ゴジラが黒色矮星を木端微塵に吹っ飛ばした話 作:よよよーよ・だーだだ
わたしたちが辿り着いたとき、ゴジラは既に南極大陸へ上陸していた。
白い闇を引き裂くかのように、真っ赤に煮えたぎる巨影が浮かび上がっていた。ウェッデル海で吹き荒れる地吹雪が、全身が赤熱したゴジラに触れた途端に一瞬で蒸発してゆく。
じゅぅぅぅ……!
ゴジラの背鰭から立ち昇る灼熱の劫火は、オーロラのように夜空を染め上げている。ゴジラの歩む道筋には灼熱の足跡が刻まれ、氷床が見る間に蒸発していった。
「あれが、本物のゴジラ……」
灼熱と極寒が交錯する異様な光景。ゴジラの体表は溶けた鉄のように赤く輝き、その熱は数キロ先にいるわたしたちにまで届いた。まさに業火の化身。雪と氷の荒野で、全身を燃え上がらせながらゴジラは歩を進めていく。
そんな中で先生は雪を押し分けながら立ち止まり、双眼鏡を取り出し呟いた。
「ゴジラのこの姿……前にも見たことがある……!」
わたしが振り返ると、極寒の吹雪の中だというのに、先生の表情はすっかり興奮していた。
先生は、どこか陶然とした調子で語り出した。
「かつて地球存亡の危機に瀕したとき、ゴジラは全身の核反応を限界まで高めて戦った。バーニング・ゴジラ――その形態が、また現れたんだ。体温は通常の倍以上。おそらく核分裂反応が暴走寸前……」
「それじゃあ核爆発でも起こすんじゃ……!?」
「いや、今のゴジラはこの状態を完全にコントロールしている。これは単なる暴走現象じゃない。まるで、この状態を意図的に作り出したかのようだ。しかも、このタイミングで……」
先生は一瞬言葉を切り、遠くに立ち上る紫色の光を見上げた。空には暗黒の黒色矮星、妖星ゴラスが迫っている。
先生は言った。
「ゴジラ=アースが地球の意思を体現する存在なら……この変化には意味がある。単なる暴走や反応ではない。ゴジラは、"星の脅威"に対して、意図的にこの姿を選んだんだ」
「星の脅威、ですか?」
「ああ、そうだ」
そう応えながら、先生はジェット噴射装置の方を見やった。紫色の光に包まれたその巨大な塔が、不気味に輝いている。
「問題は……ゴジラが何を狙っているかだ。このままGeo-Shift Engineに向かうとすれば――」
先生の言葉が途切れた瞬間、ゴジラはゆっくりと巨大な首を持ち上げた。何かを感じ取ったかのように、紫色のオーロラに染まった極夜の空をその燃え盛る瞳で見据えている。
蒸気の渦を背に、じっと天を仰ぐその姿には、ある種の威厳が漂っている。通常のゴジラでさえ畏怖の対象だというのに、全身が赤熱して立ち昇る蒸気に包まれたその姿は、ともすると神々しささえ感じさせた。
なんという、圧倒的な存在感だろうか。
わたしたちが見守る中、ゴジラの背鰭の劫火が一瞬強まり、それに呼応するように低い唸り声が響く。ゴジラの視線の先、紫色に歪んだ空の彼方には、黒い影となって地球に迫りつつある妖星ゴラスがあった。
「ゴジラは気づいているんだ。あの“妖星”が、地球にとってどれほどの脅威なのか――」
先生の言葉が途切れた瞬間、ゴジラはついに立ち止まった。
一瞬の静寂が訪れた。吹き荒れる地吹雪も、まるで息を潜めたかのように弱まる。
極寒の南極のはずなのに、唐突に吹き荒れる暖気。真っ赤に輝くゴジラの巨体から、衝撃波が放たれ始めたのだ。
