side しのぶ
のどかな昼下がり、私は蝶屋敷でのんびりしていた。
「くそっ………あと少しなんだがな………っ!」
そして、隣でサイコロステーキが意味分かんない事をしていた。
「何してるの?」
「なんかもう少しで、透き通る世界に入れそうな気がするんだ‼︎」
「何それ?」
「相手の筋肉や骨などが透けることによってな、攻撃の先読みが出来るんだよ‼︎炭治郎がこの前言ってたんだ!」
「珍しく真面目ね。」
意外にもこれは修行らしい。確かにそれが見えるようになったら便利だ。相手の攻撃を簡単に避けられるし。しかし、コイツは今ただ座って目を細めて見ているだけ。その目線の先には……………カナヲとアオイ。そこから導き出される結論………
「ついでに透け具合を調整すれば、裸を見れるように………」
コイツはただの変態だった。殺しておくか。
「死ね、この変態‼︎」ゴンッ‼︎
「痛っあ‼︎ふざけんなよお前‼︎殴るなし‼︎」
「じゃあ拷問するね。」
「殴るなって言ったよなぁ⁉︎」
「殴らないよ。代わりに目玉をほじくり出し、お腹を切って内臓を引き摺り出し………」
「悪化してんじゃねえか‼︎」
本当にろくでもない奴だ。自分のためだけに変な能力使いやがって‼︎炭治郎君も絶対そういう目的で教えたわけじゃないのに。第一そんなに見たいなら…………
「カァァァァァ‼︎イチャイチャシテルトコ申シ訳ナイィィィィィィ‼︎」
そんな事を思っていたら、私たちの鎹鴉がやってきた。
「イチャイチャしてないから。」
「目ん玉ついてんのか、お前?」
「ツイテルゥゥゥゥ‼︎ココニバッチリィィィィ‼︎」
「ばっちり目がついてるって言い方聞いたことねえな。」
こんな昼間に、一体何の用だろう?任務………にしては早すぎる時間だし。
「で、何しに来たの?」
「2人ニ会ッテホシイ鬼ガイルゥゥゥゥ‼︎」
「断る。」
「黙レェェェェ‼︎」
「鴉にまで罵倒されただと⁉︎」
会ってほしい鬼?昼に?まさか昼行性の鬼でも出現したの?
「で、どんな鬼よ?」
「珠世トイウ鬼ダァァァァ。医者ヲヤッテイテ、人ヲシバラク殺シテイナイ鬼ィィィィ。ソコニ協力ノ依頼ニ行ケェェェェェ‼︎」
「協力?医者はもうここにいんのに、今更他のやつ呼んで何すんだ?」
「鬼ヲ人間ニ戻ス薬ノ共同制作ゥゥゥゥ‼︎」
医者をやってる鬼がいて、そいつと協力して薬を作れってことね。確かに1人だと限度があるとは前々から思っていたけど、まさか鬼と協力するなんて………。正直かなり不安だ。とりあえず話してみないことには始まらないか。
「しのぶはいいのか?」
「う〜ん、会ってみないと分からないかも。」
「なら会いに行くか。」
「そうね。」
「なぁ、もしその鬼が少しでも怪しい動きをしたら、殺していいんだろ?」
「構ワナイトノコトォォォォ!」
「わかったぜ。」
万が一敵だったら殺せばいいだけだし。
「よしっ、じゃあ出発だ!」
「そうね。」
「あれ?しのぶさんとサイコロステーキ先輩、逢引ですか⁉︎」
「楽しんでってください………!」
「「違う‼︎///」」
という事で、私とサイコロステーキは医者の鬼がいるところへと向かった。
しばらく歩いて、私たちは教えられた建物までやってきた。今は冬だからか陽が落ちるのが早く、気がつけばもう夜。鬼の時間になっていた。
「なぁしのぶ、このまま入るか?」
「いや、入るでしょ。ここまで来たんだし。」
「でも、万が一鬼が暴れた時に、窓開けて
「それは………確かに。」
「一応夜明け前にしとこうか。」
「そうね。」
鬼の時間ということは、それだけ危険ということ。まだ会ってもいない相手を信用するのは良くないだろうし、念には念を入れた方がいいだろう。という事は、夜明けまで待機か…………
「よしっ、それじゃあ夜明けまで博打だ!」
「アンタが遊びたかっただけじゃん‼︎」
「仕方ねえだろ。俺はちゃんと自分の命を考えて行動してるんだから。」
「お金のことはちゃんと考えられないのに?」
「うるせえ‼︎」
どうやらコイツが遊びたいだけだった。これじゃあまたこの間みたいになるじゃん。まあどうせ金を無くすだろうしいいか。
そんな事を思っていると、
「しまった!ここの賭場、最近摘発されたんだった‼︎」
バカが何かを思い出した様子。そんなポンポン摘発されるもんなんだね。危なすぎるでしょ。コイツも一歩間違えて刑務所に入ればよかったのに。
「それじゃあ行けないね。」
「くそっ!なんで警察は博打打ちの生活をこうも苦しめるんだ……っ‼︎」
「犯罪だからでしょ。」
「法律を変えるべきだ‼︎日本は賭博を合法にしろ‼︎こんなに楽しいのに………っ‼︎」
「生活が破綻する人増えるじゃん。食費とか無くなったらどうすんの?」
「それは弱い人間が悪い。」
「そんなんだから女にモテないんですよ。」
「だから女の子が恥ずかしがりすぎてるだけだって‼︎」
賭博を合法化したら、生活できない人が増えて治安が悪くなるでしょ。しかも未だに自分が強いと勘違いしているし。だからモテないんだって。いいところもあるんだから、勿体無いなといつも思う。
それはさておき、そろそろどこかに行かないと。ずっと路上で待ってるわけにもいかないし………
「破壊殺 羅針‼︎」
ん?誰今の声?まさか…………?
