サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第十八話 鼻垂れ小僧の妄言祭り

  side カナヲ

 

 しのぶ師範とサイコロステーキ先輩は私を空虚な人生から救い出してくれた。そんな人生の恩人が、かたや怪我をさせられ、もうかたや今もなお戦っている。そんな2人に恩返しをするためにも、私が頑張らないと………っ!

 

「それじゃあカナヲ、ノリ打ちするぞ!」

 

 そんな事を思ってたら、サイコロステーキ先輩が変な事を言い始めた。

 

「ノリ打ち…………?」

「一緒にパチンコを打つって事だ!」

 

 なるほど、そういう事ですか………

 

「私は目押しが出来るスロット*1の方がいいです………」

「そうか、カナヲはスロット派だったもんな!わりいわりい!」

「パチンコ………?スロット…………?」

「どっちも打てないよ?」

「打たせろ‼︎」

「無茶苦茶過ぎないか………?」

 

 前に先輩から聞いた100年後に流行っている博打。そこでは回っているくじを目で見て止めるというものがあるらしい。今はどう考えても打てないけど、長生きしたら打てるのかな………?

 

「つーことで、日輪パチンコだ‼︎」

「サイコロステーキ、私も合わせるわ!花の呼吸 肆ノ型 紅花衣!」

 

 そんな事を思ってると、先輩がパチンコで日輪玉を飛ばし始めた。名前はふざけているけど、中身はちゃんとした遠距離攻撃。そして、カナエ師範がパチンコ玉の合間を縫うように前進しながら攻撃。すごい、これが柱同士の連携………

 

「ならば俺はこれで!血鬼術 寒烈の白姫!」

 

 それに合わせて鬼が白い女の像を2つ出してきた。そしてその像が吹雪を撒き散らす。

 

「うわっ、可愛いお姉さんたちじゃん!どっちも俺にくれ‼︎」

 

 そして、サイコロステーキ先輩が痴態を撒き散らす。

 

「いや、それは無理だね………」

「なんでだよ⁉︎女の子の1人や2人くれたっていいじゃねえか‼︎」

「これ、俺が作った氷像だし………」

「花の呼吸 壱ノ型 枝垂桜(しだれざくら)。」

「カナヲォォォォォ‼︎お姉さんを壊すなよぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 見苦しいので、上から下へと落ちるような斬撃で像を壊す。先輩にはしのぶ師範がいるのに、これは良くないと思う。

 

「お前は俺の味方なの?敵なの?」

「敵だぜ。だって俺のことバカにしたし‼︎」

 

 それはそうと、先輩が鬼を引きつけてる隙に………カナエ師範との連携を見せる時。

 

「「花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬!」」

「2人一気に花の呼吸!いいね!」

 

 1人で9連撃、2人合わせて18連撃を鬼のいる前方に飛ばす。師範の強い威力と私の弱い威力が合わさって、不規則な威力の斬撃になる。普通の鬼ならこれですぐに死ぬけど………全然元気。受けた傷もすぐ回復してしまった。上弦の弐はやっぱ強い………っ!

 

「パチンコの呼吸 金保留‼︎」

「さっきと一緒では?賽の呼吸は使わないのかな?」

「お前顔キモいから近づきたくねえんだよ!」

「お前の方がキモいけどなぁ〜。」

「うるせえ‼︎」

 

 そして、合間合間に先輩がパチンコ玉を飛ばす。賽の呼吸は運要素がある上に、当たってもそれが強敵に通用するか分からない。普通の鬼なら当たりが有効打になるけど、強い鬼ならば当たってもかすり傷にしかならず、危険を伴うだけ無駄ということか。

 

「まあいいや。もっとみんなの技見たいな〜。ほらっ、出してよ!俺が全て受け止めてやるからさ!」

「黙れ‼︎寒くてションベンが出ねえんだよ‼︎」

「おしっこは技じゃなくない?」

「花の呼吸 参ノ型 朝露(あさつゆ)紫陽花(あじさい)!」

「花の呼吸 弐ノ型 御影梅!」

「こういうのだよこういうの!やっぱり女の子は違うね!」

 

 先輩が会話して気を逸らし、その隙に姉さんが背後に回り込んで一突きする。そこを回避したところに私の連撃を喰らわせる。作戦通り、相手は攻撃を受けてくれたけど………瞬く間に全部回復してしまった。あまりにも傷の治りが早過ぎる。これが上弦なのか………

 

 

 

 

 

 

  side しのぶ

 

 口の中に氷の粉が少し入っちゃった。これは軽く熱して溶かした方がいいか?でも、溶けても鬼の血になるだけで、それは人体には悪影響だ。となると………とりあえず、隠にお湯を持って来させるか………

 

「しのぶさん、大丈夫ですか⁉︎」

 

 そんな事を思っていると、アオイが隠と一緒に駆けつけてくれた。

 

「アンタこそ大丈夫なの?上弦が近くにいるけど………ごほっ!」

「私は大丈夫です!それより症状を………っ!」

「えっとね、鬼の血鬼術の粉氷を吸っちゃって………ごほっ!」

「なるほど、それではお湯………いや、藤の花を煮ましょう!」

「そうね………!」

 

 確かに、熱い藤の花のお湯なら氷も解かせて鬼の血も打ち消せる。アオイも勉強して賢くなったのね。ホントしっかりしてる。あの時蝶屋敷に住ませてよかったわね!

