まさかの主人公ポジになりまして?   作:RAKU0221

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 オリ主はシドより少し前に事故死、転生時時間軸がずれたためシドよりも2歳年上になりました。クレアと同い年です。

 


主人公誕生編
主人公誕生。なお当人は自分を主人公だなんて思ってない


 

 男の子ならだれもが一度は、強さというものにあこがれるだろう。  

 

 

 俺も例にもれず、力にあこがれた。だが、その熱はほとんどの人間がいつかは冷めるだろう。俺もずいぶん昔に、その憧れを忘れてしまった。

 

 

 だが一人だけ、その憧れを捨てることなく、強さを探求し続けた男を俺は知っている。

 

 

 最初にそいつを見かけたとき、狂人としか思わなかった。家に帰りたくなくて街を散歩してたら、不良をフルボッコにしているそいつを見かけてしまったのだ。でもその時のあいつの洗練された動きに、俺はなぜか目を離せなくなり、つい.......

 

「すげえ」

 

 と声を漏らした、俺の存在に気付いたあいつは一瞬きょとんとした顔をしてから視線を落とし.......

 

「全然、まだ足りないよ」

 

 

 そこからだった、影野実という人間に興味を持ったのは。

 

 結局1年くらい?の間腐れ縁が続いた。あいつが俺をどう思っていたのかはわからないが、今思えばまあ友人といっても良かったかもしれない。「相棒がいる展開もそれはそれでありかも」と、ハンバーガーを齧りながらあいつが言ったのをなんとなく覚えている。

 

 あとあれだ、夜な夜な暴走族の集団にバール片手に特攻を仕掛ける目出し帽の狂人の噂。俺見てないけどあれ100パーあいつだろ、あいつ以外にあり得るかよそんな狂人。俺もスポーツをずっとやっていたため、あいつのトレーニングのやばさは十分にわかる。俺が把握しているだけでも、少なくとも学校ではずっと手足に重りをつけていたし、授業中も握力鍛える奴(名前知らん)ずっとやってたし。

 

 あとあいつの存在感のなさ何?俺ともう一人の生徒以外あいつの名前呼んでるの見たことないんだけど、「絶」の使い手か何かだろうか?

 

 

 

 

 

「今となっちゃ、ずいぶん昔の話だけどな.......」

 

 

 

 

 ”別の世界”のことなんて考えたところで意味ないしな。

 

 

 

「こっちの世界に転生してきて早十四年、だいぶ忘れてきたな。前世の記憶」

 

 

 

 

 

 

 ミドガル王国、それが今の俺の故郷であり身を置く場所だ。

 いかにもファンタジーって感じで、王族とか貴族とかがブイブイ言わせている。だが意外にも電車があったり、しっかり教育機関があったりで、文明レベルは低くない。俺はそんな世界の一般家庭に生まれ、何不自由なく......とはいかないが、それなりに満足のいく生活をしてきた。

 王都で生まれ、一般家庭出身でありながら元騎士団所属の母と、かつては剣の道を志した親父に、座学も剣術もある程度の教育を施された。そして今日は、その成果を、示す日だ。

 

 

 

 

 ミドガル王国魔剣士学園

 

 貴族の子供たちが、15歳になると通い始める剣術の学び舎だ。魔剣士となるため、生徒たちは日夜子の学び舎で研鑽を積む。

 だが、一般家庭出身であってもこの学び舎に入学することはできる、才能と実績さえあれば、特待生として上級貴族と同じ待遇で入学することができるのだ。そして、今俺はその資格を手にする目の前まで来ていた。

 

 

「それではこれより、ミドガル王国魔剣士学園特別推薦選抜試合の決勝戦を行う!アキラーカ・カマッセ、ベクタ・レイブンス、前へ!」

 

 

 この試合を取り仕切る現役の騎士がここまで残った才ある者の名を呼ぶ、俺はゆっくりと目を開けて前へと進む。この試合に勝てば、俺は晴れて魔剣士学園の生徒となる権利を得るのだ。

 剣を構え、相手を見据える。ここまで残っただけあって、相手も年齢にしてはそこそこの使い手であることは見て取れた。だが、”俺の相手”として見たら、圧倒的役不足だ。

 

 

「はじめっ!」

 

「せぇやああああああああっ!」

 

