side しのぶ
綺麗な星空が澄み渡る夜、私は任務に向けて準備をしていると………
「しのぶ、100年後の未来ではパチンコっていう博打が流行ってるらしいぜ!」
同じく準備をしているサイコロステーキがしょうもない事を言ってきた。
「あっそう。お館様にでも聞いたの?」
「いや、さっきの夢で見たんだ!こう弾を飛ばして穴に入れてな、回るくじが引けるんだ。そして当たったら大金持ち‼︎凄いだろ?」
「はいはいすごいねすごいね。」
「お前冷めすぎだろ!もっと博打に熱くなれよ!」
「なるわけないでしょ‼︎アホか!」
寝てる時も博打してるとか、ホント狂ってるわね。しかも未来って。そんなものに私が興味湧くわけないだろうに。
「にしても、俺の夢をこの手で再現できないかな………」
「100年後の未来の物なんか作れるわけないでしょ。」
「それは分からんぞ。俺が発明して爆儲けするかもだぜ〜?」
「そんな簡単に出来ると思う?」
「思わないから、俺はパチンコ作りのために鬼殺隊を休職します‼︎」
「するな‼︎」
「あっ、休職手当はちゃんと貰わないとな。」
「金までせびるんじゃないわよ‼︎」
挙げ句の果てに仕事をサボろうとする始末。更には金までもらおうとする始末。たまに始末したい衝動に駆られるのも仕方ない。頼むからお館様はコイツの面倒を他の人にもみさせて欲しい。最高位である柱の面倒をみるってホント恥ずかしいけど。
そんな事を思いながら、私とサイコロステーキは廃墟街に着くと………
「またもや鬼狩りが2人………いつも上質な人肉をくれてありがとう。私は
非常に紳士的で気味の悪い燕尾服の鬼がそこで待っていた。この廃墟街では今までに多くの人間や隊員が亡くなっている。というかこの街にいる人間をこの鬼が食い尽くしてしまった。鬼殺隊として発見が遅れたのが本当に不甲斐ない。そして、それだけ多くの人を食ったこの鬼が憎たらしい。
「悪いな、おっさん。うちは人肉提供会社じゃねえんだ。俺のパチンコ作りのためにも、さっさと消えてくれ。」
「なるほど、片方は非常に質の悪い肉だな。脳みそに何も詰まってないと思われる。」
「それを言ったらもう片方には毒があるぜ。だから食わない方が身のためだ!」
「いや、私毒無いんだけど*1。」
「性格悪いって事だよ、しのぶ。」
「うるっさいわねこのバカ‼︎」
それにしても、この鬼には目に何も書いてない。ということは十二鬼月ではないということ。それなのにこれほどの数の隊士を屠っている。これは何か仕掛けがあるな。警戒しないと………
「いいや、十分可愛らしいじゃないか。気に入った。お嬢さん、私と一緒に過ごさないか?鬼として。」
そんな事を思っていると、絵描き鬼が変な事を言い始めた。
「はぁ?私が鬼になるわけないでしょ‼︎」
「そんなお怒りなさんな。鬼というのは素晴らしい生き物なのだよ。寿命なんて気にしなくてよいし、体力も無限だから好きなだけ遊ぶことができる。どうだい、君もならないかい?」
「なるわけないでしょ‼︎とっとと死になさい‼︎」
にしてもあの鬼もあの鬼で腹立つな………っ‼︎人を喰らう醜い鬼に誰がなるってのよ‼︎私の両親を殺した存在に……っ!アオイの心を壊した存在に………っ!それくらいだったら、隣にいる頭の悪い男と一緒にいる方がマシだ‼︎頭が湧き上がるような怒りをこのままぶつけてやる‼︎
「蟲の………」
「待てしのぶ。突っ走るなといつも言ってるだろ。隊士が何人も死んでるんだから、十二鬼月じゃなくとも強いはずだ。そんな相手と考えなしに戦うな。」
「でも…………っ!」
「心は熱くてもいいが、頭はちゃんと冷やせ。いいな。」
「分かったよ…………」
サイコロステーキにたしなめられ、一旦前に出るのをやめる。確かに無策で突っ込むのは良くないけど…………
「頭を冷やす。いい言葉だね。お嬢さんも一回冷静になって、隣の阿呆が本当に相応しいか考えてごらん?」
「誰がアホだって⁉︎殺す……っ‼︎」
「アンタが突っ走ってどうすんのよ⁉︎それに私はコイツと恋仲じゃないから‼︎」
「はて?そうは見えないが………」
「「見えろ‼︎」」
そんな事を思ってたら、今度はコイツが突っ込もうとした。ちょっと前に自分が言った事覚えてる?いや、覚えてないな。だって毎回負けて金が無くなるのに、諦めずに博打し続けてるのだから。
「まあいいや。君たちには私の血鬼術で苦しんでもらおうかね。」
そんな事を思ってると、鬼が自分から技を見せようとしてくれた。さて、どんなのが来る?