 

 数分後、熱々の液体になった藤の花を飲んだ私はアオイの格好を見て疑問に思った。隊服だけなら元から着てたから違和感無いけど、なんと腰に日輪刀をつけてきたのだ。

 

「アオイ、もしかして非常用に………?」

 

 もし外に出る時は日輪刀があった方がいい。サイコロステーキがアオイに言ってそうな事である。だから万が一に備えて持って来たのかな?でも、アオイは鬼恐怖症で刀握れないんじゃ………

 

「いいえ、違います‼︎」

 

 そんな事を思っていると、アオイがキッパリと言い切った。違う?それじゃあまさか…………?

 

「私も前線に加わります‼︎」

「アンタ、鬼が怖いんじゃ………」

「正直怖いです………でも大切な人が居なくなるのは、もっと怖いんです!」

 

 アオイの復帰。確かに嬉しい事だけど、この子は鬼に心的外傷を負わされている。これは単に臆病なんかじゃなく、立派な病気。だから無理矢理戻らない方がいいに決まってる!

 

「でもアオイのは病気なの。だから………」

「お願いです‼︎私にやらせてください‼︎」

 

 ただ、本人がここまでやりたいと言っている。ならばその意思を尊重して、できるだけ支援するのが医者としての役目だな………っ!

 

「わかった。ただし無理はしないこと。いい?」

「はいっ‼︎」

 

 こうして、アオイは姉さんたちがいる前線に向かっていった。私も咳がおさまったら、戻らないと………っ‼︎

 

 

 

 

 

 

  side カナヲ

 

 アオイが………刀を持ってやってきた⁉︎

 

「えっ…………⁉︎」

「アオイ、大丈夫なの⁉︎」

「お前、鬼が怖いんじゃ………」

「私、皆さんが死ぬのに何もできないのが怖いんです………だから、戦います‼︎」

「「アオイ………っ!」」

「絶対に無理すんなよ。なんかあったらすぐ言え、な!」

「はい‼︎」

 

 一度は鬼に心を壊されたのに、それでも立ち直ろうとする強い意思。まるで何度も私に負けるのに、博打を挑んでくるサイコロステーキ先輩みたいだ。すごいなぁ、私も見習わないと!

 

「うわぁ〜、また可愛い女の子が1人!最高だ〜♪」

「そうだろ?俺の自慢の嫁たちだ。」

「違うよ?」

「違います‼︎」

「違います………」

「お前はいい加減学習したらどうだ?」

「なんでだよぉぉぉぉぉぉ⁉︎宇髄さんは3人も嫁いんのに、俺はダメなのぉぉぉぉ⁉︎」

 

 しのぶ師範も怪我を治してやってくる。そうなったら蝶屋敷勢揃いだ。皆でこの鬼を倒す………っ!

 

(はな)の呼吸 陸ノ型 渦桃!」

(みず)の呼吸 壱ノ型 水面斬り!」

鼻水(はなみず)の呼吸 壱ノ型 使用済み塵紙(ちりがみ)!」

「鼻かんだ後の紙を投げるのやめてくれない?」

 

 私が先陣を切り、それにアオイが続く。更には先輩が訳の分からない事をして、

 

「花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬!」

「そういえば君が一番強いね!柱かな?」

「そうよ〜♪」

 

 姉さんに繋ぐ!長い間一緒に住んできたが故の連携。一人一人は鬼より弱いかもしれないけど、全員で力を合わせて超えていく!

 

「まあ人数も増えたし、俺1人ではキツくなってきたな〜。」

 

 ただ、鬼はそんな事を言いながら余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)。傷もすぐ治り、全てが決定打にならない。それなのに、まさか援軍を呼ぼうとしてる………?

 

「血鬼術 結晶ノ御子‼︎」

 

 そんな事を思っていると、上弦の弐は小さな氷の人形を4体出した。どれも本物に似た形をしており、なんだかそれが嫌な予感を漂わせてた。

 

「この子達はね、全員俺と同じくらいの強さなんだよ。だからこの後はこの子達と戦ってね。」

 

 そして、嫌な予感は的中。放たれた4体は、なんと自分と同じ強さの分身だったのだ。

*1
全部ができるわけじゃないです




原作とは違い、アオイを復活させてみました。
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