ただ一人の魔法使い   作:たまに現れる人

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第六話 「離れは突然に」

 あいつ···サモンズとか使えたんだ。

 てっきりセコンズだけしか使えないと思ってたけど。

 とヘルメスはのんきに思っていますが、絶対今そんな雰囲気じゃないです。

 

 

 「ランドスライド。」

 

 エブラの前には土砂の壁ができた。

 そしてそれがヘルメスへ勢いよく流れた。

 

 

 ···おいおいマジかよ。

 とんでもねえ土砂がこっち流れてきてんだけどー!!

 

 やっぱサモンズはどの種類の魔法でも凄いね。

 

 だけど······

 

 ヘルメスは左手を流れてくる土砂に向けた。

 

 (フリーズ。)

 

 すると皆びっくりしただろう、なんとあれほど大量に流れている土砂を凍らしたのだから。

 

 

 それを見た各方の反応。

 

 これはマクロン。

 あいつ、昔から物を凍らせるのは得意だったって言ってたけど···普通サモンズ級の魔法凍らせれる?

 怖いんだけど、マジ怖いんだけど。

 

 これはアンダー。

 マジ···?

 以上。

 

 これはサドン。

 サドンは微笑んでいた。

 

 

 俺の魔法が凍った······

 エブラは微笑んだ。

 

 エブラは興奮が抑えきれなかった。

 

 このような感情は久しぶりだ。

 面白い···面白いぞ。

 

 上様以外にもこのような魔法使いが居るとは···世間は広いと実感させてくれる。

 

 「十割だ···」

 

 今十割って言った?

 言ったならやっと本気かよ。さてどんなものが見れるかな?

 

 「さあ来いよ、筋肉野郎。」

 

 「ランドスライド!!」

 

 今さっきの土砂よりも多く土砂がヘルメスに向かって流れた。

 

 ならこっちは···

 

 ヘルメスは小さな石を拾って前に投げた。

 そして投げた石に左手を向けた。

 

 石なんて投げて何をするつもりだ。

 

 

 最大出力···

 (グラビオル!!)

 

 

 すると小さな石は勢いよく地面に叩きつけられた。

 

 「ある人は言いました。」

 「土砂崩れが襲ってくるなら飲めばいい。」

 「またある人は言いました。」

 「土砂崩れが起きたら土砂を入れる容器を作ればいい。」

 

 こいつまさか···!!

 

 重力によって勢いよく地面に叩きつけられた石は直径十メートルの円で縦に数百メートル程の空洞を作るほど威力だった。

 

 だがそのでかさでは一気に土砂は流れないぞ···からなずお前(ヘルメス)に(土砂が)衝突する。

 

 

 「そしてまたある人は言いました。」

 「土砂がこちらに激突する程の勢いなら、その前に壁を作ればいい。」

 

 (タートルウォール。)

 

 するとヘルメスの前に透明がかった青色の壁が現れた。

 

 そして案の定土砂はヘルメスが作った穴には一度に一気に入り切らず壁に激突した。

 そして土砂が逆流しようとした時、エブラの前に透明がかった青色の壁が現れた。

 

 そして少しずつエブラの前にある壁はヘルメスの方向に移動させ、なんとか、土砂を全て穴に収納した。

 

 

 「······ワハハハハハハ!!まさかサモンズまで防がれるとは···認めたくないが俺の完敗だ。」

 「だが···ここを通りたければ俺を殺してから行け。」

 

 殺意は無い···最後は強者に殺されたい。それがお前の望みか···

 

 するとヘルメスはエブラに左手を向けた。

 

 なら望どうり···

 

 (トランスファー。)

 

 ヘルメスが呪文を唱えるとエブラは消えた。

 

 と言いたいが、俺は殺意の無い奴を殺すのはどうも性に合わなくてね。

 だから世界の何処かに飛ばさせてもらった。

 

 

 

 「エブラさんが殺られた···」

 アンダーは信じられない事を目撃した。

 

