ただ一人の魔法使い   作:たまに現れる人

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第四話 「友達は何処に?」

 ヘルメスは昼になるまで魔法作成をして、マクロン達は昼までお酒を飲んでいた。

 

 そして昼になりヘルメスは作業(魔法作成)を止めマクロン達がお酒を飲んでいた部屋に戻ろうとドアノブを掴み扉を開けようとしたが何だか不思議だった。

 

 全く、うるさくないのだ。けしてこの部屋が防音室だからではない、会話が一切聞こえないのだ。

 数分前まではマクロン達の下品な会話が聞こえてきたり、笑い声が聞こえてきたのにそれが一切聞こえないのだ。

 俺は最初あいつら寝たのかな?と思ったがそれなら(マクロン達の)気配がある。

 それが一切無いと言うことは······

 

 あいつら酒の勢いで(第一小屋に)向かったのか?

 

 あいつらの事だ気配が無いということはそうに違いない。

 

 ···そうだと信じたい···

 

 俺の中で少し恐怖があったが思い切って扉を開けてみるとそこには、マクロン達の姿は無く。

 まだ温かい料理と酒の入った樽で作られたジョッキが丸テーブルの上に置いてあった。

 

 

 やっぱりあいつら酒の勢いで(第一小屋に)向かったな。

 

 俺は正直ほっとした、扉を開けるとマクロン達の死体が転がっているという読みが外れたからだ。

 安易な考え方をした俺がバカみたいだわ。

 てか片付けくらい自分達でしろよ。

 

 そう思い丸テーブルの上に置いてあった食器類と料理を手を使い片付けようとしたら···

 

 

 「レビオス・カフス。」 

 

 身に覚えのない人物の声が後ろから聞こえた。

 ヘルメスは声が聞こえた方に素早く体を向けた。

 

 (プリヴェント。)

 

 すると相手の魔法は防がれた。

 

 

 ···え······??今俺のレビオス・カフス防いだ···

 え?どうやって???あいつ何もしてなくない。

 ただ立ってた様に見えたんだけど···

 

 ヘルメスの目の前には黒色のフードを着ている人物が立っていた。

 アザはフードで隠れて見えなかったがひげが生えてることだけは分かった。

 

 「おいフードかぶったヒゲモジャ。こんなんで俺を捕まえようと思ったのか?俺も見くびるなよ。俺は一応実務経験は四年程あるんだ。そんな拘束魔法簡単に防げるわ。いや正確に言ったら四年と三ヶ月だったかな···」

 

 いや、いや、いやいやいやいやいやいや普通防げないからこの魔法!!

 

 この者がこの様な反応をするのもよく分かる。

 本来レビオス・カフスは防げない魔法だ、そもそもこの魔法を防ぐ魔法なんて存在しない。

 

 するとまた···

 

 「ストーンズ。」

 

 身に覚えのない人物の声が聞こえた。今度は右方向から。

 

 大小様々な石がヘルメスに向かって飛んで来る。

 

 するとヘルメスは右手を石が飛んでくる方向に向けた。

 

 はぁ〜。石を飛ばすぐらい誰にでも出来るぞ。

 

 (ストーンズ・ショット。)

 

 するとヘルメス周りの地面から大小様々な石が無数に現れ、無数の石がこちらに飛んでくる方向にぶつけた。

 

 石同士がぶつかると重い衝突音が鳴った。

 そして軽い衝撃波も···

 

 

 え······?何?今の魔法···石が今までのどの(石の)魔法よりも散弾してるんだけど······

 見たことないよ。うん見たことない。

 てかなんであいつ(仲間)はスカしてんだ!

 あとさ···あのガキ杖使った?

 使ってなかったよね。

 ならどうやって魔法出したの?

 ·········???

 ヤバイ···さっぱり分からん。

 

 

 全く、今度は一本アザの眼鏡野郎かよ。

 しかもスーツ姿とは···どっかの神覚者様みたいだな。

 

 

 「そんなに慌てるな、見苦しい。」

 「慌ててないわ!ただ少し混乱していただけだ!」

 

 ···確かにサクソンが混乱するのも分かる。

 私だってあの子供の魔法は初めて見た。

 さてどの様に魔法を放っているのか興味が湧くな。

 

 

 「サクソン二人で挟み撃ちにするぞ。」

 「俺に命令すんな!」

 とか言っているが、指示に従う素直な性格のサクソン。

 

 ヘルメスは何もせず真っ直ぐに立っていた。

 

 

 「レビオス・カフス。」

 「ストーンズ。」

 二人は同時にヘルメスに向けて魔法を放った。

 

 

 無駄なのにな······

 

