Q・ウルトラマン 吸血宇宙人現る!   作:ノザ鬼

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その5

** 光ノ輪 **

 

 

 丁度、一回転。

 

 うつ伏せから、

「ディ…。」

 左膝を立てた膝立ち状態になり、

「ァッ!」

 再びバンパイヤーセージンとにらみ合う光の巨人。

 

 そして…。

 

 回転と膝立ちの勢いを、

『グィッ!』

 右手に集め右耳の後まで引き絞る。

 

 その捻れは上半身をバンパイヤーセージンから見て半身(はんみ)にさせた。

 

 その構えは、

『ギリッ…。』

 番(つが)えた矢を、

『ギリッ…。』

 引き絞るかの様に、

『ギリッ!』

 擬音を出し力を溜める。

 

 と!

 

 溜められた力が、

『ブッ…。』

 具現化したかのように、

『オンッ…。』

 右手に光の輪が現れる。

 

 それも、肉食獣の牙の様な刃が付いていた。

 

 我々が知る丸鋸の刃が光で作られる。

 

 

 バンパイヤーセージンが小刻みに左右にステップする。

 

 本能で光の輪が危険だと、無意識の回避行動であった。

 

 

 光の巨人の目がバンパイヤーセージンのステップを追い…。

 

 顔が…。

 

 頭が…。

 

 追従する。

 

 

 ベストタイミング!

 

 そう呼ばれる瞬間に、

「デュア!」

 引き絞った光の輪を、

『ビッ!』

 右腕を前に伸ばす勢いで、

『ュウゥゥゥゥッ!』

 加速させ解き放つ。

 

 光の輪は、

『ザッ…。』

 大気を切り裂き、

『シュワァッ!』

 バンパイヤーセージンへと迫る。

 

 

 デジャブ。

 

 カトク隊の全員が、

「あ…。」

 シチュエーションは違えど、

「っ!」

 同じ光景を見る。

 

 

 バンパイヤーセージンに光の輪が命中すると…、思われた瞬間。

 

 左右のステップのリズムから、右足の着地…。

 

 を!

 

 意図的にずらし、飛来する光の輪に対して体の面積を最小限にする。

 

 

 結界。

 

 言うまでもなく、

『スッ…。』

 光の輪はバンパイヤーセージンという目標を失い、

『カァァッ!』

 空を斬る。

 

 

 作り物の様なバンパイヤーセージンの顔が、

『ニマァ…。』

 歪み嘲笑った。

 

 まるで、

[お前の攻撃等当たらぬ!]

 とでも言いたげに…。

 

 

 空を斬った光の輪は、

『シュ…。』

 バンパイヤーセージンの遥かに後方に、

『バババッ…。』

 音をたてながら飛び続ける。

 

 

 その時!

 

 伸ばした右腕を、

『グィ…。』

 力任せに引き戻す光の巨人。

 

 その動きは、光の輪の方向を変えた…。

 

 だけでなく、光の輪を全く同じ形に分身させ2つにした。

 

 そして…。

 

 今だ笑っているかの様なバンパイヤーセージンの背後から襲いかかる!

 

 

 狙いは、

『ズッ…。』

 勿論、

『バーン!』

 バンパイヤーセージンの、

『バーン!』

 背中の翼。

 

 光の輪が、

『パカッ…。』

 描いた直線が、

『パカッ…。』

 翼を根元から斬り落とす。

 

 地面が、

『ドサッ。』

 僅かなタイムラグで、

『ドサッ。』

 落ちた翼で輪唱を奏でる。

 

 

 

 一瞬、止まったバンパイヤーセージンの動きは背中に意識が行ったからであろう。

 

 

 それを見逃すはずもなく、

『ダン!』

 踏み出す左足が、

『グォ!』

 大地を蹴ると、

『ショウ!』

 光の巨人をジャンプさせる。

 

 そして…。

 

 空中で振り上げた両手が、

『グィッ!』

 体を反らせ反動にした。

 

 

 光の巨人の両足が、

『ドッッシン!』

 大地を揺らし着地。

 

 同時に、

「シュワッ!」

 振り下ろした両手が、

『ドガン!』

 バンパイヤーセージンの脳天を捉える。

 

 

 その衝撃は、バンパイヤーセージンに、

『ヨロヨロ…。』

 蹈鞴(たたら)を踏ませた。

 

 

 すかさずに、

「シ…。」

 バンパイヤーセージンの左側から、

「ワッ…。」

 左脇を通った光の巨人の右腕が、

「チッ!」

 背中を捉える。

 

 直後!