「血鬼術
そう言うと鬼は絵筆と紙を取り出し、紙に小さな鬼を描いた。そして鬼の手前あたりから本物の小鬼が出現した。絵で描いたものを実物として召喚する、絵描きの鬼らしい攻撃だ。
「なるほどな。描いたものを生み出せる血鬼術ね。」
「ご名答。君はやはり賢いね。どうだい、私と一緒に……」
「暮らさないから‼︎」
「ならば小鬼たち、彼女を拉致しなさい!」
「捕まるか!蟲の呼吸
描いたものを生み出して、それを操る血鬼術。仕組み自体は分かりやすいけど、色んなものを描けば自分の手先が作れる凶悪さ。なるほど、これは厄介ね。とりあえず小鬼たちは毒を撒いて殺すとして………
「賽の呼吸 壱ノ目 双六!」
「突っ込むだけ。やはり君は頭悪いね。血鬼術 無限描画 鬼の
マズイ!サイコロステーキが突っ込んだ先に棘の壁が出現!ヤバいっ、このままじゃ串刺しになっちゃう!
「アンタ、危ない!」ぐっ
「しのぶ、助かる!出目が出てたからヤバかったぜ!」
「気をつけてね。」
「おうよ!」
なんとかギリギリで引っ張り、止めることができた。本人が急に止まることが出来たのも大きいけど。私の力だけじゃ足りなかったし。怖すぎる!
「連携できるんだね。羨ましいよ。血鬼術 無限描画
「「危なっ!」」
今度は空から炎の槍が飛んできた!危なすぎる!ホントになんでも出来るのね!絵に描いたものを出す。一見すると単純な血鬼術なんだけど、なんでも出せるという圧倒的な多様性。そして距離があっても発動できる攻撃。おかげで近づくことすら出来ない。
「吹き飛ばすか!賽の呼吸 肆ノ目 嵐……っくそ、外した!」
「外した?軌道は合ってるように思えるが……」
「サイコロ振ってゾロ目が出なかったんだよ!」
「サイコロを振って攻撃を決めてるのかな?君、やはり頭が悪いね。」
「うるせえ!」
サイコロステーキも距離をとりながら攻撃するが、いかんせん運頼みのため外すとどうしようもない。さて、どうすべきか………?
「そんな君には、素敵な贈り物をしよう。」
「「贈り物?」」
そんな事を思っていると、絵描き鬼がおかしな事を言い始めた。贈り物?これは攻撃がくるっ!警戒しないと!
「血鬼術 無限描画
そんな事を思っていると、なんと絵描き鬼がおじさんとおばさんを出現させた。血鬼術に続く人の名前、そして何やら見たことのあるような顔つき。これはまさか………っ!
「親父にお袋か………」
「その通り、君のご両親だね。」
嘘でしょ?人間すらも生み出せるの?というかコイツの親のこと知ってるってこと?
