シャーレ前交番勤務のヴァルキューレ警官   作:らんかん

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世界(キヴォトス)が出した結論・後

「先生が改まってお願いするなんて珍しいな」

「なんだなんだ」

 

『自分は今回の件を重く受け止めています。

 何故ならこれは社会があるべき姿、社会という概念が生まれる原因でもある“全員が負担をして互いを救うためのシステム”が機能していないことをこれでもかと見せつけられた事案でした。

 あの浮浪者の少女達は、都市という枠組みがありながらそれが国際連合以下の枠組みしか持たず、自治区を持った学園は他校との競争に明け暮れ政治家としての責務を果たしていないが故に起こった出来事なのです』

 

「私達が悪いっていうの?」

「でもその人達に構えるほどの状況じゃないし……」

「大体政治が悪いじゃない!私たちに何をしろっての!」

 

『確かに浮浪者の少女達は違法薬物に手を出し、それによって得た力で社会を蹂躙しようとしていました。ですが、それを幸いにも止めれた。それはヴァルキューレの扇皇ゼンヒ率いる特別暴力対策課・アリウス過激派から結成された技術局を中心とした、大規模な協定とそれから稼働した連携によって達成されたものなのです。

 今、保護された少女達は、おそらく初めて食べるであろうものを食べ、穴も空いていない布団、屋根のある場所で寝れているでしょう。それが贅沢にならないよう________そして、今回の事件のような悲劇を起こさないような“誓い”ではなく”政策“を確立・実行しなければなりません。自分という男はそれらをサポートする事、維持する為の呼びかけしか先生という立場からでは出来ないのです。

 故に私は、今ここで皆さまにお願いをします』

 

「先生が、はっきりとこっちを見てる」

「なんだなんだ」

「すごい、真面目だ……!」

 

『今からでもいい、次の選挙からでもいい、皆さんには自分の意思を持って政治に参加してもらいたい。今ある社会の動向に注目して、その中から自分が望むもののために、人類にとって大事な物の為に、”生存という当たり前の行為を尊ぶ“ことと”その土台の上での自身が描く理想の生活“という自分達の生き方にフィットした社会を目指して選挙や政治活動をしてもらいたいのです。

 社会というのは常に誰かの助けになるために存在しています。あなた達が享受しているインフラという生活に必要なすべてのシステムを存続するためには、より多くの働き手、多くの住民のご協力があってこそ成り立つ。今回の事件をまた起こさないためには、今まで自分達が”手を出せなかった”福祉……そして弱者に対しての援助や簡単な仕事からの社会流入を開始して、先ほど申し上げたとおりのより多くの働き手を獲得し社会インフラの発展にご協力していただきたい』

 

「……」

 

『無論、いきなりこのようなお願いをしている以上戸惑うこともあるでしょう。しかし、自分は至って本気、そしてシャーレという立場ではなくあえて大人の一人として、同じ場所に立っていただきたい。人同士の立場として______同じキヴォトスに住む住人として』

 

「先生」

「ふぅん……」

 

『明日、明後日、明明後日とこの世界は生活が続いていきます。その中では今回の事件の被害に対する特別対策を実施する事になるでしょう。シャーレ、連邦生徒会主導の復興計画は今着々と手をつけていますし、その中でも自分は書類をまとめ、お願いする立場にあります。

 そのようなことをしていてさらにお願いすることは、無礼極まりないことも重々承知しています。それでも自分は対策を取らず、この悲劇を無かったことのようにコンクリートの下へと流し込みたくない。

 ですから、何度でもお願い申し上げます』

 

『私と共に、キヴォトスの今、そして未来のために』

 

『皆が敬愛した連邦生徒会長や先人達が作り上げてきた善きルールを無駄にしないために!』

 

『主権者である市民の皆様、この大規模改革にご協力お願いします!』

 

「先生が、頭を下げてる……!」

「あの先生が頭を下げてるってことは、やっぱり大事なことなのかな?」

「そうだよ!わざわざ丁寧な口調で言ってるってことは私達が必要なんだよ!」

「でも、どうやって」

「さっき言ってたじゃん!ヴァルキューレとかが主導になって指示するって!その作業に参加しよう!」

「うーん、できるかなあ」

「やってればなんとかなるって!ちょっとだけ特別なバイトだと思えば!」

「そっかあ」

 

「私達を必要としてらっしゃる?」

「そんなわけ。どうせ、裏でティーパーティーの頭と仲良くやってるだけですわ」

「そのような方が頭を下げれるのですか」

「______今更、関わる人間を選択していていざ役に立たなくなったら切り捨てた市民に頼るなんて虫が良すぎる。連邦生徒会傘下なんて信じられます?」

「ですが……」

「聖園ミカの味方をして、正義ぶってる奴の福祉なんてどうせ碌でもないですわ」

「そう、ですか……」

「どこに行かれるのですか?」

「さっきの言葉が妙に重くのしかかったせいで紅茶が不味く感じました……すみません、一度お暇しますわ」

「あら」

 