 

 右足をバンパイヤーセージンの両足の前に差し込む光の巨人。

 

 

 それは、

「あっ!」

 カトク隊の全員に、

「あっ!」

 声を、

「あっ!」

 上げさせた。

 

 

 そして…。

 

 右腕でバンパイヤーセージンの背中に

「ヘャー!」

 力を加える光の巨人。

 

 前向きに押されるバンパイヤーセージンを、

「シャ!」

 光の巨人の右足が、

『くるり。』

 支点に回転させると、

『ズッ…。』

 背中から、

『ドォーン!』

 地面に叩き付けた!

 

 

 その衝撃たるや…、

『ぴょーーー…。』

 カトク隊の面々を、

『…ーーーん!』

 30cm飛び上がらせた。

 

 まあ、冗談である。

 

 

 

 

** 点滅 **

 

 揺れが収まると、バンパイヤーセージンの頭は、光の巨人の足の直ぐ側に横たわる。

 

 

 光の巨人は、

『シュタッ。』

 軽く左にステップ。

 

 からの、

「ヘヤッ!」

 バンパイヤーセージンへの馬乗り!

 

 

 それは、カトク隊員に、

「おーーっ!」

 歓声を上げさせた。

 

 

 光の巨人の打ち下ろし、

『ドシュ!』

 右パンチ。

 

 

 それを、バンパイヤーセージンは、

『ガシュッ!』

 両腕をクロスさせガード。

 

 

 続き、光の巨人は上半身の捻りを、

『ドスッ!』

 利用した左のパンチ。

 

 

 バンパイヤーセージンのクロスガードは、ダメージを最小限にする。

 

 

 光の巨人の伸ばした左腕が、右腕に力を溜めさせた。

 

 連続で打ち下ろされぬパンチ。

 

 

 バンパイヤーセージンのクロスガードが、

『チラリ。』

 一瞬だけ緩む。

 

 

 刹那!

 

 最大に溜められた右腕の力を解放する光の巨人が、見たものは…。

 

 

 口元を、

『ニヤリ』

 歪め笑うバンパイヤーセージン。

 

 いや、そう見えたのかもしれない…。

 

 

 躊躇う一瞬が、打ち下ろすパンチを同じ時間だけ遅らせた。

 

 

 バンパイヤーセージンの口が吐き出す濃い緑色の霧が、

『シュフッ!』

 光の巨人の顔を染め上げる。

 

 

 その正体に、光の巨人の体が答えを出した。

 

 顔を掻きむしるは万国共通で、

『ガリガリ。』

 苦しむ仕草である。

 

 濃い緑色の霧は、毒の類であったと誰もが容易に推測できた。

 

 そのまま、

『ヨロヨロ。』

 足が音を出しながら後退りする。

 

 

 当然。

 

 その隙に、

『そそくさ。』

 起き上がるバンパイヤーセージン。

 

 立つと同時に、

『シュタッ!』

 戦闘態勢に移行した。

 

 

 

 攻守交代…。

 

 今風に言えば、

「俺のターン!」

 である。

 

 が、まあどうでもいい事であるが。

 

 

 苦しむ光の巨人に、

『グワッ!』

 一気に詰め寄るバンパイヤーセージン。

 

 お返しとばかりに、振り上げた右腕で、

『バシッ!』

 光の巨人を打ち付ける。

 

 そして…。

 

 体の捻りと反動を利用して、

『バシュ!』

 左腕を振り下ろす。

 

 

 苦しむ光の巨人のガードが甘くなるのは、

「デュァ…。」

 至極当然であろう。

 

 

 気が付いたイデ隊員が、

「あ、あれは!」

 声を上げた。

 

 

 今まで青かった光の巨人の、

『ピコン!』

 胸の丸いドーム状の部分が、

『ピコン!』

 赤く点滅を始めた。

 

 

 それは、見る者の不安を煽る不気味な音と点滅である。

 

 

 それを打ち消すためか、

「キャップ…。」

 イデ隊員が、

「あれは…。」

 答えを求めた。

 

 

 無意識に、

「うむ…。」

 顎に手をやるは、

「…。」

 考える仕草である。

 

 暫し、キャップは、

「…。」

 口から沈黙を出し固まる。

 

 そして…。

 

 

 出た答えは、

「たぶん、だが…。」

 口を開かせる。

 

 確かめる様に、

「あれは…。」

 ゆっくりと、

「光の巨人のピンチを知らせているのではないか?」

 自分にも答えた。

 

 

*ナレーション開始*

 

 光の巨人の太陽エネルギーは地球上で は急激に消耗する。

 

 エネルギーが残り少なくなると胸のカラー タイマーが点滅をはじめる。

 

 そして…、もしカラータイマーが消えてしま ったら、 光の巨人は二度と立ち上がれなくなる のだ。

 

 がんばれ!光の巨人。

 

 残された時間はあとわずかなのだ。

 

 

*ナレーション終了*

 

 

 

 明らかに光の巨人は弱っていた。

 

 それは…。

 

 バンパイヤーセージンの殴る攻撃で、今まで以上に膝が曲がっているのだ。

 

 無意識に、攻撃の威力を吸収させているのだろうが、その後の膝の戻りが明らかに遅くなっている。

 

 

 それは、

「キ…。」

 カトク隊にも伝わり、

「キャップ…。」

 イデ隊員が代表して口にしていた。

 

 

 呼応するように、

『ピコン!』

 光の巨人の赤い点滅が、

『ピコンピコン!』

 早くなっていった。

 

 

 それは、突然やってきた!

