フットボールフロンティアの開催が迫っているらしい。
まぁ、うちの中学には関係ないことだが。
「
校庭にやっつけで作られたサッカー場では4対4のミニゲームが行われていた。名前を呼ばれた少年がゴール前まで切り込んでいく。
癖のある白髪が風になびく。
「いくよ!」
あげられたパスをきっちりトラップした後、右足を大きく引く。
直線的なシュートがゴールネットに突き刺さった。
これが俺たち、
3年が二人、2年が三人、1年が四人、計九人のみが所属する部活では大会に出場することはかなわず、そのぶん普段の練習で行うゲームが増えていった。基礎的な練習をせず、試合だけやる日すらある。
「
「今行くから待ってろ」
フィールドに入っていた後輩に声をかけられた俺はコートに入り、センターラインでボールを踏みつけた。
真正面で狐守が不敵に笑っているのが見えた。
***
「間宮、早く帰ろう。お腹すいたよ」
狐守が帰り支度をする俺に声をかけた。
夕焼けが差し込むグラウンドをあとにする。
「僕たちもあと数か月で引退だね。寂しくなるよ」
「結局、11人で試合は出来なかったな」
狐守は特徴的なたれ目で遠くを見つめながら歩く。狐守を発端にこのサッカー部は始まった。もともと白銀谷中になかったサッカー部を作るため、部員集めから始まり、二年目にしてようやく部活成立の条件となる部員三人以上を達成することが出来た。
しかし、三年目の新入部員は四人だけ。結局、大会参加条件の11人のチームメイトを集めることは出来なかった。
「この三年間、楽しかったよね。部員も増えてはいるしさ、来年には大会で優勝したりしてね」
「そうだな」
狐守は寂しさを振り切るようにそう言った。もともと温厚な性格のコイツはネガティブな感情を表に出すのが苦手だ。
フットボールフロンティアに出場できない俺たちの引退時期は、おおよそ大会の開催中になる。高校受験に向けての準備を早めにした方がいい、という考えだ。
「新しく入った双子もすごく上手いじゃん。来年は絶対」
「お前はどうなんだ」
ついそんな言葉がでた。
「このサッカー部作ったのは、フットボールフロンティアに出たかったからじゃないのか? お前が卒業した後に11人集めたんじゃ遅いんじゃないか?」
「それは、そうだけどさ……」
狐守はもともとクラブでサッカーをしていた。しかし、中学に進学すると同時に狐守はクラブをやめた。もともとそういう約束だったらしい。家庭の事情と狐守は言っていた。
「でも、11人集められないなら、しょうがないよ」
狐守がこちらを見ることはなかった。