「博士、この反応……!」
「ああ、放射熱線の発射用意だろう。しかし、衝撃波の温度が通常の放射熱線の倍以上だ。これは間違いなく――」
先生は興奮に震える手で計測器を掲げる。モニターの数値が跳ね上がり、やがて警告音を鳴らし始めた。
衝撃波は同心円を描いて四方へ広がり、空気そのものを焼いてゆくかのようだった。その波紋が幾重にも重なって氷原を焦がすたび、雪は一瞬で蒸発し、地平線まで届くような蒸気の壁が立ち上った。
観測器を眺めながら、わたしも声を張り上げる。
「見てください! エネルギー値が収束していきます!」
「通常の熱線とは明らかに違う。これは、“バーンスパイラル”の前触れだ」
「バーンスパイラル、ってまさか……!?」
バーンスパイラル、ゴジラが“必殺技”を打ち出すときの前触れだ。
バーニング・ゴジラの全身から放出される膨大なエネルギーが、明確な意志を持って集束し始めていた。衝撃波の間隔が短くなり、その強度は増すばかり。
ゴジラの体内原子炉の核分裂反応が最高潮に達しようとしている――その様子を、先生は一瞬たりとも見逃すまいと、双眼鏡を握り締めていた。
「……ああ。今回はおそらく、ゴジラ史上最大の破壊力を持つ熱線になる。ゴジラは、この一撃に全てを賭けているんだ」
ゴジラの背鰭が心臓の鼓動のように明滅し、その度に震動が氷床を揺らす。禍々しい赤い光がゴジラの口元へと集まり始め、そこから立ち昇る蒸気は竜巻のように渦を巻いていた。
「エネルギー集中、臨界点まであと30秒!」
「ついに来るぞ……バーニング・ゴジラ最強の切り札が!」
熱波が吹き荒れる中、バーニング・ゴジラの咆哮が一瞬、風雪を吹き飛ばした。
地を揺るがすほどの轟音とともに、ゴジラの口吻へ集束した深紅のエネルギーが閃光を放つ。まるで火山の噴煙のように巻き上がる蒸気のドームがパッと弾け、その中心から、血のように赤い放射熱線が閃光の帯となって迸った。
通常の青白い熱線とはまるで質が違う。赤熱したゴジラの体内炉で極限まで煮詰められた核エネルギーは、息を呑むほどの破壊力を帯びて解き放たれる。
凍てついた氷床を溶かし、そこから沸き立つ蒸気が巨大な壁となって視界を奪い、灼熱の奔流が一直線に地平線を切り裂いていく。
数々の強敵を屠ってきたゴジラ必殺の切り札、その名は。
「これが、“バーンスパイラル放射熱線”……!」
まるで、触れたものすべてを焼き焦がすかのような。
凄まじい衝撃波が放たれると同時に氷を何メートルも融解させ、その下に隠れていた岩盤をも砕き割った。避難が間に合わなかった重機の残骸が、糸のように溶けて赤い流れを垂らしながら地面へ崩れ落ちる。
まるで世界が“ゴジラの吐息”に焼かれているかのようだ。
「うっ……くっ……!」
極寒の南極だというのに、熱い。わたしはあまりの熱気に思わず顔を背けそうになる。
その瞬間、垣間見えたゴジラの姿は、まさに“破壊神”だった。背鰭の赤い光が脈打つたび、放射熱線の轟をさらに輝かせ、その余波は周囲の大気ごと地形をえぐり取っていく。
「こいつがゴジラの……バーニング・ゴジラの、真の威力……!」
先生の声がかすれたように震えて聞こえた。ゴジラの猛威には慣れているはずの先生ですら、その凄絶な光景に言葉を失いかけている。
ゴォォォォ……!!
