シャンフロプレイヤーワイ、フレが奥手すぎて夜しか眠れない   作:嘉神すくすく

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また過去回想……こいつクソ構成っすね

でも書いてて体調崩しかけたこの気持ちに共感して欲しいのん(メンヘラ)


21 VSマッドディグ 私は正しい

「落下死を回避する用途の魔法やスキルはいくつかあるんやけど、そのどれもがセカンディル時点では入手できんのよね、知らんけど。せやからモグラを相手にソロで挑む場合は沼の外に出て不発に終わらせたい……が、そーとー上手くやらんとそんな位置取りは難しい訳で。なんで、最初に言ったほぼ入手不可なもん以外で対応策を用意するほうが実際のとこ簡単なんよ」

 

 火属性魔法で焼かれたことで乾燥し、ぬかるみが無くなった沼の上を彼がゆったりと歩み寄ってくる。文字通りの死んだ魚(?)の目を何度も、何度も、何度も、何度も突き刺してこれまでの鬱憤を晴らした上で、その耳障りの良い声によって頭の中の言いようのないモヤモヤが消えて澄み渡るようだった。

 

「わかりやすい方法として一つは使われる前に殺しきる事……低レベル帯でそんなんソロじゃ無理。次にシンプル上手に着地すること……よっぽどフルダイブ慣れしとらんと無理。『もっと誰にでも出来て再現性の高い方法はございませんの?』と聞かれたら────今日のやり方を教えたればええ」

 

 そう言って彼が取り出したのは二つの低級使い捨て魔術媒体(マジック・スクロール)だった。

 

「昔ワイちゃんがソロでこいつに挑んだ頃な、最初期も最初期でソロ殺しの情報なぞ周知されとらんくてワイちゃんってばまんまと打ち上げられたんよ。ほんで、ただ落下死を待つなんてムカつくから『テメーも死ねやーっ、おー!?』って火属性と風属性の魔法を片っ端から撃ちまくった。……そしたらな、カジョーネンショーか何かはわからんケド、アホみたいに燃え上って上昇気流が発生して、こう、ふわっと着地出来たわけや」

「お、お腹の底がヒュンってした……!」

 

 多少値は張るけど初心者の街でも買える【ファイアーボール】と【ウィンドカッター】のマジックスクロールにより生じた効力は『ふわっ』なんて擬音が似つかわしいものではなかった。

 

 レベル差の暴力かな……? それは私を落下死から救うためだけに放ったそれはモグラ本体から狙いを大きく外していたにも関わらず、余波に触れたモグラの前足を奪っていた。

 

「なにはともあれ撃破おめでと、ほんでフゼーとかなくてアレやけどソレ返して。……別にレアモンでも何でもないんやけど、思い出深い初期装備なんよ」

「…………はい」

 

 言われて私は、手持ち武器の耐久値がほとんど限界値であったため借りていた短剣『大型ナイフ+50』を彼に返した。……記念品として貰えないかとさえ思っていたけど、逆らった瞬間その手にあるスクロールで消し炭にされることが確実だったからやめた。

 

 ……彼は今回の共闘にあたっていくつかの方針と条件を提示してきた。

『ヘイトは受け持つ、戦い易くする、“ソロ殺し”の落下死から()()確実に守る。ただし積極的にダメージ与えない、イケると思ったタイミングで攻撃し自分だけで倒せ。……まー、武器の耐久だけ気を付けとけば勝てるやろ』

 

 どうせこの人だけで簡単に倒せるくせにケチくさいというか面倒な話しだった……けど、今こうして、私のことを散々苦しめた存在に自分で引導を渡したことから認識を改めた。

 

 なんて、気分が良いんだろう。

 

「ね、ねっ、虎人くん……この後も、時間ある……? もっと色々教えて欲しいな……あ、あとフレンドに「やなこった」えっ」

 

 明確な否定だった。

 

「な、なんで……? 男が女の子を助ける理由なんて、関係を持ちたいから以外にないよね? ねっ!?」

「あ……? …………あー、そういうもんなんか、理解した。それはそうと、ワイちゃん的に自分は見どころがある強いプレイヤーやとは思うけど…………そーいう相手としては論外や。ワイちゃんは自分みたいなズルくて身勝手で、平気で人が傷つく言葉を吐けるような女は好かん」

「────ッ! じゃ、じゃあなんで助けたの……? 私のこと喜ばせて遊んでたの!?」

「あ、あそ……? 悪趣味な発想やな……まあええ、教えたる。それは、お前が強いからや。ゲームからおらんくなるには勿体ない、強者やからや」

「…………え、何……なにそれ?」

「ハッ、どーせ女にはわからん。……ワイちゃんは自分のようなクソ女は好かん、反吐が出る。しゃーけど──強いなら無条件で尊敬する。強いというのはそれだけで価値がある、強さにはそれほどの価値がある、だから助けた」

 

 男くさい理屈……そう吐き捨てる私自身の感情よりも、その声に宿る神秘が勝った。

 

「……それなのに、フレンドにはなってくれないの?」

「おー、見どころがあるとは言えな、ぶっちゃけ今んとこは好かん気持ちのが勝る。見どころだけなら他にもっと期待できる奴がおるし……いやマジで、モチベやばすぎてちょっとキモいくらいのが」

 

 そう言うとその人は中腰になり、頭二つ分は上の位置にある目線を私の高さに合わせてくる。

 

「気に入らんならもっと強くなって殺しに来ることや、『どうかフレンドになってください』とワイちゃんに言わせてみたらええ。……ここから先にはエネミーも人も、これまでとは比べ物にならんほど充実しとるし、これまで以上に強さがものを言うようになる、強い奴が正しいと嫌でも思い知ることになる」

 

 ────ああ、そうか、この人は不器用なんだ、要領が悪くてイジワルしてるだけなんだ。

 

 だって、そうでしょ? 

 

 口では色々言ってるけど、本当に嫌いな相手を前に……そんな貌、出来るわけがないんだから。

 

「ゲームは楽しむ物だと教わった、そしてゲームはどこまでいってもゲームなのだとも。……せやから好きにやったらええ、思い知らせてやったらええ。『自分は正しい』と。理屈ではなくワガママを通せ、()()()()()()()()だけでつまらん思いする必要はないんやから」

 

 予感がある、確信がある、この人は私と一緒だ。

 

 

「きっと、お前は正しいぞ」

 

 

 楽しみたいんだ。

 

 

「…………やっぱり私、あなたとフレンドになりたい。ねっ、ねぇ……っ! どうしたらフレンドになってくれる!?」

「自分の名前が自然と耳に入るようになったら『お願い』しに行ったるわ。……じゃあの“ヒイラギ”、もう二度と遭わんことを祈るわ」

 

 ……あは、あは。

 

 なんとなく、なんか面白そうだったから初めただけだったし、やめちゃおうかなとも思ってたけど……見つかっちゃったかも、やりたいこと。

 

 決めた。まず、()()()()()()()()奴らに思い知らせてやろう。

 

 私は正しい、この世界にそれを知らしめるんだ。

 

「────そしたらいつか、会いに来てくれるよね、ね……っ!」

 

モモちゃんがヒロトくんとスーパー銭湯に行く話を投稿していいすか?

  • あ、いっすよ(快諾)
  • 頭湧いてるんですか?
  • そんな姉さんの話より私と陽務君の絡みをも
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