「フッ.....!」

 

 

 この世界には魔力が存在する、魔剣士とは魔力で身体能力と武器を強化して戦う存在だ。元騎士団所属の母に魔力の使い方を、かつて剣の道を志した父には戦い方を教わった。体全身に魔力をほとばしらせ、肉体と武器を強化する。それにより、生身では体現しえない「魔剣士」の戦いを実現する。

 互いに飛び出し、剣が衝突する。14歳の子供同士が剣をぶつけ合ったとは思えないほどの衝撃が辺りに響き渡る。

 

 

「おいおい、14歳のレベルじゃねえぞ!」

 

「どっちもがんばれー!」

 

 

 つばぜり合いの状態でまずは力比べだ、俺は魔力出力を引き上げ徐々にカマッセを押し込んでいく。相手も出力を上げているようだが、顔に余裕はない。剣ごと相手を弾き飛ばし、体制を崩したカマッセの懐にトップスピードでもぐりこむ。 

 

 

「シィッ!」

 

「なっ!早っ!」

 

 

 この試合は当たり前だが殺害厳禁、勝敗は相手を行動不能にするか武器を破壊すること、もしくは相手に参ったといわせることだ。

 もぐりこんできた俺に対してカマッセは慌てて無理やり剣を振り下ろそうとするが遅すぎる、俺はカマッセの首に剣を寸止めの状態で突き立てる。少しの静寂の後、歓声とともに審判役の騎士が勝敗を告げる。

   

 

「そ、そこまで!ベクタ・レイブンスの勝利!」

 

 

 ドンマイカマッセ、お前は非常に忠実な咬ませ役立った、ありがとう。

 

 

 

 こうして俺は、一般家庭出身の特待生として、ミドガル王国魔剣士学園への入学の切符を手に入れた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「いやぁまさか本当に勝つとはな!正直できすぎた息子だよお前は!」

 

 

 試験の後、親父の知り合いの店で祝勝会が開かれた。とはいっても、家族だけの小さなものだが.........。

 だが俺はそれで充分満足している、前の世界よりも家族仲はだいぶ良好だからだ。

 

 

「大した事ねえよ親父、俺はたまたま魔力量って才能があっただけだ」

 

「そんなことない!すごいよ兄さん!エリートばかりのあのミドガル王国魔剣士学園に入れるなんて!」

 

 

 それに今世は、可愛い妹もいる。前世にはなかった癒しだ。

 

 

「そうよぉ?謙遜も行き過ぎると嫌味になるわ、誇りなさいベクタ。もうお母さんもお父さんも教えることはないわ、学園でしっかり学んでらっしゃい」

 

「ああ、母さんみたいにいい騎士になれるかはわからないけどね」

 

「騎士じゃなくてもいいぞうベクタ!あちこち旅しながら剣の腕を磨くのも面白いもんだ」

 

「親父みたいに、行く先々で女の人にぶたれるような人生は送りたくねえ」

 

「いーや!そのおかげで俺は母さんと出会えたんだ、いい旅だったさ!後悔も反省もしてないね!」

 

「反省はしろよ.....」

 

 

 俺はこの生活に満足している、まあスマホとか漫画、アニメがないのはちょっと不服だけど、剣を振って認められる今の環境は正直好きだ。前世じゃしょっちゅう棒振り回して「獅子孫〇!」とか「牙〇!」とか「月牙〇衝」とかやってたし、たまに自主練してたりする。

 

 

「来年からは寮住まいになって少し寂しくなるわね、同じ王都でも場所は全然違うし......」

 

「月に一度くらいは帰るさ、母さんの料理食べたいからね」

 

「あらあら、うれしいわね」

 

「おいベクタ!おれの女にちょっかいかけんな!!」

 

「なんでそうなる......」

 

「兄さん、変な女には気を付けてね?」

 

「12歳の女の子がいうセリフじゃねえ....」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 そこから少し時間がたち、俺は何事もなく魔剣士学園に入学した。なんなら2年たった。

 特待生ということもあり、やはりそれなりに注目はされたが、皆の目は俺だけに注がれたわけじゃない。もう一人の特待生、こちらは俺のように一般家から勝ち抜いたわけじゃなく、下級でありながら貴族の中でも類まれなる剣の腕を見込まれ、ブシン祭での優勝候補にすらなりえるといわれた逸材。