 そして他の従者達と召使いは酷く動揺していた。

 

 

 そして今マクロンが思っている事···

 

 あいつ(ヘルメス)···こわ···

 

 

 「だったら次は俺だ。」

 サドン従者、アンキロ・バンドがそう言った。

 

 ガタイは良く、ひげが生えている。

 そして黒色のスーツを着ている。

 アザは二本。

 

 「止めておけ、エブラが負けたのだ。お前が行ったとしても負ける。」

 「ですがサドン様、モタモタしていては侵入者がこちらまで来てしまいます。早急に対処せねば。」

 「黙れ。」

 サドンがそう言うと部屋の空気が一気に変わった。

 

 「あの者は私でなければ倒せん。今私はとても機嫌がいい···アンキロ···次に余計な事をしたら胸は無いと思え。」

 

 アンキロには想像も絶するプレッシャー(重圧)がかかった。

 そのせいか小刻みに震えている。

 

 

 すると物凄い勢いで両扉の片方がサドンの顔スレスレに飛んで来た。

 

 「すんませーん。押し戸か引き戸か分からなかったもんで。」

 その声の主はヘルメスだった。

 

 え?あの扉見た感じ。鉄製で、でかさ五メートルぐらいあるけど···普通あんなに吹き飛ぶ?ヘルメスって意外に力強い?

 マクロンはそう思った。

 

 

 「返しに来てもらったぜ。友達とリーダーをよ。」

 

 「ヘルメス!!お前はこんな所に来たら駄目だ!早く帰れ!」

 「マクロンの言うとうりだ俺達の事は見捨てろ!!」

 「そうのな。お前は生きるのな!」

 三人はヘルメスを帰らせようと必死だった。

 

 「すまねえな、俺は···」

 そうヘルメスが何か言おうとした瞬間ヘルメスの感情は荒ぶる事になる。

 

 

 「うるさい。」

 サドンはそう言うと三人の首だけ空中に飛ばした。

 

 「は······?」

 

 「邪魔だったからな、殺させてもらった。」

 

 ヘルメスは黙った。

 

 ヘルメスは黙ったままサドンに向かって歩いた。

 

 周りの従者と召使い達の笑い声が聞こえる。

 

 

 「どうした···そんなに黙って、魔力切れか?それとも···」

 サドンは部屋の上に魔法で吊るされていたアルザンをヘルメスが見れるように下に下ろした。

 

 「これのを探していたのか?」

 

 アルザンは微かだったが意識はあった。

 

 ヘルメスをアルザンを見ると今まで以上に静かになった。

 

 「なら話でもしないか?」

 「いいぞ、だがその前に···」

 ヘルメスは今まで一度も聞いたこともないような低い声でそう言うと周りにいた従者と召使い達の首を空中に飛ばした。

 

 「なかなかやるな。」

 「お互い様だろ。」

 

 俺よ、今は戦闘中だぞ、怒るな感情を抑えろ。

 リーダーにも戦闘中は怒りを抑えろと言われただろ。

 

 「お前は今怒りという感情と戦っているだろう。すまない。私にとってはいいことなんだ。お前が怒れば力が増す。そうなれば私を満たす者として完成する。」

 

 正気か?こいつ···

 中二病にも程があるぞ。

 

 

 「ごちゃごちゃごちゃごちゃうるせぇ。俺はお前に用はねえ。分かったらさっさと父さん(義父)を返せ。」

 

 ヘルメスは怒りを抑え込んでいるのだろう。

 体が小刻みに震え、左足がついている地面がじわじわと凍っている。

 そしてそれがじわじわと広がっている。

 

 

 「なら私を殺せ。」

 

 「やめろヘルメス···もうこれ以上被害者を出すな。俺は大丈夫だから、お前はここから逃げろ。」

 アルザンは遠のいて行く意識の中でヘルメスに言った。

 

 「まだ生きていたのか。」

 

 まさかヘルメスが助けに来てくれるなんて思いもしなかった。

 お願いだからここから逃げてくれ、お前はこんな所で死んでいい魔法使いじゃない。

 

 「父さん···すまない。」

 俺はあの時から決めてたんだどんな事があっても父さんを守るって。

 

 

 

 ヘルメスの回想シーン。

 

 俺は一歳の時、父さんに動物を殺して生で食べていたところを拾われた。

 その前は何してたって?