「うっひょー、先生必死に頼んでら」

「まあでも言ってることは一理あるよな。やっぱり、弱いやつ助けたほうがいいってのは」

「うちらゲヘナにはあんまり意味なくね?」

「あるある!暴れてくれる奴が増えれば増えるだけうれしーだろ、その中に憎きあの風紀委員長をぶちのめせる人材が出てくれば楽しいに決まってる!そいつに恩を売って暴れるのもまた一興だぜ!」

「夢のある話だなぁ!」

「そうと決まったら小銭稼ぎのために早速復興作業に応募してついでにお金集めだ!」

「いえーい!」

 

「はっ!警察風情が解決しただけで妙な芝居を打つとはな!」

「そう言うなって、元捜査局の女がそんなこと言ってたらカンナとやらも泣いちゃうぞ?」

「もう私には関係ねーっての!」

「でもよ、これでもっといろんな人間がこの世界に顔を出すと思ったら面白くねえか」

「そりゃそーだな」

「じゃ、乾杯しよう。この街の未来に!」

「ああ」

 

『……すみません、お時間をいただきました。お伝えしたいことはこれで以上になります』

『いえ、大事なことです。ありがとうございます。

 ええでは……実際にご協力してくださる方のため、どういう復興方法を実施し、どのような助けが要るか。ご案内いただけますか?』

『はい。

 まずは破壊された道路の修復工事が大規模に行われる予定です。これはコンクリートや資材の搬送などが人手不足に陥り、また修復工事の進捗次第では道路整理する警備員が必要になるためその人員を大々的に募集する事になると思います。

 そうでなくとも現在、インフラ工事全般で人手不足が発生しています。ミレニアムだけでは足りない電気工事士、または工業系の知識・資格・実務経験がある方も一部地域を除いて募集しています。水道の作業もそうですが、通信インフラなども人手不足のため、ご協力してくださる方は応募事項確認の上、ご応募ください。

 また、救助された被害者の方の支援も、様々な分野での協力を募集中です。簡単な勉強を教えたり、または家事や仕事で役立つものの教育、支援が安定するまでの炊事係や仮設住宅建設の手伝いや物資支援なども深いご理解とご協力をよろしくお願い致します。

 これら応募はご確認などを簡単にするべくシャーレ特設ページの方で該当企業・学園の担当に繋ぐよう手配しております。気になる方は連邦捜査部シャーレの公式ホームページのトップにあります特別ページへのバナーをクリックしてご確認ください』

『ありがとうございます。番組終了後、クロノススクールニュース公式ページのお知らせから飛べるように致しますので、もし確認の仕方が分からない場合はそちらもご確認ください』

 

「あ!ほんとだ、シャーレのHPにある!」

「モモトークにも!先生準備いい〜」

 

『改めまして、今回の事件は相当悲惨であると私も認識させられる事件でした。先生も非常に困惑、そして悲しんでいることが伝わってきますが________どうですか』

『正直意見が変わりようがないくらいの衝撃を受けています。ですが、それよりもこの事件に対して現状意識不明が二人の重軽傷者複数名で死者がまだ出ていない事にも安堵しています』

『扇堂リンネ容疑者と、特暴課の課長である扇皇ゼンヒさんですね。苗字が似ているのもあって血縁関係が噂されておりますが……』

『ゼンヒさんの血液とリンネさんの血液を確認したところ、血縁であることは認められていません。ですから、彼女達は関係ないです。ヴァルキューレの公安局が、そう言った見解を示しています』

『そうでしたか』

『話を戻しますと、今回の事件はそのような被害に対する死傷者の数の少なさと、それを達成できた各学園間の連携やオープンな姿勢が非常に評価できると思います。事実、自分もヴァルキューレ本校から指示を飛ばし、必要があれば赴いていましたがどこに行っても現場に必要な人材が学園おいう所属を気にすることなく合流してベストを尽くしていた結果、不幸中の幸いを手に入れたと感じています。尾刃カンナ公安局長と同じように、私もシャーレとしての立場を言えば、今回の事件とその背景は悲惨であり、自分たちの情けなさが目立った。けれどそれ以外、つまり事件に対する対応などは最高の状態だったと言えると思います。このような状態を維持できる国際関係の継続を、シャーレの顧問として保ち続け、その土台から生徒達が自発的な発展ができるように見守りたいと思っています。

 と、言ったところでしょうか』

『はい________ええ、お時間がやってまいりました』

 

「あ、そろそろ終わるっぽい」

「モモトークから応募しちゃお」

「いいね」

 

『今回はこの事件の詳細の解説、並びに皆様へのお知らせのためシャーレの先生にお越しいただきました。改めまして、ありがとうございました』

『こちらこそ呼びかけやお知らせのために、コメンテーターとして素人の自分を快く呼んでいただき、誠にありがとうございました』

『コマーシャルを挟みます。そのあとはまた別の方をお呼びして、今回の事件の特集をお送りいたします。

 それでは、CMをどうぞ』




この結末は、果たしてどう言う意味を持つのか。

それを知っている言葉は、次のページにしかない。
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