サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第十二話 博打狂いの新人教育 前編

  side しのぶ

 

 蝶屋敷では人が増えたこともあって、今まで以上に賑やかな日々が続いていた。今日は全員が休日なのもあって、居間で団欒している。

 

「サイコロステーキ先輩‼︎魚の捌き方教えてくれませんか‼︎私出来なくて………」

「いいぞ、アオイ。魚は共通する部位が多いから、慣れれば意外と簡単だぜ!」

「ありがとうございます‼︎」

「魚捌けるのすごいわね〜。私包丁握ったらなんでもぐちゃぐちゃにしちゃうも〜ん♪」

「それは姉さんの力が強すぎるからでは?」

「カナエ師範………私も出来ないです………」

「カナヲは可愛いからいいのよ〜。」

 

 魚はアオイでも出来ないんだ。確かに色んな部位あって難しいもんね。逆にサイコロステーキは出来るのがすごいよ。私の好きな刺身もコイツが作ってくれるし。

 

「それに、カナヲはサイコロステーキからお金もらえるじゃん♪」ツンツン

「うるせえしのぶ‼︎俺だって負けたくて負けてるわけじゃねえんだぞ‼︎」

「私目はいいので………サイコロの動きが予測出来るんです……」

「嘘だろカナヲ⁉︎そんなの強すぎるじゃねえか⁉︎手本引きとか絶対勝てねえじゃん!」

「やりましょう、先輩……っ!」

「お前俺のこと財布だと思ってるだろ‼︎流石に嫌だ‼︎」

「えっ…………」

「分かった、やるよやるよ!だから悲しそうな顔するな!」

「ありがとう……ございますっ!」

 

 逆に博打は全然ダメ。カナヲが凄すぎるのもあるかもしれないけど、いつも負けっぱなしだ。それなのにずっと好きだしずっとやり続けてる。早く諦めればいいのに。

 

 

 

 そんな事を思っていると…………

 

「カァァァァァ‼︎胡蝶しのぶ、賽子厚切焼肉、任務ナリィィィィィ‼︎」

 

 鎹鴉が私たちの部屋に飛び込んできた。

 

「また一緒の任務?いい加減にして。」

「また任務?いい加減にしろよな。」

「アンタは働きなさいよ‼︎」

 

 柱になってからは流石に別々の任務が増えたが、それでも合同任務が多すぎるのだ。その度にコイツは逃げようとするし、賭場に寄ろうとするし、金を貸せとせがんでくる。お館様に何度訴えても変えてくれない。ホント、いい加減にしてほしい。

 

「新人隊員ノ支援ヲセヨォォォォォ‼︎カァァァァァ‼︎」

 

 そんな事を思っていると、鎹鴉が任務の内容を教えてくれた。新人の支援、珍しい任務ね。私たちの時は柱が支援とか無かったし。あれから4年も経って、だいぶ変わったのね。まあいいや、2人きりじゃないだけ。

 

「私が昨日カナヲとやったやつかしら〜?」

「カナエ師範………ありがとうございました………」

「いえいえ〜♪」

「新人?他の人もいるのね。ならいいわ。」

「しのぶだけでよくね?俺は失礼するぜ。」

「失礼するんじゃないわよ‼︎ちゃんと働け‼︎」

 

 それにしても、コイツは本当に仕事しない。前単独任務で夜明けを待ってたら寝過ごしたらしいし。そのくせ金だけは執拗にせびる。他に強い人いっぱいいるし、柱から降格させた方がいいんじゃないかな?

 

「チナミニ隊員ハ3人、3人ナリィィィィィ‼︎」

「3人をしのぶさん1人は大変でしょう!ほら、サイコロステーキ先輩も行くんですよ!」

「しゃーねえな。今回だけだぞ?」

「毎回やれ‼︎」

 

 それにしても、新人3人か………。もしかしてカナヲの同期かな?どんな子が入ったのか、少し楽しみだ。

 

 

 

 

 

 数時間後、グダグダごねるサイコロステーキを引っ張りながら、私たちは新人との集合場所までやってきた。

 

「おっ、先に着いてる奴が2人もいるじゃねえか。」

 

 するとそこでは既に2人が待っていた。1人は黄色の羽織を着ている黄色い頭の男の子。不安そうな表情でこちらを見ている。もう1人は緑の市松模様の羽織を着て木の箱を背負った男の子。しっかり者っぽい雰囲気だ。

 

「真面目で感心ね。アンタも見習うのよ。」

「俺の辞書に見習うという言葉は無い。」

「追加しろ‼︎」

 

 コイツ、こんなんで大丈夫かなぁ?新人の見本になるかなぁ?

 

「あっ、あの、柱の方ですか⁉︎初めまして、竈門炭治郎と申します!よろしくお願いします‼︎」

「あっ、我妻善逸です!よ、よろしくお願いします!」

「ごめんな、お前ら。今回はこっちの怖い女だけが担当だぜ。俺は賭場へ行くだけの一般人だ。」

 

 ダメだった。

 

「んなわけないでしょ‼︎ちゃんと仕事して‼︎」

「お前、そんな怖い態度だと新人に避けられるぞ?」

「誰のせいだと思ってるのよ‼︎」

 

 私がイライラしてるのはだいたいアンタのせいなのに‼︎今度本当に殴ってやろうかな?コイツを減給以外で制裁する隊律が欲しい。

 

「というわけで、この怖い女が蟲柱・胡蝶しのぶ。見た目可愛いけど性格キツいから気をつけな。」

「このバカは賽柱・賽子厚切焼肉。見た目も中身も終わってるから気をつけて。」

「俺のことはサイコロステーキ先輩と呼んで敬え、な!」

「クズとかアホで大丈夫よ。」

「「よ、よろしくお願いします………」」

 

 それにしても、あと1人居ないような。どこか隠れてるのか、それとも時間ギリギリに来るのか?はたまた遅刻とか、しないよね………?