 それは聞かないほうがいいぞ。

 

 それから俺は父さんに良くしてもらった。

 風呂には入らせてくれたし。ご飯もいつも俺は人···森サソリの肉を生で食べていたのに父さんがくれたご飯は温かいスープだった。

 具材はあまり入っていなかった。だけど当時の俺には今まで食べてきたどの料理よりも一番と言っていいほどの美味しかった。

 それから俺はその人を本当の父さんと思った。

 そして父さんはほんと優しくてな、俺が一人暮らしするって言ったらいいよって言ってくれたし。

 あ、あと父さんは俺にこう言ったんだ。

 

 「ヘルメス···お前は強い、だから今から言う事覚えておけ、その力を人を殺すものではなく人を助ける為に使え。」

 そう言って俺の頭を撫でてくれた。

 そんな事があって、俺はこの力を父さんを守る為に使おうって誓ったんだ。

 

 ほんと色々良くしてくれたよ···なんでだろな自分の息子じゃないのに。

 

 

 

 「父さん一体どうしたんだ?父さんがこんな奴に捕まると到底思えないけど···」

 

 「ハハハハハ、少しドジをしてしまってな。」

 アルザンは遠のいて行く意識の中でなんとか喋ることが出来た。

 

 「そういえばヘルメスよ、身長伸びたか。」

 「いや、今聞く?」

 「···まあ今年六センチ伸びた。」

 「そうか···やっぱり成長するのだな。」

 「やっぱりって何だよ。やっぱりって。」

 

 

  怒りの感情が弱くなっている。

 このままでは私を満たす者では無くなってしまう。

 奴の怒りの感情を増やすためには···

 

 

 「それから···」

 次の瞬間ヘルメスは目を疑いたくなるような事を見ることになる。

 

 「父さん······」

 

 なんとアルザンの心臓部が吹き飛んだのだ。

 

 アルザンの胸からは大量の血が滝のように流れている。

 

 「ヘルメス···」

 

 何やってんだ俺は···子(養子)にみっともない姿を見せるなんて。

 たが、あの時から変わらないな。俺が危ない時いつも助けて。

 そしていつも「ほんと危機感の無い父さんを持つと困る」って言ってたな。

 

 ······あの子はなんで俺の子じゃないのに自分の事をこんなに良くしてくれると思っているのだろう。

 

 そう思っているのなら伝えておかなければならない。

 

 「ヘルメスよ···最後に一つ言っておく···お前は俺の実の息子じゃないのになんでこんなに良くしてもらってるだろうと思っているだろう。」

 「それはな···俺の子だからだ。」

 「たとえ血が繋がっていないとしてもお前は俺の子だ。」

 

 ヘルメスは黙っていた。

 

 もう意識が···

 アルザンの視界がどんどん暗くなっていく。 

 

 お迎えが来たか······ほんとこの年まで生きることが出来て、おまけに自慢の子も出来て···

 

 ほんと······幸せな死に方だ。

 

 そしてアルザンは息を引き取った。

 

 

 「······友達は死ぬわ父さんは死ぬわで···ほんと散々な日だな。」

 「······そしてその元凶を作り出したお前は···地獄に落ちればいい。」

 ヘルメスの声は低かった。

 

 

 やっとやる気になったか。

 ならば、存分に楽しませてもらおう。

 

 サドンは腰掛けていた豪華な椅子から立ち上がり、杖をヘルメスに向けた。

 

 「掛かってこいよ。フード中二野郎。」

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