 

 クレア・カゲノー

 

 俺の同期にしてアイリス・ミドガルも認める天才だ。将来的に、王国騎士団に入るのはほぼ確実と言われている。まあそんな奴が近くにいるもんだから、俺は同じ特待生だから比べられるわけだ。入学した直後なんてそりゃもう酷かったもんだ。

 

 

ー入学当初ー

 

 

「おい、あいつだろ?一般家庭出身の特待生って」

 

「一般家庭出身同士の立ち合いで勝ち抜いただけで上級貴族と同じ寮なんて納得いかねえよな」

 

「一回立場わからせるか」

 

(おい本当にあいつら貴族かよ、言ってることチンピラと変わんねえよ?)

 

 

 一般家庭枠は必ずしも毎年いるわけじゃない、まず厳しい前提条件として魔力を使った身体強化ができなきゃ話にならない。そして、仮に強化できても大した出力じゃなければ魔剣士としては使えないので、岩をに剣を突き立てたり、飛んでくる障害物をかわし続けたりと、割としっかりテストされる。そして大体、一般家庭出身の奴は、最終選考の「1vs1」まで残れない。

 

 つまりカマッセ君は本当に優秀だったのだ。ドンマイカマッセ、次があるって。

 

 そんな稀有な存在を珍しがるのは当然だが、まさかこんなに目を付けられるとは思わなかった。助けて母さん、この荒波の越え方を俺に教えてくれ!

 俺が少し気まずそうにそいつらの目の前を通ろうとしたとき、力強く芯のある声が響き渡った。

 

 

「それなら、彼の力を証明すればいいのね?」

 

 

 そう、何を隠そうこの時声を上げたのがクレアだったのだ。

 

 

「カゲノー....ッ!」

 

「あなたたちも貴族でしょう、みっともないわね」

 

「う、うるせえよ!だったらやってやるさ!......おいレイブンス!」

 

「........ん?」

 

「俺と立ち会え、立場ってもんをわからせてやるよ!」

 

 

 えぇ、いや別に勝手にギャーギャー言っててくれてよかったんだけど......いや友達作りづらいのは困るけど、別にお前らみたいなのは鼻から眼中にないっていうかむしろ誰?って感じなんだけど.......この状況を作り出したクレアはちょっと満足げなの?別に頼んでないのに。

 

 

(まあでも、ここで勝てればむしろ俺にとってやりやすい環境が作れるのか.........ならまあ)

 

「いいよ、やろうか」

 

 

 

 

 そこからは簡単な話だ、結果として俺は飛び入り参加の生徒含め10人弱の生徒と立ち会いすべてに完勝。なぜか最後に乱入してきたクレアとも戦い、負けはしたもののかなりの接戦を繰り広げたことで俺の校内での評価はがらりと変わった。

 それからはずいぶん生活しやすくなった、男も女も普通に話しかけてくれるし、俺をなめ腐って突っかかってくる生徒もいなくなった。なんか特待生同士、クレアとは剣の稽古をよくするようになったりで、なんだかんだで平和な2年間を過ごせたと思う。

 

 

 

 

 

 ただ.........

 

 

 

 

 

「ベクタはこれから私と稽古なの、ごめんなさいねレイブンスさん」

 

「約束はされてないんですよね?先に来たのはボクなので、今日はお引き取り願えますか?カゲノー先輩」

 

「約束してなくても毎日のルーティンだもの、当然私と稽古するわよね?ベクタ?」

 

「ボクとするよね?兄さん?」

 

「うん.......三人でやればいいって思うのは、俺だけなん?」

 

 

 

 この度めでたく入学できたわが妹とクレアが、ここまでバチバチになるとはさすがに予想外すぎて泣けてくるのが、目下の悩みかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 というわけで、不定期ながら更新していきます。筆者はアニメ勢なので悪しからず。基本的にはオリ主には、定番主人公みたいな動きをしてもらい、シド君をかっこよく圧倒的な強者として描けたらなと思っております。

 一話からオリ主一家というオリジナルネームドを出したので、次回はおそらくキャラ設定の出すかなと思います。

 あ、クレアとオリ主は仲いいですがそれはそれとして、クレアはしっかりシド君には重いので安心してください。
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