 

「猪突猛進猪突猛進猪突猛進‼︎」

「「「「うわっ⁉︎」」」」

 

 そんな事を思っていると、上裸に猪頭のヤバい奴が突っ込んできた。なにあの化け物⁉︎

 

「しのぶさん、サイコロステーキ先輩⁉︎あれなんですか⁉︎」

「まだお昼なんですけとどぉ⁉︎まさか鬼ぃ⁉︎」

「俺も知らねえ‼︎しのぶ、なんか分かるか⁉︎」

「私も分かるわけないでしょ‼︎」

 

 一応猪の頭は被り物みたいだけど………。だとしても相当変人じゃない‼︎普通はこんな格好しないよ⁉︎ちゃんと隊服あるし‼︎もしかしたら鬼殺隊士じゃないとか⁉︎野生のアホってこと⁉︎

 

「柱ってお前か‼︎勝負だ勝負だ‼︎オレと勝負しろ‼︎」

 

 野生じゃないし‼︎ガッツリ鬼殺隊じゃん‼︎今の新人にはこんなのがいんの⁉︎カナヲも同期にこんなのがいるとか、言ってくれればよかったのに‼︎

 

「なんだお前、俺と博打したいのか?」

「ばくち?なんだそれ、知らねえ‼︎」

「お金を賭けた遊びだ。楽しいぞ〜!」

「アンタは変なこと教えんじゃないわよ‼︎」

「つまんなそう‼︎それよりオレと勝負しろ‼︎」

「手合わせってことか?すまんが俺は戦わない柱だから無理だ。」

「そんな柱いてたまるか‼︎」

 

 コイツはコイツでろくなこと教えないし‼︎アンタは新人の見本になる立場なんだから、ちゃんとして‼︎カナヲはまだサイコロステーキ以外からはお金むしってないからいいけど、この子がそうなったらダメでしょ‼︎

 

「博打打ちの柱だと⁉︎そんなの言語道断だ‼︎ふざけているんですか⁉︎」

「炭治郎。お前もしかして、しのぶみたいな奴か?あんまり良くないぞ、そういうの。」

「もっと言ってやって、炭治郎君‼︎このバカは本当にどうしようもない奴だから‼︎」

「分かりました、しのぶさん!」

「分かるな‼︎」

 

 幸い炭治郎君はアオイみたいに真面目だからよかった。むしろこのバカの方が炭治郎君に教わるべきだと思うくらい。歳下の方がしっかりしてるとか、恥ずかしくないのかな?

 

 そんな事を思っていると、

 

「あの、話変わるんですけど………2人は付き合っているんですか?」

 

 善逸君が変な事を聞き始めた。またこう言われるのか。

 

「そんなわけないだろ。こんな性格キツい女と誰が付き合うか。」

「私もこんなバカは願い下げよ。」

「よかった〜♪こんな感じの人がしのぶさんみたいな美人と付き合ってるとか、嫉妬で気が狂いそうでしたからね〜♪」

 

 バカにするならいいか♪

 

「お前俺のことバカにしてんのか⁉︎俺はモテすぎて女の子が遠慮しちゃう類の人間なんだぞ‼︎」

「そういうのをモテないって言うんですよ!」

「もっと言ってあげて!このバカ鬼ですらナンパするアホだから!」

「マジでバカじゃないですか⁉︎」

「誰がアホだって⁉︎俺は頭いいだろうが⁉︎」

「その返しが頭悪いんだって!」

 

 どうやら新人隊員にコテンパンに言われている様子。これなら合同任務にした甲斐があるな。コイツもちゃんと新人を見習って、立派な隊士になって欲しい。もう柱だけど。

 

「ちなみにお前ら、しのぶがしっかりしていると思っているだろうが………コイツは拾ってきた女の子にトビウオとか名付けるようなアホだからな。」

「「えっ………?」」

 

 そんな事を思っていたら、コイツが勝手に人の恥ずかしい話を暴露しやがった。

 

「ちょっと‼︎勝手にバラさないでよ‼︎」

「他にも好かれるためには心拍数を上げるがうんたらとか、的外れな天然発言ばかりでな。」

「バラすなって言ってるでしょ‼︎」

「へ〜、しのぶさんって天然なんですね!いいと思いますよ!」

「炭治郎君、それ褒めてるの⁉︎」

「とても可愛いです………が、俺には禰豆子ちゃんがいるので………」

「なに私がフラれたみたいになってんのよ⁉︎」

 

 自分が恥をかいたからって、私まで巻き添えにしなくていいのに‼︎ホント腹立つ‼︎

 

「そんな事よりオレと勝負しろ‼︎」

「それは無理だ。いいから任務行くぞ。」

「アンタが言うと違和感しかないわね………」

「早く帰って博打したいしな。」

「違和感全くないわね。」

 

 そんな事を思いながら、私たちが鬼がいる屋敷へと向かったのだった。

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