無惨様は無限城が消滅したせいで、パワハラ会議が出来なかったよ!
side しのぶ
私はいつものようにサイコロステーキと一緒に任務にあたっていた。
「カナヲはアンタ以外とは博打してないんでしょうね?」
「まあそうだな。今度連れ回そうとは思ってるんだが……」
「ダメ‼︎カナヲの教育に良くない‼︎」
コイツは最近給料日になると毎回カナヲと博打してる。全部カナヲが勝ってるからまだいいものの、これ以上は彼女の人間性や価値観に悪影響を与えかねない。そばにしっかり者のアオイや強い姉さんがいるからまだいいものの、やはり不安だ。
「お前、そうやって頭ごなしに否定するのはどうなんだ?」
「否定するでしょ‼︎博打で生活に困った例は見てきたじゃん‼︎」
「琵琶鬼のことか?あれは旦那が弱いからだ。真の強者は違う。」
琵琶鬼なんて最たるもの。もしカナヲまでああなったら耐えられない。
「それに、博打やる人は軒並みクズ‼︎そんな中にカナヲを入れたらどうなるか分かってるの⁉︎」
「流石にカナヲ1人では行かせねえよ。アイツは強いけど、万が一があるし。」
「そこはちゃんとしてるのね。」
ただ、意外にもサイコロステーキは紳士的で面倒見がいい。嫁にするとか言ってた割には優しく接してるし、本人の心が開くように楽しいことをさせたりしている。アオイに対してもそう。隊士を引退した引け目を感じさせないように役割を与えたり、一緒に料理の研究をしたり。そういうとこは評価している。
「ということで、俺は博打してくるぜ。」
「ダメ。鬼退治するよ。」
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
ただ、自分もちゃんと役割を果たしてほしい。
しばらく歩いていると、
「とうとう鬼狩りが来たのね。でも残念、私は十二鬼月だから殺せないわよ♪」
白い髪に赤い着物の下弦の肆が現れた。今回はいつものように隊士が何人もやられたという情報は無し。つまり私たちが最初というわけだ。さて、事前情報無しでどう戦おうか。
「おい、十二鬼月だって!俺たちじゃ勝てるわけねえだろ‼︎逃げるぞ‼︎」
「私たちは柱よ!私たちが逃げたら誰が戦うの⁉︎」
「んなもん他の柱でいいだろ‼︎何も俺らがやる必要は無い‼︎」
「柱のアンタがそんなんじゃ他の隊士にしめしがつかないでしょ‼︎」
「そんな事知るか‼︎俺は自分の命の方が大切だ‼︎」
相変わらずサイコロステーキはすぐ逃げようとする。柱3人分といわれる上弦ならまだそうしても仕方ないけど、今回は下弦。流石にそろそろ柱なんだから、下弦相手にも逃げないでほしい。
そんなことを思っていると………
「柱………しかも2人⁉︎これはまずいわ‼︎」
鬼側が焦り始めた。確かに柱2人がかりって分かったら怖いだろう。普通は下弦に勝って柱になるものだから。私たちも一応勝ってるけど、あれを勝ってると呼んでいいものか………
「逃げなきゃ‼︎」
嘘でしょ⁉︎アンタも逃げるの⁉︎
「待ちなさい‼︎アンタにはここで死んでもらうわ‼︎」
「待てしのぶ。」
「何よ、サイコロステーキ?」
とりあえず逃がさないために追おうとしたんだけど、すぐにサイコロステーキに止められた。コイツは何をするつもりなの?
「なぁ鬼よ、ここはお互い見なかったことにしないか?」
「そうね。お互いの命のためにも。」
「なんで鬼と談合してんのよ⁉︎」
鬼と話し合って逃し合うの⁉︎そんなの聞いたことないんだけど‼︎コイツらホントなんなの⁉︎両方逃げたらもう意味わかんないじゃん‼︎
「仕方ないだろ。自分の命の方が大切なんだし。」
「そんな事も分かんないのかな?」
「私がおかしいみたいに言うのやめて‼︎」
2人で私をアホな奴みたいな目でみやがって‼︎アホはアンタらだっつーの‼︎普通片方逃げたら弱気だと思って追うでしょ‼︎全く、コイツがやらないなら私がやる‼︎
「蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ‼︎」
空中に舞い上がり、凄まじい速さで一気に突く‼︎さぁ、十二鬼月にこの攻撃が通用するか⁉︎
「くっそ!この女は物分かりが悪いね………っ!」
よしっ、当てた‼︎後は毒で殺すだけ……っ!そのまま死んでしまえ‼︎
「血鬼術
と思ったら、鬼のそばから大きな植物が出てきた。葉っぱでできた大きな包みたいな形………確かこれは食虫植物のウツボカズラ‼︎食べられないように、一旦後ろに引く‼︎
「あれ、逃げるのね。あんだけ逃げるなって言っておきながら‼︎」
「攻撃を避けてるだけだから!」
「そういうことにしといてあげる。」
それにしても、コイツやけにピンピンしてるな。十二鬼月だから私の毒じゃ弱すぎるのか?下弦の壱の時は藤の花の量が尋常じゃなかったし………
「しのぶ、だから大人しく逃げろって言ったのに‼︎賽の呼吸 参ノ目
「あんたも来るのね‼︎血鬼術
「ヤベッ、外れ引いた‼︎うぎゃああああああ‼︎」
次はサイコロステーキが突っ込んだけど外した‼︎しかも敵の血鬼術‼︎大量のトゲトゲ花粉が飛んできて痛い‼︎この量は流石に避けきれない‼︎
「邪魔だ‼︎賽の呼吸 肆ノ目 嵐‼︎」
「はっ⁉︎私の花粉が吹っ飛ばされた⁉︎」
「よっしゃ‼︎当たり引いたぜ‼︎」
すぐさま肆ノ目で吹き飛ばすサイコロステーキ。だが先程の攻撃失敗と一部の花粉で傷を負っている。十二鬼月とちゃんと当たるとこんなに大変なんだな………っ‼︎
「サイコロステーキ、大丈夫⁉︎」
「痛えけどなんとかな。お前はどうだ、しのぶ?」
「私もなんとか。」
「もう、これだから柱は嫌なのよ‼︎すぐ死ねばいいのに‼︎」
それに、すごい気になることがある。コイツ、さっきからピンピンしすぎじゃない⁉︎毒本当に効いてるの⁉︎
「それはこっちのセリフよ‼︎なんで死なないの⁉︎」
「あれっ、もしかして藤の花ぶち込めば勝ちだと思った?残念、私は植物の血鬼術を使うから、同じ植物由来の藤の花は効かないのよ‼︎」
「はぁ………っ⁉︎」
嘘………でしょ⁉︎これじゃあ私の毒意味ないじゃん‼︎鬼の首は突くだけじゃ落とせないし………。どうしよう、騙してみる?
