毎日投稿ギリギリセーフ!
どこまで維持できるだろうか。
でもオリジナルの方が筆の進みが速いの……。
女神様「お母様よ」 ……お母様と夢の対面(語弊)を果たし、目覚めた私は身体を起こした。
辺りを見渡せばかなり広い部屋の様だった。
よくよく見ると用意されている家具や調度品も見るからに高級そうなものが取り揃えられている。私が今寝ていたベッドも3歳の子供が使うにしてはかなり大きめのものが使われていた。
……それにしてもこのベッドの寝心地は良い。最高だ。 前世でもこんなベッドで寝たことがない。私の前世の寝具は薄っぺらい煎餅布団だった。思わずベッドの上ではしゃいでしまう。この光景だけを見れば年相応なのではないか?
……と、そんな事をしているとノック音が聞こえた。
「──ルクス様、お目覚めでいらっしゃいますか?」
扉から聞こえてくるのは穏やかな老人の声。声の高さから男性だろうと推測出来る。 一先ず「どうぞ」と声を掛け、入室を促す。
扉を開けて入ってきたのは案の定男性老人──お爺さんだった。ただし、背筋がピンとしているその立ち振る舞いは老いを感じさせなかった。
着ている服──前世では法衣とか僧衣などと呼ばれていそうなものを着ていて、その出立ちから地位の高さを感じさせた。
「失礼します。 女神様より今日意識がお戻りになるとお聞きしておりました。 おっと、申し遅れました。私はこのキプロス神殿で神官長を任されているスカラップと申します。以後お見知り置きを」
「初めましてスカラップ神官長様。 えー、俺……じゃなかった、私はルクス・アフロディアです」
挨拶はされたら返さねばならない。社会人としての常識だと教わったので、それに倣って挨拶を返したのだが……スカラップ神官長は驚いた様な顔をして固まってしまっている。一体どうしたと言うんだろう?
「ル、ルクス様、私めに敬う様な言葉を使ってはなりません!なりませんぞ! 私めのことはどうぞ、スカラップと呼び捨ててもらって構いません!」
「え? それはなんで……」
「ルクス様は女神様の御子息──神の子で御座います。
どうやらあの夢は夢でなく現実だったらしい。 そうか……私の母は本当に
ん?となると、私の父親は誰になるんだろうか?
「スカラップさ……スカラップは私の父が誰か知っていますか──知っているか?」
丁寧な言葉遣いをしようとするとスカラップが「いけません」とばかりに鋭い視線をぶつけてくる。端的に言って怖い。
「いいえ、ルクス様に御父上はおりませぬ。 女神様曰く、人の魂をその身に宿し、産みだした掌中の珠だと神託で言われておりましたね」
あー、つまり女神様は前世の俺を子種として扱い、私を産んだってことになるのか……。 そうなると、人と神両方の血を引いていると言ってもおかしくはない訳か。
まあ、神様だしどんな不可思議なことがあっても神様だからの一言で片付いてしまいそうでもあるのだけれど。
「あの日、女神様から神託が下り、『我が子を其方等に託す。 来たる日が来るまで我が子を見事育て上げてみせよ』とお言葉を貰い、今日新たな神託をいただくまで御身の世話をさせていただいておりました」
なるほど。段々話が見えてきた。
確か、転生させないと魂が霧散してしまう、と言ったことを
しかし……仮にも自分で産んだ子供を他人に育てさせるのは如何なものか。これは育児放棄というやつで「違います。私はルクスを愛しています」 ──前言撤回、育児放棄じゃないみたいだ。
……わざわざモノローグに対して、こうも食い気味に否定してくるということは何かしらの事情があるんだろう。こうして自分の待遇を見ると丁寧に育てられたことは分かる。
それに生活のサポートをするとも言っていたし、なによりも対峙したときに感じたあの親しみが親愛なら……前世では得られなかったものだから素直に嬉しいと思える。
ただひとつ残念に思うことと言えば……親子で暮らすことが叶わなかったということか。 まあ、現状前世に比べれば遥かに恵まれている。あまり欲をかくのは良くないな。
「さて、ルクス様。 これより女神様の神託に従い、ルクス様の教育を始めさせていただきます……が、その前に御身の世話を務める者たちを紹介いたします」
スカラップの合図で私の部屋に10人の男女が入室した。
若者から老人まで幅広い年齢の男女が各々5人ずつおり、誰も彼もがスカラップと同じような服を着ていることから全員神官──聖職者であることが分かる。
加えて言うと、全員容姿が整っている。
「この者たちは私と同じく女神様から直接神託を受け、ルクス様の世話を命じられた者たちです。 何なりとお使いください」
全員が深々と頭を下げた礼をした。一糸乱れぬ礼は思わず「おぉ…」と声を出してしまうほど見事なものだった。
「そ、そうですか……じゃなかった、そうか。 ではこれからよろしく頼む……」
疲れる……精神的に。 前世で下っ端もいいとこだった人間がいきなり上位者としての立ち振る舞いをしろって言われてもなぁ……。
いや、でも私は
「では、まずはお召し物から変えさせていただきます。 他の者は儀式の準備を」
スカラップが手を叩くと二人の女性──聖職者だからシスターと呼ぶべきなのか?──が再び一礼をした。
「初にお目にかかりますルクス様。神官長補佐を務めていますメディと申します。 こちらは……先日神官になったばかりのアネモネでございます」
「ア、アネモネです! よろしくお願いします!」
少し年齢を感じさせながらも仕事が出来るベテランの印象が強いメディと、初々しいという言葉が似合う神官になったばかりのアネモネ。 ある意味でいい組み合わせなんじゃないか?
