side カナヲ
結晶ノ御子。本体と同じくらいの強さの分身を4体も。これは一体どうすれば………
「炎の呼吸 壱ノ型 放火‼︎」ボッ!
「俺の知ってる炎の呼吸と違うんだけど………」
「これが新しい炎の呼吸だぜ‼︎」
「違うと思うけどな。」
そして、それを見たサイコロステーキ先輩がいつものように放火し始めた。するとあっという間に火は広がり、分身の氷人形を瞬く間に溶かしてしまった。
「せっかくの分身ちゃんも、燃えたら台無しだなぁ‼︎」
「小さいからダメだったのか………」
「そのままお前も燃えちまえ‼︎」
「俺は燃えても何の問題もないんだけど……」
鬼を取り囲むように油を撒き、それを伝うように燃え広がる炎。流石は放火し慣れてるだけあって、完璧な布陣をあっという間に作ってしまった。すごい、あっという間に形成逆転だ!これならいける………っ‼︎
「それならこうか………血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩‼︎」
そんな事を思っていたら、上弦の弐がとんでもないものを出して来た。超巨大な氷の菩薩像。なんと2階建ての建物よりも高く、そして部屋一つ分は余裕で入るであろう横幅と奥行きを持っていた。
「デカすぎんだろ…………」
「火が………消された………」
「お前の炎も、圧倒的な大きさの前には無意味だったね。」
「ならば、また放火するまで………っ‼︎」
「さあ菩薩よ、大量の氷を吐き出せ!」
「くっそ………っ!火を点けても消える‼︎」
氷は小さければ炎で溶かしきれる。だがこれくらい巨大な氷ならば、少しは溶かせるものの、全部溶かしきる前に火が冷えて消えてしまう。更には追加で氷を吐き出せる。これはヤバい………っ!なんとか菩薩像を壊して、像の上にいる鬼を叩き落とさないと‼︎
「花の呼吸 肆ノ型 紅花衣!」
「水の呼吸 弐ノ型 水車‼︎」
アオイと連携して菩薩像に襲いかかる。まずは土台を削って…………
カキン‼︎
「「えっ…………?」」
嘘………でしょ?刀が…………折れた*1?
「この菩薩、結構硬い氷を使ってるんだ〜!だから皆の攻撃は効かないよ?」
そんな…………っ!日輪刀すら通らなかったら、どうやって倒せばいいの………っ⁉︎しかも今ので私とアオイは武器無し。完全に役立たずになってしまった。
「それじゃあ押しつぶされようか!」
そして菩薩の巨大な手が降りてくる‼︎マズい、逃げないと………っ‼︎
「花の呼吸 陸ノ型 渦桃‼︎」
「師範…………っ!」
「カナエさん………っ!」
「皆、大丈夫⁉︎」
そんな事を思っていたら、カナエ師範が菩薩の腕を斬って助けてくれた。危ない、命拾いした………
「すごいね、普通はその子たちみたいに刃が折れるのに‼︎」
「私は柱だからね〜!アオイやカナヲより、ちょ〜っとだけ強いのよ!」
「どうしよう、腕が無くなっちゃったなぁ〜!」
カナエ師範の技量なら斬れる*2ということか………。すごい、これが柱………
「まあ、また生やせるんだけどね!」
と感心していたら、なんと菩薩の腕が一瞬で復活した。嘘………でしょ?こんなのどうしようもないじゃん…………
「鬼の血を凍らせてるからか!」
「正解‼︎鬼の身体みたいに自在に作れるのさ‼︎」
「ふざけやがって‼︎」
「アオイとカナヲは一旦退避‼︎私とサイコロステーキでやるわ!」
「「はい………」」
とりあえず一旦退がって、新しい日輪刀を調達しないと………
「まあ待てよ!2人とも、俺の胃の中でおしゃべりしようぜ!」
それを逃すまいと、菩薩像の手を下ろしてくる上弦の弐。はやく逃げないと、押し潰される………っ‼︎
「蟲の呼吸 蜘蛛ノ舞 擲縄毒‼︎」
そんな事を思っていたら、しのぶ師範が遠距離から毒を放ち、菩薩像の腕に注入した。そして菩薩像の腕は毒によりぐちゃぐちゃに溶けた。よかった、しのぶ師範が復活してくれた………っ!それがなにより嬉しかった。
「師範…………」
「しのぶさん………っ!」
「「しのぶ………っ‼︎」」
「しのぶちゃん、生きていたんだ!俺と遊ぼ!」
「嫌に決まってるでしょ‼︎」
「しのぶさん、一旦頼みます!」
「お願いします………」
という事で、私とアオイはしのぶ師範と替わり、一旦退避した。
side しのぶ
私はなんとか動けるようになって、遠距離から毒を打つことにした。
「でもねえしのぶちゃん、俺毒分解出来るって言ったよね?」
「それはどうかな………っ⁉︎」
正直毒は分解されてしまう。だが分解するのには少し時間を要する。ならば遠距離から毎回毎回調合を変えて、毒を放つ‼︎そうして姉さんとサイコロステーキを支援する‼︎アオイとカナヲが稼いでくれた時間を、無駄にはしない‼︎
「しのぶ、一緒に頑張ろっ♪」
「もちろんそのつもりよ、姉さん‼︎」
「仕方ねえ、俺も頑張るか………」
「仕方なくない‼︎頑張ってはいたけど‼︎」
しかし、遠くから見ていたけど………姉さん以外の刃が通らないのはかなりマズい。下手したら賽の呼吸すらも完全に使えないかもしれない。
「花の呼吸 参ノ型 朝露の紫陽花!」
「炎の呼吸 壱ノ型 放火‼︎」ボッ!
