シャンフロプレイヤーワイ、フレが奥手すぎて夜しか眠れない   作:嘉神すくすく

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番外編11 ハコ・ディ・ロチャと、リョーザン・パークの傭兵ビジネス

 落ち物パズル、俗に言う落ちゲー。

 

 上から次々と落ちてくるブロックやピース等のオブジェクトを操作・配置して消していき、ハイスコアを狙う歴史あるゲームジャンルであるが……オブジェクトでエリアが埋め尽くされることが基本のゲーム性故に、一人称視点(FPS)が基本のVRゲーム全盛の現代においては開発が敬遠されがちであり、ジャンル自体が技術的に停滞気味となっている。

 

 圧倒的密度の脅威への対応を強いられる点で弾幕系のSTGゲームと同様であり、時代に取り残されるような形でディスプレイに映像を出力するレトロ領域で同人(インディーズ)ゲームが愛好家に親しまれている……が、何事にも例外は付き物であり、VR領域でリリースされるタイトルも一定数存在していた。

 

 

「「ゼロ災で行こうヨシ……ッ!! うおおおおおおおっ!!」」

 

 

 空中機動型強化外骨格(パワードスーツ)に身を包んだ一人と、超重動力付き運搬車両(フォークリフト)を駆る一人……倉庫作業員の少年二人の、給料(スコア)のための労働が今日も始まった! 

 

 VRパズルゲーム『ハコ・ディ・ロチャ』……通称:『箱で労災』、縮めて『労災』。

 

 ルールは簡単。はるか上空から続々と降ってくる複数色のコンテナを色別に分け、最低2×2×2=8個以上にまとめた状態で集荷地点へ運搬しスコアに変換する……以上を作業員が()()()まで行うというゲームである。

 

『コンテナヨシ! 頭上注意ヨシ! ご安全にー!』

「何を見てヨシつってんだよ! えーっ」

「労働基準法とか無いんか!?」

 

 例によって例のごとく陽務楽郎こと“友人S”と、付き合いの良さに無駄に定評がある周布虎斗こと“助手T”がプレイ中の本作は当然クソゲーであり、ゲーム自体の評価は散々であるのだが……

 

『現場監督だけで8980円の価値がある』

『プロデューサーが碧依悠姫を起用するためだけに企画したゲーム』

『なんでR指定版とか出さないんだろ、商才ないのかなっ!?』

『商業的には成功を超えた成功定期』

『“現場監督”を固有名詞にした女』

『九重先生……貴女は“神”や』

『女神ファ「で、俺が産まれたってわけ」』

 

 等々の絶賛の声が後を絶たない問題作である。

 

 開発費の9割を現場監督のデザイン・3Dモデル・有名声優のギャラに費やしたとの謂れを受ける本作の残り一割はもちろん散々であり……

 

『劣悪な操作性とレスポンスの作業重機(自機)

『配置はおろか潰されぬよう避けるだけでも一苦労なコンテナの落下ペース』

『FPS故の劣悪な視認性』

『設定上は数百kg以上の金属塊であるはずのコンテナが、落下時の角度とタイミング次第でラグビーボールの如く跳ね回る物理演算』……! 

 

「ぜってぇ現場監督の胸とケツのためのエンジンだろ……!?」

「ビナファでも使われとる『やわもちエンジン』やねっ……てかコンテナ重すぎ……! パズルゲーでソロ攻略非推奨とかイカれとるて……!」

 

 コンテナの重量や落下ペースに対し各種作業重機の性能は不十分と言わざるを得ず、汎用的性能の重機に関しては漏れなく器用貧乏の烙印を押されてしまっている。

 

 効率よくスコアを稼ぐには一度に出荷する同色ブロックの数を増やさなければならないのだが、機動力に秀でた重機はパワーが低い。逆もまた然りで、パワーに優れる重機は速度が鈍重だったり陸走しか出来なかったりする。

 

 そのため攻略には最低二人……空中でコンテナを仕分ける機動力重視の非力な配置役、コンテナ落下位置の正確な予測・把握が出来る鈍足の運搬役が必要だった。

 

 …………本当に今更だが、俺が今回このゲームをプレイしているのは助手Tの知り合いのバーチャルライバーの企画配信、その助っ人として起用されたからだ。

 

 紫電ライガ。

 

 ぶっちゃけ今回の話があるまではリアルの顔を隠して活動しているバーチャル『歌手』として認知していた存在であり、出かけた先の店内BGMとして楽曲を耳にしない日はあまり無い新世代筆頭のネットシンガーだ。音楽とか関心が無い俺でも名前といくつかの曲名を知っているほどの売れっ子であり、ボロを出す前の鉛筆……もとい、天音永遠への認識に近い。

