サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第二十五話 弱者たる者謙遜せよ

  side しのぶ

 

 のどかな昼下がり、私は蝶屋敷でのんびりしていた。

 

「くそっ………あと少しなんだがな………っ!」

 

 そして、隣でサイコロステーキが意味分かんない事をしていた。

 

「何してるの?」

「なんかもう少しで、透き通る世界に入れそうな気がするんだ‼︎」

「何それ?」

「相手の筋肉や骨などが透けることによってな、攻撃の先読みが出来るんだよ‼︎炭治郎がこの前言ってたんだ!」

「珍しく真面目ね。」

 

 意外にもこれは修行らしい。確かにそれが見えるようになったら便利だ。相手の攻撃を簡単に避けられるし。しかし、コイツは今ただ座って目を細めて見ているだけ。その目線の先には……………カナヲとアオイ。そこから導き出される結論………

 

「ついでに透け具合を調整すれば、裸を見れるように………」

 

 コイツはただの変態だった。殺しておくか。

 

「死ね、この変態‼︎」ゴンッ‼︎

「痛っあ‼︎ふざけんなよお前‼︎殴るなし‼︎」

「じゃあ拷問するね。」

「殴るなって言ったよなぁ⁉︎」

「殴らないよ。代わりに目玉をほじくり出し、お腹を切って内臓を引き摺り出し………」

「悪化してんじゃねえか‼︎」

 

 本当にろくでもない奴だ。自分のためだけに変な能力使いやがって‼︎炭治郎君も絶対そういう目的で教えたわけじゃないのに。第一そんなに見たいなら…………

 

「カァァァァァ‼︎イチャイチャシテルトコ申シ訳ナイィィィィィィ‼︎」

 

 そんな事を思っていたら、私たちの鎹鴉がやってきた。

 

「イチャイチャしてないから。」

「目ん玉ついてんのか、お前?」

「ツイテルゥゥゥゥ‼︎ココニバッチリィィィィ‼︎」

「ばっちり目がついてるって言い方聞いたことねえな。」

 

 こんな昼間に、一体何の用だろう?任務………にしては早すぎる時間だし。

 

「で、何しに来たの?」

「2人ニ会ッテホシイ鬼ガイルゥゥゥゥ‼︎」

「断る。」

「黙レェェェェ‼︎」

「鴉にまで罵倒されただと⁉︎」

 

 会ってほしい鬼?昼に?まさか昼行性の鬼でも出現したの?

 

「で、どんな鬼よ?」

「珠世トイウ鬼ダァァァァ。医者ヲヤッテイテ、人ヲシバラク殺シテイナイ鬼ィィィィ。ソコニ協力ノ依頼ニ行ケェェェェェ‼︎」

「協力?医者はもうここにいんのに、今更他のやつ呼んで何すんだ?」

「鬼ヲ人間ニ戻ス薬ノ共同制作ゥゥゥゥ‼︎」

 

 医者をやってる鬼がいて、そいつと協力して薬を作れってことね。確かに1人だと限度があるとは前々から思っていたけど、まさか鬼と協力するなんて………。正直かなり不安だ。とりあえず話してみないことには始まらないか。

 

「しのぶはいいのか?」

「う〜ん、会ってみないと分からないかも。」

「なら会いに行くか。」

「そうね。」

「なぁ、もしその鬼が少しでも怪しい動きをしたら、殺していいんだろ?」

「構ワナイトノコトォォォォ!」

「わかったぜ。」

 

 万が一敵だったら殺せばいいだけだし。

 

「よしっ、じゃあ出発だ!」

「そうね。」

「あれ?しのぶさんとサイコロステーキ先輩、逢引ですか⁉︎」

「楽しんでってください………!」

「「違う‼︎///」」

 

 という事で、私とサイコロステーキは医者の鬼がいるところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩いて、私たちは教えられた建物までやってきた。今は冬だからか陽が落ちるのが早く、気がつけばもう夜。鬼の時間になっていた。

 

「なぁしのぶ、このまま入るか?」

「いや、入るでしょ。ここまで来たんだし。」

「でも、万が一鬼が暴れた時に、窓開けて陽炙(ひあぶ)り出来ねえぞ?」

「それは………確かに。」

「一応夜明け前にしとこうか。」

「そうね。」

 

 鬼の時間ということは、それだけ危険ということ。まだ会ってもいない相手を信用するのは良くないだろうし、念には念を入れた方がいいだろう。という事は、夜明けまで待機か…………

 

「よしっ、それじゃあ夜明けまで博打だ!」

「アンタが遊びたかっただけじゃん‼︎」

「仕方ねえだろ。俺はちゃんと自分の命を考えて行動してるんだから。」

「お金のことはちゃんと考えられないのに?」

「うるせえ‼︎」

 

 どうやらコイツが遊びたいだけだった。これじゃあまたこの間みたいになるじゃん。まあどうせ金を無くすだろうしいいか。

 

 そんな事を思っていると、

 

「しまった!ここの賭場、最近摘発されたんだった‼︎」

 

 バカが何かを思い出した様子。そんなポンポン摘発されるもんなんだね。危なすぎるでしょ。コイツも一歩間違えて刑務所に入ればよかったのに。

 

「それじゃあ行けないね。」

「くそっ!なんで警察は博打打ちの生活をこうも苦しめるんだ……っ‼︎」

「犯罪だからでしょ。」

「法律を変えるべきだ‼︎日本は賭博を合法にしろ‼︎こんなに楽しいのに………っ‼︎」

「生活が破綻する人増えるじゃん。食費とか無くなったらどうすんの?」

「それは弱い人間が悪い。」

「そんなんだから女にモテないんですよ。」

「だから女の子が恥ずかしがりすぎてるだけだって‼︎」

 

 賭博を合法化したら、生活できない人が増えて治安が悪くなるでしょ。しかも未だに自分が強いと勘違いしているし。だからモテないんだって。いいところもあるんだから、勿体無いなといつも思う。

 

 

 

 それはさておき、そろそろどこかに行かないと。ずっと路上で待ってるわけにもいかないし………

 

「破壊殺 羅針‼︎」

 

 ん?誰今の声?まさか…………?

