side しのぶ
私とサイコロステーキは新人3人を連れて、鬼の住む屋敷へとやってきた。
「ここが鬼が出ると噂の屋敷か………」
「人は住んでなさそうね。」
その屋敷はとても古びていて、掃除が行き届いてる様子が全然無い。壁なども傷だらけで荒廃しており、人間が住んでいるとは言い難かった。
「じゃあお前ら、ここで何をする?」
そして、サイコロステーキが新人に質問する。意外にもちゃんと教育してくれるのね。関心関心。
「突撃だぜ‼︎」
「それは良くないな。」
「なんでだ⁉︎」
「闇雲に突っ込むだけでは、相手の罠にハマるかもしれないだろ?」
「そんなのオレが突っ切ってやる‼︎」
「それで死んだら意味無いぞ。」
名前が分からないけど半裸の猪君は突っ込む様子。まあさっきも突っ込んできたし、普段から戦闘狂なのだろう。サイコロステーキとは真逆の性格だ。
「ならば、慎重に進みます!」
「炭治郎、いい考えなんだが、どれだけ慎重に進んでも無理な時はあるぞ。」
「その時は頑張って戦うまでです!」
「2人とも根っこが脳筋だな。」
炭治郎君は真面目に頑張る様子。私ならこれで正解にするんだけど、コイツは絶対正解にしないだろう。私が代わりに正解にしていいかな?
「えっと………怖いんで帰ります………」
「善逸、正解………」
「えっ⁉︎」
「にしたいんだが、しのぶがいる時は怒られるからな。残念だ。」
「私がいなくても帰るんじゃないわよ‼︎」
「ですよね………」
コイツは何を正解にしようとしてんの⁉︎完全なサボりじゃん‼︎余計な事を教えるなっつーの‼︎善逸君臆病そうだから本当に帰っちゃうじゃん‼︎
「じゃあどうすんだ、アホヅラ‼︎」
「アホヅラじゃねえ、サイコロステーキだ‼︎」
そんな事を思ってたら、猪君が面白い事を言ってくれた。確かに名前紹介してないけど、アホヅラって………っw。サイコロステーキよりピッタリな名前じゃん!
「ぷっ………w」
「おいしのぶ、笑うな!」
「いい名前じゃんw。似合ってるよw」ツンツン
「うるせえ‼︎」
「サイコロ………?旨そうな名前だな。」
「よく言われるぜ。ちなみにお前は?」
「伊之助だ!」
「伊之助か、よろしくな!ちなみにこっちの怖いのはしのぶ。」
「誰が怖いって?」
「そうか、分かった!」
「分からないで!」
それにしても、コイツの正解はなんだろう?慎重すぎず大胆すぎず、かつ逃げない。となるとまさか………
「それはさておき、正解はこれだ。火をつける‼︎」ボッ
やっぱり‼︎コイツすぐ放火するんだから‼︎
「ちょっと、何してんのよ⁉︎」
「ここ人の家ですよ⁉︎ダメでしょうそんなことしちゃ‼︎」
「炭治郎君の言う通り‼︎というか前もやって怒られたでしょ!」
「そんな事よりも、この家を燃やせば鬼が昼間に隠れるところを無くせるだろ?そうしたらあとは日光で炙られるだけ。危険を犯さず鬼を退治できる、簡単な手法だ!」
「変な事を新人に教えるな!」
これで放火魔が4人に増えたらどうすんだよ‼︎火をつけるわ勝手に塗装するわ糞尿垂らそうとするわで、ホントろくな奴じゃないんだから‼︎
「それに、中に人質がいるんですよ!」
「えっ、いるの⁉︎」
「そう言うことは早く言え!消すぞ!」
「逆にいなかったら消さないんですね………」
そんな事を思ってたら、人質の存在が判明し、慌てて消火することになった。いつものように放尿して消そうとしなくてホッとしたのは何故だろうか。普通の人ならそんな事しないのに。
「となると、やっぱり中に入るしかねえよな‼︎行くぜ‼︎」
「そうなっちまうな。ただ、楽に進む方法ならある!」
「「「楽に進む方法?」」」
そんな事を思っていると、アホヅラが少しニヤけ始めた。ここから楽に進むって、相当難しいけど。全員で分担して辺りを見渡す?それとも鬼を誘き寄せる?
「家の一部を壊して、中に日光を入れるんだ‼︎」
そんな事を思っていると、アホヅラが平然と器物損壊をし始めた。
「ちょっと‼︎人ん家勝手に壊しちゃダメでしょ‼︎」
「これは鬼との激闘の末壊れちまった。決して俺が自発的に壊したわけじゃない。いいな?」
「よくない‼︎またアンタの給料無くなるよ⁉︎」
「そんな横暴はダメだ。労働者に対して経営者が適切に給料を払わないのはおかしいだろう?」
「こういう時だけ頭いいとこ発揮するな‼︎」
コイツは自分のためなら何をしてもいいと思っているのだろう。ホントクズだ。お館様がアンタの賠償金にどれだけ払っているのか、ちゃんと考えたほうがいいと思う。
「それより人質が危ないです!中に入りましょう!」
「人質がいなければ楽な仕事なんだけどな。仕方ねえ、中に入るか。」
「最初っから入りなさいよ‼︎」
という事で、私たちはサイコロステーキの無駄な講義で時間を潰してしまったのだった。
中に入ると、そこはだいぶ薄気味悪かった。
「猪突猛し………」
「待て、伊之助。俺たちから離れるな。」
「なんでだ⁉︎オレは待ってられねえぞ‼︎」
「1人で突っ走って分断したら相手の思うツボ。鬼は強いんだから、こっちが1人で立ち向かうのは不利だ。多人数で挑めるならその方がいい。」
「オレの方が強えから大丈夫‼︎」
「大丈夫じゃねえ。いいから大人しくしてろ。」
そして、突進しようとする伊之助を諌めるサイコロステーキ。こういうところはちゃんとしてるんだよなぁ。ホント、頭がいいのか悪いのかわからない奴だ………
ポン!
