Q・ウルトラマン 吸血宇宙人現る!   作:ノザ鬼

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その4

** 激昂 **

 

 一頻り…。

 

 そんな言葉がピッタリ当てはまる間、苦しみの小躍りは続いた。

 

 そして…。

 

 五月蝿いから、

「フン…。」

 怒りへと、

「ガァァァァァ!」

 感情が変わる。

 

 同時に、

『ピーー。』

 青白い顔面が、

『ーーー。』 

 真っ赤に煽(おこ)り、

『ーーーッ!』

 頭から湯気が出す。

 

 比喩であるのは、言わずもがなであるが。

 

 

〔許さない!〕

 そんな気迫が、

『ズシン!』

 足に、

『ズシン!』

 込められシンの乗るビートル号へと、

『ズシン!』

 踏み降ろされた。

 

 

 天より、

『ズドン!』

 次々と、

『ズドン!』

 打ち下ろされる鉄鎚の如き、

『ズドン!』

 脚を華麗に、

「はっ!」

 交わす手綱捌きのハヤタ。

 

 

 それが、さらにバンパイヤーセージンの怒りの燃料を焚べる。

 

 今までの踏み降ろしは、どちらかと言えば虐殺を楽しんでいる…。

 

 自らの力を誇示する行為だった…。

 

 が!

 

 足を止め、

『スー…。』

 深く周囲の粒子と共に、

『ーーーー。』

 吸い込み、

『グッ…。』

 溜める。

 

 

 一瞬の間に、怒りを練り込んだ。

 

 吐き出す、

『ボッ!』

 塊の火球。

 

 

 それは、ハヤタの乗るビートル号へと、

『ボボボ…。』

 大気を焼きながら一直線に向う。

 

 

 振り向きもせず、

「はっ!」

 打つ手綱は、

『バシ!』

 ビートル号を加速させる。

 

 

 が!

 

 

 燃える光が、

『ピカッ!』

 ハヤタとビートル号を、

『ボシュ!』

 大地と共に焼き尽くした。

 

 

 同じ、

『ドン!』

 小躍りでも、

『ドンドン!』

 今度は喜びの舞である。

 

 そして…。

 

 真っ黒に燃え尽きた大地を、

『ニター。』

 ほくそ笑みながら覗き込む。

 

 

 その時!

 

 

 夜の闇を斬り裂く、

『カッ!!!』

 閃光が大地より立ち上がる。

 

 

 閃光の光がアッパーカットに変わり、

『バコーン!!!』

 バンパイヤーセージンの顎を直撃する。

 

 そのまま、

『ぐるん。』

 後ろ向きに浮き上がり、

『ドス…。』

 尻から地面に、

『ーーーン!』

 叩きつけられる。

 

 理由も解らず仰向けになったバンパイヤーセージン。

 

 

 

 伸ばした人差し指に、

「あ…。」

 お約束の台詞が、

「あれは!?」

 イデの口から出た。

 

 

 呆気に取られたアラシの、

「は…。」

 半開きの口からも、

「はぁ?」

 同じく溢れる台詞。

 

 

 その中で、

「神…。」

 軽く振った首は、

「いや…。」

 自らの言葉を否定し、

「光の巨人…。」

 正しく判断するキャップ。

 

 

 他のカトク隊のメンバーと同じく、

「光の巨人…。」

 キャップを見詰め復唱する。

 

 言われれば確かにそうだ…。

 

 と、自らの思考が追い付いて来るのを感じるイデ。

 

 眼の前に聳(そび)え立つのは、神の如き神々しさを持ってはいる…。

 

 が、もっと身近な存在の様な優しさを持っていた。

 

 そんな巨人が光と共に…、いや…。

 

 光の中から現れたのである。

 

 故に、皆は光の巨人と認識した。

 

 

 未知とは、恐怖の存在である。

 

 知らず知らずに握りしめた拳の中にじわりと湿り気を感じていたアラシ。

 

 戦いのプロとして、突如現れた謎の存在に無意識が戦闘態勢を取らせていた。

 

 そして…。

 

 答えの無い質問を、

「敵…。」

 誰に問うとでもなく、

「ですかね…?」

 口にしていた。

 

 

 それに対し、

「少なくとも…。」

 ゆっくりと、

「バンパイヤーセージンとは…。」

 アラシに向き、

「仲間ではなさそうだ。」

 説得力のある仮説で答えた。

 

 

 納得し、

『コクリ…。』

 顎で返事したアラシ。

 

 

 視線を光の巨人から、

「確かに…。」

 バンパイヤーセージンに移しながら、

「仲間ではなさそうですね。」

 状況を言葉にしたイデ。

 

 