 

「しのぶ、後ろだ!上弦の弐だ‼︎」

「はぁ⁉︎」

 

 サイコロステーキに言われて振り返ると、そこには全身刺青にピンク頭の気持ち悪い上弦の弐がいた。恐らく先日倒した奴とは別物で、空席になったところに昇格したのだろう。武器は何も持っていないが、構え方的に武術の使い手か?

 

「おいお前‼︎これ読んでみろ‼︎」

 

 サイコロステーキが鬼に紙を見せながら話しかける。そこには鬼舞辻無惨と書かれていて、いつものように鬼を駆除しようとしていた。

 

「そうやって他の上弦を殺していたんだろ?だがそのやり方はもう通用しない。」

「まさか、呪いが変えられて………?」

「言わないようにと通達があったからだ。」

「気をつけるだけかよ‼︎」

「細胞を根本から変えたりはしないのね。」

 

 だが、できなかった。どうやら鬼の方でも共有されたらしい。流石にそこまで鬼もバカじゃなかったか。

 

「話はもういい。俺は弱い人間が大嫌いだ。だからとっとと死ね。」

 

 それにしても、鬼はめちゃくちゃ怒っている様子。これはマズイわね。一か八か、珠世という鬼のところまで逃げるか………?

 

「はぁ⁉︎しのぶは弱くねえからな‼︎」

「その女ではない。お前のことだ。」

「は?お前脳みそついてんのか?どう見ても俺は強い男だろうが‼︎」

「脳みそが無いのはお前の方だろ‼︎その闘気ねじり曲がっている‼︎至高の領域とは程遠い‼︎」

「お前こそ博打弱そうだな。サイコロの流れも読めなそうだ。」

「はぁ⁉︎今博打の話なんかしてないだろ‼︎それに俺はそんなものやったことがない‼︎」

「図星だな!はい俺の勝ち〜♪」

 

 コイツは相変わらずバカだな。鬼が博打やった事ないって言ってるのに、無理矢理やった事にして論破した風になっている。都合の悪いことは忘れちゃうのかな?だからいつもお金が無くなるのに博打するんだよね。うん、そうだよね!

 

「俺はお前みたいに博打や女にのめり込んでない。ひたすらに鍛錬を続けてきた。強くなるために。」

「そんなんやって何が楽しいの?人生遊んだもん勝ちよ!」

「そう思っているのか。本当に哀れだな。大好きな女の前で死ぬが良い。」

 

 そんな事を思っていたら、鬼に変な事言われたんだけど⁉︎

 

「「はぁ⁉︎///」」

「いや、私たちそういうのじゃないから‼︎マジで違うんで‼︎///」

「えっ?でも2人で仲良く話していただろ?」

「本当に違うんで‼︎///」

 

 初対面の鬼にまで勘違いされるの、本当にやめてほしいんだけど………

 

「確かにコイツは俺に惚れてるけど、俺はなんとも思ってねえから‼︎///」

 

 コイツ何言ってるの⁉︎ふざけんじゃないわよ‼︎頭きた‼︎言い返してやる‼︎

 

「それはアンタでしょ⁉︎最近顔真っ赤にしちゃってさぁ‼︎絶対私に惚れちゃったよね‼︎私はなんとも思ってないのに‼︎あ〜あ、女の子に慣れてないから仕方ないよね‼︎仕方ない仕方ない‼︎///」

「お前だって誰とも付き合ったことないくせに偉そうに‼︎ふざけんじゃねえよ‼︎///」

「どっちも照れてるじゃねえか………」

「「お前(アンタ)は黙ってて‼︎///」」

 

 本当に自分の評価ができてない‼︎マジでなんなの⁉︎どうして上から目線になれるのよ‼︎本当に意味分かんない‼︎

 

 

 

 

 

  side 猗窩座

 

 なんだ、アイツら………。急にいちゃつきやがって。そんなに女といるのが楽しいのか………?ん?待てよ、この記憶…………

 

「狛治さん、もうやめて!」

 

 思い出した。後ろから差し伸べられる優しい手。間違いない。俺が生涯守ると決めた、大切な女の子。恋雪さんじゃないか………

 

「恋雪さん………」

「思い出してくれたんですね!」

「はい。あの2人を見てたら、あなたと一緒にいた頃を思い出しまして。」

「本当によかったです!」

「鬼舞辻無惨、さようなら。」グシャ

「お帰りなさい、あなた………っ!」

「ただいま、恋雪さん!」

 

 思い出させてくれてありがとうな、2人とも。末長くお幸せに。こうして俺は無惨様の名を言い、恋雪さんと共に地獄という名の天国へ向かったのだった。

 

 

 

 

  side しのぶ

 

 なんか鬼が勝手に満足して死んだんだけど?どういうこと?

 

「と、とりあえず珠世のところ行くか……///」

「そうね……///」

 

 こうして、私たちは珠世のところへ向かったのだった。




猗窩座は尊死しました。
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