「私は死者を呼び起こすことが出来るんでね。君に顔が似ていて、苗字がそれっぽい2人を選んだら正解だったよ。」
「なるほどな。俺の親に俺を殺させようってか。」
「正解。少しは賢くなったようだね。」
死者を呼び起こす………?まさか死んだ人すら描いて生み出せるってこと?そんな事も出来てしまうなんて………
「
「アンタを産んでホント後悔したわ。」
「喋ることもできるのな。」
「もちろん。好きな事を言わせられるんだよ。」
しかも喋る。自分の意のままに操れる。これはまさに死者への冒涜だ‼︎こうやって大切な死者を呼び出して、動揺したところを殺したって事⁉︎本当に許せない………っ‼︎
「それじゃあ2人とも。彼を殺しなさい。」
「おうよ!」
「もちろん!」
サイコロステーキの手を汚させる前に、私が………っ‼︎
「賽の呼吸 肆ノ目 嵐‼︎」
「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」
「しゃあ‼︎当たったぜ!参ノ目にしなくてよかった!」
そんな事を思っていたら、サイコロステーキがあっさり攻撃して両親を吹き飛ばしてしまった。更には絵描き鬼の紙まで吹き飛ばした。
「アンタ………」
「嘘だろう?君の両親だよな?」
「残念だったな‼︎俺は両親と仲悪かったんだぜ‼︎だから何も心が痛まない‼︎むしろ俺の給料にしか見えねえなぁ‼︎」
「君はそんなに屑だったとは………っ‼︎」
なるほど、サイコロステーキは親と仲悪かったから心が痛まないのか!なんなら酷い虐待受けてたし‼︎更には本人の太々しさ。被虐待児は普通怯えてしまうけど、コイツは違う‼︎
「アンタの方がよっぽど屑よ。死者を冒涜するなんて‼︎」
「知らないね。どうせ死んだら何も残りやしないし。」
「想いは受け継がれるのよ!」
「確かに、父親の女好きと母親の博打好きが受け継がれたな。」
「「それは受け継ぐな‼︎」」
普段はイラつく性格だけど、今はそれが頼もしい‼︎だから私も、コイツを助ける……っ!
「そんな事より、私の画用紙が………」
「蟲の呼吸
こうして私は剣を鉄砲の構えで鬼に向け、そこから大量の毒を発射して絵描き鬼にぶっかけた。それはまるで、ナゲナワグモが獲物を捕まえるときに縄を投げるように。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ‼︎毒、毒かぁ‼︎」
「ご名答。そのまま苦しんで死になさい。」
「賽の呼吸 参ノ目………」
「なんで………この私が………」
「は使わなくて済みそうだな。」
幸い絵描き鬼は本体が弱かったため、毒を浴びただけで朽ち果てた。血鬼術が強力な分、本体は全然鍛えてなかったのね。
「十二鬼月じゃなくてよかったな。これで身体も強かったらたまったもんじゃねえぜ。」
「そうね。」
それにしても、偽物とはいえ実の両親を手にかけたサイコロステーキ。いくら仲悪かったとはいえ、思うところはあるはず。それを迷わずに倒してくれた。私だったら無関係の人だから楽に倒せたのに。
「ごめんね、サイコロステーキ。アンタに辛いことやさせちゃって。」
「辛いこと?そんなのいつもやらせてるだろ。博打やるなだの仕事しろだの……」
「そうじゃないって!アンタの両親のことよ!」
「仲悪いって言ったろ。俺は大丈夫だから心配するな。」
「でも………」
「それに、俺の両親で良かったと思ってる。もしお前のだったら、仲良かったから大変だったろ。」
「それは………」
確かに、あそこで私の両親が呼び出されていたら………。言いたくもない私を蔑む言葉を言わされて、やりたくもない殺し合いをさせられる。もしそうなったら、私が耐えられなかったかもしれない。そんな私のことまで気を遣ってくれるなんて………
「サイコロステーキ、ありがとう……///」
「よしっ、お礼に金くれ‼︎」
「それは嫌‼︎」
「なんでだよぉぉぉぉぉ⁉︎」
そんな彼の優しさに触れた1日だった。
大正こそこそ噂話
しのぶの剣は銃のように毒を飛ばすことが出来る仕組みにしたよ!中の毒をその場で調合できたりするんだから、銃にすることも出来そうだよね!これも担当者の鉄地河原さんの技術!すごいね!