ゴジラはしばらくバーンスパイラル放射熱線を吐き続けながら、ゆっくりと首を引き、巨体を揺らすように再度大きく咆哮した。
「――――――――――――……ッ!」
音の波動そのものが赤い熱気を巻き上げ、天を割る勢いで雪煙が吹き飛ぶ。高密度のエネルギーを放出しきっているはずなのに、その姿に衰えはまるで見られない。
――まるで、“星の脅威”を一掃せんとするかのような強大なる意志を宿しているかのように。
わたしは、それが敵か味方かさえ判断がつかぬまま、圧倒的な力を見せつける怪獣王の背中を、ただ呆然と見つめるしかなかった。
そのときだった。
「……先生! 衛星からの緊急データです!」
通信機から突如聞こえたマリコの声に、わたしたちは振り返った。
マリコから送られてきた映像はゴジラからの電磁波でノイズが混じっていたが、衛星から送られてくるリアルタイムの解析結果が次々と更新されていくのが見えた。
「この数値……信じられません! バーンスパイラルの温度、従来の放射熱線の数十倍! まるで恒星の表面温度レベルです!」
宇宙空間へと伸びていった赤い光線は、紫色に歪んだ大気圏を貫き、そのまま真っすぐに妖星ゴラスへと到達したのだ。
「ゴラスの表層が……溶融!? ゴラスの内部構造が、崩壊していきます!」
モニターには、バーンスパイラルに撃ち抜かれる妖星の姿が映し出されていた。
真っ黒な黒色矮星の表面が一瞬で真っ赤に染まり、まるでロウのように融け出していく。その質量は急激に拡散し始め、やがて花火のように四方八方へと飛び散り始めていた。
「まさか、ゴジラの熱線で……!?」
マリコの声が震える。タブレットに表示される数値の変化があまりに急激で、グラフの更新が追いつかない。
「質量拡散率が限界値を超えました! 重力場が完全に崩壊! ゴラスの軌道が押し返され……ゴラスが、消滅します!」
わたしたちの目の前で、人類の英知を結集しても避けられなかった妖星ゴラスが、一匹の怪獣が撃ち放った熱線によって、文字通り粉砕されていく。
漆黒の宇宙空間で、妖星ゴラスの巨体が真紅に染まり、その表面がガラスのように融解していく。
「ゴラスの質量が急速に拡散。もはや一つの天体としての形すら保てません!」
マリコの震える声が通信機から響く。極寒の風が、まだ赤く染まった氷原を吹き抜けてゆく。その風に乗って、硫黄のような焦げた匂いが漂ってきた。
そして、ついに。
「ゴラス、消滅……」
それを聞いたとき、わたしはその場で崩れ落ちそうになった。
ゴジラが放った、バーンスパイラル放射熱線。その灼熱の奔流は、人類に残された時を刻んでいたカウントダウンの数字を、一瞬にして無に帰したのだ。
ゴジラが勝利の雄叫びを上げた。
「――――――――――――ッ!!」
そんなゴジラのすぐ傍で、放射熱線の余波による電磁波で機能を停止したGeo-Shift Engineが見えた。
2年もの歳月をかけ、人類の総力でもって築き上げられた地球最大の作戦。世界の英知を結集した技術の結晶であるはずのGeo-Shift Engineだけれど、キングオブモンスターによる真の猛威の前では、なんだか子供の作った砂の城のように儚いものに思えた。
わたしは、先生に問い掛けた。
「先生……これが、本当の意味での“ゴジラ=アース”なんでしょうか」
「……ああ」
わたしの問いに、先生は硝子のように透き通った目で頷いた。
「妖星ゴラスが本当にゴジラ=プラネテスだったのか、それとも別の何かだったのか……その真相は永遠に闇の中だろう」
バーニング・ゴジラは、その巨体から立ち昇る赤熱の蒸気に包まれながら、なお天を仰いでいた。
やがて、全身から放たれる灼熱の光が徐々に弱まり始める。その体温は未だ冷め切らないようだけれど、ゴジラは徐々に平時の姿を取り戻しつつある。
先生は、深いため息をついた。その目線は、まだゴジラから離れない。
「人智を超えた存在の前では、我々人間の科学など……」
頭上の空から紫色の歪みが消え、満天の星空が姿を現す。