そんな事を思っていると、不気味な
「瞬間移動⁉︎」
「なんだ、これ⁉︎」
「琵琶鬼みたいな奴か………」
まさか琵琶鬼と同じような血鬼術か⁉︎そうなると新人隊士には荷が重い‼︎ここは私たちでなんとかしないと‼︎さて、どんな鬼が来る⁉︎
「小生の屋敷に………えっ、多すぎではないか?」
「マジ⁉︎こんなに鬼狩り入ってきたの⁉︎」
「えっと…………」
瞬間移動した先では、身体中に鼓が生えた大柄な鬼と、カナヲくらいの背丈の女の鬼、そして人質とみられる男の子が居た。大柄の鬼には目に下陸とその上からバツ印が書いてあった。恐らく下弦の鬼なのだろうが、数字の上のバツ印はなんだ?
「ねえ、サイコロステーキ!片方下弦じゃない?」
「そうだな。めちゃくちゃ逃げたいが、琵琶鬼みたいに出られない可能性もある。」
「けっこうマズイわね………」
今度こそまともにやり合わなきゃいけない下弦。しかも味方つき。これは新人にやらせる難易度じゃない。とりあえず、相手の出方を伺うか………
「とりあえず、アンタがやりなさい。私はその間に稀血の子を食うから。」
「小生は其奴を食べて十二鬼月に返り咲かねばならぬ。それに貴様は勝手に居候してきただけ。小生の獲物を奪うな‼︎」
「は?私に逆らうっての?私一応累から力もらってるんだけど?繭にぶち込んで衣ひん剥いてやるわよ?」
そんな事を思っていたら、相手が仲間割れし始めた。というか、元から仲間じゃなかったのかも。それに女の方の鬼、なんだかこの間山を燃やした時にいた下弦の伍の面影を感じる。
「しのぶ、ひとまずは人質の確保だ。」
「そうね。」
「それと、新人たちは下がってろ。」
「なにっ⁉︎オレじゃダメなのか⁉︎」
「一旦俺としのぶで小手調べだ‼︎」
とりあえず、私とサイコロステーキの連携を見せてあげる………っ‼︎
「俺の強さを見せてやる‼︎賽の呼吸 壱ノ目 双六‼︎」
「なにアンタ?全然距離足りてないじゃない?」
「出目が微妙だったんだよ。俺の呼吸は全てサイコロの出目で決まるからな。」
「頭おかしいんじゃないの⁉︎」
サイコロステーキが相手の注意を引き………
「それより貴様、人質はどこだ⁉︎」
「はぁ⁉︎私も知らないわよ‼︎」
「遅いのよ、アンタたち!」
「助かり………ました!」
「まだ終わってないよ。気をつけて。」
その隙に私が高速で走って人質を奪取する。2人とも全然私の速さについていけないようだ。これならそこまでの強敵じゃないわね‼︎
「よしっ、じゃあ後は新人の番だ!お前らならやれる‼︎」
「大変そうなら私たちが助けるから、頑張って!」
「はい、頑張ります!」
「っしゃあ‼︎猪突猛進猪突猛進‼︎伊之助様のお通りだ‼︎」
「zzzzzz」
「「寝てる⁉︎」」
若干一名寝てるのが気になるけど、寝ながら動いているからよしとしよう。夢遊病の疑いはあるけど、それは屋敷についてから診察するとするか。
「水の呼吸 捌ノ型 滝壺!」
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃。」
「獣の呼吸 壱ノ牙 穿ち抜き‼︎」
その後は新人たちの戦う様子を見ていたが、どうやらこのくらいの鬼なら余裕そうだった。むしろ私たちの新人時代より全然強くて、とても頼りになる後輩だと思った。
「よしっ、アイツらに任せて帰るか!」
「ダメでしょ‼︎ちゃんと見届けないと‼︎」
隣のバカよりよっぽどしっかりしている。むしろ見習ってほしいと思ったくらいだった。
しばらく待っていると、
「終わりました!」
「全然ザコだったじゃねえか‼︎」
「zzzzz」
新人たちが鬼を倒して帰ってきた。とても元気そうだった。これは励ましの言葉をかけてあげないとな‼︎何がいいかな?3人の気持ちを昂らせるような言葉を……………
「むー!」
「「えっ?」」
そんな事を思っていたら、炭治郎君の背負っている箱から、なんと鬼の女の子が出てきたのだった。
大正こそこそ噂話!
累の姉は山火事に遭った時、爆速で山から山へと逃げて無事だったのさ!その後いろんなところに隠れながら移動して、最終的に響凱の家に不法侵入したんだよ!