メディからアネモネへの視線が厳しいのは……きっと色々な事情があるのだろう。
「メディ、アネモネ、よろしく頼むよ」
これぐらいの言葉遣いなら……うん、スカラップの視線も問題なさそうだ。多少柔らかい方が私としてもやりやすいしな。
「では、隣の衣装室へご案内します。 こちらへ」
「私は外でお待ちしております。 ルクス様、また後ほど」
ここで私たちとスカラップ神官長と別れた。
外で待つと言っていたが、部屋の外で待っているのか。それとも先に儀式の準備に向かったんだろうか?
……そもそも儀式って何をするんだ?まさか私も参加しないといけないのか? 正直勘弁して欲しい。儀式における作法なんて私は何も知らないんだぞ。
そんな事を考えながらも、私は衣装部屋へと移動して寝巻きから着替える。
着替える、のだが………。
「な、なあ、二人とも。 私は別に一人で着替えられ──」
「申し訳ありませんルクス様。 神人であらせられる貴方様にこの様な些事をさせるわけにはいきませんので……」
そういうものなのだろうか?
「ルクス様、失礼しますね。 あら、かわいい……あだぁっ!?」
「不敬ですよアネモネッ!! ルクス様は神人なのですよ!?身の程を弁えなさい!」
「す、すいませ〜ん」
アネモネが私の下着を脱がせた時に見た私のモノを見てそんな感想を残した。そして、メディによる制裁を受けている。
私も思わず自分のモノを見つめてしまう。 うん、年相応のサイズだ。可愛いと言われても仕方ない。
それよりも、今世も男であることに少し安心しているのは私だけだろうか?前世と変わらないものがあると思うとホッとするんだ。
もしかすると他の転生者は異性に転生したりしてるんだろうか?そんなことが気になってしまう。そうだったら性別のギャップに苦しめられたりするのかな、なんて考えてしまう。
……と、考えているとメディにめちゃくちゃ説教されているアネモネ。なお、私は素っ裸で放置だ。うん、涼しい。
私としては、正直そこまで気にしていない。学校に通っていた頃、廊下でズボンと下着をいきなり下ろされ、みんなの晒し者になった時に比べたら可愛いものだ。
とはいえ、女性2人の前でこのまま素っ裸なのはいただけない。
「あ、あの、メディ? 私は気にしていない──いや、此度の件は不問とする。 だから、その、早く服を着せてもらってもいいだろうか?」
「──はっ!? た、大変申し訳ありませんルクス様!直ちに!!」
メディが顔を青くしてすぐさま服を持ってくる。アネモネもしゅんとした顔をして「すいませんでした…」と言いながら新しい下着を用意し、履かせてくれた。
そうして十数分かけて着付けが行われ、無事終わりを迎えた。
「ご覧くださいルクス様! とてもお似合いですよ」
そう言ってメディは大きな姿見を見る様に促してきた。
姿見──鏡で転生した自分の姿を見るのは初めてだ。
それと同時に気になることがある。私の能力『魅了』についてだ。
『魅了』は相手の目を見て発動する能力だと言っていた。なので、目覚めてからなるべく誰とも目を合わせない様にしていた。
だが、鏡越しに目が合った場合はどうなのか。もしもそれで魅了してしまうのなら私は人と一生目を合わせて話すことが出来ないかもしれない。
どうか何も起こりません様に──と、願いながら姿見へと視線を向ける。
──そこに写ったのは圧倒的な美、ではなく未完成の美だ。
肩ほどまで伸びた夜闇でも光り輝くような金髪に、
ただ、瞳の色までは
「これが……私か」
「はい! 服の方はルクス様のために最高級のシルクで作られたものをご用意しました。 サイズに関しては
衣服に目をやると、白を基調とした金糸で装飾が施された服を着ていた。最高級と言われていただけあって、肌触りも良く着心地が良い。
それよりも魔法か。今更だが、この世界は私の知る前世の世界の常識とは大分異なるようだ。 まあ既に死んだ人間を転生させたり、能力を与えられる女神様といい、既に私の常識が通じてなどいないのだが。
……おっと、いい加減確認しなければならない。私の『魅了』は自動なのか、任意なのかを。
「……アネモネ、こっちに来てもらってもいいか?」
「は、はい!」
アネモネを正面に。 恐る恐る目を合わせる。
もしアネモネを魅了してしまった場合は……どうなるのだろう?
「あ、あの、ルクス様? 一体何を──」
「すまない、アネモネ。 少し試させてくれ──」
ええい!ままよ! どうか自動発動ではないようにと願いながら、私は遂にアネモネと目を合わせた。
目を合わせてから2……3……4……5秒。 私もアネモネも何か変わった様子は見られない。
「アネモネよ。何か変わったところはないか?」
「え? いえ、特には……」
「……そうか。それならよかった」
ふぅ、と思わず安堵の息を吐いてしまった。 だが、これで私の『魅了』は自動でないことが分かった。これは大きな収穫だ。
誰とも視線を合わせられないなどという事にならずに済んだ。
「ルクス様、申し訳ありませんがそろそろお時間です。 大広間へとご案内させていただきます」
「ん? もしかしてだが、儀式には私も参加しないといけないのか?」
「当然でございます! ルクス様という神を我らが神殿に迎え入れるのですから!」
一難去ってまた一難。 私は今度はやったことも無い儀式に参加することになってしまった……。
現状、ルクスの『魅了』がアネモネに効かないのには当然理由があります。
具体的に言えば3つほど。どれもルクスと女神様が関わっています。
後、余談ですが神官たちが着ている服は調べた限りだと祭服と呼ぶのが正しいみたいです。