 カトク隊の皆は、ハヤタとビートル号がバンパイヤーセージンの火球に焼かれた事を完全に忘れていた。

 

 それほどの出来事であったので、皆を攻める事は、焼かれたハヤタ本人にも出来ないだろう。

 

 

 

 

** 光ノ巨人 **

 

 

 お約束ではあるが、少し時間を戻そう。

 

 あ、あと…。

 

 これからの事は、これを読んでいるアナタだけの胸の内に秘めていて欲しい。

 

 その事を切に願う。

 

 

 では…。

 

 

 バンパイヤーセージンが、怒りと共に吐き出した火球。

 

 それは、大気を焼きながら、

『ゴゴゴゴゴッ!』

 ハヤタとビートル号へと迫る。

 

 その距離に比例して、

『ジリジリ…。』

 皮膚を焦がす。

 

 

 鞭を打つ手に、

「はっ!」

 知らず知らずに力が入りる。

 

 それに呼応し、ビートル号の速度も増す。

 

 

 が!

 

 

 火球は、

『ボボボッ!』

 一人と一頭との距離を、

『ゴゴゴッ!』

 詰めた。

 

 

 手綱から右手を離し、

『スッ…。』

 素早く懐に差し込むと、

『サッ…。』

 何かを握り引き抜いた。

 

 それは、我々の知る円筒形の小型のライトの様で、鈍い銀色を放つモノだった。

 

 そして…。

 

 慣れた動作手順で、天に掲げ、

『シュッ…。』

 横に付いた突起を、

『カチッ!』

 一気に押し込む。

 

 間髪入れず、

『カッッッッッ!』

 天に向けた棒状の最上端から放たれる光。

 

 正しく表現するなら、爆光と呼べる程の光量である。

 

 それは、使用したハヤタ本人とビートル号を包み込み全てを光に変えた。

 

 

 

 赤。

 

 そう呼ばれる色で世界は染められていた。

 

 フラッシュ!

 

『シュォォォォォォ!』

 

 そこに、音と共に光が点滅した。

 

 赤い世界の中心に、現れた点…。

 

 また、音とフラッシュ。

 

『シュォォォォォォ!』

 

 大きくなった点は、右腕を天に掲げた人の様な姿だと判る。

 

 三度、音とフラッシュ!

 

『シュォォォォォォ!』

 

 それは、さらに大きくなり人ではなく、あの光の巨人だった。

 

 四度、音とフラッシュ!

 

『シュォォォォォォ!』

 

 光の巨人は、赤い世界いっぱいに大きくなった。

 

 それは、今にも赤い世界を飛び出しそうな勢いである。

 

 そして…。

 

 ついに、赤い世界を飛びだし我々の世界へと出現する。

 

 その瞬間が、アッパーカットとなりバンパイヤーセージンをひっくり返したのである。

 

 

 

 掲げた右腕をゆっくりと降ろし、

『タッ!』

 バックステップ。

 

 

 着地の衝撃が、

『ズッ!』

 波となり、

『ドォ!』

 カトク隊の皆を、

『ン!!』

 地面ごと震る。

 

 

 光の巨人の膝が、

『スー…。』

 その巨体への衝撃を吸収させ、

『ーッ。』

 両腕を軽く曲げ、指先まで前に伸す、

「シュワッチ!」

 戦闘態勢を取らせた。

 

 

 その姿はイデに、

『!?』

 違和感を感じさせる。

 

 無意識に、

「キャップ…。」

 その事を、

「あの…。」

 口にしていた。

 

 

 光の巨人から目を離さずに、

「何だイデ…。」

 声だけで反応する。

 

 

 光の巨人を観察しながら、

「あの構え…。」

 浮かんだ疑問を、

「私が学んだ格闘術とは違うのですが…。」

 口にした。

 

 

 増す眼光が、

「…。」

 光の巨人の構えを、

「おそらくだが…。」

 分析すると、

「あれは、対人ではなく…。」

 自分なりの答えを、

「対怪獣用の戦闘態勢だろう…。」

 返した。

 

 

 的確な分析が、

「確かに…。」

 納得させると、

「…。」

 イデの口を噤ませた。

 

 

 イデが気になった光の巨人の構え…。

 

 膝を軽く曲げ素早く動ける体制に、こちらも軽く曲げた両腕を指先まで前に突き出し敵の動きに対応している。

 

 ここまでは格闘術としての基本的な構えである。

 

 加え、顎を引く。

 

 これが、知ってる格闘術であった。

 

 これに対して、光の巨人は顎を突き出す構えであった。

 

 これに、イデが反応したのである。

 

 

 たが、流石キャップ!

