シャンフロプレイヤーワイ、フレが奥手すぎて夜しか眠れない 作:嘉神すくすく
将来的には変わるかもしれないけど、サービス開始からそこまで経っていない現在のシャンフロにおいてPKとはローリスクハイリターンでやり得な
賛否入り交じる中で個人的にはこう考えていた、『マシな連中がいる』と。
少なくともゲームIQは高い。
システム的にPKKはカルマポイントが極々僅かしか増加しない点も都合がよくて、積極的に狙うようになった。
被害者を探してお話を聞いて、探して、殺した。
かつて他の誰かが所有していた装備は質に出した。一方でPKerの装備一式は取り戻す手間をかける価値がある代物だと考え、PNを添えて掲示板に晒して保有した。
やってきた被害者を殺して、殺して、殺して、殺して、殺した。
…………来なくなっちゃった。どうしよ
探すのが手間に感じ始めた頃、わざわざお話をしに来てくれる人が増えた。
殺した、殺した、殺した。
気が向いた時に装備を返してあげたりあげなかったりしたら、すこし長く遊べた。
でも、繰り返しているうちにふと思った、『選んでこれか』と。
……付きまとい女の身勝手に流されてクラン運営なんて慣れないことを始める程度には飽きていたのだと思う。
◇ ◇ ◇
ただしリョーザン・パークによって配備された警備担当のPL・NPCはその限りではなく、レンジャー・忍者系統ジョブの索敵に秀でた人員が何人か私と同じ高さにも配置されている。
(キョロキョロしてるだけのカカシって感じ……)
虎人くん風に言うと配置された個々人の行動に意図が伴っていない──『PKerがどこからどう来る、それに対しこうする』という想定が感じられない。というか、よーく観察してみたら程度の低い
下の様子を眺めながらでも問題なく進める。あってないようなものだった。
『“乱入”して名前を上げる……裏闘技界では伝統的なやり方なんスよ』
「(おー、“NPC闘技者乱入イベ”とか珍しッ!)────この“覇者”の行く手を阻むとはな。貴様如き下郎「はいごめんねー、お仕事しまぁす」えっ」
『はうっ!?』
『状況よし、観客含め被害無し。パレード再開だァ!』
「イェアッ! デュナちゃんカワイイヤッター!」
「そもそも虎人くんは覇者闘技前に突発イベやろうとしないで欲しいっス、忌憚のない意見ってやつっス」
「ククク……ひどい」
あの人を取り囲む8人……ボサボサな銀の短髪にキョーゴクちゃんと近いものを感じる勝気な印象の顔つき、そして開いた胸元にハーフパンツという品の無い衣装で高い男人気を誇っている女軽戦士NPC”フォルティアン西方警備隊長デュナ”とその下僕PL『デュナちゃんの尻に敷かれ隊』メンバー7人による警備は正面からは崩せないだろう。
元からそうするつもりは無いけど、虎人くんが横方向への警戒を放棄出来る程度に有能なところは問題だった。
人込みに紛れて近づいて暗殺というのも無理だ。レッドネームであることを欺瞞する装備はあるものの、悪目立ちするデザインなせいでNPCはシステム的にごまかせてもプレイヤーからはすぐに見破られてしまうため普通に騒がれる。あと、あのダサいアイマスクつけてる姿を虎人くんに見られたくない。
(今はダメだなぁ……)
観客からの声援に応えるポーズを取りつつ、視線を斜め上方向に練り歩いている彼に上から奇襲を仕掛けたところで、たぶん”前提”すら満たせない。
…………
行動時に発生する音を抑制するアクセサリーを外し、奇襲実行時用の装備を整えそのタイミングを待つ。
「“遮那王憑き”、”ステルスアサルト”」
跳躍モーション
透明人間になれるような
(……無いんだよね、少なくとも今のところは)
だから上から、そして彼の視界に確実に入らないタイミングで行く。
……一行がフォルティアン西のタイガー・コロッセオ手前へと差し掛かった。
────いまかな。
シャンフロだと弓やボウガン、あるいは魔法といった飛び道具を用いた遠距離からのPKは装備もステータスも貧弱で固定ダメージカットも備えてない低レベル帯相手にしか通用しない。当てることは出来ても、威力の距離減衰がキツすぎて十分なダメージを出すことがほぼ不可能なんだ。