 

 直近の年末歌合戦でも一曲披露していたレベルの人がゲーマーであり、しかもライブ配信までしていることは意外だったが……まあ、元々その人が助手Tを巻き込み『世界初! 5万点超えボイス聴きたい耐久!』という配信をしていたものの、度重なる労災に“ライガ主任”のメンタルが適応障害を発症したのが1週間前……その際に助手Tが『知り合いのクソゲーハンターの上手い方』として俺の話をし、紆余曲折を経て今日に至ったのだ。

 

 元々このクソゲーの存在は知っていたが、パッケージ版しかない上にプレミアが付きすぎて開封済みでもユキチ=フクザワが三人お亡くなりになるせいでなー。

 高校生の身分ではVRヘッドギアを新調できる金額をソフト1本にゃかけられない。流石に縁がないものと諦めていたが、パケをそっくりそのままプレゼントという札束ビンタを頂戴したことから今現在喜んで見世物になっている。

 

 今日の俺は資本主義の犬です、3回まわってワンと鳴くこともやぶさかではありませんぜ、へへっ。

 

 というか配信されてると言っても俺が何か小粋なトークをする訳でもなし、普段通り“T”とプレイしてるだけだから気は楽だ。

 

「……コメント欄やば。現場監督限界オタクどもの歓喜が4割に声優:碧依悠姫オタク配信者にドン引きするリスナー3割、ワイちゃんの家族を解放しろという要求が少しに……んー? “S”さんや、なんでか知らんけど1割くらいやたら熱のあるコメントが自分(おまえ)に届いとるぞー!」

「だいぶ余裕あんなテメー!? 今そんな情報要らねぇよ……!」

「ギリギリのギリに決まっとるやろ……ッ! しゃーけどスパチャを読みは絶対やっ……えー、『Ray(レイ)』さんから……

 

『Sさん応援してます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 尋常でない数のビックリ──ッ!? ヤバヤバヤバ潰れる……! おい“S”! もっとテキパキせぇッ! それがムリならスパチャにお礼を申し上げろ!!」

「レイさんスパチャあざーっす!! ……ぐわッ!?」

「あっ! アホ……ッ! 落ちる場所かんがウワーッ!?」

「「 う あ あ あ あ あ あ あ あ あ 」」

 

 ────パワードスーツにコンテナがかすってバランスを崩し、墜落した俺を前に助手Tのハンドリングが乱れ、通報されれば即日労基が飛んでくること間違いナシの縦積みコンテナの山に衝突……圧倒的質量の雪崩に俺たちは飲まれたのだった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 いやー、スコア見る余裕なんてミリも無くて気づかんかったけど6万行ってたんやね。碧依悠姫ご本人まで反応してて今もSNSが祭りなんだよね、すごくない? 

 

「────てか、あの二人ってば今ケンカしとるよね。また」

「そうだよ()()だよ。……今回はどっちかと言うと団長が悪い」

 

 件の配信から数日後……シャンフロにてワイちゃんは今、黒狼の苦労人でお馴染みの彼に拝み倒される形でクランの素材周回に参加していた。いつも3歩進んで5歩下がる恋愛相談を受けているせいか時々忘れちゃうけど、そもそもサイガー0はクラン内では代わりが立てられない程度に優れたプレイヤーなのだ。

 

 前に出れば殴ってよし受けてよし、距離があったとしても相手がよほど遠距離特化でない限りは魔法でも対応出来る一家に一台欲しいハイブリッド高火力タンクで、出来ないことと言えば回復と横バフ*1くらいなものだ。それでいて他メンバーともそつなく連携がとれる人間性も兼ね備えているときており……サイガー100と無関係だったらたぶん引き抜いてた。いやたぶんじゃない、絶対に花形闘技者に仕立てあげてた。

 

(花形といえば、サイガー100はもっとすごいけど)

 

 主に女プレイヤーのファンがすごい。マナーのなってない連中をコロシアム地下牢にぶち込んでた時間で30試合くらいは出来たくらいムダ極まる苦労をさせられたものだ。全員死んでハエに生まれ変われば良いのに。

 

 それはさておき現時点の強さは贔屓目抜きに姉>妹だ、ゲーム自体が目的か手段かで差がついているところがなくもない。ただ、将来的には未知数という凄みを妹に感じているワイちゃんです。

 