「蟲の呼吸 蜘蛛ノ舞 擲縄毒‼︎」
「腕は生やす!火はすぐ消す!毒は分解する!そして氷の息を吐く!」
「「くっ…………‼︎」」
そもそも鬼がバカでかい菩薩像の上に乗ってるせいで届かない。姉さんが腕を斬れども再生し、サイコロステーキが火をつけどもすぐ冷やされる。更には今は夜7〜8時くらい。夜明けまで時間があり過ぎる上に、他の柱もいつ来るかわからない。くそっ、どうすれば………っ!
「くそっ、アレを使うしかないか………」
そんな事を思っていると、サイコロステーキが何やら隠し技みたいなものを使うと言い始めた。あれ?一体なんだろう?でも生きたがりのコイツが渋りながら使う技って、もしや失敗した場合…………。嫌な予感が頭の中を駆け巡る。
「サイコロステーキ、お願い、死なないで‼︎」
思わず叫んでしまう。お願いだから、無茶だけは………っ!
side サイコロステーキ
鬼殺隊に入るまで、俺の中には情というものが何も無かった。クソみたいな両親に脅され、奴隷となるべく育てられた。だからそんな両親が鬼となり酒臭い鬼狩りに殺されても、特に何も思わなかった。その後は博打で他人から金をむしりながら、鬼殺隊に入り博打資金を楽して稼ぐことだけ考えてた。だが、そんな中である変化が起きた。
俺は入隊試験でしのぶと出会った。最初はとにかく口うるさい女だと思った。だが一緒に過ごすにつれて、なんだかんだで情というのを初めて感じた。今までは飯を作っても文句はあれど感謝は無かった両親。そんなのに慣れてたから、初めて俺の飯を旨そうに食ってくれてお礼まで言ってくれた事がとても嬉しかった。アイツのおかげで、カナエさんやアオイやカナヲとも出会い、仲間というものの良さを知ることができた。
それに、これは恩返しなんかじゃない。アイツは俺が死ぬつもりだと勘違いしてるけど、決してそんな事はない。今から発動する型は、確かに今まで以上の危険が伴う。思いっきり刀を握るあまり酸欠になり、使用後は絶対に意識が無くなり動けなくなる。それでいて、サイコロを2個振って
「死ぬわけねえだろ‼︎後はお前が治せよ、しのぶ‼︎」
「うん………っ‼︎」
だって俺は、こんなにも旨そうに飯を食ってくれる、可愛らしい名医に出会えたのだから………っ‼︎
「賽の呼吸 伍ノ目
刀を思いきり握りしめ、全ての力を込める。そして思いっきり鬼に向け振り回し、破壊的な暴風を伴って切り刻む。赫く染まった刀は、鬼を菩薩像ごと粉々に砕いた。
「嘘だ………この俺がこんな弱い奴に負けるなんて………でも悔しくないな〜。」
首もちゃんと斬れてる。当たりだ!
「やっぱり………今日は………ツイてるな………」
そう思いながら、俺は深い眠りについた。
side しのぶ
サイコロステーキが上弦の弐を倒した‼︎凄まじい一撃で、菩薩像ごと切り刻んだ‼︎でも全てを使い果たし、そのまま倒れ込んじゃった………
「「サイコロステーキ‼︎」」
「「先輩‼︎」」
私は絶対に諦めない‼︎アイツは私を信頼して、死ぬ危険がある大技を放ってくれた。だからこそ、今度は私が全ての技術を結集させて、コイツに再び賽を振らせる‼︎
その後、私はサイコロステーキの治療に専念した。屋敷に運び、病状を把握し、薬を飲ませ、手術をした。お願い、目を覚まして。そんな思いが毎日毎日頭の中をぐるぐる巡りながら、治す方法を模索した。
「…………」
今日もダメか。彼は依然眠ったまま。このまま会えないのかな………?アイツのご飯を食べられないのかな………?私のお父さんとお母さんみたいに、天国に旅立っちゃうのかな………?そんなのは嫌だ‼︎お願いだから、目を覚まして!そんな思いで私は彼の手を握った………
「ん…………?しのぶ………?」
そしたら………嘘…………サイコロステーキが………喋った………っ‼︎
「サイコロステーキ‼︎」ぎゅっ!
「ちょっ………抱きつくなって………身体痛えから………」
「ごめんごめん‼︎」
「しのぶさん、サイコロステーキ先輩が目覚めたんですか⁉︎」
「そうよ!」
「よかったです………!」
「しのぶの治療のおかげよ♪」
「そう………だな………。しのぶ、ありがとな………」
「こっちこそ、目覚めてくれてありがとう………っ‼︎」
あまりの嬉しさに、思わず号泣して抱きついてしまった。もう二度と、仲間を失いたくなかったから。生まれてきて18年、これほどまでに嬉しかった日は初めてだった。サイコロステーキ、本当に、本当に、生きててくれてよかった‼︎
大正こそこそ噂話
乾坤一擲は、一か八かの大勝負をするという意味の四字熟語だよ‼︎サイコロステーキはこの型を開発した当初、使用後に気絶して、たまたま通りかかった人に助けられてたんだ‼︎それ以降、威力は強いが危険が高い上に確率も悪いということで、使わなかったよ‼︎