全ての攻撃手段にはそれぞれ適性距離があり、特に飛び道具は威力が保証される最大射程だけでなく
その点は虎人くんとて例外ではないけど、彼の場合は単純に基準となるダメージがバカげているためプレイヤー程度なら威力が減衰
ではどうするかと言うと……シンプルに
助走をつけて、速度を殺さず大跳躍。
速度と距離は徹底したリサーチとリハーサルで再現性を高めたから誤ることは無い。問題はタイミングだ。
虎人くんが配信でプレイヤーに広く周知したPKer対策の一つとして、『襲われる方向を限定する』というものがある。パーティ単位での行動で全方位を警戒したとしてそれで全プレイヤーが襲撃に対応できるかというと、現実問題難しい。……ならばと、陣列を偏らせて『目をつぶっていても対処出来る方向』と『頑張らないと対処出来ない方向』とに分ける方針を布教した。
武道において“構え”の隙を
まあ当然だよね、隙を突いてくる相手に対して隙を作れなんて言うんだから。
本当にバカだなぁと思った。
(先手を譲られてるだけの不自由な状況を作られる……それがどんなに面倒か)
やる側もやられる側も分かってない雑魚が多すぎる。その程度のことが見えてないやつばかりだから彼の手を煩わせる。
確かに理論上はよろしくないよね。けど、ね……その理論値を
全部を警戒してもまともな対応が出来なくて壊滅する。それだったら奇襲の確実な成功と引き換えにそのアドバンテージを初撃のみで終わらせる方が良い。
彼が示した方策は理想通りの行動ができる状況やパーティ、そしてプレイヤースキルが限定的である現実に即したものだ。
虎人くんは有象無象に失望している。それもとても昔……私に会いに来てくれた頃には既に。私だから分かる、私にしか理解できない彼の本心。
そうでなければ啓蒙活動なんてしていない。
……まぁ私だけは違うもんね、ねっ?
彼がずっと意識を上に向けている理由は“期待”と“確信”だ。『私
だから、今。
街の雑多な建物よりもコロシアムとの距離が近くなるこの瞬間に限っては────意識が完全にコロシアム側に移る。
だって
「…………ッ、しまっ──!」
至近距離
右手で彼の左腕によるガードを制しつつ、刃を位置エネルギーと共に押し付けるような左の手斧
「……フーッ」
「あっ……!」
初撃は空を切り、それとほぼ同時に抑えに回している右手へかかる負荷が無くなって僅かに身体が開くのを感じた。
しゃがみではなくその場に
直後、ふわりと浮遊感があった。
後方への投げ飛ばし。
私の下に潜り込んだ彼が身体を落とした反動を乗せて蹴り飛ばすような形だった。
(普通死んでるタイミングだったのになぁ……)
手斧を一番近くの護衛プレイヤーへ投擲し左手を空け、次いでほっとくとやりづらい大盾持ち二人に対して『虚弱毒ナイフ』をスローイングしつつ【エア・クッション】のスクロールを使用して落下時のダメージと硬直を無くした。高い器用ステータスに加え盗賊系ジョブのパッシブスキルによってアイテム使用速度に補正がかかっているため出来ることだ。
どうせなら初撃は当てたかったけど、
足元に顕れた座標指定タイプの攻撃魔法に共通する予兆円を見てすかさず回避行動を取る。
断続的な落雷が地面を焼く虎人くんの【連なる竜狩りの落雷】によって距離を取らされた……反撃の判断が相変わらず早い。彼には奇襲を受けたことによる動揺がまるで無い。
「全員下がれ、自分らじゃ相手に……いや邪魔」
『そうもいかねっすよチャンピオン。アタイら警備隊が
「チッ……おい敷かれ隊、自分らの推しは自分らが
まずは一人キルして、二人を壁役として機能できなくした。
数を減らす、足手まといは残す、そして……うん、予定通り。
「よー、クソ女。恥ずかしがり屋さんがこんな人前によう出てきたな? ……撮れ高のお礼や、今帰るなら見逃したってもええ」
……その手には乗らないよ?