 ……今この場にはワイちゃんと彼の二人しかいない。一応他にもパーティメンバーは何人か居るものの、ワイちゃんらとは別行動だ。

 

 だからだろうか、何かと気苦労が多い彼の口は滑らかだった。

 

「数日前にサイガー0がな……なんかの配信をリアタイするとかでクエストとリュカオーン捜索に同行出来ない日を団長に話してたんだが、その時にリュカオーン一筋な団長の悪いとこが出てなー……『アーカイブで良くないか?』ってよ」

「うーわ……ベニもない」

「にべもない、だろ。それに対してサイガー0がな、余程カンに触ったのか虫の居所が悪かったのかわかんねぇけど珍しくガチギレしてさ、お互いヒートアップして掴み合いの大喧嘩だよ……なあ、サイガー0のやつ梁山泊(そっち)の拠点に居たりしないか?」

「し、知らない……知ってても言わない……」

「ふぅん、あぁそう……」

 

 実際のところ家出してきたサイガー0はタイガー・コロッセオのワイちゃんの部屋(リスポーンポイント)を占拠している。ナイショだから言わないけど。

 

 ……いつだったか瑠美ちゃんがお母さんとガチ喧嘩したとかで楽郎共々わが家に泊まりに来たことがあったのだけど、女子って皆そんなもんなのだろうか。その時も当然のようにベッドと部屋を奪われたし……布団が足りなかったのと、寝てる時に抱き癖があるワイちゃんとの添い寝をラクが拒否したことで睡眠を断念、朝までゲームしていたのも今となっては良い思い出だ。

 

「まー、ワイちゃんが出張ってきた以上はテンコ盛りの素材で全員ゴキゲンにしたるから任しとけ、グハハ!」

「……来てもらってなんだけど、正直お前ってクソ忙しいよな?」

「おー。次の予定もあるし、さっさと終わらせるで。出来ればサイガー100の愚痴も聞いてってあげたいから超急ぎ(マキマキ)での」

(マジで良い奴だよなこいつ……)

 

 双方の散々な言い分を聞かされる夜がここ数日続いているけども、リスポーン地点を共有しているために家出娘の方に構っている時間の方が長い。

 

 こういうのって何でか分からないけど本人達に伝わるからね。……不公平感を与えてしまったら最後、腕や脚が噛み跡・爪痕・抜け毛まみれにされたりする。犬猫(ペット)ですらそれなのだ、人間同士のケンカでどうなるのかは考えたくもない。

 

「実際お前がそのまま来てくれた時は腰抜かすかと思ったよ……黒狼(ウチ)としてはゴリラゴリラか“狂奔”ジャガーノート辺りを派遣して貰えたらイイナーくらいだったし」

「あの二人はマッダイさんと遊び出すやん、心労のタネ増やす奴がいるかいな。他にはΨ谷屋(さいたにや)がおるにはおったけど…………まー、素材周回にゃ向かんわ」

「“本気☆ボンバー”Ψ谷屋……ッ! 消費アイテムで【最大火力】を経験したっていう爆弾魔の!?」

「ハンパなエネミーじゃ素材が残らんのよね」

 

 リョーザン・パークはクラン規模で傭兵業を商っており、闘技場およびクラン内ランキング上位プレイヤーを派遣し外貨を稼いでいる。

 

『ダイナマイト骨付き肉・マッスルバースト』ほどでは無いけど、雇うだけで費用が発生する中でドロップなしというのはコスパが悪すぎる。

 

 もちろんワイちゃんも無料(ロハ)ではなく、提携クラン&友達料金でもワイちゃん一人雇用するのに『雇用期間内に得た利益の五割』が対価となる。ちなみに通常料金は『前金+利益の六割』。割高に思えるがワイちゃんの場合は同じ時間で興行する方が遥かに稼げるため、提携クランを稼がせる“利益還元(せったい)”に近い。

 

 五割も取っておいて利益が出るのかというと、そこはまるで問題じゃない。そもそもワイちゃんは人気商売を抜きにしても一人で国を賄える……実質的にはワイちゃんが利益を五割持っていくのではなく、ワイちゃんの利益を五割()()()()()のだ。

 

 ……そんなワイちゃんでも数日で10億持っていかれた時は肝が冷えたよ、幼女師匠。

 

「……お、おい、あれ」

「もっと寄れ、死ぬぞ」

 

 フィフティシア・フォルティアン間の攻略エリアである閃霆万里の坂道、その断崖絶壁コース────竜狩りの志錬。

 