『バシュ!』

 何度目かの、

『バシュ!』

 バンパイヤーセージンの、

『バシュ!』

 腕の打ち下ろし。

 

 

 それが、

「へァ…ッ。」

 光の巨人の膝を

『ガック…リ。』

 地面へと落とした。

 

 

 

 

** 十字架 **

 

 

 千載一遇。

 

 潮時!(本来のチャンスの意味)

 

 汐時!(上記と同じ)

 

 好機!

 

 まっ、わかり易く…、チャンスです(笑)

 

 

 そんな言葉と共に、勝利のフィナーレがバンパイヤーセージンの頭の中に大音量で流れる。

 

 

 見る者に同じ印象を、

『ニマァ…。』

 与える邪悪な笑みが、

『ァァァァァ。』

 バンパイアーセージンの顔を歪めた。

 

 直ぐ様。

 

 一歩下がる理由が、

『スッー。』

 直後に解る。

 

 口の前で交差させた両腕に、

『グッ!』

 これまでで最大の力がこもる。

 

 それが解るのが、

『ブルブル…。』

 両腕の震えとなって表れる。

 

 周囲から大気と共に謎の赤い粒子を、

『シュゥゥゥゥゥゥ…。』

 口の中へと吸い込む。

 

 そして…。

 

 腹部が、

『ぷっ…。』

 見る見る、

『…くり。』

 膨れる。

 

 その姿は臨月の妊婦よりも大きく、お伽噺のお婆さんを飲み込んだオオカミの如く。

 

 その膨らみは背中を押し、

『グィィ。』

 体を仰け反らせた。

 

 →(ガード方向に暫く引く)

 

 ため!

 

 タメ!

 

 為!

 

 交差させた両腕の、

『ブル!』

 震えが、

『ブルブル!』

 今が必殺だと、

『ブルブルブル!』

 知らせた。

 

 人間なら、軽い深呼吸で計るタイミングであろう。

 

 そして…。

 

 勝利の確信が、現実に変わる瞬間…。

 

 

 口の前で交差させた両腕を、

『シュ…。』

 今、必殺の一撃に変える様に、

『バッ!』

 一気に広げる。

 

 その姿は、漢字の[大]の文字であった。

 

 

 

 顔に表れない光の巨人に、

「デュァ…、」

 浮かぶに苦しみの表情。

 

 それが、

『ガクン…。』

 左の膝を、

『ドスン!』

 地面へと落とさせた。

 

 

 

 [それは、光の巨人が敗北の瞬間である。]と誰かが言った。

 

 そう…。

 

 勝利を確信した物言わぬバンパイアーセージンの口である。

 

 

 

 結果的に、右膝立ちの姿勢なった光の巨人。

 

 顔を掻きむしっていた両腕を、

『スーッ…。』

 苦しみから無理矢理引き剥がす。

 

 

 指先を伸ばし、胸の前辺りに天へと立てる右手。

 

 そこに、地面と平行に交差させる左手は、地面と平行である。

 

 

 

 両手で作られた特徴的なその形は、

「あれは!」

 イデ隊員の口で、

「十字架!?」

 説明された。

 

 いや…。

 

 誰もが思う事を口にしただけである。

 

 聖なるシンボルである十字架が光の巨人により作られた。

 

 

 刹那。

 

 込めた力が、

「シァ!」

 光の巨人の全身を、

『グィッ!』

 駆け巡る。

 

 

 と、同時。

 

 その場の者の口を借りて、

「あっ!?」

「おっ!?」

「!?」

 驚きの声と共に…。

 

 

 光の巨人の右手の手刀の部分から、

『ビィ…。』

 銀の粒子が帯の様に、

『ィィィィィィィィィ!』

 解き放たれた。

 

 

 それは…。

 

 必殺の一撃を放とうする、その瞬間のバンパイアーセージンの顔に命中する。

 

 

 そして…。

 

 突然に訪れる静寂。

 

 

 まるで時間を止めたかのように、腕を振り上げたままで、動かなくなったバンパイアーセージン。

 

 

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