サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第十七話 虹色の悪魔

  side しのぶ

 

 嘘でしょ?上弦の弐………?こんな時に、1人で………?

 

「………っ!」

「あっ、腰のそれ刀でしょ〜!ということは鬼狩り?わ〜、すごいな〜!こんな可愛い鬼狩りがいるなんて!」

 

 柱3人分とも言われる上弦の鬼。しかも上から2番目。それを非力な私が単独で勝てるなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない。更に近くには誰もいない。鎹鴉が察知して私の元に来て事実確認。それから他の柱を呼ぶまで、一体どれほどの時間を稼げばいいのか………

 

「ねえねえ、名前教えてよ〜!」

「アンタに教える名前なんて無い。」

「え〜、つれないな〜!街の人たち襲っちゃうよ?」

「蟲柱・胡蝶しのぶ………っ!」

「わぁ、しのぶちゃんって言うんだ!可愛いね!柱には見えないけど、強いんだ!すご〜い!」

 

 アイツだったら、一目散に逃げるんだろうな。こんな私を見て、馬鹿だなって思うんだろうな。でも私は逃げられないよ。街の人たちを守らなきゃ。もう私みたいな被害者は出さないって、決めたのだから………っ!

 

「遺言は終わった?それじゃあ死ね‼︎」

「え〜!ちょっと待ってよ〜!酷いな〜!」

「蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ‼︎」

 

 強い力で踏み込み、そのまま一気に相手の喉元へ突っ込む。そしてその勢いのまま相手を突き、体内に毒を流し込んでいく。

 

「くはぁ!全然見えなかったよ!君速いね!」

「それはどうも。」

「これは………毒かな………っ⁉︎」

「ご名答。そのまま死になさい。」

 

 このまま死んでくれたらいいんだけど………。上弦の弐がこんな簡単に死ぬわけない。まだまだ毒を入れないと………

 

「あっ、毒分解出来ちゃった♪ごめんね〜、しのぶちゃん!」

 

 嘘でしょ⁉︎早くない⁉︎これが上弦の力なの⁉︎予想以上なんだけど………っ‼︎

 

「それじゃあいくね!血鬼術 粉凍り!」

 

 そして、次は鬼の攻撃が来る‼︎扇を振って放たれる氷の霧。ただ寒いだけに思えるが………。こんな時、アイツなら絶対油断しないだろう。これが攻撃なら、何かあるはず‼︎とりあえず当たらないように、吸わないように‼︎

 

「おっ、吸わないんだ〜?もしかして知ってた、しのぶちゃん?」

「もちろん………ね。」

 

 ハッタリ。だが相手は嘘をついているとは思っていない様子。あと名前を呼ぶな‼︎

 

「すごいね〜!これ吸った人すぐに肺胞が壊死しちゃうのに〜。」

 

 そういうタネかよ………っ。これじゃあまともに呼吸使えないじゃん‼︎こっちは呼吸で身体強化してるのに‼︎ふざけるなし………っ‼︎

 

「こっちも吸った鬼の細胞を壊死させる毒を使うからね!」

「似たもの同士ってことだね!俺たちお似合いだね、しのぶちゃん!」

「うるさい‼︎死ね‼︎」

 

 誰が鬼なんかとお似合いだっつーの‼︎ふざけるな‼︎このまま殺してやる‼︎

 

「蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞 複眼六角‼︎」

 

 六方向から大量の毒を一気に注入する。もちろんさっき調合は変えた‼︎さっきのがダメなら、これで………っ‼︎

 

「酷いぜしのぶちゃん!血鬼術 蓮葉氷!」

「くっそ………!」

 

 蓮の葉の形状の氷‼︎冷気で髪が凍る!手が(かじか)む!吸わないように意識しても、どうしても少し入ってしまう‼︎

 

「が………っは!」

 

 少しの氷でこの威力‼︎思わず咳き込んでしまう。対して鬼は全然余裕な様子。なに、また毒分解したの⁉︎

 

「ごめんね〜、これも分解出来たみたい!」

「くそ………っ‼︎」

「しのぶちゃんは耐性無さそうだね。まあその身体の小ささなら、身体弱くても普通か!」

 

 そうだよ………っ‼︎全然身体大きくならないんだよ‼︎アイツが美味しいご飯も作ってくれるのに‼︎医者の傍ら日々鍛えているのに‼︎自分にもこの鬼にも腹が立つ‼︎

 

「蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹‼︎」

 

 そして、ムカデのように蛇行して撹乱しながら相手に接近し、毒を打ち込む!調合も変えた‼︎頼む、少しくらい痛みを覚えてくれ‼︎

 

「ぐはっ!毒を喰らうの癖になりそう‼︎」

 

 なんでだよ………っ‼︎全然ダメなのかよ………っ‼︎

 

「血鬼術 凍て曇‼︎」

 

 くそっ!また冷気‼︎寒い、きつい‼︎もしかしたら目もヤバいかも‼︎守らないと‼︎

 