 水晶巣崖と並ぶ理不尽難易度のチャレンジコースであるこのエリアの脅威は、常に落下死と隣り合わせの悪路と、その状況下で襲い来る平均レベル90以上の飛竜(ワイバーン)……真昼の好天が曇るほどの夥しい規模の()()である。

 

「あ、あの真ん中の真っ黒くろすけなワイバーンの素材は全部貰うから」

「あ、あれがブラック・ライダー……!」

「そして死を呼ぶ蒼の騎士……!!」

 

 飢餓の卑竜(ハンガー・ワイバーン)を一定数討伐した状態でエリア中腹に到達すると出現するレアエネミー・飢饉の飛竜(ブラック・ライダー)。蒼の騎士は居ない。

 

 上位存在の支配を受けたハンガー・ワイバーンの群体はこのエリアにおける“季節”の一つである。

 

 このエリアは元来“飛竜”と“竜”……そして“龍”によって生態系が循環しており、今は(ドラゴン)でさえも無秩序に消費される、秩序ある飛竜の群体による飢えの季節だった。

 

 いずれ糧を失い命尽きた飛竜の死体の山から新たな生命が、季節が生じる。

 

 数ある称号の一つでしかない無いものの……【最期の竜狩り】であるワイちゃんにはその時期が知覚(わか)る。もともとハイエストポーションの素材が欲しかったらしいけど、今はこっちの方が遥かに稼げるため予定変更を強行した。

 

 ……あまりやり方を見せびらかすものでは無いけど、それはそれとして契約した以上は利益を約束するのがリョーザン・パークのブランドだ。

 

「おい、もっとこっち寄れって……死ぬから」

「いや何言ってんだ!? くっついてたら共倒れがオチだろ!」

「……ん? あー、すまんの、ワイちゃんの言い方が悪かったわ、えっとね…………巻き込まれたくなかったらワイちゃんの足元で()()()()

「……は?」

 

 インベントリを確認し、一線級の装備の中で無くなってもいい杖を装備する。

 

「『愚乱杖マーフィー』、イムロンに作らせた雷属性特化の杖や」

「こんな時に自慢か……?」

「いんや、必要経費で()()するから後で一緒に謝って欲しくて」

「ボケんな! なんかやるならさっさとやれー……!」

「はいはい……“詠唱丸暗記”【最大詠唱(マキシマイズスペル)】」

 

 魔法強化スペル【最大詠唱】

 効果は次に使用する攻撃魔法を残存MP全消費で発動し、その際余分に消費したMP量が多いほど補正が入る。

 

 前提として魔法というものはシステム上、使用時のMPが多いほど威力や性能が高くなる。どんな設定や背景があるのかはよく知らないけど、より万全に近い疲れがない状態での攻撃の方が効果が高いのは当然であるからそういうものとして考えている。

 

 つまりは魔法威力を最大化させるのだ……尋常の範疇で。

 

「【消尽詠唱(イグザードスペル)】」

 

 さて、一方でワイちゃんのメインジョブである魔修羅について。このジョブの有名な仕様としてSTRとMPの合計値が物理攻撃や魔法攻撃の参照ステータスになること、被ダメージが倍化すること、装備重量ペナルティが厳しくなることなど……しかしそれら以外にも、暴かれていないから公開していない仕様がいくつかある。

 

 その内の二つ。

 ひとつが、MP残量が足りない場合はMP最大値を消費して魔法使用が可能なこと。

 もう一つが、魔法使用()のMP最大値の割合が低いほど魔法の威力・性能に補正がかかること。

 

 そして【消尽詠唱】

 魔修羅で習得できるこの専用魔法の効果は、次に使用する攻撃魔法をMP最大値を全消費して発動し、消費したMP最大値の量が多いほど補正が入る。

 

 分かるかこの算数が、えーっ? 

 

 この後の光景は、きっとフィフティシアからもフォルティアンからも見えるはずだ。

 

「【天網恢恢(てんもうかいかい)】」

 

 掲げた杖から細く白みを帯びた紫雷が四方八方へ、枝分かれしながら伸びていく……どこまでも、どこまでも行き場を求め、空を覆い尽くすほどに。

 

「うわうわうわうわ!?!?」

 

 足元のチビアバターがワイちゃんの脚にしがみつくように小さくなっている。懸命だ、最初期から黒狼とサイガー100を支えているだけあって危機察知能力がちゃんとしている。

 

 それに対して空飛ぶ羽虫のような群体はどうだ、糸のように細く心許なく見えるこの雷の網を前に翼を広げたまま

 