南極の極夜の中で、バーニング・ゴジラの赤い残光だけが、かすかな炎のように揺らめいていた。それはまるで、まだ見ぬ宇宙の謎への道標のように、氷原の闇を照らし続けていた。
……終わった。そう思ったときである。
「ゴジラが、こっちに来る……!?」
ゴジラの巨体が、ゆっくりとこちらへと向き直った。焼けた装甲のような外皮から、南極の強風でさえ一瞬で蒸発する熱が放たれている。
バーニング状態こそ解除したけれど、ゴジラのその瞳には、あの禍々しい輝きが宿ったままだった。その眼差しは人類が築き上げた巨大施設群を捉え、特にGeo-Shift Engineに釘付けになっている。重機で抉られた大地、核融合炉の並ぶプラント群、そして地球の軌道すら変えようとした巨大な噴射装置──。
「各観測装置、異常値を示しています!」
マリコの声が通信機から響く。
「ゴジラの体内炉、再び臨界状態に接近。体表温度は15万度を突破、なおも上昇を続けています!」
背鰭が不吉な輝きを増す中、わたしは気付いてしまった。眼前の光景が、かつてゴジラが人類に警告を示した時と、あまりにも酷似していることに。
じりじりと装甲のような外皮が赤みを帯び始める。その様は、“裁き”の前触れのようだった。
「――――――――――――ッ!!」
ゴジラの喉から豪快な雄叫びが響き渡る。氷原を震わせるその咆哮には、明確な敵意が込められていた。
「くっ……ゴジラの活性が、さらに上昇します!」
「マリちゃん、具体的な数値は!?」
「とんでもないわ……放射線量が跳ね上がって……これじゃ、ゴラスを粉砕した時と同レベルまで……!」
極超高温の体内炉から放たれる熱波が、装置の警報器を次々と作動させていく。それは、人類への無言の答えのようでもあった。
そのとき、わたしの脳裏にかつての先生の言葉が蘇る。
「だけど、ゴジラはいつも人類の環境破壊に呼応して現れてきた。私たちは地球を救うつもりでやってるが、見方を変えれば『地球そのものを動かしてしまおう』だなんてまさにその究極かもしれん……」
……そうだ。たった今、人類を救ってくれたゴジラだけれど、それと同時にわたしたち人類にとって最大の脅威でもあったのだ。地球の意思が具現化した存在――ゴジラ=アース。その眼に、南極の氷原を穿って作られた巨大な人工物がどう映っているか。
そんなことにも思い至らなかったなんて。
「各員、至急避難!」
Gフォース司令官の緊迫した声が響く。だが、既に遅かった。
ゴジラの背鰭が再び赤く明滅し始める。まだ余韻の残る極超高温の体内炉が、新たな標的を捉えて熱を帯び始めていた。
「先生……わたしたちは、この先どうすれば……」
知らず知らずのうちに、わたしと先生は互いに身を寄せ、抱き合っていた。
わたしの問いかけに、先生は深いため息をつく。その目には、畏怖と諦念が混ざり合っているようだった。
「……我々人類は、また原点に戻されたんだ。ゴラスという脅威は去った。だが、その代わりに我々は改めて気付かされた。この地球に生かされている身として、忘れてはならない畏れを」
その言葉が風に消えるように、ゴジラの咆哮が氷原に響き渡る。それは勝利の雄叫びではなく、むしろ厳然たる警告のように聞こえた。
なんだか、こう告げているかのようだ。
――人間どもよ、己の分際を知れ。
荒れ果てた氷原に、再び真紅の光が満ちていく。ゴジラによる人類への“裁き”は、まだ始まったばかりだ。
「ごめんなさい、先生……」
「謝る必要はない、オクムラ。私たちはただ……地球という星の大きさを見誤っただけだ」
その言葉を最後に、ゴジラの放つ強烈な熱線がわたしたちを包み込んだ。まるで、地球が人類に下した最終的な判決のように。
わたしは瞼を閉じ、先生の腕に身を寄せながら、最後に願った。
――もしも生まれ変われるなら、そのときこそ、この地球と共に生きられるように、と。
熱線の閃光がすべてを包み込んだ後には、ただ静寂が残った。
やがて意識が戻り、わたしは先生の腕の中でゆっくりと目を開けた。
