なさい」

 

 手をつないで、しばらく歩いたところで俺たちは公園に行きついた。

 

 優しく白夜さんが積木と呼ばれた少年の背中を押した。

 

「気になっていることがあるんだが、あの子混血だよな」

「ええ! 今回の一件で混血になった子よ。私たちの施設に来るまでに友達に挨拶したいって」

 

 俺はさっき話したナースのことを思い出した。

 

「やめとけ、混血はみんなから怖がられてるんだ。あそこに行ってもつらい思いをするだけだぞ」

 

 とっさに俺は積木君の腕をつかんだ。

 

「大丈夫だよ。お姉さんたちがいい人だったから。だからきっと、ほかのみんなも混血のことを分かってないだけで、ちゃんと話せば怖くないってわかってくれるよ」

 

 

「みんなぁ~!!」

 そこまで言われれば俺には止めることができない。好きなようにさせてやろうと手を離した。

 すると積木君は友達の無事が心底嬉しいのか走りだす。

 

 積木君は身体を隠していたフードを外した。

 そこにある顔は確かに人の顔なのだが、肌がまるで樹皮のようにがさついており、それがこの少年が完全な人間でないことを証明していた。

 

「頑張れ、頼む!」

 自分でも、何に祈っているのか分からない。結果なんてわかりきっているのに、それでも手を合わせずにはいられない。

 

「この化物」

 

 その言葉を聞いた積木君は最初だれに対しての言葉か分からないみたいだった。

 

 そして周囲の子供たちが石を投げた。

 

 

「待って、みゆちゃん今日は……」

 

 それでも、積木君は一人の少女に手を伸ばした。

 きっとその少女は彼にとって……。

 

「来ないで、化物」

 分かっていたが、伸ばした腕は振り払われた。

 

 いつの間にか貸し切りになっていた公園で一人。少年の声が響き渡った。

 

「大丈夫、帰りましょう。私たちの家に」

 

 その少年を、白夜さんが「私たちがいる」と抱きしめた。

 

 その姿はまるで聖母のようで、だからこそ恐ろしい。

 善と悪、それがまったく、矛盾することなくこの少女の中で同居している。

 

 なぁ、夕子。俺はさ人外が差別される世界で、いつの間にか人外になってた。色々大変なことがありますが俺は元気です。

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