 

 ヂカッ!! と。

 

 

「ぐええ……ッ! め、目が……目がァ!?」

「おーおー、良く焼けた」

 

 網が空の何かに触れた直後の一瞬、世界に光が大きく瞬いた。

 

 そしてそれに遅れること数瞬……『バヂヂヂヂヂヂヂヂヂッッッ!!!!!』というけたたましい轟音が断続的に耳に届く。

 

 雷光は連なり、伝播し、網にかかった外敵を繰り返し焼く。

 

 テンモウカイカイ。

 今も漢字は書けないけど……神様が張り巡らせた網は、一見粗く大雑把に見えても悪人を決して逃がさないという意味らしい。

 

 ワイちゃんは数に任せたゴリ押しに弱い、まー弱い……けれど、開けた場所で巻き込んではいけない何かが存在しない状況なら、こういう手段が複数あるのだ。

 

「────はい、しまいや。しめてワイバーン200匹ってとこか、いやわからんけど……まー、とりあえず()()()()()

「…………ここの空ってこんなに綺麗だったんだな。あ、天覇のジークヴルムの巣が見える……」

「実はワイちゃんもオキニなんよね、この景色。……また来る時は気をつけるんやで? たまにジークヴルムも飛んどるから」

「wikiで見たことあるけどマジなんだな……」

 

 過剰火力の反動で燃え尽きた杖の灰が風に乗って流れていく。

 

 ワイバーンもドラゴンも居ないこの空は果てしなく広い。このように、光景を我がものにした時の気分はなかなか良いものだ。 

 

「しっかし契約とはいえなー、バフかけて魔法撃つだけの簡単な作業すぎてなー、なんちゅうかダイゴミに欠けるわ」

「贅沢な悩みだな……」

「自覚はある。さて……ワイちゃんは“黒ちゃん”の素材拾って帰るけど、後は自分らに任せてええな?」

「ああ、団長に終わったこと伝えといてくれ。……天下の黒狼(ヴォルフガング)メンバーの仕事が素材回収だけなんてお笑い種だな」

「役割交換してもええよ?」

「抜かしやがって」

 

 この場に居ないパーティメンバー13人に加えて別パーティ15名は素材回収のみが仕事であり、討伐したワイバーンが墜落する予測地点に待機している。

 

 しかしこれはこれで楽な仕事では無い。エリアの下層は今ワイちゃんらが居る場所よりはずっと難易度が低いとはいえ、楽に踏破できるという訳でもない。そんな中で大量の素材を回収・運搬しなければならないため誰でも出来ることではなく、前提として回収メンバーの地力あっての稼ぎ手段なのだ。

 

 ……そー考えると、ワイちゃん一人で国をというのは自惚れだったのかもしれない。タイガー反省。

 

「……なあ、一つ聞いてもいいか?」

「あ? なん?」

「いやさ、ブラック・ライダーの素材だけは回収してくのが気になってさ……何か新しいユニーク装備でも作ろうとしてんのかなって」

「んー? いや、ワイちゃんは使わんよ」

「は? じゃあどうするんだよ……?」

「サイガー100へのプレゼントやね、今月誕生日らしいし。あとはまあ……バレンタイン?」

「ハァ!? なんだそれ羨ましすぎる……! な、なぁ、俺も先月誕生日だったんだけどーっ!」

 

*1
味方を強化すること




勢いで本文書き終えたから前書き・後書きなにも考えてなかったよ。

現場監督:ライザとか2Bとか、そのレベル。商業効果で向こう10年美少女ゲーで戦い続けられる資本を制作会社にもたらした。

紫電ライガ:歌は一流、ゲームの腕はそこそこ……しかしそれで甘んじていられるほど大人しい人物ではない。本人はともかく信者が他のコミュニティから嫌われてるタイプ。

陽務瑠美ちゃんのバレンタイン:服買って金欠なので兄へのチョコはなし。でも虎にはボトル入りのシュガーレスガムを買ってあるし、虎も彼女に対してひと月前からお返しを準備しはじめる程度には仲がいい。

それはそれとしてお泊まりの朝、兄を抱きしめ寝てる虎の姿にはドン引きした。虎の抱き癖設定を上手く怜ちゃんへの当てつけに繋げられなかったので未来の自分に期待します。

モモちゃんがヒロトくんとスーパー銭湯に行く話を投稿していいすか?

  • あ、いっすよ(快諾)
  • 頭湧いてるんですか?
  • そんな姉さんの話より私と陽務君の絡みをも
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