「しのぶ、後ろだ!上弦の弐だ‼︎」
「はぁ⁉︎」
サイコロステーキに言われて振り返ると、そこには全身刺青にピンク頭の気持ち悪い上弦の弐がいた。恐らく先日倒した奴とは別物で、空席になったところに昇格したのだろう。武器は何も持っていないが、構え方的に武術の使い手か?
「おいお前‼︎これ読んでみろ‼︎」
サイコロステーキが鬼に紙を見せながら話しかける。そこには鬼舞辻無惨と書かれていて、いつものように鬼を駆除しようとしていた。
「そうやって他の上弦を殺していたんだろ?だがそのやり方はもう通用しない。」
「まさか、呪いが変えられて………?」
「言わないようにと通達があったからだ。」
「気をつけるだけかよ‼︎」
「細胞を根本から変えたりはしないのね。」
だが、できなかった。どうやら鬼の方でも共有されたらしい。流石にそこまで鬼もバカじゃなかったか。
「話はもういい。俺は弱い人間が大嫌いだ。だからとっとと死ね。」
それにしても、鬼はめちゃくちゃ怒っている様子。これはマズイわね。一か八か、珠世という鬼のところまで逃げるか………?
「はぁ⁉︎しのぶは弱くねえからな‼︎」
「その女ではない。お前のことだ。」
「は?お前脳みそついてんのか?どう見ても俺は強い男だろうが‼︎」
「脳みそが無いのはお前の方だろ‼︎その闘気ねじり曲がっている‼︎至高の領域とは程遠い‼︎」
「お前こそ博打弱そうだな。サイコロの流れも読めなそうだ。」
「はぁ⁉︎今博打の話なんかしてないだろ‼︎それに俺はそんなものやったことがない‼︎」
「図星だな!はい俺の勝ち〜♪」
コイツは相変わらずバカだな。鬼が博打やった事ないって言ってるのに、無理矢理やった事にして論破した風になっている。都合の悪いことは忘れちゃうのかな?だからいつもお金が無くなるのに博打するんだよね。うん、そうだよね!
「俺はお前みたいに博打や女にのめり込んでない。ひたすらに鍛錬を続けてきた。強くなるために。」
「そんなんやって何が楽しいの?人生遊んだもん勝ちよ!」
「そう思っているのか。本当に哀れだな。大好きな女の前で死ぬが良い。」
そんな事を思っていたら、鬼に変な事言われたんだけど⁉︎
「「はぁ⁉︎///」」
「いや、私たちそういうのじゃないから‼︎マジで違うんで‼︎///」
「えっ?でも2人で仲良く話していただろ?」
「本当に違うんで‼︎///」
初対面の鬼にまで勘違いされるの、本当にやめてほしいんだけど………
「確かにコイツは俺に惚れてるけど、俺はなんとも思ってねえから‼︎///」
コイツ何言ってるの⁉︎ふざけんじゃないわよ‼︎頭きた‼︎言い返してやる‼︎
「それはアンタでしょ⁉︎最近顔真っ赤にしちゃってさぁ‼︎絶対私に惚れちゃったよね‼︎私はなんとも思ってないのに‼︎あ〜あ、女の子に慣れてないから仕方ないよね‼︎仕方ない仕方ない‼︎///」
「お前だって誰とも付き合ったことないくせに偉そうに‼︎ふざけんじゃねえよ‼︎///」
「どっちも照れてるじゃねえか………」
「「お前(アンタ)は黙ってて‼︎///」」
本当に自分の評価ができてない‼︎マジでなんなの⁉︎どうして上から目線になれるのよ‼︎本当に意味分かんない‼︎
side 猗窩座
なんだ、アイツら………。急にいちゃつきやがって。そんなに女といるのが楽しいのか………?ん?待てよ、この記憶…………
「狛治さん、もうやめて!」
思い出した。後ろから差し伸べられる優しい手。間違いない。俺が生涯守ると決めた、大切な女の子。恋雪さんじゃないか………
「恋雪さん………」
「思い出してくれたんですね!」
「はい。あの2人を見てたら、あなたと一緒にいた頃を思い出しまして。」
「本当によかったです!」
「鬼舞辻無惨、さようなら。」グシャ
「お帰りなさい、あなた………っ!」
「ただいま、恋雪さん!」
思い出させてくれてありがとうな、2人とも。末長くお幸せに。こうして俺は無惨様の名を言い、恋雪さんと共に地獄という名の天国へ向かったのだった。
side しのぶ
なんか鬼が勝手に満足して死んだんだけど?どういうこと?
「と、とりあえず珠世のところ行くか……///」
「そうね……///」
こうして、私たちは珠世のところへ向かったのだった。
猗窩座は尊死しました。