 

 光の巨人の構えの本質を一瞬で見抜いたのであった。

 

 もう一度言う。

 

 流石キャップ!

 

 

 

 

** 戦イ! **

 

 

 対峙する光の巨人と、

『バチ…。』

 バンパイヤーセージンの視線が、

『バチッ!』

 火花を上げ音を立てぶつかる。

 

 

 それが、

「ヘヤッ!」

 開始のゴングだと、

『ズッン!』

 踏み出す光の巨人。

 

 

 対してバンパイヤーセージンは、

『ギュン!』

 両腕を振り上げ備える。

 

 

 真正面からのぶつかり合い。

 

 

 ファーストコンタクトは、

『ブン!』

 バンパイヤーセージンの振り下ろす両腕。

 

 その破壊力は、巨体と相まって岩をも砕くだろう。

 

 

 対する光の巨人は、

『ガ…。』

 振り下ろされる両腕を、

『シッ!』

 両手で受け止めた!

 

 

 二人の…。

 

 人なのかは不明ですが、便宜上[人]の数え方を採用しております。

 

 力の均衡が、互いの時間を止める。

 

 

 1秒…。

 

 

 2秒…。

 

 

 3秒…。

 

 

 後のカトク隊の証言では、もっと長かったと感じたとか…。

 

 張り詰めた緊張が時間の感覚を狂わせていたのは否めない。

 

 

 

 唐突に、光の巨人が、前に出していた右足を後方へ引く。

 

 それが二人の力の均衡を狂わせる。

 

 右構えから左足を前に出す左構えに切り替える事になる。

 

 同時に、受け止めていた両手を引き落とす。

 

 

 それは…。

 

 バンパイヤーセージンの両腕の力を空(くう)へと泳がせた。

 

 逃げた力が、

『ドン…。』

 バンパイヤーセージンに、

『ドンドドドン!』

 たたらを踏ませる。

 

 

 結果…。

 

 

 バンパイヤーセージンの背後を取る光の巨人。

 

 千載一遇。

 

 誰もがそう思う瞬間。

 

 その証拠に、光の巨人の右足が大地を蹴り体を前に押し出しす。

 

 その加速を利用し、バンパイヤーセージンの背中に、右足の裏で蹴りをかます。

 

 俗に言う【ケンカキック】と呼ばれる蹴り技である。

 

 

 皆が、光の巨人の蹴りの、

「あっ!?」

 命中を疑わない…。

「えっ!?」

 が!

 

 我が目を疑う。

 

 

『ふわり…。』

 

 そんな擬音を出しながら、まるで糸で吊られている様に宙に浮いたのである。

 

 しかも、推定身長50メートルを超える巨体が飛んでいる。

 

 

 気が付いたイデは、

「背中に!」

 バンパイヤーセージンの翼の事を口にした。

 

 

 イデの指摘の通りにバンパイヤーセージンの背中には今までで無かったはずの一対の翼が生えていた。

 

 それも、蝙蝠の翼である。

 

 

 それを使って光の巨人のキックを空かしたのである。

 

 

 

 それは、誰でもやる反射的な行為であろう…。

 

 消えたバンパイヤーセージンを追って見上げる光の巨人。

 

 そこに!

 

 バンパイヤーセージンが、

『ドスン!』

 降ってくる。

 

 否!

 

 強烈な垂直方向キック!

 

 その威力は、

『ガッ!』

 光の巨人の膝を折り、

『ッ…。』

 地面にうつ伏せに、

『ク!』

 這いつくばらせる。

 

 たまらず、

「アワッチュ!」

 声を上げた光の巨人。

 

 そのまま、

『ドス!』

 バンパイヤーセージンの、

『ドス!』

 右足で背中への、

『ドス!』

 連続踏み付け。

 

 堪える光の巨人が、

「デュワ…。」

 苦悶の声らしきものを、

「デュワ…。」

 上げる。

 

 

 それはカトク隊の隊員達に届き不安に変わる。

 

 それが、

「キャ…。」

 イデの口から、

「キャップ…。」

 心の声を、

「光の巨人は大丈夫でしょうか?」

 漏れさせた。

 

 

 光の巨人とバンパイヤーセージンとの戦いから目を離さずに、

「…。」

 一瞬、噤(つぐ)んだ口から、

「大丈夫だ。」

 確信の声で、

「イデ。」

 言い切った。

 

 

 それと同時に、

「あっ…。」

 イデがキャップの確信を目にする。

 

 

 

 バンパイヤーセージンが、

『ドス!』

 何度か、

『ドス!』

 踏み付けた瞬間!

 

 横に転がり、

『ゴロリ。』

 それをかわした光の巨人!

 

 完璧なタイミングであった。

 

 

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