 ヘルメスは左手をサクソンに向け、右手をライドンに向けた。

 ライドンは一本アザの眼鏡。

 

 (プリヴェント。)(左手)

 (ストーンズ・ショット。)(右手)

 

 

 この時サクソンの魔法は防がれサクソンにはまた驚きがあったが、ライドンの方は散弾した石が一発、腹に命中した。

 

 石が衝突したライドンの体からは血が大量に流れた。

 

 

 ···意識が遠のいて行く。魔法を放ちたいですが···立っているのがやっとで、体が言うことを聞かない。

 

 ···石一つでもなら大丈夫だと思ったのですが······

 

 ライドンは膝から崩れ落ち、前に倒れた。

 だがライドンの意識はまだかすかにあった。

 

 ライドンがやられた······

 

 するとヘルメスはサクソンの方を真顔で首だけを動かして見た。

 

 

 ヒェー!!ヤバイこれはマジでヤバイ、俺なんて拘束魔法しか持ってないただの捨て駒魔法使いだぞ。

 こんな俺がこんな化物に勝てるはずがない。

 

 サクソンの体からは尋常じゃないほどの冷汗が出ている。

 

 どうやって逃げる···逃げ道あそこの扉だけ。

 だがその前にはガキが居る。

 

 あれで気絶するとは思わなかったな〜。

 ここの部屋ちょっと広いけど、そんな思いっきり魔法を使える程じゃないから石は小さくして、威力も弱くしたんだけどね。

 

 「ど····だ?」

 ライドンの掠れた声が聞こえる。

 

 ライドン!生きてたか!

 

 「え?何?」

 思わずヘルメスは聞き返してしまった。

 

 「どうしてだ?」

 「どうしてそんなに強いんだ?お前の実力はあの徴兵集団でも一番と言っていいほどの弱さと聞いていたのに···」

 「そうだ、お前はペットの散歩や護衛の雑用しか出来ない魔法使いだと聞いていたぞ。」

 

 「······バカか···お前ら?」

 「それは俺の意思でそういう仕事にしてもらってるだけさ。」

 

 「それはどう言う···」

 ライドンの掠れた声が聞こえる。

 

 「お前らは知ってるか?黒夜事件は。」

 

 「ああ知ってる。一年前の事件だろ?千人の凶悪な魔法を使いが一夜にして壊滅した事件。千人の死体は森で見つかりその死体が見つかった場所は今まで観測した最大の魔力···イノセント・ゼロの魔力を大きく超えていた。そしてこの事件には生存者はいないと思われたが、一人だけ生存者が存在していた。」

 

 「おっと、説明はここまででお願いしまーす。よく知ってるね。じゃあ単刀直入に二人に聞くけどさ。」

 「お前達の目の前にいる魔法使いが、その千人の魔法使いを殺した魔法使いだったら······どうする?」

 

 これはマジなのか?いやでもまだ子供だぞ、そんな魔力無いはずだ。

 

 ライドンはサクソンに何かを伝えようと声を出そうと必死だったが声は出なかった。

 

 サクソン···私達は飛んだ化物の捨て駒にされたようですよ。何故ならこの魔法使い···手から魔法を放っていました。

 そしてあの時の事件の生存者もこう言っていました。

 

 俺達を襲った魔法使いは、青髪で仮面をかぶっていてる。

 そして···杖からではなく手から魔法を放っていたと。

 

 

 「言っておくがお前らを生かしているのは、俺の友達の居場所を知っていそうだから。だと言ってもいいかな。」

 

 ···こっちの眼鏡は話せそうにはないし。

 聞くとしたらこっちのフードか···

 

 「おいフード···」

 「はい!」

 「俺の友達の居場所知ってるか?」

 「はい!貴方様の友達なら第一小屋に居ると報告を受けています。」

 「そうか、情報ありがとよ。じゃあな。」

 ヘルメスはそう言い、扉の方向に歩いた。

 

 あれ?俺達を殺さない。

 

 「あの···」

 「ん?」

 「なんで俺を殺さないんですか?」

 「···フッ···お前は俺に情報をくれた。だから生かした。それからこの眼鏡はもう時期死ぬ。だがすぐに病院に行けば助かるかもな。」

 

 ヘルメスは扉の前で立ち止まった。

 「あと一つ···もうこんな仕事は辞めろよ。」

 そうヘルメスは言い傭兵集団の建物から出て行った。

 

 

 俺···この仕事辞めよう。

 

 

 

 外は猛吹雪だった。

 

 俺の友達を攫うとはいい度胸だ······さて、どうしてくれようか。

 するとヘルメスの周りの温度が四、五度下がった。

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