「しのぶちゃ〜ん、目を閉じないでおくれよ〜。せっかく凍らせようと思ったのにさ〜。」

「ごっほ………っ!」

 

 咳に血が混じってきた。全然吸ってないのに。なんでこんなに私の身体は弱いんだ……っ‼︎しかも足まで凍った‼︎動けない………っ‼︎くそっ、これじゃあ他の柱が来るまで持たない。

 

「もうダメそうだから、楽にしてあげるね。血鬼術 冬ざれ氷柱。」

 

 上から大量の氷柱。避けられない。もうダメだ。私死ぬんだな………。最期にサイコロステーキのご飯、食べたかったなぁ。アイツは今頃大当たりしてるから、多分来ないだろうなぁ。そうじゃなくても、こんな強敵のところにわざわざ来ないだろうし。こんな事になるのなら、私も一緒に博打してればよかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「賽の呼吸 弐ノ目 丁半‼︎」

 

 嘘…………でしょ?

 

「氷柱を返された………?」

「鬼さんよぉ、人が博打で大当たりしてる時は大人しくしててくれよ。せっかくの稼ぎ時が台無しだぜ‼︎」

 

 サイコロステーキ……?

 

「アンタ、なんでここに………?」

「お前に貸しを作るためだよ‼︎」

 

 絶対嘘だ………。いつもなら強い鬼と当たりたくないだの、博打したいだの言うのに………。こんな私を助けに来てくれた………。自分は絶対来たくないだろうに………

 

「ありが………とう………///」

「とりあえずお前は隠と一緒に自分の手当てしてろ。」

「でも私、足が凍って………」

「ほい、火。これで溶けたか?」

「うん…………///」

「じゃ、いってら。」

「氷の粉、吸わないでね………」

「おうよ。」

 

 それでも私を助けてくれた。今日ばかりは、本当に惚れてしまいそうだった。

 

 

 

 

 

  side 童磨

 

 しのぶちゃんが下がって代わりに男か〜。しかも博打狂い。どうやら俺の知らない呼吸を使っているし。これは今までにない情報。とりあえず様子見しておくか………

 

「にしても、一発で丁半が成功するとは………っ!今日はやっぱりツイてるな‼︎」

「博打絡みの呼吸かい?変わったのを使うね。」

「これしか出来ねえからな‼︎」

 

 今の発言からするに、技が成功するには確率が絡んでいる様子。しかしそんな不確定な技しか出来ないのに、こんなに自信満々。さてはこの男、頭が悪いのか?

 

「まあ、最近新しいのも取り入れたんだけどな!」

「新しいの?」

「いけ、日輪パチンコ‼︎」

 

 そういうと彼は小さな鉄の球を、Y字型の竿に糸がついている武器を使って飛ばしてきた。どうやら糸を引いて球を飛ばしているみたい。変わった武器だな。

 

「パチンコ………?」

「お前知らねえのか‼︎100年後の日本で流行っている有名な博打、その原型だぞ‼︎」

「絶対違うと思うけど………」

「それを今から俺が作るんだ‼︎」

 

 そして、予想通り彼は頭も悪い様子。かわいそうに、未来がわかる人間なんて存在しないんだよ。それにただ球を飛ばしてるだけなのに、これが博打になるわけないだろう。

 

「くそっ、にしても全然当たんねえ‼︎お前さては釘調整したな⁉︎」

「いや、当たってるけど。首を斬るほどの威力は無いけどね〜。」

「そうじゃねえって‼︎まず確変すら引かねえじゃねえか⁉︎演出も全然無いし………。お前本当にパチンコか?」

「そんなわけないよ。」

「嘘…………だろっ⁉︎」

 

 ただ、これはこれで遠距離攻撃として成立している。しのぶちゃんよりも力が強いから、普通に氷を弾き飛ばされるし、扇も破壊される。更には彼は着火剤を持っていた。もしや下弦の伍が住む山が燃えたのって、彼のせいか…………?

 

「そんな、完成にはまだ程遠いのか…………」

「一生完成しないと思うよ。お前の頭じゃ。」

「黙れ‼︎俺は頭がいいんだ‼︎そして顔もいい‼︎」

「そんなに良く見えないけどなぁ〜。」

「あぁ⁉︎」

 

 火をつけられるなら、俺の血鬼術と相性が悪い。なぜなら氷を溶かされるから。さて、ここはどう出るべきか…………

 

「サイコロステーキ先輩………助けに来ました………」

「カナヲ、ありがとう‼︎」

「しのぶを虐めた鬼はあれかしら〜?」

「そうです、カナエさん!」

 

 そんな事を思ってたら、援軍が到着してしまった。人数は2人。でも女の子だぁ〜♪

 

「おっ、可愛い子が2人も!今夜はいい夜だ!」

「残念だったな!この2人は俺の嫁だ‼︎」

「違うわよ〜♪」

「違います…………」

「だろうね。」

「なんでだ⁉︎」

 

 これはいいご馳走になりそうだなぁ〜♪

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