空はすっかり晴れていた。視界には広大な氷原が広がり、氷点下の冷気が肌を刺していた。
「生きている……?」
「……目を覚ましたか、オクムラ」
呆然と呟いたわたしの声に応えるように、隣の先生が穏やかな微笑みを見せた。
「ああ。ゴジラは我々を見逃したんだ……最後の一瞬、奴は攻撃を逸らした」
その言葉に、わたしは信じられない思いで氷原を見渡した。ゴジラの放った放射熱線が、Geo-Shift Engineの施設を完膚なきまで破壊していたが、その攻撃はわたしたち人間がいる地点を巧妙に避けていた。
そういえばマリコは、Gフォースの人たちはどうなったろう。辺りを見回していると、転がっていた無線機から声がした。
〈……先生、先生!〉
すぐさま先生が無線機を拾い上げ、応答する。
「さ、ササキ! 無事か!?」
〈ええ……こちらはなんとか無事です〉
聞けば、ゴジラがゴラスを撃墜したあとマリコとGフォースはすぐさま基地から退避、間一髪のところで逃げ延びたのだという。
とはいえ、ゴジラがその気ならGフォースを追撃することだって可能だったはずだ。
つまるところ。
「ゴジラは……警告しただけだったんですね」
先生は立ち上がり、遠くに霞むゴジラの巨影を見つめた。ゴジラは今や赤熱化を解き、通常の姿に戻りつつあった。巨体はゆっくりと氷原の彼方へと消えつつある。
「……ああ、そうだ。人類に対しての最後通牒だったんだろうな。次はないぞ、という」
「先生……これからわたしたちは、どうすればいいんでしょう?」
「さあな。私にもわからん。私が知りたいくらいさ」
……ただ、と先生は穏やかな笑みと共に付け加えた。
「それを考える時間はまだあるんじゃないか」
その言葉に私も頷いた。
「……そうですね」
全てを失ったわけではない。人類がもう一度、やり直す機会を与えられたのだ。
「さあ、行こうか、オクムラ」
「はい、先生」
わたしたちは互いに寄り添いながら、極寒の氷原を歩き出した。
宇宙の彼方。
虚空の暗黒空間に、断片が漂っていた。
バーンスパイラル放射熱線によって粉砕されたゴラスの残骸は、今や無数の星屑となって宇宙空間に散らばっている。
それはまるで破裂した花火が凍り付いたかのようだ。かつて地球を喰らい尽くそうとした凶悪な黒色矮星は、一匹の怪獣の放った灼熱の奔流:バーンスパイラル放射熱線の一撃によって木っ端微塵に吹っ飛ばされていた。
銀河の光さえ届かぬ暗闇の中で、ゴラスだった欠片は漂い続ける。
だが……
――どくん。
その破片の一つが、不気味な律動を帯び始めた。
地球からおよそ2000万キロメートル離れた虚空。直径わずか数センチの黒いカケラが、次第に脈を打ち始める。最初は不規則だった律動が、やがて生命の心音のような規則性を帯びていった。
さらに、その黒い塊を中心に、宙に漂う破片がゆっくりと引き寄せられてゆく。それは決して無秩序な集合ではない。明確な意図を持って、何かの形を目指すかのように結合を始めた。より遠くの破片までもが、その脈動に呼応するように集まり始める。
……まるでいくたび斃されてもいずれ復活を遂げてきた、ゴジラの細胞ように。
――どくん……どくん……。
地球上の誰にも気付かれることなく、宇宙の深淵では、真の脅威が復活への時を刻み始めていた。
ゴラスの破片は次第にその質量を増し、万有引力の法則によってより一層引力を強めてゆく。
宇宙の闇の中心で、禍々しい律動が木霊する。
それはゴジラ=プラネテスこと妖星ゴラス、その復活を告げる胎動だった。
おしまい。書き終わってから、Twitterで誰かがアニゴジのメカゴジラ=シティについて「あんなガスタンクの塊をメカゴジラと見做すのは無理でしょ、たとえばただの丸い塊を出されて『これがゴジラだ』って言い張られたとして納得できるんですかってーの」とキレていたのを思い出した。ゴラスって、丸い塊のゴジラだよね。
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