「今のヒーくんってもう後がないよね、ねっ……!? こ、こんなチャンス見逃すわけないでしょっ」
(コイツ、京極ちゃんとやっとる時から見とったな? しかもこの状況でビクついとらんってことはまーだなんか握っとる)
「楽しくなってきた……?」
「……あー、今日イチな。やっぱ“サイアク”やお前」
「────あはぁ。だよねっ、ねっ!?」
来てよかった。
もしもあの貌が私より先にペンシルゴンへ向けられたと思うと胸を掻きむしりたくなる
「おー、なんや知らんがその手にある勝ち筋見せてみろや」
普段他のプレイヤーに向けてる喜怒哀楽の
「今なら届くぞ」
「うん……うん……! 今日こそ殺してあげるねっ、そうしたら────」
あの時交わした彼との
あの時と同じく口にする。私の望み、それは────
「────私の
虎人くんも、周布虎斗くんも、私だけの
◇ ◇ ◇
『……………………』
「おい、なんか言うことねえのか。なぁコラ!? 軽々ハードル飛び越えやがってテメェ……!」
『サンラクさ、後でメールするからタイガーの親御さんと繋げてもらっていいかな? ネタじゃなくてマジでネットに強い弁護士紹介するよ』
『……ごめん、ちょっと電話。…………な、何よクオンあんたまで!? こ、この状況私のせいだって言うの……!? てか接近禁止って言ってたわよね……はぁ!? マジなのあの子!? そ、そういうガチなのは共有しときなさいよ……!』
「笑い事じゃ済まさねえぞッ!? 洗いざらい話せ!!」
『ア、アレが家凸かますレベルで相手の都合ガン無視のキチだったなんて知るわけないでしょぉぉぉ!? そこまで深い付き合いじゃないし……友達になれるような相手じゃないってくらいはwiki見れば察しが付くでしょ!?』
『……まあ俺が弟さんでも鉛筆相手にそんな事実言えないかな。確実に悪用するし』
ガタガタ抜かすな自首しろ、さもなければ死ね。
…………ああ、はい、はい。
鉛筆が言うにはこうだ。まずコイツの属するクランのリーダーが弟さんで、虎斗とは仲が良い側……というかアイツは上昇志向の強いトップ帯のプレイヤーとは一部を除いて交流があり、リアル男に限るものの弟さんを含む何人かとはオフ会したこともあるらしい。
……思えば心当たりが無くもない。活字アレルギーのくせして急にライトノベルをまとめ買いして朝読書に挑戦しだしたり、
問題となるのはそのオフ会周りだ。そもそもアイツがネットで知り合った異性と自分からリアルで関係を持とうとするなんてありえない話で、うっすら嫌いな相手であれば尚のことだ。
そんなもんであのクソ女は『特定』しやがったんだ。それも住んでる地域どころかピンポイントな住所まで……接近禁止ってことは流石にアイツの母ちゃんがどうにかしたんだろうが、ガチ犯罪じゃねえか。
その時の手段と推測されているのが虎斗本人だけでなくオフ会経験があるプレイヤー複数人を対象とした会話の収集……要はストーキングだ。
実際のところどうなのかは知らないが、少なくとも弟さんはこのクソ女と同クランという点から情報漏洩していたことを否めず責任を感じているようで……以降クソ女の情報を最大限共有するようになったという話だった。
『漏洩云々なら野郎共以外にも怪しい子が居るんだけど……まぁ言っても仕方ないかな』
「とりあえず法的措置については諸々終わってからにするとして……このクソ女はこっからなんか出来るかよ? バッタバッタと無双出来そうには見えねえぞ」
『あの子の情報って少なすぎるんだよねぇ……でも、たぶん出来ない、はず。PK被害者の話では漏れなく認識外から不意打ち食らって殺し切られてるか、奇襲失敗から逃走されたかだけだし。双月会の試合でも正面切っての戦闘は完全に虎人くんが担ってたから……虎人くんが後衛やってる中であの前衛をどうにか出来る突破力があるとは考えにくいよ』