「それ、藤の花の毒じゃなくて除草剤よ。」
「嘘ね。顔で動揺してるのバレバレ♪」
「くっ………‼︎」
「アンタ、本当に柱?速いけど小さいし弱いし。これなら倒せそう♪」
流石に通用しないか………。これじゃあ私がいる意味無いし………
「植物か!なら山火事だな!」ボッ!
「はぁ⁉︎」
そんなことを思っていると、サイコロステーキが鬼に向かって火を放った。
「ちょっと⁉︎燃えるんですけど⁉︎」
「残念だったな!俺は山火事で下弦の伍を討伐した男‼︎植物相手は相性最高だぜ‼︎」
「ふざけんなよ‼︎どこに火を投げて戦う鬼狩りがいんのよ⁉︎」
「ここにいるぜ♪」
確かに、植物相手なら燃やす方が速いかも‼︎幸い周りに建物も樹木も無いし、ここなら燃やし放題か⁉︎
「サイコロステーキ、私も手伝うわ‼︎」
「いいぞ、しのぶ‼︎その調子だ‼︎」
「ちょっと⁉︎あんたら何なのよ⁉︎揃いも揃って柱が正攻法を使わないわけ⁉︎」
「バカ言え。俺は楽して金を稼ぎてえんだ。博打をするためにな。でも死んだら博打出来ねえだろ‼︎だから正攻法なんか使ってたまるか‼︎」
「そんなバカな鬼狩りがいるなんて‼︎」
「私もそう思うわ。」
火を投下され持ち前の血鬼術を発揮できない鬼。これはかなり有効打のようだ。だが鬼は首を斬られなければ死なない。だからどこかで首を斬るしかないけど…………
「やべっ、俺も燃えるんだけど‼︎」
「「アンタバカなの⁉︎」」
「うるせえ‼︎俺はバカじゃねえ‼︎」
燃えすぎて鬼に近づけなくなった。マズイな………。何か遠距離攻撃で首を斬るのがいいのか………いや、待てよ?空がそろそろ明るくなってきた。ということは………?
「ねえアンタ、光合成って出来るの?」
「はぁ?鬼なんだからできるわけないでしょ。」
「植物系の鬼よね?栄養どうやって摂ってるの?」
「ウツボカズラで人間食べてる。」
「俺は博打で………」
「アンタは黙ってて。」
「厳しすぎるだろ‼︎」
鬼だから光合成が出来ない。そんな植物もどきには、太陽の良さを教えるまで‼︎
「で、あんた急に何よ?早く火を消しなさい‼︎」
「いや、アンタに光合成の素晴らしさ教えてあげようと思って。」
「えっ…………?」
「空、見てごらん?太陽だよ?」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
鬼の周りを火で燃やしていたおかげで、鬼は太陽から逃げることが出来ずそのまま焼け死んだ。サイコロステーキの山火事戦略を活かして、また一匹鬼を倒すことが出来た。
「しのぶ、お前頭いいな‼︎正直どうしようか迷ってたぜ‼︎相性悪い敵によく勝てたなぁ!」
「毒効かなくて役立たずになりたくなかったからね。頑張って考えたのよ。」
「褒美に美味い飯食わしてやる‼︎」
「えっ、いいの⁉︎」
「ああ、いいぜ!」
「やった〜♪」
しかも褒めてくれて、更には美味しいご飯も作ってくれるサイコロステーキ。時々男気を見せてくれることもある。この人なら、専属料理人として生涯雇ってもいいかも。
「だからお願いだ。」
「何?」
「今度浅草で高額の賭場が立つんだが………」
「自分の給料で行ってきたら?」
「金を‼︎あなた様の金を分けてくだされば、俺は必ず博打に順応してみせます‼︎より強い博打打ちとなって、あなた様の為に戦います!」
「それは無理。」
「なんでだよぉぉぉぉぉぉ‼︎」
恋人としては無理だけど。