『後衛のタイガーって実際どうなの? 魔法職としては上の下程度なんでしょ』
『味方が多い時の魔法火力枠としてはそれ以下だと思うよ。範囲攻撃が多くて使える魔法が限定されるからどちらかと言うとダメな方で、だからなのかガンガン前に出て前衛よりも白兵戦でDPS出してる始末だからね』
「誰か後衛のイロハ教えてやれよ」
『教えてる側なんだよなぁ…………ただ、
そう言うと鉛筆から一つのアドレス……公式よりも情報が充実していることが伺えてきた非公式wikiのページ、『ジョブ:魔修羅』のリンクが送られてきた。
『これってタイガーのメインジョブだよね?』
『そ。見てほしいのは少し下にある固有魔法の系統欄ね』
「……主な使用者ほぼ全部“虎人”じゃねえか」
『耐久と装備可能重量がカスすぎて使い込めるプレイヤーが彼以外いないの』
細かい内容は置いといて、4種類に分けられた系統の概要がこうだ。
・赤(トラトラウキ):スタンダードな攻撃魔法に加えて近接魔法やカウンター魔法、自身への弱体効果を伴う味方への攻撃
・黒(ヤヤウキ):有効
・青(ソソアウワキ):相手の攻撃や接近に対する迎撃魔法、自傷を伴う味方への回復や防御バフがメイン。非戦闘時にのみ効果を発揮するHP・MP
・白(イスタウキ?):詳細不明。項目作成にあたって例の虎から【白の秘匿】という魔法名のみ提供された。*4
項目の編集者が一人ないし少数だからか内輪ノリが強い文章だったが……ともかくこのジョブは自己バフ・自己回復を除いて何かと出来ることが多いらしい。
『あの敷かれ隊って連中、元々は着せ替え隊っていうガチ変態のPKクランから梁山泊に出向してきて“改宗”した変態どもでね……私や京極ちゃんがタイマンでやっても簡単には勝てないくらい強い。虎人くんのバフもかかってるそんなヤツらをソロでどうにかするなんて無理だよフツー。……そんなことあの子なら当然わかってるはずなのに、なんで逃げないのかしら……?』
『【赤の狂奔】……ッ! 出会え出会え! 殺してェ!』
『うおっ!? 急にすげぇ筋力・クリティカルバフ……脳筋かな?』
『え、てか“アレ”が言ってることマジなんスか!?』
『もしかしてリアルの“アレ”ってブスなのん……?』
『いいや見た目は間違いなく良い……見た目
『あっはぁぁぁぁ……! “可愛い”って言ってくれたぁ!』
『ヒッ……どんな耳と頭しとるのぉ!? ねえ代わってよ、ねえ……ッ!』
『『『絶対に嫌です』』』
……男の友情的な何かだろうか。俺の気のせいじゃなければアイツの周りの『敷かれ隊』なる変態どもの護衛に対する真剣度合いが数段階上がったように見えた。
幼女ちゃん相手でさえ初手は杖だった虎がメイン武器スタートの難敵です。こわいね
元々サンラクにガチ恋するヒイラギの話を考えていた時期があったのですが、色々あってレイちゃんが餓狼伝の藤巻十三みたくなったのでやめました。Netflixの餓狼伝も個人的には好きなので是非見て欲しい(ダイマ)
モモちゃんがヒロトくんとスーパー銭湯に行く話を投稿していいすか?
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あ、いっすよ(快諾)
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頭湧いてるんですか?
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そんな姉さんの話より私と陽務君の絡みをも